転生とらぶる   作:青竹(移住)

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2635話

 ファントムのような移動砲台的な武器は、俺もニーズヘッグで使っている。

 いや、使うというか……寧ろ、ニーズヘッグの主力の1つと言ってもいだろう。

 だが……それを敵に回した場合、こうも厄介だとは思わなかった。

 敵が使っている移動砲台は、それこそファントムに比べれば数倍の大きさを持つ。

 そういう意味では、戦う方としてはまだやりやすいのだが……そんな敵の武器ではあったが、ファントムと比べて勝っている場所が1つだけあった。

 それが、射程距離。

 勿論ファントムも相当な距離を離れて攻撃出来る武器ではあるが、今回俺が相手にしているビーム砲は、そんなファントムよりも明らかに遠距離から攻撃している。

 少なくても、こうして見た限りではこの戦場にあのビーム砲を操っているMA……シムスから教えて貰ったエルメスとやらは存在していない。

 その点に関しては、この世界の技術の方が上だと思ってもいい。

 とはいえ、それは恐らく念動力とニュータイプという特殊能力の性質の違いだろう。

 基本的にニュータイプの上位互換と呼ぶべき念動力だが、上位互換だからといって、その全てがニュータイプよりも上という訳ではない。

 この件に関しては、ニュータイプの方が上なのだろう。

 ……とはいえ、それでも似たような能力を持っているだけに、こんな超遠距離からの攻撃となると、ビーム砲台のコントロールがかなり厳しい……それこそ、ニュータイプにかなり無理をさせているのではないかと、そう思うのだが。

 

「敵にしてみると、本当に厄介な攻撃方法だよな」

 

 しみじみと呟く。

 今まで、俺はファントムを使って多くの敵を倒してきた。

 そんな敵達は、恐らく今の俺と同じような思いを抱いていたのだろう。

 ……かといって、諦めるといったことはするつもりはなかったが。

 これがガンダム7号機ではなくニーズヘッグなら、それこそT-LINKシステムを使ってビーム砲台の位置を察知し、ファントムで撃墜する……といったような行動も出来る。

 だが、今の状況でそんな事を言ってもな。

 空間倉庫の中にニーズヘッグはあるが、ここでそれを使うような真似は出来ないし。

 

「取りあえず、敵がどこにいるのか分かりにくいというのが大きいな。……せめてこっちに攻撃してくれれば……」

 

 T-LINKシステムがなくても、念動力が使えない訳ではない。

 だが、ビーム砲台がこちらに向かって攻撃をするような真似でもしない限り、念動力で敵の位置を把握するといったような真似は難しい。

 この状況でどうにかするには……やっぱり、アムロの方で何とかして貰う必要があるな。

 現在、アムロは歌の発生源に向かっている最中だ。

 そちらでアムロがニュータイプをどうにかすれば、ビーム砲の動きも当然のように乱れる。

 ファントムを使っている時もそうだが、意識の何割かをファントムのコントロールに回す必要がある。

 もっとも、俺の場合はレベル11の念動力と、レモンを始めとしたシャドウミラーの技術班謹製のT-LINKシステムのおかげで、その負担はかなり軽かったが。

 この手の技術的な蓄積がないUC世界においては、当然のようにその辺はパイロットの負担になっている筈だった。

 

「結局のところ、アムロ任せにするしかない訳か。……出来れば、あのビーム砲台を1つでもいいから確保したいんだけどな」

 

 あのビーム砲台は、ブラウ・ブロの有線ビーム砲とはまた違った……いや、より進化したニュータイプ用の兵装だ。

 ルナ・ジオンにはニュータイプが複数いる以上、出来ればあのような武器を配備したいと思っても不思議ではない。

 ……それ以外にも、この世界独自の技術であるビーム砲台は、出来れば確保したいと思うのは当然の事だった。

 ファントムやソードブレイカーがあるが、この世界の技術で作られたあのビーム砲台は、似て非なる技術。

 それを研究すれば、ファントムも今よりも更に進化する可能性はある。

 とはいえ……長さ2mくらいとかなり小型で、それでいながら射撃武器としてビームを撃ったり、ビームソードとしても使え、更にはビームやレーザーの類を反射させるといった性能も持つ。

 ぶっちゃけた話、これ以上どうやってファントムを強化するのかといった疑問はあるのだが……まぁ、その辺は技術班に任せるとしよう。

 天才と呼ばれる人物が集まっている技術班なら、それこそ俺が全く思いも寄らない性能をファントムに与えたりする可能性は十分にあるのだから。

 ともあれ、そんな未来をどうにかする為には……是非とも、ここでビーム砲台は手に入れておきたいのだ。

 もっとも、普通に考えた場合は大事なのはそのビーム砲台もそうだが、エルメスにあるだろう大元のシステムの方だろうが。

 そんな風に思っていると……ピピッ、と。異変を察知したモニタが小さな音を鳴らす。

 ビーム砲台を見つけたのか!?

