転生とらぶる   作:青竹(移住)

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2624話

 こちらに向かって来たのは、リックドム……いや、リックドムⅡが3機。

 こっちが6機なのに3機は戦力が少なすぎないか? と思ったが、考えてみれば本来ならあのMS小隊が接触する筈だったのは、とてもではないがMSを搭載出来ない宇宙船だったのだから、それは当然だろう。

 

「あの3機は、取りあえず俺とクリスで落とす。……クリス、問題ないな?」

『ええ、少し不安だけど……やってみるわ』

 

 映像モニタに表示されたクリスの言葉に頷き、ゲルググイェーガーのシュタイナーの顔が映っている映像モニタに視線を向ける。

 

『分かった。こちらはそれで構わない』

 

 シュタイナーが少し悔しそうだったのは、本来ならまず自分達で行動を起こしたかったからだろう。

 サイクロプス隊にしてみれば、ここで自分達の技量を俺に見せつけたかったといったところか。

 勿論それは、自己顕示欲とかそういうのではなく、サイクロプス隊という戦力を出来る限り俺に高く買い取らせようとしての反応だろう。

 その辺は俺にとっても理解出来るので、責めたりといったような真似はするつもりもなかったが。

 また、サイクロプス隊にしてみれば俺はともかく、クリスの技量は分からない以上、安心して背中を任せる事が出来ないとという心配もある……のか?

 ともあれ、話は決まったのを確認すると、3機のリックドムⅡに向かってアレックスのスラスターを噴射させる。

 こちらに向け、マシンガンを撃ってくるリックドムⅡ。

 あくまでも牽制といったつもりの攻撃なのだろうが……こうなった以上、あくまでもこっちは敵だと認識して、いきなり撃墜を狙ってきてもおかしくはないと思うんだが。

 もしくは、バズーカ……360mmロケットバズーカだったか。そのバズーカの砲弾が足りないとか?

 考えてみれば、つい先日陽動の為にリボーの近くで戦闘をしたのだ。

 その後もずっとリボー周辺で待機していたということは、補給を受けていない可能性もある。

 つまり、バズーカの砲弾が底をついている可能性も否定は出来ないのだ。

 ジオン軍としては、今は少しでもソロモン……はもう陥落したので、ア・バオア・クーに戦力を送りたいと思うだろうし。

 そう考えると、この戦いは結構簡単に……そう思ったのだが、こちらに向けてマシンガンを撃ってくる様子を見ると、どこかやる気を感じられない。

 何だ? 士気が落ちてるのか?

 いやまぁ、ジオン公国というコロニー国家が、同じコロニーに向けて核ミサイルを発射しようとしているのだ。

 その情報がどこまで降りているのかは分からないが、もしそれを知っていれば、士気が落ちるのも当然だろう。

 だとすれば……これは、意外と楽に片付けられるか?

 いや、楽に片付けられるどころか、もしかしたら予想外の収穫になる可能性も十分にある。

 

「クリス、これから攻撃するけど、取り合わずあの3機のリックドムⅡは撃破しないようにしてくれ」

『え? 何で?』

 

 マシンガンの攻撃を回避しつつ間合いを詰めながら、クリスとの会話を続ける。

 

「敵の動きが妙だ。それも何かを企んでるとかそういう意味ではなく、士気が低いという意味で」

『核ミサイル?』

 

 さすが士官学校首席と言うべきか、俺の言葉の意味をすぐに理解し、そう言ってくる。

 

「正解だ。まだ多分そうだろうってだけで、確証はないけどな。だが……もし俺の予想通りだった場合、こっちに引き込める戦力が増える可能性がある」

 

 宇宙に暮らしている者が、好き好んでコロニーに核ミサイルを撃ち込みたいとは思えないだろう。

 だが、それでもこうして行動をしているのは、どうしようもなくなって……という可能性が高い。

 そうである以上、そのどうしようもないのをどうにかすれば……あるいは、何とかなる可能性もあった。

 

『了解』

 

 俺の言葉に短く返事をするクリス。

 その返事を聞きながら、間合いが詰まったところでビームサーベルを引き抜き、リックドムⅡに攻撃する。

 狙おうと思えば、当然のようにコックピットを貫く事が出来ただろう。

 だが、今の状況でそのような真似をすると、相手を追い詰めてしまう。

 向こうにしても、コロニーに核ミサイルを撃ち込む行為を決して納得はしていないのだろうが、それでも自分が死ぬよりはと、本気で反撃してきてもおかしくないのだから。

 そんな訳で、俺が攻撃をしたのは……コックピットではなく、脚部。

 そうして両足を切断すると、そのまま体当たりをするような形で接触回線を開く。

 

「聞こえているな? コロニーに核ミサイルを撃ち込もうなんて馬鹿な真似は止めろ」

『接触通信!? ……うるせえな、こっちの事情を何も知らねえくせに!』

 

 リックドムⅡのパイロットが、接触通信に一瞬驚きながらもそう叫んでくる。

 その叫びは、自分でもどうしようもない現状に対する苛立ちが強く滲み出ていた。

 これなら、可能性は十分にあるか?

