シュタイナー率いるサイクロプス隊が、ルナジオンに亡命する事が決定した。
勧誘した身として、それは嬉しいが……このような状況である以上、相応の手土産は必要となる。
いや、本来なら手土産がなくても問題はないんだろうが、それでも手土産があった方がいいのは間違いのない事実だ。
「一応言っておくが、月に行ってから破壊工作とかをしようとしたらすぐに捕まるぞ」
コバッタや量産型Wによって、破壊工作員やスパイといった連中はすぐに捕まる。
……それでも最終的には死刑ではなく強制労働――農業だが――というのは、処罰的にかなり甘いのかもしれない。
とはいえ、強制労働をしている時の食事はマブラヴ世界から入手した合成食なのだが。
ある意味、普通の刑務所とかよりも厳しい処置だと言える。
それでいながら、農場ではコバッタや量産型Wが警備をしているので、逃げる事はまず不可能だし。
「そんなつもりはないから安心しろ。それで、核ミサイルの件だが」
この場合の核ミサイルは、当然のようにサイクロプス隊がルナ・ジオンに亡命する上での手柄だ。
リボーに核ミサイルを発射するのを阻止したとなれば、それは十分な手柄だろう。
「俺達で止める」
「難しいな。……戦力差が大きすぎる。その上、こちらのMSはアクセルとの戦闘で故障している場所も多い」
そう言い、シュタイナーは帽子を脱ぎながら微妙にこちらを責める視線を向けてくる。
いやまぁ、不満なのは分かるが……あの時は俺とお前達は敵同士だったんだから、寧ろ撃破しなかっただけ感謝して欲しいんだが。
「戦力不足か。……俺もそれは考えていたんだけどな」
それが目当てでサイクロプス隊を捜していたという一面もある。
とはいえ、あの戦いの損傷を完全に修復出来ていないのも事実か。
本職のメカニックがいれば、ある程度はどうにかなった可能性もあるが……
「メカニックの1人もいないでMS4機を運用させるとか、お前達は本当に上から疎まれていたんだな」
しみじみと告げると、シュタイナーはそっと視線を逸らす。
どうやら本人にも自分達が嫌われているという認識はあったのだろう。
だが、それを直接口には出したくないか。
「ともあれ、その件はともかく……戦力が足りない以上、どこか別の場所から持ってくるしかない訳だが……」
「持ってくると言っても、戦力は……おい、まさか」
「多分シュタイナーの予想は正解だな」
戦力がある場所から持ってくる。
そしてこのリボーにおいて、MS戦力はサイクロプス隊以外は、連邦軍しかいない。
「いや、だが……連邦軍が協力するか?」
「普通にやったら無理だろうな。だが、それもやり方次第だ」
グレイファントムの艦長は、手柄に飢えている。
そうである以上、ジオン軍が核ミサイルを撃ってくるという情報を流せば、恐らくそれに乗ってくる。
核ミサイルを持っているジオン艦隊となれば、それを撃破してリボーを守った時の手柄はかなり大きいのだから。
……とはいえ、問題なのはMSの性能は高いがMSパイロットとしてはちょっと……といったところなんだよな。
恐らくだが、グレイファントムに搭載されているMSのパイロットは、バーナードと戦っても余裕で負ける程度の実力だろう。
そうなると、数合わせにしか考えられない。
俺にMSを譲渡する……とは思えないし、そうなるとこっちの話をしっかりと聞いて、それでいて戦力としても期待出来るのは……クリスか。
あの工場に潜入した時の話からすると、クリスもアレックスを完全に乗りこなせている訳ではないらしいが、それでもアムロ用に開発されたアレックスのテストパイロットを任されている以上、グレイファントムに搭載されているMSのパイロット達よりも操縦技術は上だろうし。
何より、クリスはこのリボーの出身だ。
自分の故郷を核ミサイルによって失うということを考えれば、それを守る為には本来乗りこなせないアレックスであろうとも、使いこなす可能性は高い。
「……やり方次第という話だが、本当にそれは期待出来るのか?」
「ああ。取りあえず戦力は増える筈だ」
それに……可能な限りシャドウミラー製の機体で今回の一件に介入はしたくないが、それでもリボーが核ミサイルで破壊されるというのは、個人的に面白くはない。
本当にどうしようもなくなったら、最悪俺も参加するつもりだ。
ニーズヘッグはグラナダの攻略で大々的に使ったから、今回それを使うのは無理だろう。
だが、それ以外の……ミロンガ改とサラマンダーなら、多分大丈夫……だと思いたいな。
「分かった。なら、そちらは任せていいか?」
「任せてくれ。……それで、核ミサイルが実際に発射されるのがいつなのかは、教えて貰えるのか?」
「明日の昼丁度だ」
また、随分と余裕がないというか……いや、外にいるジオン軍にしてみれば、リボーからアレックスが運び出されるのは絶対に避けたい筈。
そう思えば、今日いきなり攻撃をするといったような事ではないだけ、助かったのか?
