転生とらぶる   作:青竹(移住)

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2625話

 MSが9機も真っ直ぐに近付いてくるというのは、ヘルシング艦隊……もしくは実際に指揮を執っている以上はキリング艦隊と表現すべきかもしれないが、当然のように向こうはすぐに理解した。

 理解はしても……それが何を意味しているのかは、最初分からなかったらしい。

 その辺は責めるつもりはない。

 何しろ、リックドムⅡ3機が迂闊に近付いてきた宇宙船を撃墜しにいった筈なのに、何故かMSの数が3倍にもなってやって来たのだから。

 一体何があったと判断してもおかしくはないだろう。

 だが、そんな混乱もずっと続く訳ではなく、MSの距離が縮まった頃にはヘルシング艦隊の面々も落ち着いて、まずは通信を送ってきた。

 その通信は俺に向けられたものではなかったが、リックドムⅡからは一緒に行動している面々に通信が流されているので、その通信を聞くのは難しくはない。

 

『少尉! 一体、何のつもりだ! それに、貴様と一緒に行動しているMSは……連邦軍のMS! 貴様、裏切ったか!』

 

 キリングの金切り声が聞こえてくる。

 まぁ、アレックスはキリングがリボー諸共に破壊しようと企んだMSだ。

 シュタイナーから、アレックスについての映像データの類は当然流れているだろうから、俺の乗るアレックスをアレックスと認識するのもおかしな話ではない。

 

『悪いな、キリング中佐。俺は無抵抗のコロニーに核ミサイルを撃ち込むなんて馬鹿な真似はしたくねえんだよ。南極条約違反云々って前に、寝覚めが悪すぎる!』

『貴様、それで連邦軍に……いや、待て。サイクロプス隊だと!? ……貴様、サイド6に……いや、違う。月に私達を売ったな!?』

 

 へぇ。

 この状況を見て、すぐに月という言葉が出て来る辺り、キリングという人物が優秀なのは間違いないんだろう。

 ただ、優秀ではあってもそれが自己中心的な性格であれば、味方にもついていけない奴も増える。

 実際、こうしてリックドムⅡのパイロット達は俺達についた訳だしな。

 これがまだ、核ミサイルではなくもっとMSで攻めるといったような穏便な――と表現してもいいかは難しいところだが――手段でアレックスを奪取しようとしたり、破壊しようとしたのなら、こんな目に遭う事はなかったんだろうが。

 効率を求めたのか、それとも確実性を重視したのか。

 その辺の理由は分からなかったが、核ミサイルを使おうとした時点でキリングは大きな失敗をした。

 

『その通りだ。俺達は月に亡命をする事にした! そうなれば、あんたみたいな腐れ外道に付き合う必要もなくなるからな。月では俺達を受け入れてくれるそうだ! この通信を聞いている中にも、コロニーに核ミサイルを撃とうなんて事はしたくない奴はいるだろう! そんな奴は俺達と一緒に月に行かないか!?』

 

 途中でオープンチャンネルにされた通信は、当然のようにティベだけではなく、他のムサイ級にも広まっていた。

 

『貴様……出撃しろ! あの裏切り者を殺せ! これがジオンの為になるのだと、何故分からん!』

『ジオンの為? 連邦軍に協力していたとはいえ、大多数は何も知らない民間人が暮らしているコロニーだぞ。そのコロニーに核ミサイルを撃ち込む事の、何がジオンの為だ! ましてや、キリング中佐が執着していたMSは既にここにある。今この状況でリボーに核ミサイルを撃ち込んだところで、それに何の意味もない!』

 

 その言葉に、キリングは気圧されたのか何も反論出来ない。

 そうなんだよな。あくまでもジオン軍の狙いがアレックスである以上、そのアレックスがここにあるのだから、リボーを核ミサイルで攻撃する意味は最早ない。

 あるとすれば……それこそ、連邦軍に協力した事に対する報復や懲罰といったところだろう。

 だが、それにしては核ミサイルというのはやりすぎだ。

 

「選べ」

 

 そんな2人の通信に、割って入る。

 突然だったからか、キリングが何かを言う様子はない。

 それに乗じて、今この状況を最大限に活かすべく言葉を続ける。

 

「このまま一生民間人を虐殺した卑怯者として、友人、恋人、嫁……そして家族に肩身の狭い思いをさせるか、それともその虐殺を止めた側として月で評価されるか。尚、俺は月の人間で相応の影響力を持っている。……この姿である以上、すぐに信じるといったような真似は出来ないだろうが、ジオン軍の中でも最精鋭部隊の1つでもあるサイクロプス隊が俺に従っているのが証拠になるだろう」

