「じゃあ、アレックスのある場所は説明した通りだから。……多分、何とか調整とかそういうのは終わってるって電話で言ってたから大丈夫だと思うけど、一応気をつけてね」
「ああ。……とはいえ、結局昨日は夜に工場に戻らなかったみたいだけど、いいのか?」
「仕方がないわよ。大体、私がいなければMSの修理は終わらなかったんでしょ?」
クリスのその言葉に頷く。
本来なら、昨日クリスは家で起きた後は夜にまた工場……サイクロプス隊が拠点にしている工場ではなく、アレックスを開発していた工場に行く予定だった。
だが、俺が操縦するアレックスとの戦闘で受けたサイクロプス隊のMSのダメージを考えると、メカニックとしての知識を持っているクリスなしで、修理を完了させるような真似はとてもではないが出来なかった。
……一応あの時の戦闘ではそこまで大きなダメージを与えたつもりはなかったのだが。
いや、だからこそクリスとサイクロプス隊、それと俺とアルだけで曲がりなりにも修理出来たのだろう。
ともあれ、そんな理由で昨日クリスもこの工場に泊まって修理を行ったのだ。
そして今朝、アレックスのある工場に連絡をして、向こうの事情をある程度聞き出し……俺も色々とその辺の事情を教えて貰った。
そんな訳で、俺は今回の作戦の肝でもあるアレックス奪取作戦を行うのだ。
普通に考えれば、昨日のジムスナイパーⅡの一件もある以上、アレックスの警備も厳しくなっていてもおかしくはない。
だが、俺の場合は幾ら警備が厳重でも意味はない。
何しろどんな場所でも影のゲートがあれば侵入する事が出来るし、どんなに重量のある物でも空間倉庫に収納出来る。
だからこそ、アレックスの調整は本職の面々に任せて、昨日入手するような真似はしなかったのだ。
「じゃあ、私達は工場で待ってるから。早く来てね」
そう言い、クリスは工場の中に入っていく。
当然の話だが、リボーというコロニーの中にMSがいて、倒すべき敵はコロニーの外だ。
そうなると、当然の話だが戦う為にはコロニーの外に出ないといけない。
……最悪、コロニーの隔壁を内部から破壊するという手段がない訳でもなかったが、そんな真似をすれば当然のように一般人に被害が出る。
そもそも、リボーを守る為に協力しているクリスが、そんな事に協力をするとは到底思えなかったし、他に何も手段がないのならともかく、俺なら他に幾らでも手段はある。
それこそ、空間倉庫と影のゲートさえあれば、その手の問題はどうとでも対処出来るのだから。
だからこそ、俺はアレックスやその武器防具一式を奪った後でここに戻ってきて、それから出撃になる訳だ。
取りあえず、アレックスのビームライフルは確実に入手しておきたい。
以前サイクロプス隊と戦った時は、コロニー内だからということでビームライフルを使う事は出来なかったが、今度の戦場は宇宙なのだから普通に使える。
何よりも俺がアレックスのビームライフルを欲しいと思ったのは、クリスからアレックスのビームライフルが最新式で……尚且つ驚くべき新機能? と表現してもいいのかどうかは分からないが、そんなのがあったからだ。
現在このUC世界におけるビームライフルというのは、基本的にビームライフルを全弾撃ちきったら、母艦やら基地やらに存在する専門の機器を使って再度エネルギーを充電してやる必要がある。
だが、クリスが言うにはアレックスのビームライフルはその点が改良されており、Eパックというエネルギーの入った部位を付け替えることで、ビームを撃つ事が出来るらしい。
つまりビームライフルを撃ちきっても、わざわざ充電する必要性がないという事を意味していた。
これは、UC世界においてはビームライフルを使う上でかなり画期的な事だろう。
個人的にはシャドウミラー製の機体やSEED世界のMSのように、動力炉から直接エネルギーを貰う形の方がいいと思うんだが。
このUC世界でも水陸両用MSだったりMAだったりでそっち方面の技術もない訳じゃない以上、そちらの開発を進める方が将来的にはいいと思う。
とはいえ、それはあくまでも動力炉に余裕がないと出来ないんだが。
そういう意味では、ゾックの動力炉をベースに開発した核融合炉のあるルナ・ジオンは有利だと思うんだが。