 

「核ミサイルを撃つのを阻止しようとしているこっちの戦力には、サイクロプス隊もいる。ジオン軍の中でも精鋭部隊がそんな行動をとってるんだぞ? お前達もそれに思う事はないのか?」

 

 その言葉には、向こうも思うところがあったのだろう。

 アレックスが触れているリックドムⅡの動きが止まる。

 

『だが……俺達は軍人だ。上からの命令には従う必要がある』

 

 接触回線で送られてくる映像。

 リックドムⅡのパイロットは、ヘルメット越しでも分かる程に苦々しげな様子だ。

 なるほど、軍人らしい軍人といったタイプか。

 実際、軍人としてはこの男のような行動の方が正しいのだろう。

 それは理解出来るが……だからといって、無関係の一般市民が多数住んでいるリボーに核ミサイルを撃ち込んでもいいという理由にはならない。

 

「軍人だからで思考停止をするな。もしこのままお前が何もしなければ、お前は一生自分が何の関係もない……それこそ、産まれたばかりの赤ん坊すら無慈悲に虐殺した罪を背負っていかなければならないんだぞ」

『それは……』

 

 赤ん坊すら殺すというのは、男にとっても十分に衝撃だったのだろう。

 いや、当然のように核ミサイルを撃つという話を知った時にはその辺についても考えてはいたんだろうが、それを改めて俺の口から説明された……といったところか。

 

「当然、その罪を背負うのはお前だけじゃない。お前の家族や友人……恋人や妻。それらも、お前の行為のせいで一生周囲から責められ続ける」

 

 あるいは、ジオン軍が独立戦争で連邦軍に勝利すれば、そちらもどうにかなる可能性はある。

 だが……地球から追い出され、ソロモンをも奪取されてしまった今のジオン軍に、ここから巻き返す方法があるとは思えない。

 ましてや、もしその方法があっても連邦軍がMSを手に入れてしまった以上、勝利するのにどれくらい掛かる事やら。

 つまり、今のこの状況でリボーを核ミサイルで破壊するというのは、自殺行為以外の何物でもないのだ。

 

『だからって……どうしろってんだよ! 今の俺達に出来るのは、上からの命令に従うだけだ!』

「命令に従うだけ? 甘えるな。お前達が本当にその気になったら、それこそ幾らでも対処法はある。……ただ、そうだな。ならお前達にも1つ提案をしよう。このまま俺達の側に付け。そうなれば、この先はどうとでも対処出来る」

『連邦軍につけってのか!?』

 

 冗談じゃないといった様子でリックドムⅡのパイロットが叫ぶ。

 分かっていたが、連邦軍……いや、連邦政府は嫌われているな。

 まぁ、自分達だけが地球に残り、それ以外の多くの住民を棄民として宇宙にあるコロニーに捨て、その上でコロニーには選挙権の類を与えず、高い税金を掛けて自分の懐を肥やしているのだ。

 ジオンだけではなく、宇宙全体から見て地球連邦が嫌われるというのは当然だろう。

 ……まぁ、コロニー落としをやったジオン公国も地球の住人からは同様に嫌われているのだが。

 

「安心しろ。俺は連邦軍じゃない。……まぁ、このMSを見ればそんな風に誤解してもおかしくはないがな。そして、ジオン軍でもない。……そう言えば、俺がどこに所属しているのかは、分かるんじゃないか?」

 

 連邦軍でもジオン軍でもない、それ以外の第3勢力。

 まぁ、ここがリボーのすぐ側である事を考えると、実はサイド6の軍隊……リーア軍と呼ばれている者達の中でも精鋭の部隊と勘違いするかもしれないが、それよりも明確な第3勢力が存在する。

 

『月、か?』

 

