ア・バオア・クー攻略作戦……星一号作戦が発令された。
ソロモンを占拠してからまだそんなに経っていないので、ソロモンを完全に把握した訳ではない。
数は少ないが、未だに連邦軍が把握していない場所にジオン軍の残存兵が残っており、そのような者達によって何度か襲撃があったという話も聞いている。
とはいえ……襲撃があったのは、連邦軍の区画だけなのだが。
ソロモンにいる戦力の9割……あるいはそれ以上が連邦軍で、ソロモンを確保したのも連邦軍である以上、ソロモンの大多数の区画は連邦軍が管理している。
ルナ・ジオン軍に与えられた区画は小さく、その上でコバッタや量産型Wを使って調査や警戒をしているので、そういうジオン軍の生き残りはこっちにやってくる事はなかった。
そんな訳で、星一号作戦が発令されても連邦軍はソロモンを完全に攻略する為の部隊を残し……残った勢力でア・バオア・クーに向かっていた訳だ。
ちなみに、今回の作戦では俺達の出番は基本的にあまりないらしい。
……どうやらソロモンを攻略する時にルナ・ジオン軍が大きく活躍したのが、連邦軍にしてみれば面白くなかったらしい。
まぁ、戦力の数的に連邦軍には遠く及ばないルナ・ジオン軍の派遣部隊があそこまで活躍し、それに焦った連邦軍が自分達もと突出すればビグ・ザムによって大きな被害を受けたのだから、その気持ちも分からないではなかったが。
「折角訓練したのに、出番はなさそうだな」
「そうね。……でも、個人的には出番がない方がいいと思うけどね」
カトンボにある部屋の一室で、クリスが俺にそう言い返してくる。
部屋の中では、ガトーとノリスの2人もいるのだが、そちらは俺が渡した雑誌を読んでいるので、今は静かだ。
……ペルソナ世界の評判がいい料理店の特集をしている雑誌を2人で読んでいるんだが、まさかここまで熱中するとは思わなかった。
アイナとデートに行く際の参考にでもするのか?
いや、けどそうなると、ガトーはともかくノリスが読んでも意味はないような気が。
それにUC世界ではなく、ペルソナ世界の店なんだから、ガトー達はそう簡単に行けないんだが。
「ここで活躍をすれば、連邦軍に恩を売れるし……何より、戦後の報酬にも関わってくる。だからこそ、出来ればもう少し活躍したかったんだけどな」
「報酬?」
「具体的には、ジオン軍が持っている技術情報とか、所有しているMSの譲渡だとか。そんな感じで」
「ああ、なるほど」
その説明に納得したクリスが頷く。
実際、Iフィールドなんて代物を開発してるだけに、ジオン軍の技術力はやっぱり侮れない。
正確には、ビームサーベルとかにもIフィールドは使われているらしいのだが。
最近では技術力でも連邦軍が上だと思ってただけに、この件はちょっと驚きだ。
それに、ニュータイプに対する研究もジオン軍の方が連邦軍よりも上をいってるな。
「それに、ジオン軍に存在する兵器メーカーを合法的に吸収するチャンスだし」
「ディアナだっけ? そこにはもう結構な人数の技術者がいるんでしょう? なのに、もっと欲しいの?」
「当然だろ。技術者は、多ければ多い程いいんだからな」
技術者が多くなれば、人件費が増えるという欠点もある。
だが……ルナ・ジオンの場合、シャドウミラーの後ろ盾がある関係上、その辺は心配しなくてもいい。
寧ろ、シャドウミラーも多くの技術を入手する為に、その手の人材は幾らでも欲しいというのが正直なところだ。
「ふーん。そう考えると、今回の件は残念だったわね。……もっとも、連邦軍が主力になるからといって、私達に出番がないと決まった訳ではないんでしょう? なら、まだ活躍する機会はあるんじゃない?」
「その辺は、正直どうだろうな。……普通に考えれば、その可能性もない訳じゃないけど。ソロモンの一件で、連邦軍は意地でも俺達に活躍させないとか、そんな風に思っているだろうし」
「……一体、どれだけ活躍をしたの?」
「それなりにだな」
呆れの視線を向けてくるクリスに、そう答える。
実際には連邦軍が俺達を後方に回すくらいには活躍した訳だが。
「そう言えば、ソロモンの周辺で起こっていた襲撃の件はどうなったの?」
「ん? ああ、エルメスの件か。そっちはまだ解決してないな。結局数日待っても襲ってはこなかったし」
