転生とらぶる   作:青竹(移住)

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2610話

 俺が投降すると宣言すると、クリスは何かを言いたげにこちらを見たが、それでも結局は何も言わなかった。

 自分達を守ってくれた俺を相手に、何故このような真似を……と、そんな風に考えているのは明らかだったが。

 ともあれ、ジムスナイパーⅡがしゃがむとコックピットからパイロットが姿を現す。

 コロニー内での戦いだったからか、それとも急に出撃という事でそんな暇はなかったのか、パイロットスーツを着ていない。

 年齢的には20代半ばといったところか。

 そんなパイロットは、俺の前に立つと腰の拳銃を引き抜き、銃口をこちらに向けてくる。

 

「言っておくが、妙な真似はするなよ。もしお前が何かをしようものなら、他の連中がすぐに攻撃するからな」

 

 そう告げると、その言葉を聞いていたのか量産型ガンキャノンと男が乗っていたのとは別のジムスナイパーⅡが手にしているビームライフルの銃口を動かす。

 

「ああ、取りあえず大人しくしてるよ。それで、俺はこれからどうなるんだ?」

 

 パイロットスーツを着ていないという事は、当然のようにヘルメットもしていない。

 つまり、もし魔眼を使うつもりであれば、いつでも使う事が可能なのだ。

 

「……来い。お前には俺の上官が色々と聞きたい事があるそうだ」

 

 不満そうな様子を隠しもしなかったのは、自分の脅しの言葉に俺が全く怯えた様子がなかったからか。

 ともあれ、俺は拳銃を突きつけられたまま近くにいた量産型ガンキャノンがしゃがんで差し出した両手に上がるように言われ、ジムスナイパーⅡのパイロットと共にそこに上がる。

 そして量産型ガンキャノンは、俺とMSパイロットを両手に乗せたまま、ホワイトベースに似た軍艦に向かう。

 

「グレイファントムだ」

 

 その言葉に視線を向けると、俺に拳銃を突きつけた男は薄ら笑いを浮かべながら言葉を続ける。

 

「あの軍艦の名前だよ。本来ならお前みたいに怪しい奴が乗る事はまず出来ないような、最新鋭艦だ。そこでスチュアート少佐がお前を待っている」

 

 なるほど。どうやらそのスチュアートとかいう人物が、俺を捕まえるようにと命令したらしい。

 相手の名前が分かったのは……まぁ、取りあえず収穫か?

 そんな事を考えている間に、量産型ガンキャノンはかなり地面近くまで降りてきたグレイファントムに向かって跳躍し……

 

「うおっ!」

 

 格納庫に跳び乗る際、量産型ガンキャノンがバランスを崩し、俺に銃口を向けていた男がそんな声を上げる。

 うーん、この状況でバランスを崩すとなると、やっぱ二線級の実力のパイロットというのは、決して間違いではないらしいな。

 そしてバランスを崩した量産型ガンキャノンの掌の上に乗っていた男は、自分が間の抜けた声を出したのに、俺が特に動揺している様子もないのが面白くなかったのか、苛立ちの視線をこちらに向けてくる。

 

「ふん」

 

 そんな男を鼻で笑ってやる。

 当然の話だが、そんな真似をされて面白く思う筈もなく……男は俺に向かって握っていた拳銃の柄の部分で殴りつけようとする。

 だが、そんな一撃を回避するのは難しい話ではない。

 呆気なく攻撃を回避すると、男は殴り掛かってきた勢いもあって、そのまま量産型ガンキャノンの手から落ちそうになる。

 

「う……うわああああああああっ!」

 

 量産型ガンキャノンの手は当然のように胸の辺りにあたり、その高さは10m近い。

 俺がアレックスのコックピットから飛び降りたのと、ほぼ同じ高さだ。

 そんな高さから落ちれば、この世界の人間はよっぽど幸運でもない限り、死ぬか、瀕死の重傷を負うか、もしくは骨折をするか。

 パイロットスーツは衝撃とかをある程度吸収してくれるから、もし着ていれば怪我も軽いかもしれないが、急ぎだったのか、油断だったのか、パイロットスーツを着ていないし。

 

「てめえっ! 俺を助けろ!」

 

 ガンキャノンの掌の端に何とか掴まっているといった様子だった男が俺にそう叫ぶが、それはスルーしておく。

 何しろ、今の俺は連邦軍に捕まっているのだ。

 そんな状況で妙な真似をした場合、それこそ連邦軍への敵対行為と思われる可能性もあった。

 

「頑張れ」

「てめえ……俺を見捨てる気か!?」

 

