ホワイトベースのブリッジの映像モニタに表示されているのは、緑色のMA。
その隣にいるリックドムⅡの大きさを見る限りでは、この緑のMAはかなりの大きさだ。
全高だけでも、MS数機分の高さはある。
「なるほど。やっぱり予想した通りMSじゃなくてMAだったのか」
映像モニタを見ながら、呟く。
基本的にMAというのは、MSよりも大きい。
アプサラスしかり、ビグロしかり、アッザムしかり、グラブロしかり、ビグ・ザムしかり。
それを思えば、このMA……ミライ曰く、とんがり帽子と呼んでいたらしいが、シムスからの情報でエルメスという名前が判明しているこのMAが、MSより巨大なのは納得出来る。
また、ニュータイプ用の装置……あのビーム砲台を自由に動かす為の装置をMSに搭載出来る程に小型化出来ず、この巨大さになったといったところか。
とはいえ、エルメスの外見だけを見た限りでは、MAらしい高い攻撃力があるようには思えない。
前方に装備されているメガ粒子砲が2門といったところか。
勿論、実際には内部に何らかの武装を隠しているという可能性も否定は出来なかったが。
ともあれ、そのエルメスはアムロのガンダムが近付いたところで急にその場から逃げ出した。
アムロも逃がさないようにと攻撃を仕掛けたが、エルメスと一緒にいたリックドムⅡがガンダムと戦い……そして撃破される頃には、その姿は戦場から消えていたのだ。
アムロから聞いてみた時間的には、俺があのビーム砲台を空間倉庫に収納した時間とほぼ同時。
つまり、ビーム砲台経由で敵のニュータイプと接触したすぐ後に、逃げ出したらしい。
……まぁ、聞こえてきたのは悲鳴だったしな。
一体向こうのニュータイプが俺と接触した事でどのようなイメージを抱いたのか、そして体験をしたのか。
それは俺にも分からなかったが、それでも向こうが悲鳴を上げたということは、大きなショックを受けたんだろう。
俺がもう少しビーム砲台を収納するまでの時間があれば、もしかしたらアムロがエルメスを倒せていた可能性はあるんだが。
「アクセル、月ではMAを重要視してるんだろ? 何か分からないか?」
スレッガーの問いに、俺は映像を見ながら口を開く。
「そう言われてもな。これがビグロとかならまだしも、初めて見るMAである以上、こっちではどうしようもないというのが正直なところだ。一応、シムス……ジオンから月に来た奴に聞いてみたところ、エルメスという名前は分かったが……それ以外は見た感じ、ビーム砲台が敵の主力武器なのは間違いない。というか、あのエルメスの姿を見る限りでは、基本的にそれに特化している形だな」
もっとも、ここまで遠距離から一方的に攻撃出来るのなら、それで十分なんだろうが。
接近してきた敵にはメガ粒子砲があるし、護衛のMSもいる。
そして実際、エルメスは自分に近付いてきたアムロのG-3ガンダムから逃げる際に、リックドムⅡがその護衛を引き受けていた。
「そう言われると、納得するしかないか。とんがった性能だが」
リュウの言葉に、俺は首を横に振る。
「違うぞ。MAというのは、基本的に近接攻撃については考えていない。なら、下手に近接戦闘用の武装を持つよりは、何も持たない方が素直に戦闘をしないと諦められる」
ジオン軍で運用されている、ザク強行偵察型。
このザクは、武器を持っていれば敵と戦いたくなるという事から、基本的には武装を持っていない。
……戦力として使う際に、ザクマシンガンを使えるようにはなっているらしいが。
その例を見れば分かるように、とにかく徹底して戦闘を避ける為には、そもそも武器を持たせないというのは一番手っ取り早い方法だった。
ましてや、エルメスはジオン軍で開発されたMAなのだから、同じように近接用の武装を持たせないというのは、十分に有り得るだろう。
メガ粒子砲を持たせている以上、その辺りを徹底しているとは言えないのかもしれないが。
ただ、ザク強行偵察型と違ってエルメスに乗ってるのはニュータイプだ。
ルナ・ジオンには結構な数のニュータイプが存在するのだが、ジオンにはその数はそう多くはない。……まだ見つけられていないだけのニュータイプはいるかもしれないが。
ともあれ、ニュータイプの数が絶対的に少ないのは間違いない。
そうである以上、ニュータイプの生還率を少しでも上げるというのは当然の事だろう。
