「おう、アクセル。今回はよろしく頼むな」
そう言い、豪快に笑っているのはオルテガだ。
元から単純というか、自分の感情に素直な男だが、それでもここまで機嫌がいいのは……うん。多分マリオンの件があるからだろうな。
「マリオンはソロモンに来てないのか?」
「来てるぞ。クスコと一緒にな」
どうやらニュータイプ部隊として出撃してきてはいるらしい。
とはいえ、出撃してきたニュータイプはその2人だけか。
いや、シャリアの事を考えれば、それは当然なのかもしれないが。
自分より高いニュータイプ能力を持ち、更にはジオン・ズム・ダイクンの娘というセイラ……アルテイシアは、シャリアにとって仕えるべき人材だった。
だが、それでも今回戦うべき敵はジオン軍だ。
ルナ・ジオン軍に所属したばかりのシャリアを、すぐに戦場に出すという訳にはいかなかったのだろう。
「そうか。なら、守ってやれ」
「ああ! 当然だ!」
そう叫ぶオルテガの声が周囲に響く。
ちなみに俺達がいるのは、ソロモンの中でもルナ・ジオン軍に与えられた一画の近くにある部屋だ。
軍艦の中にいてもよかったのだが、折角ソロモンという場所に来たのだから、その場所についてしっかりと把握しておきたいと思うのは当然だろう。
視線を別のテーブルに向けると、そこではガトーがケリィと話している光景が見えた。
他にビグロを操縦していたMA隊や、MS隊としてやって来た者達……何だかんだと、50人くらいはこの部屋の中にいる。
勿論、このような部屋はここだけではなく、他にも同じような部屋は存在していた。
だからこそ、レビルもこの辺りをルナ・ジオン軍用にと判断したのだろうが。
「そう言えば……なぁ、アクセル。ガトーだったか? あいつが使っているMSはなんだ? かなり性能が高かったみたいだが」
嬉しそうにマリオンとの惚気を口にするオルテガだったが、聞き飽きていたのだろう。そんなオルテガの話を遮るように、ガイアが俺に聞いてくる。
「ん? お前もギャンについてディアナで話し合いをした時にはいただろ? あれはギャンだ。ジオン軍でゲルググとのコンペで負けて、それでツィマッド社が月に持ち込んだ機体」
「違う。いや、それは分かっているが、俺が言いたいのはそういう事ではない。あのギャンは俺が知っているギャンとは違う。あれだけの性能を持つMSなら、量産してもいいんじゃないかと思っただけだ。ヅダも性能が高いのは理解しているが、それでもやはりゲルググや連邦軍のMSを見ると、思うところがない訳でもない」
なるほど。
ガイアにしてみれば、ヅダは高い性能の機体だが、それでもゲルググとかの高性能MSに比べると、どうしても劣ってしまう。
……それでもヅダの機体追従性は高いのだが……まぁ、それでもやはりビームランスのようなビーム兵器を持っている高機動型ギャンは魅力的に映ったのだろう。
遠距離攻撃という点では、速射砲とシールドミサイルしか存在しない高機動型ギャンは、ヅダよりも劣っているのだが。
もっとも、高機動型ギャンもヅダと同じツィマッド社が開発したMSだけに、ヅダが使っている武器なら少し調整すれば普通に使えるようになるのか?
