転生とらぶる   作:青竹(移住)

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2634話

 ホワイトベースがソロモンの外に出て数日……最初こそ、皆もそれなりに緊張感を保っていたのだが、それでも数日という時間が経過すると、当然のことながらその緊張も次第に緩まってくる。

 軍人が主なサラブレッドなら多少はマシかもしれないが、一般人から軍属になった者が多いホワイトベースにおいては、緊張の抜き具合は更に激しくなってしまう。

 いや、ホワイトベースの中でも軍人は別なのだが……MS隊の大半が軍属である以上、どうしてもその辺が温くなってしまうのは当然なのだろう。

 

「全く……少しは緊張感を保てないものかね? どう思う?」

 

 俺に向かってそう声を掛けてきたのは、スレッガー。

 その経歴だけを見れば、このホワイトベースでは珍しい生粋の軍人だ。

 性格の軽さから、とてもではないがそんな風には思えないが。

 

「そういう訓練を受けた訳じゃないし、それはしょうがないだろ。敵が来たらすぐに対応出来るのなら、それで何の問題もないと思うけどな」

 

 別に軍人らしく、いつまでも真剣に待機をしていればそれでいい……という訳ではない。

 それこそ、いつ何があってもすぐ対応出来るのなら、それで問題はないのだから。

 ただし、それが本当に出来るかどうかというのは、また別の話だったが。

 

「ふーん。アクセルはそういう考えの持ち主か」

「何かおかしいか?」

「いや、別に? 俺もどっちかといえばアクセルと同じような考えだしな。それに……このホワイトベースは居心地がいい。正直、最初にこの艦に配属になった時は、まさか子供までいるとは思わなかったけど」

 

 この場合の子供というのは、カツ、レツ、キッカといった面々だろう。

 他にも、ミハルの弟や妹もそっちに入るか?

 ともあれ、普通の軍艦と大きく違うその一つが、子供達がいるという事なのは間違いない。

 少年兵とかならともかく、本当の意味で子供だしな。

 普通なら、そういう子供が軍艦に乗っているのを見れば、すぐにでも降ろせといったような事を言われてもおかしくはない。

 だが、ホワイトベースは元々異例だらけの艦だ。

 何しろ、艦長からして士官学校を卒業もしていないブライトだし、トップエースのアムロもつい数ヶ月前までは民間人だった。

 また、腕は立つが問題児のヤザン達や、ジオン軍から亡命してきた科学者の作ったEXAMシステム搭載機だったり、ホワイトベースには色々な意味で特別な者達が集まっている。

 その上でしっかりと……それこそ、これ以上ないくらいの成果を挙げているという事と、レビル直属の部隊ということもあり、その辺は見逃されている形だ。

 そういう意味では、ホワイトベースに配属されたスレッガーもまた、特殊なのだろう。

 

「ともあれ、もう少しでア・バオア・クーに攻撃を行うんだろ? なら、こうしてゆっくりしていられるのも今のうちだ。それこそ……」

「歌だ!」

 

 俺の言葉を遮るように、アムロの叫びが格納庫に響き渡った。

 一体何があった?

 一瞬そう迷ったが、歌が聞こえたというのは以前ソロモンの周辺にいた軍艦が撃沈された時にも聞こえた話だ。

 それはつまり……

 

「全員、自分のMSに乗れ!」

 

 そう指示し、俺はガンダム7号機のコックピットに向かう。

 するとそれに数秒遅れて、他の者達も自分のMSに向かう。

 前回の襲撃時にアムロが歌を聴いたというのは、他の者達にも知らされている。

 アムロがニュータイプであるというのは、当然のように皆も知っているので、現在のこの状況で敵が来たと判断するのは当然のことだった。

 次々とMSに乗り込むのを見ながら、俺は一足早くガンダム7号機を起動させ、カタパルトに向かい……射出される。

 そうしてホワイトベースから射出されたガンダム7号機の全天周囲モニタには、少し離れた場所で待機していたサラミスが1隻、爆発していく光景が映し出される。

 あそこか。

 ガンダム7号機で爆発が起きたサラミスの周辺を探るも、そこには既に何もない。

 攻撃をしている者にしてみれば、撃破した後で同じ場所にいても何の意味もないから当然なのかもしれないが。

 

「厄介な。……やっぱりファントムやソードブレイカー系の武装か?」

 