 そんな思いで確認すると、全天周囲モニタのスクリーンに表示されていたのは、ジム。

 ただし、そのジムは何かとぶつかっており、それに掴まって宇宙空間を飛んでいる。

 そして、その何かというのは……この状況で考えれば、ビーム砲台以外の何物でもなかった。

 

『おい、アクセル! あのジム……やばいぞ!』

 

 フィリップの叫び声が聞こえる。

 実際、あのジムはかなりボロボロで、MSも半壊状態に近い。

 恐らく、もっと離れた場所でビーム砲台と接触したのだろう。

 MSの動きから見ても、パイロットは……

 そう思ったのと、砲台からビームが発射されてジムが爆散するのは、ほぼ同時だった。

 今まではサラミス、マゼラン、コロンブスといったような軍艦を集中して攻撃していたビーム砲台だったが、狙われるのが鬱陶しくなったのか、それとも軍艦の攻撃はもう十分だと判断したのか、MSにも攻撃をする事にしたらしい。

 これによって被害が広がる事から、厄介なという思いを抱くと同時に、それ以外にもこっちにとってはラッキーな側面もあった。

 何しろ、MSを狙ってきたという事は当然のようにこっちにも攻撃してくる可能性がある訳で……あのビーム砲台を入手しようとしている俺にしてみれば、願ってもない。

 

「加速」

 

 精神コマンドの加速を使い、スラスターを全開にしてビーム砲台に向かって突っ込む。

 幾らガンダム7号機が連邦軍の最新鋭機でも、本来なら出せないような速度を瞬間的に発揮し、先程ジムを破壊したビーム砲台との間合いを詰めていく。

 ビーム砲台を操っているニュータイプは、そんな俺の存在に気が付いたのか、ビーム砲台を移動させようとしているが……遅い。

 いや、MSの半分くらいの大きさで、質量的にはかなり低いビーム砲台だけに、普通なら近付いてくる相手から即座に距離を開けるような事も可能だろう。

 だが……精神コマンドの加速は、一瞬にしろMSの性能の限界を超える。

 瞬時にビーム砲台に近付いた俺は、そのままコックピットを開いて生身のままで宇宙空間に飛び出し、ビーム砲台に触れ……

 

「っ!?」

 

 瞬間、何かの悲鳴が聞こえたような、聞こえてないような……そんな声と共に、ビーム砲台は空間倉庫に収納される。

 それを確認し、ガンダム7号機のコックピットに戻って改めて何が起きたのかを考える。

 とはいえ、俺とニュータイプの関係性を思えば、何が起きたのかを想像するのはそう難しい話ではない。

 俺がニュータイプと接触した場合、そのニュータイプと俺の精神がどこか別空間に飛ばされるという事は、今まで何度も経験している。

 その最たるものが、セイラとの接触だろう。

 それ以外にも何人かと同じような事は起きている。

 それを思えば、あのビーム砲台を操作していた相手と接触した時に聞こえてきた悲鳴は、ニュータイプのものだったのだろう。

 予想外だったのは、ビーム砲台を動かしているニュータイプはシャアだとばかり思っていたのだが、実際に聞こえてきたのは女の声だったことだ。

 直接相手と接触した訳ではなく、ビーム砲台というワンクッションを置いていた為に、相手の詳しい状況については分からなかったが、聞こえてきたのは間違いなく女の悲鳴だった。

 シャアでなかったのは、間違いない。

 ……いや、実はシャアが女で男装しているだけだったりするのなら、女の悲鳴が聞こえてきてもおかしくはないのだが。

 とはいえ、士官学校を卒業しているという事や、何よりもセイラの証言からシャアが実は女であるなんて事はないと知ってるんだが。

 もしかして、本当にもしかしてだが、実はシャアが女でアムロのヒロインだった……何て事はないよな?