 

 そう言い、俺はサイクロプス隊の映像を映す。

 

「リボーというサイド6のコロニーにジオン軍が核ミサイルを撃ち込もうとした事は、この件が終わって月に戻ったらすぐに月の女王たるアルテイシアに発表して貰うつもりだ。……ザビ家という、ジオン・ズム・ダイクンを暗殺した者達に従うか、本当の意味でジオン・ズム・ダイクンの思想を引き継いだ、この世界最高のニュータイプであり、ジオン・ズム・ダイクンの血を引くアルテイシアに従うか……選べ。そして、選んだら行動しろ」

 

 そう言い、通信を切る。

 キリングが色々と言っている声が聞こえてきたが、その辺は意図的に無視しておく。

 後は、この艦隊に残っている面々がどう行動するかという点で、俺が何かを言うような必要はないだろう。

 であれば、俺がやるべき事はキリング含めた他の連中が妙な真似をしないように警戒し……そして妙な真似をしたら、それに対処するだけだ。

 とはいえ、勝率という点ではそんなに悪くないとは思っている。

 何故なら、今回の一件においてはコロニーに核ミサイルを撃ち込んだ場合、それは歴史上に残る悪人になりかねないのだから。

 その辺の事情を考えれば、キリングに従う者がそう多いとは思えない。

 あるいは、ジオン軍に有利な戦況であれば、また話は別だろうが。

 

「全機、何があってもすぐ対処出来るように準備はしておけ。多分大丈夫だとは思うが、それでも万が一にも敵が攻撃してくるという可能性はあるしな」

『……アクセル。正直このまま向こうがこちらに従うのはどのくらいの可能性だと思う?』

 

 シュタイナーが真剣な表情でそう尋ねる。

 今の状況では、どう転ぶかが分からないのだろう。

 もし俺が月の名前を出していなければ、成功率はそんなに高くはなかった筈だ。

 だが、俺が月の人間で……しかもサイクロプス隊はこの件が終わった後は月に行く事になっているという話を聞けば、ザビ家の支持者でもない限りは多少なりとも心が揺れるのは間違いない。

 問題なのは、それで心が揺れてもこちらの予想通りに降伏するかどうかといったところだが……正直なところ、その辺は微妙だろう。

 とはいえ、降伏する確率は1割……どころか、数%程度だったのが、5割くらいにはなったのだろうから、そんなに悪い話ではないと思うんだが。

 ジオン公国の人間にとって、やはりジオン・ズム・ダイクンの血を引いた者が建国した国というのは、大きいだろう。

 ……もしシャアがその気になっていれば、それこそ同じような事を出来ると思うんだが。

 それをやらなかったのは、仇討ちを最優先にしていたからだろう。

 ガルマの件でもそれは明らかだったし。

 そう考えると、もしかしたらソロモンでのドズルがビグ・ザムに乗っていた件も、もしかしたら……本当にもしかしたらだが、シャアが関わっていた可能性が否定出来ないのか。

 

『こちらムサイ級ジャベリン、ルナ・ジオンに投降する』

 

 不意にそんな通信が入ってくる。

 どうやら艦隊の中のムサイ級の1隻が、真っ先にこっちに降伏するつもりになったらしい。

 それに続いて他のムサイ級からも次々と降伏の通信が入ってくるが……この艦隊の旗艦たるティベ級からは、一向に通信が入ってこない。

 まぁ、ティベ級にはキリングが直接乗り込んでいたんだから、それを考えればすぐに降伏するなどといったような真似が出来ないのは当然か。

 聞いた話だと、キリングは直属の部下を持ってるらしいし。

 ……にしても、その直属の部下にしても自分達が歴史に名を残すような最悪の出来事に協力してるというのは理解しているのか?

 そんな風に思っていると……不意に、ティベ級が爆発する。

 ティベ級が撃沈されるような巨大な爆発ではなく、あくまでも小規模な爆破でしかないが、それでも爆発は爆発だ。

 何があったのかと疑問に思ったが、その爆発した場所からMSが出て来れば、何があったのかは考えるまでもない。

 ましてや、ティベから出て来たMS同士で戦っているとなると……現在の状況から考えて、降伏しようとしたヘルシングとそれを認めないキリングによって起こされた戦いだろう。

 

「各自、ティベの動きに注意しろ。内部で戦いが起こっている。降伏しようとする側……恐らくヘルシングだろうが、そちらが勝てば問題ないだろうが、キリング側が勝った場合は攻撃してくる可能性が強い」

 