それでも昼となると……当然のように核ミサイルが発射されたとなれば、それを知ってた者達はパニックになって混乱する。
ましてや、それが日中ともなれば……いや、外にいるジオン軍もそれを承知の上で昼に核ミサイルを発射しようとしているのだろう。
厄介な……本当に厄介な真似をしてくれる。
「そうなると、時間があるようでないな。……分かった、俺はこれからすぐに連邦軍に渡りを付ける」
「そうしてくれ。……だが、連邦軍がこっちの情報を信じるか?」
少しだけ不安そうな様子を見せるシュタイナー。
現在の連邦軍には、色々な種類の軍人がいる。
家族、恋人、友人を殺された事から、ジオン軍を憎悪している者。
現在が戦争だからこそ、自分の実力で出世を考える者。
食う為に連邦軍に入った者。
戦争を楽しみ、自分の思うように行動したい者。
ぱっと上げただけでこれくらいいるが、それ以外にも色々な者がいるのは間違いない。
そんな中で、グレイファントムの艦長がどれに分類されるかと言えば……どちらかといえば、やはり出世したい奴だろう。
とはいえ。核ミサイルという真偽不明の情報に踊らされるよりも、素直にサイクロプス隊を捕らえるという方に向かいそうなのが、若干怖いところだが。
その辺は俺がどうにかする必要がある訳だが……可能性があるとすれば、クリスだろうな。
クリスにとっても、自分の故郷たるこのリボーを核ミサイルによって破壊されるなんて真似は絶対に避けたい筈だ。
であれば、嫌々ではあっても俺の提案に乗ってくる筈だ。
それに……最悪、アレックスが1機あるだけでも、戦力としては十分だろう。
問題なのは、そのアレックスに乗るのが誰になるかという事だが。
最善……リボーにとって最善なのは、やはりクリスよりもMSパイロットとしての技量が高く、アレックスを乗りこなせる俺が乗る事だろう。
だが、それはあくまでもリボーにとっての最善であり、クリスにとっての最善ではない。
何しろ、その場合は前回と違ってクリスが自分から進んで俺にMSを譲るという事になるのだから。
勿論、俺もクリスの立場を悪くするつもりはないので、その場合はクリスが俺に譲ったという形ではなく、俺がクリスからMSを奪ったという形にするつもりだが。
「連邦軍の方は取りあえず何とかする。何とかならない場合は、そうなったらそうなったで何とか対処するしかないだろ」
最悪、システムXNを使って月から戦力を持ってくる……という方法もない訳ではない。
出来れば……それこそ可能な限り避けたい事態ではあるが。
「そうか。お前程の男がそこまで言うのなら、信じよう」
俺の言葉に納得するシュタイナーだったが、正直なところ何でそこまで俺を信用するんだ? という思いもない訳ではない。
MSの操縦技術が自分達よりも高いからか?
