ハーメルンに移住してきてから1年、ありがとうございました。
「アクセル!」
そう言いながらクリスがやって来た。
……ただし、その後ろにはアルを含めて何人かの小学生と思しき子供達が一緒に。
プールの前で待ち合わせをしていたんだが、なるほど。クリスは最初からアル達を引き連れてくるつもりだったのか。
だからこそ、デートとかじゃないと認識していたと。
まぁ、別にいいけどな。元々がクリスの着痩せ問題が発端なんだし。
そんな風に考えながら、アルの側にいる友人達に視線を向ける。
見覚えがあるなと思ったら、あれだ。以前セイラと一緒にリボーに来た時、アルと一緒に遊んでいた子供達。
勿論、全員の顔をしっかりと覚えている訳ではないので、確実にそうだとは断言出来ないのだが。
それにしても、何だか妙に機嫌がいいような……もしかして、ソロモン陥落の件を知ったのか?
俺がその辺に突っ込む訳にはいかないが、連邦軍ならソロモンを攻略したというのを知れば機嫌がよくなるのは当然だろう。
「待たせちゃった?」
「ついさっき来たところ……って言えばいいのか?」
デートの際の定型文を返す俺に、クリスは笑みを浮かべる。
「分かってるじゃない。……じゃあ、早速中に入りましょうか。水着は持ってきたんでしょうね?」
「ああ、今日の午前中に買っておいた」
実際には、空間倉庫の中に入っていた水着なんだが。
……この水着はどこで買った奴だったかは忘れたけど、一応この水着も異世界の水着なんだよな。
そう考えれば、実は結構価値があるのか?
ふとそんな風に思いつつ、早速金を払ってプールの中に入る。
「じゃあ、着替えたらプールでね。……いい? 絶対に後悔させてあげるから、覚悟してなさい」
自信満々に言うクリスが更衣室に向かい、俺もアルやその友人達を引き連れて更衣室に向かう。
「なぁなぁ、兄ちゃん。クリス姉ちゃんとどんな関係なんだ?」
アルの友達のその言葉に、どう答えるべきか迷う。
そもそも、どんな関係と言われても特に何かしっかりとした関係がある訳ではない。
俺にとってクリスは、それこそ昨日会ったばかりの相手なのだから。
だが、そう言ってもこの連中は納得したりしないだろうというのは、容易に予想出来た。
「そうだな。嘘を吐いている方と嘘を見破った者……といった関係だな。それよりさっさと着替えるぞ」
この場合の嘘は、クリスの胸の大きさとそれを見破った俺といったところか。
……それ以外にも、俺がアクセル・アルマーで、それをクリスが見破ったってのもない訳ではないが……いや、それはないか。
取りあえず、その一件については適当にそう思っておく。
まだ不満そうな子供達の着替えを終わらせ、プールに向かう。
当然と言えば当然だが、野外にあるプールではなく温室ブールだ。
12月という季節を考えれば、当然かもしれないが。
「結構客がいるな」
温水プールを見て、そう呟く。
実際、ここまで多くの客がプールで遊んでいるというのは、予想外だった。
現在はジオンの独立戦争が行われている。
そんな中で、よくもまぁここまでプールに遊びに来る奴がいるな。
これもやっぱりサイド6が中立の道を選んだからか?
とはいえ、実際には昨日の戦争やフラナガン機関の研究所の襲撃、海賊の襲撃……といったように、何気に戦闘は行われていたりしてるんだがな。
それでも今の様子を見る限りでは、結構な人数がプールで遊んでいる。
「そう? 前にこのプールに来た時は、もっと人がいたよ?」
俺の呟きを聞いたアルが、そんな風に言ってくる。
どうやらこの様子では今日は客が少ない方らしい。
「そうなのか? なら……ん?」
ざわり、と。何人もの客がざわめく声が聞こえてきた。
声のした方に視線を向けると、そこにはクリスの姿がある。
水着はビキニ……ではなく、ワンピースタイプ。
ただし、腰の間にはパレオ……だったか? それを巻いている。
プールにいる客……特に男はクリスの姿に目を奪われているが、アル達は特に気にしている様子はない。
まぁ、小学生だしな。
ちなみにクリスが若干コンプレックスになっている胸は……俺が予想していたよりは大きいけど、予想以上ではない。
Bだと思っていたのがCだったと、そんな感じか?