 この世界の原作については、もう俺の記憶にはないが……それでも、宿命のライバルだった相手が実はヒロインでしたというのは、何だかんだとそれなりにあってもおかしくはない展開だ。

 あ、でもセイラと接触した時に見たこの世界の将来の映像を思い出すと、やっぱりそれはないか。

 だとすれば、やはりあのビーム砲台を操っていたニュータイプは普通に女だったという認識でいいらしい。

 

「さて、取りあえず最低限のビーム砲台は確保したが、出来れば予備も含めてもう幾つか欲しいところなんだが……」

『おい、アクセル! お前、一体何を!?』

 

 フィリップの焦った声が聞こえてくる。

 俺と一緒に行動していただけに、いきなりの展開に驚いたのだろう。

 ……とはいえ、一応フィリップも俺が生身で宇宙空間とかに出られるというのは知っていた筈だが……

 

「気にするな。俺は生身でも問題なく宇宙空間で行動出来るんだよ。それより、他のビーム砲台がどうなったか分からないか?」

『……一体、お前何なんだよ……ビーム砲台? アクセルが消したら、逃げるように移動していったよ』

「逃げるように? そうか、出来ればもう幾つか入手したかったんだが……まぁ、それはいいか。それよりも、そうなると今回の戦いは終わったって事か。……アムロの方はどうなったか分かるか?」

『いや、分からねえよ』

 

 アムロは歌を辿って敵のニュータイプに対処する為に行動していた筈だ。

 俺が接触したニュータイプの女に対処出来たのかどうか……それは実際のところ、まだ分からない。

 もしかしたら、実際に接触するよりも前に俺がビーム砲台を通して接触したという可能性もある訳で……正直、微妙なところだろう。

 アムロが敵を撃破出来ていれば、ビーム砲台をもっと入手出来た可能性もあったんだが。

 あ、でも敵を逃がしたという事は、MSやMAをこっちで確保出来る機会が巡ってくるかもしれないのか?

 だとすれば、こちらとしては嬉しいんだが。

 ともあれ、敵が撤退した以上はホワイトベースに戻るとするか。

 

「なら、ホワイトベースに戻るか。……ブライトに注意されないといいんだけどな」

 

 ここは、本来ならホワイトベースが受け持つ宙域ではない。

 その件によって、ホワイトベースに戻った後でブライトに注意される可能性は十分にあった。

 とはいえ……俺の場合は連邦軍に所属している訳ではなく、あくまでもその協力者といった形だ。

 地球にいた時は連邦軍に雇われた傭兵という形だったが、今は協力者である以上、地球にいた頃よりも更に軽い。

 指揮系統も正確にはホワイトベースではなくルナ・ジオン軍にあるし、ブライトが俺を注意するといったような真似は、まず出来ないだろう。

 ……それでも注意してくるのが、生真面目なブライトらしいんだが。

 

『うげぇ……嫌な事を想像させるなよな』

 

 俺と違って連邦軍に所属しているフィリップ達は、恐らくかなりブライトに叱責されるのは間違いない。

 とはいえ、結果としては俺達のお陰で敵のニュータイプが撤退したんだが……その証拠はないしな。

 いやまぁ、空間倉庫の中にビーム砲台があるから、ある意味ではそれが証拠になるのかもしれないが。

 

「一応、その辺は俺からもブライトに言っておくよ。向こうがそれで納得するかどうかは、また別の話だろうけど」

『いや。それならしっかりと言い聞かせてくれよな』

 

 そう言ってくるフィリップだったが、ブライトの生真面目さを考えれば、俺が何を言っても大して意味はないような気がするんだがな。

 

「ブライトは生真面目だからな。……その辺については、俺が言ってもあまり効果はないと思うぞ」

『ぬぅ……あーっ、くそ! ここまで苦労して、いつもより頑張ったってのに、何で怒られなきゃいけねえんだよ』

 

 不満そうな様子を見せるフィリップだったが、確かメカニックの女と付き合ってる筈だ。

 そうである以上、ブライトに怒られても恋人から慰めて貰えばいいだろう。

 ……そういう意味では、無口で人づきあいが決して得意じゃないユウや、その手の事には奥手なサマナはブライトから怒られ損って感じがしないでもなかったが。

 ともあれ、いつまでもここでこうしている訳にはいかないし、取りあえず俺達はホワイトベースに戻るのだった。




アクセル・アルマー
LV:43
PP:1205
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.11
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1620

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