 ざわり、とこのジオン軍のパイロットではない者の驚きの声が聞こえてくる。

 なるほど。他のリックドムⅡのパイロット2人にもこの通信を流していた訳か。

 俺が悠長に話をしている中でも、攻撃をしてこなかったのはその為だろう。

 それだけ、コロニーに核ミサイルを撃ち込むのを忌避していたという事か。

 

「正解だ。この一件が片付いたら、サイクロプス隊の一行は月に亡命する事になっている」

 

 連邦軍のクリスも月に来るんだが、この連中の反応を見る限りその辺は言わない方がいいだろう。

 

『月……』

 

 再度月という言葉を繰り返す男。

 幾ら俺が月の者だと言ったところで、そう簡単に信じるような真似は出来ないのだろう。

 とはいえ、今の状況を考えればこの男達にそこまで考え込む時間はない。

 元々、怪しい宇宙船が近付いてくるという事で、この連中がやって来たのだ。

 あまりに戻ってくるのが遅いとなれば……

 

『どうした? そんな簡単な命令に、いつまで時間を掛けるつもりだ?』

 

 聞こえてきた声は、明らかに上からのもの。

 パイロットが俺の顔が映し出されている映像モニタを一瞥し、俺はその視線に声を出さないで欲しいという意味が含まれていると判断し、頷く。

 

『申し訳ありません。キリング中佐。取りあえず、近付いてきた相手を鹵獲する事に成功しました』

『鹵獲? 何を言ってる。私は撃破しろと命じた筈だが? リボーに私達が何を目論んでいるのかを、知られる危険は少しでも少なくするべきだ』

『ですが……私達がリボーから離れていない場所に待機しているのは、既にリボー側でも理解している筈です。そうである以上、ここで無理をする必要は……』

『少尉。私は撃墜しろと、そう命令したのだが? 私の、命令が聞こえてないと?』

『……了解しました。……ふぅ。分かった、俺はあんた達に協力する』

 

 通信が切れると、リックドムⅡのパイロットの男は俺に向かってそう言ってくる。

 どうやら、今のキリング中佐とのやり取りで限界に来たらしい。

 ……顔を見た訳ではないから何とも言えないが、かなり自己中心的というか、どんな非道な命令であっても部下は上官に絶対服従と、そう思っているような性格らしいし、無理もないか。

 

「分かった。なら、情報を貰おうか。時間がないから手っ取り早くな」

 

 そうして情報を貰いながら、クリスやサイクロプス隊に集まるように言う。

 当然の話だが、俺達が乗ってきた宇宙船はキリングの目を誤魔化す為に撃破した。

 そうして得た情報そのものは、前もってシュタイナー達から聞いたものとそう差はない。

 てっきり援軍が来ているのかと思ったんだが。

 とはいえ、特殊部隊のサイクロプス隊では分からない情報もあった。

 特に、旗艦となっているティベ級の艦長をしているヘルシングという人物は強い倫理観を持っている軍人らしい。

 それだけにリボーを核ミサイルで攻撃をしようとしているキリングとは相性が悪く……その上、実はキリングが中佐でヘルシングが大佐であるにも関わらず、上からの命令という事で、艦隊の指揮はキリングが執っているらしい。

 ちなみにティベ級というのはチベ級を大幅に改修した軍艦だ。

 元々チベ級というのは、メガ粒子砲開発前から存在していた軍艦だったが、ミノフスキー粒子やメガ粒子砲、何よりMSの開発によって近代化改修され、その性能はムサイ級よりも高い。

 そのチベ級を更に改修したのがティベ級である以上、その性能はかなりの高さを持つ。

 上手くいけば、このティベ級をそのまま確保出来るかもしれないというのは、俺にとっては美味しい話だった。

 ヘルシングというのは、部下からもかなり慕われているらしいし……もしかしたらティベ級だけではなく艦隊をそっくりそのまま入手出来る可能性もある。

 とはいえ、艦隊の中にはキリング直属の部下もいてその中にはMS隊もいるらしい。

 そうなると……ちょっと面倒臭い事になりそうではある。

 

「よし、取りあえずティベに向かうとするか。MSの反応は当然のように向こうで察知するだろうから、時間が勝負だな。……ヘルシングを生かしたまま確保出来るかどうかは、お前達次第だぞ」

『分かっている』

 

 リックドムⅡのパイロットは俺の言葉に短く……それでいてやる気満々といった様子で返事をする。

 俺達と戦う時よりもやる気に満ちているのは、正直どうかと思わないでもないが……まぁ、士気の高いMSパイロットが手に入ったのはありがたいと思っておくとしよう。




アクセル・アルマー
LV:43
PP:1190
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.11
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1617

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