「ふーん。……あんたがアクセルの新しい女かい?」
「なっ!?」
シーマの第一声に、クリスは言葉に詰まって何も言えなくなる。
まぁ、当然だろう。
クリスにしてみれば、シーマという人物に対して抱いていた先入観があった筈だ。
何しろ宇宙の蜉蝣の異名を持つシーマのこれまでについては、ルナ・ジオンの建国の際に大々的に知られている。
だからこそ、クリスもシーマに対して色々と先入観を抱いてたのだろうが……それが、会うなりいきなりこの言葉だ。
それで、驚くなという方が無理だろう。
それでも呆気にとられたのがほんの数秒だったのは、クリスらしい。
「だ、誰がアクセルの女ですか! 勘違いもいい加減にして下さい!」
「あれ? 違ったのかい? アクセルの事だから、てっきり……」
そう言い、意味ありげに俺の方に視線を向けるシーマ。
「あのなぁ、お前は一体俺を何だと思ってるんだ?」
「恋人10人以上いるハーレムの主」
「ぐ……」
俺を何だと思っている? という疑問に対し、即座に返ってきたその言葉に俺は反論出来ない。
それは、実際に俺がレモンを始めとして10人以上の恋人を持っているのは間違いのない事実だからだ。
そしてクリスは、シーマの言葉に反論しない俺を見て、信じられないといったような視線をこちらに向けてきた。
「アクセル、今の本当?」
「まぁ、間違ってはいないな」
シーマもホワイトスターに転移する事が出来る数少ない1人だ。
だからこそ、俺が恋人を10人以上持っているというのは当然のように知っている。
というか、別にホワイトスターに行かなくても、俺がサイド3にあるハモンやラルの酒場を拠点にしていた時に、ホワイトスターからは何人かUC世界にやって来ていたのだから、そこで俺の女関係を知る機会は幾らでもあっただろう。
「信じられない……ハーレムなんて……」
「おや。お嬢ちゃんは潔癖だね。もしかして、まだ男を知らないのかい?」
「な……」
ストレートに処女かと聞かれたクリスは、シーマと俺の顔を何度も見て……その顔は急激に赤く染まっていく。
「初心だねぇ。……けど、聞いた話によると、アクセルは夜の方でも大魔王らしいから、その気があるのなら、抱いて貰ったらどうだい?」
「結構です! それより、MSの受領について話を戻して下さい!」
顔を真っ赤に染めながら……それこそ、赤い彗星という異名が相応しいくらいに顔を赤く染め、叫ぶクリス。
そんなクリスに、シーマは面白そうな玩具を見つけたと言わんばかりの笑みを浮かべ……だが、あまりからかいすぎるのもどうかと思ったのか、口を開く。
「まったく、初心だねぇ」
数秒前と同じく、初心と言葉を口にするシーマ。
だが、そんなシーマに対してクリスが何かを言おうとするが、その機先を制するように口を開く。
「ヅダだろう? 勿論予備機はあるけど……乗りこなせるのかい? ザクとは違うんだよ、ザクとは」
そう告げるシーマの様子に、確かにザクとは違うなと納得する。
基本的にザクは汎用性を重視しており、宇宙でも地球でも使えるようになっている。
だが、ヅダの場合は基本的には宇宙での使用を前提としている機体だ。
無理をすれば地球上でも使えるだろうが、そうなると本来の性能を発揮するのは難しいだろう。
そういう意味で、ザクとは違うと言うシーマの言葉は間違っていない。
とはいえ、クリスも負けん気の強い性格をしているだけに、シーマの言葉にはいそうですかと頷くような真似はしない。
「私は、連邦軍ではそれなりにMSの操縦訓練をしています。ヅダであろうとも、同じMSである以上は操縦出来ない筈はありません」
「ふーん。……まぁ、いいさね。なら、ちょっと試してみるかい? 言っておくけどヅダは乗るのは難しくはないけど、実際に乗りこなすとなると難しいよ?」
「いいわ、是非お願いします。……いいわよね?」
そう確認を求めてくるクリスに対し、俺が出来るのは頷くだけだ。
この剣幕のクリスに、もし駄目だと言おうものなら一体どうなるか……それは、考えるまでもない。
それに、クリスがヅダに乗る以上、その時間は長ければ長い程にいいのだから。
「分かった。なら。その辺はシーマに任せる。……そう言えば、ビグロマイヤーとかは届いたのか?」