 叫ぶ男だったが、量産型ガンキャノンの掌が徐々に下がっている……量産型ガンキャノンがしゃがんでいるという事には、どうやら気が付いていないらしい。

 自分が助かるのに精一杯といったところか。

 それでも足を暴れさせていた男はやがて格納庫の床に足が触れたことで、ようやく自分が現在どのような状況になってるのか気が付き……そのまま量産型ガンキャノンの掌に掴まっていた手を離すのだった。

 

 そして俺もそれに続いて格納庫の上に降りると、すぐに銃を構えた兵士達が近付いてくる。

 パイロットの男だけでは安心出来ないと、グレイファントムの上の方が考えたのだろう。

 実際、今の行動を見ていれば上がそのように思っても仕方がない。

 そうなると、そろそろここから脱出してもいい頃か?

 あまり時間が経つと、仮面を奪われたりとか、そんな事になりそうだし。

 

「まずはその仮面を取って貰おうか。そのような怪しげな仮面で隠しているとなると、その下にある顔は余程見られたくないらしい」

 

 兵士達を率いていると思われる男が、そう告げる。

 本人は拳銃を持っていない手ぶらなのは……普通に考えれば迂闊としか言えない。

 だが、その自信は一般的に考えてそんなにおかしなものではない。

 何故なら、周囲には銃……アサルトライフルと呼ぶ類の銃を手にしている兵士達が多数いるのだ。

 普通に考えて、自分の絶対的な有利を理解してもおかしくはない。

 だからこそ、自分の好奇心に負けて――もしかしたら上からの命令だったのかもしれないが――俺に手錠なり何なりを使って身動きを封じるよりも前に、仮面を脱ぐ事を命じたのだろう。

 なら、こちらもその動きに乗じさせて貰うか。

 ゆっくり、ゆっくりと仮面に手を伸ばす。

 兵士達を指揮している男は、そんな俺の行為に興味深そうな表情を浮かべる。

 また、それは周囲にいる兵士達も同様で、中には興味のあまりアサルトライフルのトリガーから指を離しているような奴までいた。

 そうして相手を焦らしつつ……俺は、空間倉庫の中からスタングレネードを取り出し、何気ない風を装って地面に落とす。

 

「あ」

 

 そんな俺の声が相手の気を引いたのか、その場にいた者のほぼ全てが床に落としたスタングレネードに目を向け……次の瞬間、周囲には眩いという言葉ですら生温いような、強烈な光が生み出される。

 ちなみに俺の場合は仮面を被っているので、光に目が眩むといったような事はなかったりする。

 

「うおおおっ!」

 

 その声と共に、周囲に多数の銃声が響く。

 眩い閃光と共に反射的にトリガーを引いてしまったのか、それとも独自に判断したのか。

 ともあれ、銃声が周囲に響き渡るも、先程のスタングレネードの影響でそれどころではない。

 取りあえずこの場は恐らくブリッジ辺りで監視されていると判断し、格納庫にある荷物の後ろに入り……そこで影のゲートを使ってグレイファントムの外に出て、気配遮断のスキルを使って飛び降りる。