それ以外にも、MAの開発が大々的に行われているという点も大きいのだろうが。
ともあれ、そういう訳でアレックスのビームライフルは必須な訳だ。
シールドとかも、何が役に立つか分からないので入手しておきたい。
何だかんだと、結局のところ連邦軍の技術というのは美味しい点が大きいんだよな。
そう判断し、俺は工場の中を見て回る。
勿論直接入っていくといったような形ではなく、あくまでも影のゲートを使ってだが。
そんな感じで工場の中を進んでいくと……うん、やっぱり以前よりも警備が厳しくなってるな。
兵士達の話を聞いてみた感じでは、やはりジムスナイパーⅡを盗んだのが大きな理由らしい。
スカーレット隊の母艦たるグレイファントムの内部から、MSを奪われたのだ。
アレックスが盗まれないようにと、そんな警戒をするのも当然だろう。
客観的に見た場合、間違いなくその行動は間違っていない。
何しろ、このリボーで開発されているアレックスは連邦軍の中でも最新鋭機の1つなのだから。
個人的には、ガンダム7号機の方がアレックスよりも最新鋭の機体のように思わないでもなかったが。
ただ、アナハイムが発表したばかりのリニアシートを採用している点だったり……俺が絶対欲しいと思った新型のビームライフルといったように、部分的にはアレックスの方がガンダム7号機よりも先をいっているのも間違いない。
実際には、この辺はどっちの方が新型なのかという訳ではなく、方向性が違うといった感じなのだろうけど。
ガンダム7号機の方は、FSWS計画によって圧倒的な攻撃力と機動力を持った、MA的な運用をする為のMS。
アレックスは、純粋にMSとして反応速度や新型のビームライフルといった、汎用性を高める為のMS。
……アレックスの反応速度は、ちょっと過敏になりすぎてこの世界の人間では対応するのが難しかったらしいが。
ともあれ、俺が今やるべき事は決まっている。
アレックスは俺にとっても是非入手したいMSである以上、いつまでもここで見ている訳にはいかないか。
何よりも、俺がここで戸惑うような真似をしていれば、リボーの外にいるジオン軍が核ミサイルを撃ってきかねないのだから。
一応昼に作戦開始という事になってはいるが、何らかの理由でその時間が早まるという事も十分に考えられる。
普通ならそう簡単に作戦の時間を変えたりはしないんだが、ジオン軍にしてみればソロモンを失ったということで追い詰められている。
ましてや、コロニーに……それも中立のコロニーに核ミサイルを撃ち込むといったような真似をする以上、とても普通だとは言えないだろう。
そんな訳で、俺はまず最初にアレックスのビームライフルを始めとした武器を奪って行く。
影のゲートで移動し、それを空間倉庫に収納するだけの簡単な仕事だ。
……とはいえ、ビームライフルのパックに充電する機械は……取りあえず今は置いておくとしよう。
シールドの類も入手し……
「おい! これは一体どうなってる!?」
ビームライフルやシールドの類を警備していた兵士達が、いきなり自分達の護衛すべき物がなくなっているのを見て叫ぶ声が聞こえてきた。
当然のように、そんな声が聞こえれば他の兵士達も警戒を始める。
だが、そんな警戒が俺を止められる筈はなく……必要な物資の類を次々と奪っていき、そして最終的にはアレックスを残すだけとなった。
そうしてアレックスのすぐ側……というか、アレックスのすぐ後ろに影のゲートで姿を現すと、そのまま触れるべく手を伸ばし……
「イザーク! どこにいる!」
と、俺がアレックスに触れる寸前にそんな声が響いた。
イザーク? と疑問を抱くも、そう言えば俺がアレックスに乗る時にイザークの名前を借りたかと思い直す。
そして俺を捕らえたスカーレット隊だったが、グレイファントムの格納庫の中で俺は影のゲートで逃げ出した。
本来なら逃げられる場所ではない場所から逃げた俺と、今回の一件を重ねて一連の事件を誰が起こしているのかを想像するのは難しくはなかったのだろう。
もっとも、それでも俺の仕業と考えるのは結構厳しいので、実はイザークと研究者が叫んだのは、あくまでも多分といったような事であって、実際には違った可能性もあるが。