俺がサイド6に向かう前に、ケリィがビグロの改修機のビグロマイヤーとかいうMAが届くと話していたので、シーマに尋ねる。
するとシーマは、笑みを浮かべて頷く。
どうやら、ビグロマイヤーというのは俺が思っていた以上にシーマにとっては有効な戦力と見なされたのだろう。
まぁ、ケリィから話を聞いた限りでは、実際に普通のビグロと比べてもかなり高性能だという話だったし……それを考えれば当然か。
「じゃあ早速行こうかね。初心なお嬢ちゃんの実力を見せて貰うとしよう」
また初心と言われたクリスが不満そうにシーマを見ていたが、シーマはそれを気にした風もなく部屋を出ていこうとし……不意に足を止める。
「そう言えば、ガトーの話を聞いたかい?」
「ガトーの? 何かあったのか?」
「何かというか……ガトーにとっては嬉しい事だろうね。ソロモンの悪夢。そんな異名がジオン軍によって付けられたみたいだよ」
「それは、また……よくもまぁ、その異名を知ることが出来たな」
ジオン軍によって付けられた異名なら、当然のようにそれが連邦軍に占拠されたこのソロモンで知る事は難しい。
それを知る事が出来たのは……何らかの理由で、ジオン軍の捕虜を捕らえたからだろう。
それも、ソロモンに残っていたジオン軍の兵士ではなく、ソロモンから脱出した相手を。
にしても、ソロモンの悪夢か。
そんな異名を付けた理由も、納得出来ない訳ではない。
ジオン軍にしてみれば、チェンバロ作戦においてガトーから被った被害はかなり大きい。
それこそ、悪夢と呼ぶに相応しいものがあるだろう。
何よりも皮肉なのは、ガトーは元ジオン軍所属だという事だろう。
ソロモンにいた宇宙攻撃軍の面々にしてみれば、それこそガトーの古巣だ。
ガトーにとっても、顔見知りだったり……場合によっては親しい相手もいたのは、ほぼ間違いない。
とはいえ、ガトーがそこまでの戦果を挙げられたのは、ノリスのフォローがあっての事というのも、間違いのない事実だったりするのだが。
「ソロモンの悪夢……ですか。凄い異名ですね」
俺とシーマの会話を聞いていたクリスが、そう呟く。
クリスにしてみれば、先程シーマにも言った通り、MSの操縦技術についてはそれなりに自信があっても、だからといって自分が異名持ちになれる……といったようには思っていないのだろう。
その気持ちは、理解出来ないでもないが。
MSの性能という点ではジオン軍に追いついている……どころか、上回っている場所すらある連邦軍だったが、MSパイロットの質ともなると話は変わってくる。
アムロやユウのような、飛び抜けたパイロットもいない訳ではないが、全体的に見ればどうしてもジオン軍の方が上だ。
1週間戦争、ルウム戦役……そして地上の戦い、いわゆる重力戦線。
それらを潜り抜けても、まだジオン軍に腕利きのパイロットが多いのだから。
もっとも、ジオン軍の中でも本当の意味での腕利きは、これまでの戦いで多く死んでいるし……場合によっては、月に亡命してきたりといったように、数は減っているのだろうが。
それでも、まだ持ち堪えている辺り、ジオン軍の質の高さというのは純粋に凄いと思う。
……ジリ貧になりつつあるのも事実だが。
「凄い異名ねぇ。まぁ、それはあたしも理解出来るよ。ただ、その異名を手に入れた経緯を考えると……ねぇ?」
そう言い、意味ありげに俺を見るシーマ。
そんなシーマの態度に、クリスは好奇心をくすぐられたのだろう。
こちらに視線を向けて、どういう事かと無言のうちに尋ねてくる。
「別にそこまで面白い理由がある訳じゃないけどな。簡単に言えば、ガトーの付き合っている相手はいわゆる名家の娘で、その相手と結婚する為にはガトーにもそれなりのネームバリューが必要となる」
「ああ、それで……」
元々、ガトーは凄腕のMSパイロットとしてルナ・ジオンでは知られていた。
また、俺と友好的な関係にあるというのも、ガトーが評価される一端になっただろう。
それでも、まだサハリン家の者達にしてみれば、アイナとの結婚には足りなかった。
……まぁ、その気持ちも分からないではない。
ギニアスが月に亡命してきたのは、ジオン公国でも名家であったサハリン家を復興させる為。
そんなサハリン家は、実際ルナ・ジオンの中では名家のトップにいると言ってもいい。