 そう言いながら、俺はティベの方に向かってアレックスを進める。

 

『ちょっ、おい、アクセル! 何をするつもりだ!?』

 

 シュナイダーの焦った声。

 まさかここで俺が行動を起こすとは、思っていなかったのだろう。

 

「何をするつもり? ティベの降伏派に協力するに決まってるだろう」

 

 ティベというのは、ジオン軍の中でも結構な高性能艦だ。

 そうである以上、出来れば確保したい。

 ルナ・ジオン軍では、軍艦の数がどうしても少ないのがネックだし。

 いやまぁ、最悪シャドウミラーで使われているカトンボを貸し出してもいいんだが、ルナ・ジオン軍も現在は1つの国家だ。

 MSもヅダやギャンを始めとして、ベース機こそジオン軍の物を使っているが、それをディアナが改良して使っている。

 そうである以上、当然のように軍艦も独自性を出していきたいと思うのは当然だった。

 ドロス級やグワジン級、ザンジバル級、ムサイ級、チベ級……色々と確保してはいるが、そちらはまだルナ・ジオン独自の軍艦は確保出来ていないんだよな。

 ちなみにドロス級とグワジン級が譲渡するという契約はかなり前にされたんだが、結局双方共に実際に譲渡されるまではかなりの時間が掛かった。

 グワジン級はジオン軍の中でも最高性能の戦艦だし、ドロス級は空母としては桁外れの大きさを持っているのだから、どちらもそう簡単に用意出来たりはしないんだろうが。

 それ以外の軍艦は、ジオン軍の面々が月に来る時に奪取してきたものだったりする。

 正直なところ、外見ではグワジン級が俺の一番好みなんだが……これを量産って訳にはいかないだろうな。

 グワジン級は、ザビ家の者とザビ家の信頼の厚い者しか乗る事が出来ない。

 言ってみれば、ザビ家の象徴だ。

 そしてルナ・ジオンはそんなザビ家率いるジオン公国とは違うと、そう示す必要がある。

 だからこそ、今あるグワジン級はともかく、それを量産するといったような真似は出来ない。

 ……いや、それは俺が考えるべき事じゃないか。

 そんな事を考えている間に、ティベ級の近くまで到着する。

 そうして攻撃をしようとして、ふと疑問に思う。

 こうして戦っているどちらが、どちらの勢力なのかと。

 ヘルシングとキリングという2人の指揮官。

 だが、当然ながら同じジオン軍だった以上、そのMSに違いはない。

 アレックスの映像モニタでは、リックドムⅡとザク改、数機のゲルググががそれぞれ別れて戦闘を繰り広げていた。

 ティベが一体何機のMSを搭載出来るのかは、俺には分からない。

 だが、それでもそこまで多くはないだろうから……多分、現在戦っているMSで全てだろう。

 そうなると、ここで勝ってしまえば面倒はなくなる訳なんだが……難しいな。

 

「降伏派は、俺の側に来い!」

 

 オープンチャンネルでそう叫ぶ。

 ミノフスキー粒子の濃度がかなり濃いが、それでもこのくらい間合いが近ければ当然のように周囲に通信は繋がる。

 そして……俺の予想通り、ヘルシングに従っていると思われる降伏派は、アレックスの側までやってきた。

 一瞬、こっちに来た連中の中にキリングの手の者が混ざっていたら……と思ったが、相手が誰なのか分からないのは、あくまでも部外者の俺だからだ。

 俺以外の面々であれば、当然のように自分達の中に異分子が紛れ込んでいないかどうかは理解出来る。

 そうして残った連中……キリングの部下と思われるのは、リックドムⅡとザク改とゲルググが1機ずつ。

 

「よし、なら……クリス、準備はいいな?」

『ええ、勿論よ』

 

 その言葉を信じて、こちらに向かってビームライフルを撃とうとしているゲルググに向かってスラスターを全開にしながら突っ込んでいく。

 そうして、機体を少し動かし……ゲルググのビームが外れたのを見ながら、アレックスのビームライフルを撃つ。

 コックピットを貫通し、撃破。

 リックドムⅡがこちらに向かってバズーカを撃とうとしたが、次の瞬間にはバズーカにジムスナイパーⅡから発射されたビームが貫き……驚いて動きを止めたところに突っ込んでいき、ビームサーベルを一閃して胴体を切断。

 そして最後残ったザク改がヒートホークで斬りかかってきたのを見て……前腕のガトリング砲を発射し、そのまま最後に残ったザク改も撃破するのだった。




アクセル・アルマー
LV:43
PP:1205
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.11
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1620

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