ともあれ、俺としてはそんなやり取りに構う必要もないので、構わずにアレックスを空間倉庫に収納すると、聞こえてきた悲鳴や怒声をスルーして、影のゲートで工場を出て……次の瞬間には、サイクロプス隊が拠点としている工場に到着する。
「待たせたか?」
「いや……全然待ってないんだが……もう新型MS、アレックスだったか? それを盗んできたのか?」
シュタイナーが唖然とした様子でそう尋ねてくる。
その隣では、今回の作戦の事を相談していたクリスが、何故か呆れの視線をこちらに向けていた。
俺の空間倉庫について知っていれば、そこまで驚くような事でもないと思うんだがな。
そもそも、昨日の時点でジムスナイパーⅡや量産型ガンキャノン、各種部品や武器その他諸々を奪ってきたのだから。
「ああ。問題なかったぞ」
「……俺達の苦労は一体何だったんだろうな」
しみじみと呟くシュタイナー。
ああ、そう言えばサイクロプス隊の目的はアレックスの奪取、もしくは奪う事が出来ない場合は破壊する事だったか。
そんなアレックスを、俺は出発してから10分も掛からず……それこそ、その辺の店で買い物をしてくるかのような気軽さで奪ってきたんだから、シュタイナーにしてみれば自分達が今までやっていた事は一体何だったんだと、そう思っても当然だろう。
とはいえ、その辺はあくまでも俺の特殊性があっての事で、普通ならサイクロプス隊のように苦戦してもおかしくはないのだが。
「俺はこの手の作戦に慣れてるしな。気にするな」
実際、俺は今まで影のゲートと空間倉庫という2つのスキルを組み合わせる事で、多くの……本当に多くの機体を奪ってきた。
いや、機体だけではなく各種武器だったり、金目の物だったりと様々な物をだ。
そんな俺にしてみれば、アレックスを盗む程度の事は全く問題がない。
何らかのセンサーの類でも使っていれば……まぁ、アレックスの実物がそこにある時点でもしセンサーに引っかかっても収納して即座に影のゲートを使って逃げられるのだが。
そんな訳で、今回の一件程度なら全く何の問題もないのは明らかだった。
「……それに対しては、どう言ったらいいのかしらね」
少しだけ呆れの視線を向けてくるクリス。
基本的に真面目なクリスにしてみれば、自分が所属していた――実際には今でも所属している――連邦軍から、しかも自分も開発に関わったアレックスを盗んできたというのは、色々と思うところがあるのだろう。
「ともあれ、アレックスは奪って来たんだから、そろそろ出撃するぞ。昼になってしまえば、ジオン軍が行動に移るんだ」
若干話を誤魔化した感じではあるが、それでも今回の一件に関しては急ぐに越した事はない。
余裕を見せていて、実は作戦が早まってリボーに核ミサイルが撃ち込まれましたとかなったら、洒落にならないし。
「うむ。こちらはそれで問題ない。ジオン軍が潜んでいる場所は、以前と変わっていないらしい。少なくても、こちらに入っている情報ではそうなっている」
リボーにはまだシュタイナーの協力者がいるらしく、そこからの情報らしい。
……というか、普通に考えればリボーには核ミサイルが撃ち込まれる可能性があるというのに、何故まだ残ってるんだろうな。
以前集めた情報にあった奴か?
「なら、こっちとしても話は早い。コロニーからそう離れていないのなら、軍艦とかを奪う必要もないし」
最悪、軍港にあるグレイファントムを奪って移動するという事も考えたんだが……どうやら、その心配はいらないらしい。
とはいえ、コロニーの近くにいてもそれなりに距離はあるので、出来れば推進剤を節約したいという思いはあるのだが。
特にバーニィが乗っているザク改は、性能は通常のザクよりもかなり上昇しており、既に別機体と言ってもいいらしいが……その分、推進剤の消耗が激しいらしい。
その辺りの事情を考えると、やっぱり軍艦を奪った方がいいのか? と思わないでもない。
まぁ、昨日の今日だし、軍艦を……いや、別に軍艦じゃなくても、宇宙船を用意するのは元々難しい話だったが。
「安心しろ。それはこちらで用意してある」
「……マジか……」
シュタイナーのその言葉に、俺は驚きと共にそう返すのだった。
アクセル・アルマー
LV:43
PP:1190
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1617