エルメスのパイロットをしていたニュータイプの女は、結局ビット越しにではあったが、俺と接触した時の衝撃から復活出来なかったらしい。
とはいえ、この世界の主人公たるアムロであっても、トラウマを乗り越えるのは結構な時間を必要としたことを思えば、その辺は不思議ではないのかもしれないが。
星一号作戦においては、カトンボはルナ・ジオン軍として活動する事になっているので、ホワイトベースやサラブレッドとは別々で行動する事になったので、アムロがエルメスに対処出来るのかどうか、正直なところ分からない。
エルメスが出てこなければ、アムロに撃破されるような事にはならないだろうけど……その辺、どうだろうな。
「いいの? 主力がソロモンからア・バオア・クーまで移動したとなると……」
奪い返されるかもしれない。
そうクリスは言いたいのだろう。
「そう言ってもな。結局のところ、ソロモンは連邦軍が占領している場所だし。俺達がどうこうする資格はないんだよ。それに……レビルだってその辺は考えて、防衛は出来るだけの戦力を残しているだろうし」
戦力の大半をこっちに持ってきたのは間違いないだろうが、それでも最低限の兵力は残している筈だった。
でなければ、最悪挟み撃ちになりかねないし。
あるいは、ソロモンに寄らずにどこか別の場所からやって来た敵がいたとしても、挟み撃ちになる前に俺達が対処すると考えているのか。
ア・バオア・クーは、ジオン公国にとって最後の砦だ。
ここを抜かれれば、それこそサイド3しか存在しないが、コロニーで防衛戦を……それも連邦軍全てを相手にそのような真似をするというのは、まず不可能に近い。
だからこそ、ジオン軍はア・バオア・クーに可能な限りの戦力を集めるだろうし、今回の独立戦争を実質的に指揮しているギレンは、間違いなくア・バオア・クーにいるだろう。
IQの高さがそのまま戦術の指揮とイコールではないが、それでも大きな意味を持つのは間違いない。
だが……そうなると、キシリアはどうなる?
ギレンと政治的に敵対しているキシリアが、ギレンと同じア・バオア・クーにいるか?
普通に考えれば、ギレンとの関係が悪いとしてもジオン公国の興亡ここにありといった今の状況で、わざわざ敵対するのは馬鹿らしい。
しかし、その馬鹿らしい真似をするのが、ギレンやキシリアなのだ。
お互いの関係が完全に冷え切っている関係上、意地でも同じ場所にいたくないと考えてもおかしくはない。
それに実際、キシリアはグラナダから本拠地を移しており、こっちの後ろを突く事も不可能ではない。
それだけではなく、キシリアはソロモンから宇宙攻撃軍が撤退する際に、少なくない数の戦力を確保している。
つまり、十分にギレンとやり合えるだけの戦力は持っている訳だ。
……いや、純粋に双方が持つ戦力を考えれば、宇宙攻撃軍の残存兵を吸収した分だけ、キシリアの方がギレンより上回ってるんじゃないか?
何しろ、宇宙攻撃軍と突撃機動軍というのは、元々一つのジオン軍だったのを、MSの運用を巡ってキシリアとドズルが激しく対立し、それに対処する為にギレンが軍を2つに割ったのだ。
それを考えれば、ジオン軍の多くはキシリアの下にいる事になり……ア・バオア・クーで待ってる戦力は、ギレンが率いる部隊であったり、元々ア・バオア・クーに配属されている部隊だったりという事になる。
「ん? ……ちょっと、アクセル。これ!」
不意にそんな声を発したクリス。
何かあったのか? と思ってクリスの視線を追うと、そこには映像モニタがあり、映像モニタでは戦闘の光が見えた。
とはいえ、それはそこまで大規模な……それこそ、レビル率いる連邦軍の全てが戦闘に入っている訳ではなく、あくまでも連邦軍の一部が戦闘を行っているといった程度の光でしかない。
「これは、ジオン軍の偵察隊辺りが連邦軍に見つかったのか? いや、それにしては結構派手に戦闘をしているな」
ジオン軍の偵察機といえば、ザクの改修機だ。
武器を持っていれば戦ってしまうという事もあり、基本的に武器を持たないで偵察に出るのが普通の筈だった。
だとすれば、連邦軍に見つかってもここまで派手な戦闘にはならない筈だ。
逃げる偵察機を連邦軍が一方的に追うといったような展開になるだろう。
そうなると、見えるビームの光だったり爆発光は一方的になってないとおかしい。
だとすれば……偵察ではなく、普通に連邦軍に奇襲をしたのか?