「お待たせ」
クリスが俺にそう声を掛けてくる。
そんなクリスを見て、ナンパしようとしていた男達は諦めて去っていく。
ここで無理矢理にでも口説こうとする奴がいないのは、それなりに好意的だな。
……クリスの話し掛けたのが俺だけだったら、もしかしたら男達も少し強引にナンパしていたのかもしれないが。
アルを始めとして小学生が大量にいるのを見れば、ナンパしても絶対に断られると思ったのだろう。
これでクリスが軽そうな女なら、子供達の世話を俺に押しつけて自分はナンパされるという可能性もあったかもしれないが、クリスの外見はかなり真面目そうに見える。
実際には若干外見とは違うんだが。
「どう?」
そう言い、水着の感想を聞いてくるクリス。
いや、それともクリスが問題にしていた胸のサイズの問題か?
「そうだな。取りあえず水着は似合ってると思うぞ」
「あら、ありがとう。……それで、他には?」
「……予想通りだ」
「何でよ!」
予想通りという俺の言葉に、不満そうに叫ぶクリス。
自分では俺を見返せると、そう思っていたのだろう。
いやまぁ……俺が普通なら、クリスの身体に目を奪われていたかもしれないが、レモン達を毎晩のように楽しんでいると……
「まぁ、色々と知ってる人がいるしな。それを思えば、クリスにとっては不満かもしれないが……取りあえず泳がないか?」
「……いいわ。じゃあ、泳ぎで勝負する?」
「俺はそれで構わないが、出来るのか?」
温水プールの中には、子供から大人、老人まで、老若男女様々な者達がいる。
勿論夏よりはマシだろうが、その客の数はそれなりにいるのだ。
そんな場所で泳ぐ……競泳をしようとすると、当然のように邪魔になってしまう。
いや、この場合は泳いでいる者の方が邪魔だろう。
「ぐ……それは……」
悔しそうなクリスの様子。
この温水プールは競泳をするような場所ではなく、水遊びを楽しむような場所という認識の方が正しい。
「クリス、遊んできてもいい? 兄ちゃんとイチャつくのは、後で2人でやって欲しいんだけど」
「ちょっ! アル!? 一体何を言ってるのよ!」
アルの言葉に、クリスがそう叫ぶ。
当然ながら、周囲にいる多くの者がクリスに視線を向けていた。
クリスの美貌で目の保養をしていた者達にしてみれば、一体何があったのかと、そんな思いを抱くのは当然だろう。
クリスも、今の声で周囲にいる者達が自分達に視線を向けられているというのを理解したのか、照れた様子を見て俯く。
「ほら、少し落ち着け」
「……ありがと」
しおらしくそう言ってくるクリス。
さて、まずは取りあえず……この状況に介入しようとしている連中をどうにかする必要があるか。
具体的には、今の状況を利用してクリスを口説こうとしている連中だ。
さっきはクリスと一緒にいるのが子供達だからということで、クリスを口説こうとしたのは諦めた様子だったが、今は違う。
クリスと子供達が何らかのトラブルがあったみだいから、それを自分達が解決してクリスとお近づきになろう。
そう考えた何人かが、また動き出そうとしていたのだ。
普段ならそんな連中の相手をするのも面倒臭いと思って手を出すような真似はしないのだが、今はクリス……はともかく、アルを始めとして子供達がいる。
そんな子供達に被害が及ぶといったことを考えると、やはりここは最初から面倒を起こさない方がいい。
そんな訳で、俺はクリスに近付くとその肩を抱く。
「ちょっ!?」
クリスにしてみれば俺の行動はいきなりのものだったのだろう。
驚きの声を出そうとするクリスだったが、俺はそんなクリスを落ち着かせるように口を開く。
「今のやり取りを見て、アル達と何かトラブったのを解決してクリスを口説こうとしている連中がいる。そういう連中に話し掛けられるのは、面白くないだろ?」
「それは……でも、じゃあ、この手は何なのよ?」
自分の肩に回されている俺の手を見て、薄らと頬を赤くしてそう言うクリス。
照れか、それとも怒りか。
その辺りの理由は俺にも分からなかったが、それを気にせず口を開く。
「結局のところ、クリスがフリーだと思われているから、ナンパしたいと思ってる奴にしてみればいい獲物なんだろ? なら、恋人役の俺がいれば、そんな真似もしないだろ」
「……年齢差、考えて言ってる?」
不満そうな様子のクリス。
今の俺が10代半ばでクリスが20代前半。
大体5歳差くらいの年齢差がある感じか。
これが大人……それこそ30歳と25歳とかなら特に問題はないんだが、20歳と15歳となると、その年齢差はかなり大きい。