偵察型の件と考えれば、若干の矛盾があるが。
この辺は、ジオン軍でも色々とあったのだろう。
「アムロ、このデータをコピーして貰ってもいいか? ちょっと月に連絡して色々と調べてみたい」
「え? いや、それは……」
俺の言葉に、アムロはブライトに視線を向ける。
ブライトはそんなアムロに視線を向けられ、難しい表情を浮かべながら数秒考え、やがて頷く。
普通に考えれば、ジオン軍の持つ未知の秘密兵器と呼ぶべきMAの情報は、そう簡単に流していいものではない。
ましてや、俺は連邦軍ではなく月の人間だ。……正確には月ではなくシャドウミラーなのだが、それは取りあえず置いておくとして。
「悪いな」
「構わない。アクセルの事だから、悪用はしないだろ?」
「一応月にはMAに詳しい奴が多いからな。このデータを送ってちょっと聞いてみようと思って」
ディアナの中には、MIP社出身の者も多い。
また、MIP社ではないが、ギニアスもMAについては高い知識を持つ。
それに、このエルメスがニュータイプ用MAだとすれば、ニュータイプ研究所の面々なら何か情報を持っている可能性もあった。
あるいは、ディアナの技術者という事であれば、カトンボやルナ・ジオン軍にもメカニックとして何人かやって来てるので、そっちに話を聞いてもいい。
……それで具体的にどのくらいの情報を入手出来るのかというのは、また別の話ではあったが。
「そうか。なら、何か情報が分かったら頼む」
そうブライトが言ってくるのは、それだけこの相手を厄介な敵だと認識してるということなのだろう。
実際、こっちの攻撃の射程範囲外……どころか、ソロモンのセンサーでも察知出来ない場所から攻撃してくるのだから。
ア・バオア・クーをこれから攻撃する連邦軍にとって、次々と軍艦が撃破されていくというのは、面白くない。
一方的に攻撃をされているというのは、ソロモンにいる者達にとっても、チェンバロ作戦が成功してソロモンを占拠した事で上がっていた士気が、低下の一途を辿ってしまう。
それは、とてもではないが連邦軍の上層部……特に連邦軍の最高指揮官たるレビルにとっても、許容出来る事ではないだろう。
そうである以上、あのエルメスを何とかする必要があるのは、間違いのない事実だ。
とはいえ……あくまでも個人的な意見だが、暫くはあのエルメスもソロモンに攻撃したりしないような気がするんだよな。
理由としては、俺がビーム砲台に触れた時に聞こえてきた、あのニュータイプの女の悲鳴。
俺と最初に会った時のアムロ程ではないが、それでもかなりの恐怖心を抱いているように思えた。
あの状況では、またソロモンを守っている軍艦を攻撃しようとしても、とてもではないが、手を出せない筈だった。
勿論、アムロが俺に対する恐怖……トラウマを克服したように、あのニュータイプの女もその辺りを克服して再度襲ってくるという可能性も否定は出来ない。
普通に考えれば、トラウマというのはそう簡単に克服出来るようなものではないが……ジオン公国が追い詰められている事を考えれば、やはりそれは十分に考えられるだろう。
そういうのでも、どうしようもないのがトラウマだったりもするのだが。
「ともあれ……現状をどうにかするのなら、出来る限り早くア・バオア・クーを落として、その先にあるジオン公国を落とした方がいいだろうな」
「そう簡単に出来たら、苦労しないんだがな」
はぁ、と。
そんな言葉が、溜息と共にブライトの口から出る。
実際、ア・バオア・クーはジオン軍にとっても最後の砦である以上、かなりの戦力が集まっているのは間違いない。
正直なところ、それなら別にア・バオア・クーではなくても、ソロモンに戦力を集めればいいと思ったんだが……ジオン軍にも色々とあるんだろう。
一番可能性が高いのは、やはりギレンとキシリアの対立か。
ジオン公国が危機に陥ってる現状でも、そんな内輪揉めを止める事が出来ないのが、ジオン公国の……いや、ザビ家の限界なのだろう。
嘘か本当か分からないが、ギレン・ザビはIQ240の天才という事らしいが、そこまで頭がいいのなら、現状でジオン公国がかなり負けに近付いてるというのは、分かると思うんだが。
そもそも、そこまで頭がいいのなら、コロニー落としが悪手だというくらいは予想出来てもいいと思うんだが。