「精鋭か、何も考えていない単純な奴か。……どっちだと思う?」
そう聞いたのは、先程まで俺の渡した雑誌を読んでいたガトーとノリス。
クリスの言葉に、さすがに雑誌を見ているような真似は出来ず、映像モニタに視線を向けていた。
「普通に考えれば、精鋭でしょう。ですが、今のジオン軍には新人どころか……学徒兵すらいると聞いています。もしかしたら、そのような者達が先走った可能性も否定出来ません」
ガトーのその言葉に、俺はバーニィを思い出す。
正確には、バーニィは高校を卒業した後で一応それなりに訓練を受けているので、学徒兵とは呼べないのかもしれない。
だがそれでも、ガトーやノリスのような腕利きのパイロットにしてみれば、そんなのは学徒兵とそう変わらないように思えるのだろう。
「ジオン軍の人的資源の損耗は、かなり深刻だな。……まぁ、俺達が言えた義理ではないんだが」
「そうですね」
ガトーが複雑な表情でそう告げる。
ジオン軍の人的資源の損耗。
この影響は、間違いなくルナ・ジオンにある。
原作でなら、あるいは最後までジオン軍は人的資源の損耗にそこまで苦しまなくてもよかったのかもしれないし、学徒兵の動員などといったことはなかったかもしれない。
だが、この世界においては、セイラが建国したルナ・ジオンによって、多くのジオン公国の人間が……それこそ、ジオン軍の軍人も含めて月に移住や亡命をしている。
その結果として、ジオン軍は原作とは比べものにならないくらいに、人的資源が損耗してしまっているのだ。
だからこそ、義理堅いガトーにしてみれば、色々と思うところがあるのだろう。
もっとも、その割にはソロモンでは獅子奮迅の活躍をし、ソロモンの悪夢という異名を持つまでになったのだが。
「そうなると、その辺はどうなるか……あ、終わったな」
映像モニタに表示されていた戦闘の光が消えた。
つまり、どっちかの負けで戦いが終わったのだろう。
ガトーの言うように学徒兵だったりした場合は、連邦軍の勝利。少数精鋭の部隊が攻撃を仕掛けたのなら、ジオン軍の勝利といったところか。
「とはいえ、この状況で攻撃をしかけても……連邦軍を多少警戒させるような事は出来ると思うけど、嫌がらせ以上の事は出来ないんじゃないか?」
「そうですね。ですが、攻撃をされれば連邦軍も動きを止めたり、もしくは周囲を警戒して動きをゆっくりとする必要があるでしょうから、ア・バオア・クーが戦力を整えるまでの時間稼ぎと考えれば……」
「なるほど。とはいえ、そうなると攻撃を仕掛けた側は捨て駒扱いだな」
ミノフスキー粒子を散布して見つからないようにしているとはいえ、それはあくまでも攻撃をするまでの間だ。
実際に攻撃をすれば、当然のようにすぐに見つかってしまう。
「そうですね。攻撃をしてすぐに離脱するといったような真似が出来れば、被害を抑えられるんでしょうが……」
「爆発光から考えると、攻撃をしてすぐに撤退はしていなかったようですな」
ガトーの言葉に、ノリスがそう繋げる。
実際、その言葉は間違っておらず、ジオン軍が連邦軍と戦ったからこそ、しっかりとした戦闘になったのは間違いない。
それは、正直なところ色々と勿体ないと思わないでもなかったが。
「取りあえず、こうして連邦軍が攻撃をされているということは……」
俺達の方にも敵が来る可能性があるから、気をつけよう。
そう言おうとした瞬間、警報音が部屋の中に響く。
「どうした?」
ブリッジの量産型Wに連絡をするが、連絡をした時点で何が起きたのかというのは、大体理解していた。
先程の連邦軍との戦闘を思えば……そしてルナ・ジオン軍が連邦軍の最後尾に位置しているのを考えれば……
『敵MSを発見。こちらに近付いてきています。攻撃をする予定かと』
量産型Wらしい、淡々とした受け答え。
だが、その言葉は間違いなくこのカトンボが……そして他のルナ・ジオン軍が狙われているという事を意味していた。
「迎撃態勢を取らせろ。連邦軍が見ている中で、間抜けな真似は出来ないぞ」
そう言いながら、俺はガトー、ノリス、クリスの3人と共に格納庫に向かうのだった。
アクセル・アルマー
LV:43
PP:1205
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1620