「お前の気持ちは分かるが、残念ながらあのMSはあくまでもディアナの技術者達が作った機体だ。次期主力機、もしくはエース用の機体としては、あの時に話したようにギャンをベースに新しい機体が開発されると思う」
ディアナの技術者に聞いた限りだと、高機動型ギャンの性能が思っていた以上に高くて、その上でガトーやノリスによって十分なデータを得られたという関係もあり、恐らく新規開発される機体は高機動型ギャンをベースにして開発されるらしい。
統合整備計画についても採用するって話だし。
統合整備計画はマ・クベが提案したものらしいが、実際非常に効率的な計画なのは間違いないんだよな。
ディアナの場合は、資源とかはシャドウミラーが存在するので、特に気にする必要もないのだが、それでもMSを効率的に動かす為にはある程度の部品共有が出来た方がいいのは間違いない。
「それは聞いてるが、いつ出来る? 正直なところ、ソロモンが落ちた以上、残る要塞はア・バオア・クーと……ジオン公国の本拠地たるサイド3だけだぞ? このまま行けば、早ければ今年中、遅くても来年初めには戦争は終結する筈だ。そうなってから新型MSが出来てもな」
苦々しげな様子を見せるガイア。
マッシュや、先程まではマリオンとの惚気を口にしていたオルテガもその言葉には同意なのか、頷いていた。
実際には、チェンバロ作戦を成功させた事で、ジオン公国の首相のダルシアが本格的に和平に向けて動き出す筈だ。
その動きが具体的にいつ実を結ぶのかは分からない。
だが、上手く行けばガイアの予想よりも早く事態が動く可能性は十分にあった。
「MSという兵器は、既にUC世界に姿を現した。そうである以上、戦争が終わってもMSの必要性は変わらないだろ。……それに、戦争が終われば次は連邦軍がちょっかいを出してこないとも限らないし」
ジオンの独立戦争が終わった結果、MSはもう使わなくなります……なんて事は、まずない。
それこそ、これからのこの世界での主力兵器はMSになる筈だった。
少なくても、俺とセイラが最初に接触した時に見た未来……シャアが小惑星を地球に落とそうとしている時に使われていた兵器はMSだった。
具体的にあれがいつの事なのかというのは、俺にも分からないから何とも言えないが……それでも、MSが主力兵器になるというのは間違いないだろう。
もっともルナ・ジオン軍ではビグロを初めとしてMAも結構優先していくという感じになっていきそうなので、あるいは……本当にあるいはの話だが、歴史が変わって将来的にはMAが主力になるという可能性もなきにしもあらずって感じか?
「ぐぬぅ。……取りあえず、理解は出来ないが納得はした」
渋々、本当に渋々といった様子で俺にそんな事を口にするガイア。
とはいえ、実際新型MSを早いところ開発した方がいいのは間違いないんだよな。
ただし、魔法球の類が使えない以上、そう簡単に新型MSを開発するのは難しいが。
一応高機動型ギャンをベースに開発するので、1から開発するよりは楽ではある。
「あ、でもよ。何でもMA……ビグロの改修機がこっちに運ばれてくるって話を聞いたぞ? やっぱりMSよりもMAの方が重視されているのか?」
と、オルテガがそう言ってくるが……
「ビグロの改修機? 俺は初めて聞くけど」
「そうなのか? まぁ、今回は命令系統とかが違うから、そっちに連絡は行ってないんだろ」
そうオルテガに言われれば、そういうものかと納得するしかない。
実際、ビグロに乗るとすればそれは当然のようにビグロ隊の面々……それも恐らくビグロ隊を率いているケリィであり、そのケリィはサラブレッド隊ではなくルナ・ジオン軍から別の援軍としてやって来た、シーマ率いる部隊の所属だ。
……そもそもの話、考えてみれば当然なのだが、俺はあくまでもシャドウミラーの代表であっても、ルナ・ジオンという国や軍に直接関わっている訳ではない。
であれば、ルナ・ジオン軍の援軍に新たに運ばれてくる新兵器……この場合はビグロの改修型か。それについて絶対に知らせる必要がないと言われれば、それに対して納得するしかないのも事実だ。
どうせなら教えて欲しいとは思うが。
「それで? そのビグロの改修機ってのは、どういう機体なんだ?」
「さぁ? 俺も詳しい事は知らねえよ。あくまでもそういうMAが来るって話を聞いただけだし。これがMSなら、もう少し興味深かったんだろうけど」
どうやらオルテガはMAには興味がないらしい。
もっとも、それはそこまでおかしな話でないだろう。
何しろ、黒い三連星というのは、あくまでもMS小隊なのだから。
無理をすれば、もしかしたら……本当にもしかしたらだが、MAでも黒い三連星として活動出来る可能性もあるが、MS同士の機種変更ならともかく、MSからMAへの機種変更となると、かなり難しいだろう。
ましてや、黒い三連星特有の連係攻撃……代表的なものでは、ジェットストリームアタックとか、そういうのをMAで使えるかどうかは微妙だし。