「取りあえずクリスが年下好きだと思われれば、口説こうとする奴も手を出しにくくなるだろうな。……もしくは別の意味で声を掛けてくるかもしれないが」
俺とクリスの様子を興味深そうに見ているアル達。
もしクリスが年下好きだと判断されれば、それこそ場合によってはアル達をもそういう目で見ているショタコンだと思われても仕方がない。
……それでもロリコンが小学生と一緒にいるのに比べると、何故か犯罪感が少ないというのは若干の疑問だが。
「あのね……」
俺の言葉に不満だったのか、クリスが何か言おうとするが、その前に手を離す。
クリスを口説こうとしていた連中が俺がクリスの肩を抱いているのを見て、脈なしと判断したからだ。
……もしくは、俺の狙い通り本当にショタコンとして認識されたのか。
ともあれ、クリスから肩を離しながら……クリスが俺の予想以上に鍛えられている事に気が付く。
元々相応に鍛えられているのは分かっていたが、柔らかい脂肪の中にしっかりと鍛えられた筋肉がある。
そんな鍛え方だからこそ、外見だけを見た場合はクリスがそこまでしっかり鍛えられているとは思えないのだろう。
そんなクリスの鍛え方は、少し意外だった。
だが、そんな驚きを表情に出さないようにしながら口を開く。
「ほら、取りあえずお前を口説こうとしていた連中は諦めたみたいだぞ。……随分と大人しい連中で助かった」
場所によっては、それこそもっと強引にクリスを口説こうと無理に話し掛けてきたりもしてもおかしくはないんだが、幸いにしてそこまでの馬鹿はいなかったらしい。
もしそういう奴がいたら、俺も多少手荒な対応をとらないといけなかっただけに、双方にとって幸運だったのだろう。
「アル、そうやって見てないでプールで遊んできたらどうだ?」
「え? うん。分かった!」
そう言い、他の子供達と一緒にプールに入る。……が、プールの脇から飛び込んで早速監視員に注意されていたりした。
「アルらしいわね」
呆れた様子のクリスの言葉が聞こえてくる。
ちなみに俺とクリスは現在プールの脇にあるベンチに座って、そんなアル達の様子を眺めていた。
「そう言えば、家は近いんだったか?」
「ええ。それこそアルが産まれた頃から知ってるわ」
「これでクリスがもう少し年下なら、幼馴染みとか、そういう関係だったんだろうけどな。もしくはアルがもっと年上だったらか」
その言葉に、クリスが意表を突かれたといった表情を浮かべる。
どうやら、その言葉はクリスにとっても完全に予想外だったのだろう。
「そうね。もしそうなっていたら面白そうだけど」
「……クリスの性格を考えれば、アルの幼馴染みだとクラス委員長とかになって口うるさく叱っていたような気がする」
「否定出来ないわね」
どうやらクリスも自分がそういう性格だというのは理解していたのか、俺の言葉に苦笑を浮かべながらそう言ってくる。
クリスにしてみれば、現在の自分の性格を考えれば俺の言葉を否定は出来ないと、そう思ったのだろう。
「そうなったらそうなったで、ちょっと見てみたい気もするけどな」
「……それなら、アクセルが小さければ、どうだったの?」
そう言い、意味ありげな視線をこちらに向けてくるクリス。
俺もまた、アルみたいに悪戯好きで腕白小僧だったのだろうと、そう視線が言っていた。
「アルと仲良く悪戯三昧で、委員長を怒らせていたかもしれないな。もしくは、悪戯を俺やアルの仕業だと気が付かせないで、教師に怒られないかと」
それでいて、大抵そういう時はクラス委員長には何故か俺達が悪戯をしたと知られて、箒か何かを手に追い掛けられるんだよな。
「それで私が追い掛ける訳ね? 普段の行いから悪戯の主犯を見破って」
考えていたことと全く同じとは言わないが、それでも似たような考えをしてそう言ってくるクリス。
実際、もしそうなったらそうなったで、面白そうな気はするが。
そんな風に、俺とクリスはアル達の様子を眺めながら2人でゆっくりと話をする。
そのような話がどれだけ続いたか。
取り合えず30分くらいは話していたように思う。
そうして、ふとクリスが何かに気が付いたかのように口に手を当て、やがてそれからじっと俺を見てくる。
「どうした?」
「ううん。ただ、ちょっと……まるで年下の子と話しているような気がしなかったから」
そう言ってくるクリスに、どう誤魔化したものかと俺は迷うのだった。
アクセル・アルマー
LV:43
PP:1190
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1617