 呟きながら周辺の状況を確認していると……また、1隻のサラミスが爆発する。

 そして、俺は映像モニタでその爆発から離れていくような何かを確認する。

 それは、かなりの大きさを持つ。

 見えたのは一瞬だったので確信は出来ないが、10mはないくらいの大きさだったと思う。

 何故ソロモンのレーダーとかで探知出来ないのかといったような大きさだ。

 ……何らかのステルス性能を持っているのか、それともこれもまたニュータイプの能力なのか、はたまたレーダーの方でそのくらいの大きさの物は探知しないようになってるのか。

 その辺りの理由は分からなかったが、取りあえず見た限りでファントムやソードブレイカーと比べると、かなり大きいのは間違いない。

 ファントムやソードブレイカーを参考に開発したが、技術力の不足で小型化出来なかったのか、それともファントムやソードブレイカーと比べて別の性能を付与して似て非なる物にでもなってるのか。

 その辺の理由は俺にも分からなかったが、ともあれ無線のビーム砲というのは当たりだったらしい。

 そして……無線のビーム砲であると分かれば、それに対処するのも難しくはない。

 何よりもMS程ではなくても、MSの半分くらいの大きさはあるのだ。

 これを見逃すなどということは、そう簡単に行ったりはしない。

 ……問題なのは、結局のところ俺達が攻撃出来るのはこの無線のビーム砲だけであって、これを操っている相手を見つけるのは難しいといったところだが。

 

「アムロ! 敵がどこにいるのか探して、そっちを叩いてくれ!」

『分かりました!』

 

 恐らくもうホワイトベースから出撃してるだろうと思って通信を入れたのだが、幸いにしてアムロのG-3ガンダムは既に出撃していたらしく、俺の言葉にそう返してくる。

 ……とはいえ、分かりましたという返事は立派だったが、問題なのは一体どうやってビーム砲を操っている相手を探すかだよな。

 アムロの言っていた歌がどこから発せられているのかを把握出来れば、ある程度はどうにかなると思うんだが。

 ともあれ、そっちの方はアムロに任せておくとして、俺がやるべきなのはビーム砲を撃破してこれ以上の被害を出さないようにする事だな。

 そんな風に思いつつも、実際に行うのは簡単な話ではない。

 何しろ、ビーム砲は小さいだけに動きも素早く……そして、ソロモンの全域ともなれば、その戦闘範囲はかなり広大になるのだから。

 こっちの射程内に入ってくれさえすれば、射撃の命中、それにガンファイトとかの影響もあって、攻撃を命中させることが出来るだろう。

 だが、そもそもガンダム7号機の射程圏内にいないのであれば、攻撃をしようがない。

 ……というか、俺の気のせいでなければ、ビーム砲台は極力俺に接触しないように気をつけながら移動しているように思えるのだが。

 そうなると、もしかしてこのビーム砲台を操っているニュータイプは俺を知ってるのか?

 だとすれば、このニュータイプがシャアである可能性がより高くなったな。

 

『おい、何をしてる! 邪魔だ!』

 

 と、不意に聞こえてくる通信。

 何だ? と思うと、その通信は少し離れた場所にいるジムからのものだ。

 当然の話だが、敵に攻撃をされている以上、連邦軍も黙っている訳にはいかない。

 ましてや、最初に攻撃された時は何が何だか分からないままに攻撃をされていたのだが、今回は2度目。

 そうなれば、サラミスが撃沈された時点で敵の攻撃と判断して、MS部隊を出撃させてもおかしくはない。

 ましてや、俺は現在ホワイトベースから結構離れた場所にまで移動している以上、この宙域を担当しているMSが邪魔だと思ってもおかしくはない。

 

「悪かったな。けど、敵は素早い。普通に攻撃しても、対処するのは難しいぞ」

『分かっている。だが、ここは俺達が担当している宙域だ。お前は自分の場所に戻れ』

 

 そう言われると、俺としてもこれ以上ここに残る事は出来ない。

 ホワイトベースの所属という事になっているが、それでもこのソロモンのどこにでも移動してもいい訳ではないのだから。

 ビーム砲台が実際に見える場所にいるのなら、今の状況で俺が攻撃しても構わないだろう。

 だが、そうではない以上、俺が出来ることはそう多くはない。

 

「分かった」

 

 ここで無理を言っても、それこそ面倒な事になるだけだと判断し、ホワイトベースに割り当てられた宙域に戻る。

 とはいえ……ぶっちゃけ、連邦軍のパイロットは基本的にそこまで腕の経つ者達ではない。

 あの素早く移動するビーム砲台に攻撃を命中させることが出来るかと言われれば、少し難しいだろう。

 出撃前にヤザンと話していたように、不死身の第4小隊とかの異名持ちであれば、また話は違ったのかもしれないが。

 そんな風に思いながらホワイトベースに向かって移動していると……不意に、映像モニタに爆発の光が映し出される。

 一体、何の爆発だ?