実際、コロニー落としによって地球にいる人々……いわゆるアースノイドと呼ばれる者は勿論、宇宙に住むスペースノイドもジオン軍に対して忌避感を抱いている者は多い。
コロニーを落とされたアースノイドは当然だが、スペースノイドも自分達の故郷とも言うべきコロニーを弾頭代わりに地球に落下させるのだから、そんな行為を平然と行ったジオン公国に忌避感を覚えてもおかしくはない。
……そういう意味では、実際に落下したコロニーの住民を毒ガスで殺したシーマも当然のように恨まれているだろうが、シーマの場合はアサクラに……より正確にはキシリアに騙されてそのような行為を行ったという事で、ある程度理解を得られている。
それでも、シーマが使ったのが毒ガスではなくても、そのコロニーを地球に落下させたのは間違いのない事実なのだが。
ともあれ、ジオン軍というコロニー落としを実際に行った相手がいるからこそ、月はそこまで恨まれるようなことはない。
「ギレンとキシリアはかなり激しく敵対しているらしい。……もしかしたら、キシリアは現在の自分達の拠点をギレンに教えていない可能性すらあるかもな」
「まさか、さすがにそれはないだろう? ……というか、キシリア・ザビが新たな拠点を作ったのは、ルナ・ジオン軍の……もしくは、その後ろ盾になっている誰かさんの影響だと思うんだが?」
そう告げるブライトだったが、それが事実だけに俺も言い返す事は出来ない。
普通に考えて、一度俺に攻略されたグラナダをそのまま突撃機動軍の本拠地として使えという方が無理だというのは、俺にも理解出来たのだから。
「ともあれ、補給とかの関係上、本当にギレンがキシリアの拠点を知らないという事はないと思うが、そういう噂がされるくらいには、2人の関係性は悪いって事だよ」
そんな俺の言葉に、ブライトは複雑な表情で頷く。
ブライトにしてみれば、そんな仲間割れをしている状態であっても、連邦軍に押されつつあるとはいえ戦い続けているという事態に思うところがあるのだろう。
「とにかく、俺は一旦このエルメスのデータを持ってルナ・ジオンの区画に戻る。そこで何か分かったら、また連絡するよ。……取りあえず、向こうが一旦逃げた以上、今日また襲ってくるという事はないだろうし」
何より、ビーム砲台を俺に奪われたのは、敵にとっても痛いだろう。
具体的にどんな技術が使われているのかは分からないが、最新鋭の技術というのは基本的にかなり高価になる。
ジオン軍といえども、そんなに高価な代物を次々と補充するのは……あー、でもどうだろうな。
ビーム砲台は本体のエルメスと違って、敵に直接攻撃する役割を持っている。
そうである以上、破壊されるという事も最初からある程度計算に入れられている訳で……その補充用にある程度の予備があってもおかしくはない。
勿論、それはあくまでも俺の予想だが。
ただし、エルメスの挙げた戦果を考えれば、多少高価なパーツであっても、許容範囲内だろう。
ビーム砲に使われている部品がその許容範囲以上に高価であれば、また別の話だったが。
「その間に、出来るだけあのMAの性能を暴いてみる」
「……頼む。あのような相手がいるようでは、ア・バオア・クーに進軍するのも難しいからな」
ブライトにとって、それは当然の言葉だろう。
最悪、MSに乗っているのなら、実力か運によってはビーム砲の攻撃を回避出来る可能性もある。
だが、ホワイトベースのような軍艦ともなれば、MSのように機敏に敵の攻撃を回避するといったような真似は出来ない。
SEED世界のノイマンのような腕利きがいれば、また話は別だったかもしれないが。
だが、操舵の天才と言うべきノイマンだったが、それは数が少ないからこそ天才と呼ばれるのだ。
以前ホワイトベースの操舵を任されていたミナトならともかく、現在操舵を任されているミライでは、残念ながらそんな事は出来ない。
「あ、あの……」
と、俺がブリッジを出ようとしたところで、そんな声が掛けられる。
声を発したのは、アムロ。
何だか戸惑った様子で俺の方を見ているが……
「どうした?」
「あ、いえ。何でもありません」
結局何も言わないアムロに疑問を抱きつつも、俺はブリッジを出るのだった。
アクセル・アルマー
LV:43
PP:1205
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1620