もっとも、ラルを始めとした他の名家がそこまで家の格とでも言うべきものに対して熱心ではないというのが、この場合は大きいのだろうが。
実際、ラルの父親はジオン・ズム・ダイクンの側近で、負けたとはいえザビ家と権力闘争が出来るだけの実力を持っていたのだから。
それ以外にも、カーウィン家だったり、キャメロン家だったり、他に色々といる。
だが、ルナ・ジオンにおいては、家の格よりも実際にその人物が持つ実力こそが優先される。
……家の格が全く意味のないものという訳でもないのだが。
ともあれ、そんなサハリン家だけにガトーにも相応の格が求められた訳だ。
「素敵ですね」
そんな説明をされたクリスの口から出たのは、俺にとっても完全に予想外の言葉。
てっきりもっと別の……それこそ呆れの言葉を口にしたりするのかと思っていたのだが、まさかそれが賞賛の言葉とは。
「あー……そうだね。まぁ、素敵って言えば素敵なのかもしれないね」
シーマの方も意表を突かれたのか、そんな言葉を口にするだけだ。
まぁ、愛の為に戦ったと考えれば、確かに素敵と言ってもおかしくはないのだが。
ただ、その愛を成就させる為に人を殺している訳で……それも現在のUC世界においては認めれているという事なのだろう。
あるいは、クリスはまだ男を知らないという事だったし、もしかしたら……いわゆる、王子様願望というのを抱いているのかもしれないな。
さて、そうなるとクリスの王子様は一体誰になる事やら。
何だかんだと才色兼備のクリスだ。その辺にいる並の男ではクリスを口説こうとしても、まず無理だろう。
以前何かで見たが、才色兼備の美人であればある程に、実は結婚年齢が遅くなるという説があるらしい。
その説が正しいのかどうかは分からないが、クリスの場合はその説の通りになってもおかしくはないのだろう。
「……何?」
そんな俺の視線に何かを感じたのか、クリスが尋ねてくる。
それに何でもないと首を横に振ると、シーマに向かって口を開く。
「取りあえず、クリスとヅダの件を色々と頼めるか?」
「それは構わないけど……このお嬢ちゃんが、ルナ・ジオン軍としてやっていけないような腕なら、すぐに降ろすよ? うちだって、MSが余ってる訳じゃないんだから」
む、と。
シーマの煽るような言葉に、クリスは不満そうな表情を浮かべる。
「落ち着け。シーマは元々口が悪いからな。それに、あくまでも腕が悪ければだ。クリスは自分の技術には自信があるんだろ? なら、それをしっかりと見せてやればいいだけだ」
「……分かったわ」
不承不承といった様子ではあったが、クリスは俺の言葉に頷く。
クリスにしてみれば、ヅダの操縦で自分の技量を見せつける事が出来れば……と、そう思っているのだろう。
ジムスナイパーⅡを操縦した時のクリスの操縦を見た限りでは、そこまでシーマが心配するような事はないと思うんだがな。
あくまでもそれは俺の考えであって、実際にヅダに乗ってみないと、その辺は分からないだろうが。
ともあれ、話は決まったらしく2人は部屋を出ていく。
それを見送った俺は、何をするべきかを考える。
一応、現状でやらなければならない事は、もう終わっている。
そうなると……いっそ、アムロにアレックスを使わせてみるのも面白いかもしれないな。
一瞬そんな考えが頭に浮かぶも、今の状況でアレックスを連邦軍の前に出すのは面倒な事になる可能性が高い。
クリスから聞いた話によると、アレックスの開発はかなりの極秘事項だった筈だが……ジオン軍にその辺の情報が漏れていた時点で、機密に関してはお察しだろう。
だとすれば、取りあえずルナ・ジオンに与えられた区画を見て回るのも、面白いかもしれないな。
あ、そう言えばビグ・ザムのバリアについては何か分かったのか?
カトンボでアレックスのビームライフルを解析してるだろディアナの技術者に話を聞きに行こうかどうか迷い……今の状況で邪魔をすると、それこそ技術者達に文句を言われそうなので、その辺は諦める。
……ビグ・ザムの実物はまだ俺の空間倉庫の中に入ってるから、その辺は後々もっとゆっくりと解析していけばいいだけだろうし。
アクセル・アルマー
LV:43
PP:1205
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1620