けど、MSの操縦技術の高さとその人物の性格が比例する訳ではない。
操縦技術が高くても人間的には下劣な奴もいれば、操縦技術が低くても人間的に問題のない奴もいる。
その辺の違いは、それこそサイクロプス隊のような精鋭部隊を率いていれば、十分に分かってるだろうに。
まぁ、それでも俺の言葉を信じてくれるというのは、俺にとって悪い話ではないのでそれを口には出さなかったが。
「じゃあ、取りあえずこれから早速連邦軍と接触してみる。……アル! クリスの家はお前の家の隣だったよな! どこにあるか教えてくれ!」
少し離れた場所にいたアルを呼ぶと、アルは急いでこっちに走ってくる。
「クリスの家?」
「ああ。クリスは現在家にいる筈だ。クリスを通して連邦軍に接触したい」
「え? ……うん、分かった」
そう言い、アルは自分の家のある場所を俺に教える。
ここから結構離れているな。
この辺は工場が結構集まっていたから、それを考えれば当然かもしれないが。
「じゃあ、早速行ってくる」
そう告げ、俺はその場から走って移動する。
あの場で影のゲートを使ってもよかったんだが、その辺りの能力についてはまだサイクロプス隊の面々には秘密にしておいた方がいいと判断したのだ。
また、アルに影のゲートを見せようものなら、興味津々で色々と聞いて来そうだったし。
それを思えば、一度見えない場所に移動して、アル達に見つからないように影のゲートを使った方が手っ取り早い。
シュタイナー達サイクロプス隊の面々は、何でわざわざ移動するのに自分の足で走っていくのかといったような疑問の表情を浮かべていたが。
ともあれ、俺はその場から見えない場所までやってくると影のゲートを使ってアルの家に向かうのだった。
「よし、これでOK、と」
アルの家の近く。
その隣に存在するクリスの家が見える場所で、俺はアクセルではなくイザークとしての姿になっていた。
外見はいつもの10代のものではなく20代に変え、技術班謹製の仮面を被る。
これで俺は、アレックスを奪った時と同じ、イザークの姿になった訳だ。
後の問題は、クリスの部屋だが……まだ日中だけに、電気の有無でどこに人がいるのかは分からないんだよな。
いやまぁ、多分クリスは寝ているだろうから、もし夜であっても電気は消えてるだろうけど。
どのみち一軒の家だ。
部屋の数もそれ程広くはないし、クリスがどこにいるのかというのを見つけるのはそう難しくはない筈。
そう判断し、影のゲートに身を沈めていく。
まず最初にリビングの様子を窺ったが、そこには誰の姿もない。
……というか、家の中に人の気配は1人分しかなかった。
クリスの父親は仕事かもしれないが、母親は……買い物にでも出ているのか?
もしくは、アルの家とは家族ぐるみの付き合いって話だったし、アルの家で母親同士何か話でもしてるのかもしれないな。
ともあれ、こっちにとっては手間が掛からなくて楽なのは助かる。
気配を探り……2階か。
その気配のある方に向かう。
2階にある1室……その部屋の中から、間違いなく人の気配がしていた。
とはいえ、その気配から考えるとまだ眠っている様子だったが。
寝ている女の部屋に侵入するのはどうかと思わないでもなかったが、今回の一件はクリスが起きるのを待っている訳にもいかない。
今は少しでも早くクリスから連邦軍の方に連絡をして貰って、核ミサイルを持っているジオン軍の艦隊に対処する必要があった。
「悪いな」
短く呟き、扉を開ける。
影のゲートで直接中に乗り込まなかったのは、せめてもの礼儀だ。……寝ている女の部屋に入るという時点で、礼儀? 何それ美味しいの? といったような感じではあるが。
ともあれ部屋の中に入ると、最初に聞こえてきたのは寝息。
カーテンが閉められて部屋の中は暗くなっているが、それでも混沌精霊の俺にとっては、この程度の暗闇を見通すのは難しくはない。
ベッドの上で眠っているクリスを見て、そちらに近付く。
だが……当然ではあったが、眠っているクリスが俺に気が付く様子はない。
まぁ、この世界ではそんな能力を磨いたりする機会はないからしょうがないのかもしれないが。
「クリス」
そう言い、眠っているクリスを軽く揺する。
すると、これは軍人だからだろう。
すぐに目を覚まし、そして現在の状況を認識し……
「っ!?」
俺から離れるように、ベッドの上を移動するクリス。
……まぁ、その気持ちは分からないでもない。
気が付いたら、自分の部屋の中に仮面を被った男の姿があったのだから。
ましてやその人物が自分の代わりにアレックスに乗った人物だとすれば、余計に疑問を感じてしまうのは当然だろう。
「……落ち着け。俺はお前に話があってきた。リボーの危機だ。それをまず聞いて欲しい」
俺を怪しみはしていても、リボーの危機という言葉には反応するしかなかったのか、やがてクリスはこちらを警戒しながらも口を開く。
「リボーの危機? ……一体、どういう事か教えて貰えるかしら? ……アクセル」
クリスの口から出て来た言葉に、俺は息を呑むのだった。
アクセル・アルマー
LV:43
PP:1190
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1617