 そう思ったが、考えるまでもなく……爆発の衝撃でこちらに向かって飛んでくるジムの腕を見れば、何が起きたのかは明らかだ。

 

「言わんこっちゃない!」

 

 爆発のした方……先程通信をしたジムの残骸へと、ガンダム7号機を進ませる。

 

『アクセル、俺達も行く!』

 

 その通信と共に姿を現したのは、フィリップとサマナの乗るジムコマンドと……そして、ユウの乗るブルーデスティニー3号機。

 ホワイトベース隊の中でも、最高峰の戦力の小隊だ。

 ……もっとも、アムロの場合は基本的に単独で動くので、最強の小隊という意味では、このユウ達モルモット隊が最強なのかもしれないが。

 とはいえ……ユウとフィリップはともかく、サマナはそこまで実力が高くない。

 ぶっちゃけ、高速移動しているビーム砲台を相手にするのは、少し難しいだろう。

 それでもこうして一緒にやって来たのは、小隊単位で動けばある程度どうにかなると思っていたからか。

 実際、小隊を組んで連携を取れるようになれば、それは個人で戦うよりも強くなる。

 1+1が、2ではなく3にも4にもなるのだ。

 もっとも、それはあくまで連携が上手く出来ていればの話で、連携が上手く出来ていない場合は、1+1が2どころか、1だったり……場合によっては0.5になったりするのだが。

 その点、モルモット隊はその辺の心配はいらない。

 

「分かった、一緒に来い。ただ、敵……というか、ビーム砲台はかなり素早いし、武器の威力も相当だ。気をつけろよ」

『へっ、誰に言ってるんだよ?』

 

 フィリップの言葉には自信が溢れている。

 実際、フィリップの操縦技術はホワイトベースで見てそれなりに高いし、連邦軍全体で見た場合は、間違いなくトップクラスの1人だ。

 そんなモルモット隊を引き連れ、俺は先程撃破されたジムのいた場所に戻る。

 ……が、そこには当然のように、既にビーム砲台は存在しない。

 当然だろう。敵にしてみれば、無線のビーム砲台という便利な武器を使っているのだ。

 であれば、攻撃した場所にわざわざビーム砲台を留まらせる必要はどこにも存在しない。

 それどころか、敵を撃破したらさっさと次の敵に向かって攻撃した方がいいのは間違いない。

 ましてや、俺の気のせいでなければ……敵のニュータイプは俺の事を知っており、徹底的に避けている。

 それこそ、シャアの可能性が高いのではないかと、そう思ってしまう程に。

 

「敵はいつどこから攻撃してくるか分からない。その辺は注意しろよ」

『了解』

 

 フィリップ……ではなく、ユウからの返事。

 寡黙なユウが返事をするのは珍しいが、ユウにしても今回の敵をそれだけ強敵だと、そう思っているのだろう。

 実際、このUC世界の人間にとって、無線のビーム砲台というのはそれだけで厄介な代物だ。

 ファントムやソードブレイカーと違ってかなりの大きさを持っているから、まだ見つけやすいが……それでも、MSという兵器を採用したばかりのこの世界で、そんな武器を作り上げるという点では十分評価に値する。

 ニュータイプ用の兵器だろうから、それこそ出来れば何とか入手したいところではあるが。

 

『アクセル、向こう!』

 

 と、フィリップからの通信にジムコマンドの指さしている方に視線を向ければ、そこではコロンブスが1隻、爆発と共に撃沈しているところだった。

 って、何だってコロンブスがこうして外に出てるんだ?

 コロンブスは、連邦軍で使われている補給用の軍艦だ。

 補給用である以上、当然のように武装は最低限しか存在せず……今のこの状況で、ソロモンの外に出すといったような真似をするのは、自殺行為以外のなにものでもない。

 連邦軍も、この状況で何を考えている?

 そう思いながらも、完全に後手に回ってることを自覚するのだった。




アクセル・アルマー
LV:43
PP:1205
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.11
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1620

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