 気配遮断は肉眼では相手に見つかる事がないのだが、カメラの類を通してしまえば効果を発揮しない。

 そうである以上、今のこの状況で飛び降りた光景も見られている可能性はあるが……取りあえずその辺はどうとでも誤魔化せるだろう。

 最悪、今の俺はイザークと名乗ってるんだから、飛び降りた様子を連邦軍に見つかっても問題はない。

 ……後でホワイトスターにいるイザークがこの一件を知ったら、思い切り怒るような気がするが。それはまぁ、その時はその時という事で。

 ともあれ、グレイファントムから飛び降りた俺は、そのまま影のゲートを使って繁華街まで転移する。

 それも人通りの多い場所ではなく、建物の陰にだ。

 仮面を脱ぎ、外見も10代半ばのものに変える。

 これで俺がアレックスのパイロットをしたイザークであるとは、誰も思わないだろう。

 さて、これからどうするべきか。

 出来ればジオン軍の部隊のいる場所を見つけて接触したいんだが……そもそも、コロニー内部に残っているのかどうかも分からないしな。

 それに、ぶっちゃけアレックスのデータは入手した以上、最低限の仕事はもう果たした。

 出来ればアレックスの実機だったり、アレックス用に開発された新型のビームライフルだったりを確保したいという思いがあるのも事実だ。

 とはいえ、今の状況で無理をする訳にもいかないのは間違いない。

 今は取りあえず、連邦軍が……クリスの所属している部隊がどう動くのかを確認した方がいいな。

 アレックスをソロモンに送るのを優先する可能性もあるが……どうだろうな。

 俺の場合はシステムXNですぐにここにまでこれたけど、何気にサイド6からソロモンまではそれなりに距離がある。

 また、アムロがアレックスを受け取っても、機種変更してすぐにアレックスの性能を完全に発揮出来る訳ではない。

 G-3ガンダムについては、実際に乗ったことはなく戦っている光景を見ただけでしかないが、防御力よりも運動性に特化した機体なのは間違いない。

 そうなると、チョバムアーマーを装備したアレックスでは、G-3ガンダムと機体特性が違う。

 勿論、最初からチョバムアーマーを解除して戦えば、同じような戦い方が出来るかもしれないが。

 その辺は取りあえず後で考える事にして……ジオン軍の部隊に接触するのも難しいだろうし、クリスも今頃は工場の方で色々と忙しいだろうから、取りあえず今日は寝るとするか。

 俺は昨日も泊まった裏通りにある宿に向かうのだった。

 

 

 

 

 

「さすがに騒動になってるな」

 

 アレックスに乗った翌日……俺は喫茶店で朝食のモーニングセットを食べつつ、新聞を読んでいた。

 ジオン軍のMSが攻めて来たのは、昨日の夜。

 それで今朝の新聞の一面にこうして昨日の一件が載っている辺り、新聞社も忙しかったのは間違いない。

 とはいえ、基本的に記事ではジオン軍に非があるといった内容になっている。

 一応、連邦軍も中立を主張するリボーで新型MSの開発をしていたり、グレイファントムが駐留していたりとやっているんだが……

 やはり基本的にサイド6は連邦軍側といったところか。

 もしくは、ソロモンが攻略されたのを知って、連邦軍の勝利を確信したからか。

 

『昨日起きたリボーの一件で、政府はサイド3に対して説明を要求。また、報復措置として、ジオン公国の艦船は入港禁止にするという噂も有り得ます』

 

 新聞だけではなく、TVでも当然のように昨日の話題一色だ。

 サイド6は中立だから、戦闘に巻き込まれないと思っていた奴も多いんだろうな。

 だからこそ、突然コロニー内で戦闘が起きた事に動揺している。

 ……もっとも、昨日の戦いでは基本的に死者はいないらしい。

 怪我人はそれなりにいるが、それも入院するような重傷ではなく、手当をすればすぐ生活に戻れる程度だとか。

 ジオン軍のMSは繁華街を通ってアレックスの工場のある場所までやってきたのだから、本来ならもっと多くの怪我人が出ていてもおかしくはない。

 場合によっては、死人も、

 それがこの程度の被害だったという事は、昨日の連中はある意味で人道的と言うべき存在だったのかもな。

 勿論、中立のサイド6のコロニーで戦闘をしたという時点で、このコロニーの人間にしてみればふざけるなと叫びたくなっても、おかしくはないが。

 

「お待たせしました」

 

 店員が、ハムエッグとウインナー、パン、野菜サラダ、オレンジジュースといった典型的な朝食を運んでくる。

 ただし、戦争の影響で物価が上がっているらしく、値段は何気に結構高めだったりする。

 まぁ、それでも金を出せばきちんと美味い料理を食えるのは嬉しいよな。

 ちなみに小学校の給食とかは、合成食とかそんな感じの食事になってるらしい。

 実際には合成食という名前じゃなかったり、味もマブラヴ世界の合成食とは違って普通に食えるくらいらしいけど、それでもやっぱり評判悪いとか何とか。

 そう言えば、以前アルも何かそんな事を言ってたような気がするな。

 そんなことを考えながら食事をし……外の様子を見ていると、覚えのある人物の姿を発見する。

 赤毛のロングヘアーをしているクリスも視線を感じたのか振り向き、俺を見て驚く。

 まさか、向こうもここで俺に会うとは思ってもいなかったのだろう。

 考えられる可能性としては、昨日の件の後処理やら何やらが終わり、家に帰ろうとしているといったところか。

 そんなクリスは俺を見つけると、躊躇うことなく喫茶店の中に入ってくる。

 そして、真っ直ぐに俺の前までやって来ると、疲れたように俺の前に座った。

 

「元気そうね」

「そうか? まぁ、食事も睡眠も十分にとってるしな」

 

 俺の言葉に、クリスは恨めしそうな視線を向けるのだった。




アクセル・アルマー
LV:43
PP:1190
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.11
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1617

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