いや、黒い三連星の実力を考えれば使えてもおかしくはないと思うが、それでもMAでジェットストリームアタックというのは、色々と無理がある。
「そうか。なら、ちょっと向こうで聞いてくるよ」
そう言い、座っていた席を立ち上がって、ガトーと話をしているケリィのいる方に向かう。
「ケリィ、ちょっといいか?」
「は! 何でしょう?」
俺が近付いてきているのは気が付いていたのか、話し掛けるとすぐに立ち上がって敬礼してくる。
人前……ルナ・ジオン軍以外の面々がいる時ならともかく、身内と呼ぶべき者達だけの場合は、そこまで礼儀正しくする必要はないと思うんだがな。
「ビグロの改修機が送られてくるって話を聞いたんだが、どういう機体か知ってるか?」
「ビグロマイヤーの事ですね。はい。聞いています」
そう言い、ケリィはビグロ改修機……いや、ビグロマイヤーについての説明を口にする。
ビグロの改修機という事になっているビグロマイヤーだが、実際には原型機となったビグロとはかなり違うらしい。
ビグロよりも装甲が厚くなり、それでいてフォルム的にはスリムになっているとか何とか。
また、通常のビグロとは違ってスラスター付きの足が追加された事により、機動性や運動性も上がっているらしい。
当然のように、動力炉もビグロで使われている物よりもパワーアップされていて、その関係でビグロよりもメガ粒子砲の威力が上がってる。
また、ビグロの中でも特徴的だったクローアームにはビーム砲が内蔵されているとか何とか。
このクローのビーム砲は、クローアームで敵を捕まえた後、すぐにビーム砲を撃って攻撃するといったような真似も可能。
また、これがビグロマイヤー最大の特徴となるのかもしれないが、ジオン軍のMAのアッザムがオデッサで使っていたアッザムリーダーを改良した、似たような武器を装備してるとか。
……これ、もしかして俺がアッザムリーダーをかなり褒めていたのが影響したりしてないよな?
オデッサで見た時、使いようによってはかなり便利な兵器だと思って報告書とかにも結構書いた記憶がある。
「なるほど、どうやら本当に別物に近いらしいな」
「は! MIP社によるとビグロの次に開発するMAの技術試験機的な役割も果たしているとか」
MIP社も頑張っているらしい。
まぁ、その気持ちも分からないではない。
シャドウミラーやルナ・ジオンの面々が最初に接触したのが、MIP社だった。
だが、結果として現在ルナ・ジオン軍で主流となっているのは、ヅダやギャンを見れば分かる通り、ツィマッド社製のMSが多い。
ディアナという1つの会社になったとはいえ、やはり競争意識は高いのだろう。
とはいえ、ルナ・ジオン軍ではMAを積極的に使っていく事になっているので、そこまで対抗心を剥き出しにしなくてもいいと思うんだが。
「そうか。なら、新型MAが出来るのを楽しみにしてるよ。それに、ア・バオア・クーでの戦いでビグロマイヤーが活躍する姿を楽しみにしている」
「は! アクセル代表の期待に添えるよう、頑張りたいと思います」
真面目に……そして自信に満ちた表情でそう告げるケリィ。
その自信が何の根拠もなく、自分なら上手く出来るといったような自信なら困るが、ケリィの場合はしっかりとした実力があっての自信なので、安心出来る。
ともあれ、話は十分に聞けたので黒い三連星のいる場所に戻ろうとすると……
『アクセル代表、月から連絡がありました』
量産型Wの通信が入る。
月から? 一体何があった?
「分かった。そうだな、ヤンマで通信を受けるから、そっちに回してくれ」
ソロモンで通信を受けてもいいんだが、ソロモンは連邦軍が占拠している。
もしかしたら通信内容が傍受されるという可能性は決して否定出来ない。
だからこそ、月からの通信はヤンマで受けた方がいい。
そう判断し、俺はソロモンから出てヤンマに向かうのだった。
「サイド6周辺で? ……またか」
『ええ。それも以前アクセルと一緒に行ったリボーの近くよ。でも、この時期にサイド6周辺でジオン軍と連邦軍が戦闘を行ったというのは、少し疑問がなくて?』
セイラの言葉に、確かにと頷く。
サイド6は中立という立場であるが故に、ジオン軍や連邦軍がそれぞれ暗躍している。
その中でも一番派手だったのが、やっぱりフラナガン機関の研究所の一件だろう。
勿論、それはあくまでも俺達が見つけたのがそれだけで、他にもジオン軍や連邦軍が色々と動いているのは間違いないと思う。
それに、サイド6で暗躍しているのは別に連邦軍とジオン軍だけではなく、ルナ・ジオン軍も当然のように色々と動いている筈だったし。
「そうだな。ソロモンを攻略したばかりで、こっちもすぐに次の動きはないようだし……ちょっと様子を見てくるか」
そう、セイラに告げる。
そんな俺の言葉にセイラが嬉しそうにしたのは、やはり以前一緒に行ったコロニーだけに、多少思うところがあったのだろう。
アクセル・アルマー
LV:43
PP:1190
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1617