転生とらぶる   作:青竹(移住)

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2641話

『ふむ、では問題はないということですな?』

「ああ、こちらは何も問題がないから、すぐに追う」

 

 連邦軍の軍人……丁度連邦軍艦隊の最後尾付近を移動しているサラミスの艦長は、俺の言葉に頷くと通信を切る。

 ……さて、こうして通信を送ってきた理由は、一体何だったのか。

 ジオン軍の奇襲で俺達が無事だったのか……そして被害を受けた場合は、一体どのくらい被害を受けたのかといったことを気にしての行動という可能性は、十分にあった。

 もっとも、こっちが多くの被害を受けたからといって、攻撃してくるつもりはなかっただろうが。

 敵にしてみれば、今回の一件はルナ・ジオン軍の実力を見るという意味で大きかった筈だ。

 それこそ、間違いなく映像データでこっちの戦闘を録画していた筈だ。

 連邦軍にしてみれば、ルナ・ジオン軍は現在は手を組んでいるものの、本質的に味方と思っていない者も多いだろう。

 何しろ、連邦軍や連邦政府というのは、この地球圏で唯一の国家であると、そのように認識してるのだから。

 ましてや、連邦軍が現在戦っているのは独立を目指しているジオン軍だ。

 ……南極条約を結んだ時点で、連邦軍はジオン軍を国家という扱いにしているのだが、それはともかくとして。

 ジオン軍の独立を許すことなく、こうして戦っている。

 それを思えば、ルナ・ジオンという連邦軍以外の国は、連邦政府や連邦軍にとって許容するのは難しいだろう。

 もっとも、シャドウミラーという異世界の存在が後ろ盾になっているので、今は何も言えないのだろうが。

 それでもジオン軍との戦争が終われば……多分、何らかのちょっかいを掛けてくる奴がいても、おかしくはない。

 レビルがいれば、そう簡単に好き勝手な真似をするのは難しいから、表立ってという訳ではなく、裏から何らかのちょっかいをかけてくる……といったような形になると思うが。

 

「取りあえず俺の役目は終わった。後は、連邦軍がア・バオア・クーをどうやって攻めるかだな」

「やっぱりソロモンの時と同じく、ソーラ・システムを使うのでは?」

 

 俺と連邦軍の艦長のやり取りを見ていたガトーが、そう言ってくる。

 ガトーの意見にノリスも同意なのか、頷いていた。

 ガトーにしてみれば、ソーラ・システムによってソロモンが焼かれたのを、その目で見ている。

 ましてや、その攻撃によってソロモンの周辺にいたジオン軍の戦力は少なくない被害を受けた。

 その威力を知っていれば、やはり今回もソーラ・システムを使うのでは? と、そう思っておかしくはない。

 だが、俺はそれに対して首を横に振る。

 

「ソーラ・システムは、威力はもの凄く高いし効果的なのは間違いないが、太陽光を反射するミラーを1枚ずつ並べていく必要がある。これは、正直もの凄く手間だ。ソロモンではソーラ・システムの存在を知られていなかったので、何も問題はなかったが……そういうのがあると知られてしまっている以上、ソーラ・システムを使おうとすれば、当然のようにジオン軍も邪魔をしてくるだろう」

 

 ましてや、聞いた話によるとミラーは少しの衝撃で動いてしまうらしい。

 つまり……MS……いや、戦闘機であっても、ミラーのある場所に突っ込んで動き回れば、それだけでソーラ・システムは使い物にならなくなる。

 ドズルも一度攻撃を食らったら、すぐに対処したし。

 ……あの時の対処でソーラ・システムにも結構な被害が出ているらしいから、連邦軍がア・バオア・クーにソーラ・システムで攻撃するのは、余計に難しい。

 結局あの手の武器は、準備している間にどうやって敵に気が付かせないかというのが重要になってくる訳だ。

 これからああいう兵器を開発するとなると、それこそ準備の時間をどうやって縮めるかといった事が問題になってくるだろう。

 

「いっそ、月の周囲にある機動要塞のどれかを持ってくるというのも、ありかもしれないな」

 

 月の周囲には幾つもの機動要塞が存在しており、その多くが主砲として強力な……それこそソーラ・システム並か、もしくはそれ以上の攻撃力を持っている。

 それを考えれば、ア・バオア・クーを攻略する時にそれを使えばかなり楽になるだろう。

 ……ただし、連邦軍がそれを受け入れるかと言えば難しいだろうが。

 何しろ、ソロモンの攻略でもルナ・ジオン軍がかなり活躍しており、それを気にしたからこそ、ア・バオア・クーの攻略においては俺達が後方に回されたのだ。

 そんな状況で月の機動要塞を持ってくると言っても……レビルとしても、そう簡単に受け入れる訳にはいかないだろう。

 俺達に友好的なレビルだが、それでも連邦軍を指揮している以上、その第一は当然のように月ではなく連邦軍なのだから。

 それこそ、ア・バオア・クーのジオン軍と戦って大きな被害を受けて、それによって軍が崩壊しかねない……とかなれば、また話は別だろうが。

 

「にしても、連邦軍がソーラ・システムを開発していたとなると、ジオン軍の方でも似たような兵器を開発していてもおかしくはないんだけどな。……何か知らないか?」

 

 ガトーとノリスにそう尋ねるが、2人とも揃って知らないらしく、首を横に振る。

 まぁ、考えてみればガトーもノリスも軍人としては有能であっても、別に諜報員だったり、情報を集めるのが得意って訳でもないしな。

 だとすれば、知らなくてもおかしくはないか。

 

「ですが、ギレン・ザビ、キシリア・ザビの性格を考えれば、アクセル代表の仰る通り、何らかの兵器を開発していてもおかしくはありませんな。……今からでも、サハリン家の情報網を使って調べてみますか?」

「ノリスの気持ちは嬉しいが、それは難しいだろう」

 

 サハリン家は技術者としての一面は強いが、諜報能力という点ではそこまででもない。

 また、何よりもしサハリン家にそこまでの諜報能力があったとしても、今この状況からジオン軍の内情を探るというのは……正直なところ、かなり難しいと思うのは当然だった。

 もっとも、技術者同士というのは何気に連帯感が強かったりするし、その情報網も決して侮れないものもある以上、もしかしたら……本当にもしかしたらだが、どうにか出来るという可能性も否定は出来なかったが。

 とはいえ、今の俺にしてみればサハリン家には純粋に技術者の家系として専念して欲しいという気持ちがない訳でもない。

 折角の長所があるのだから、わざわざその長所を潰してまで諜報をやる必要はないだろう。

 諜報という点では、それこそキャメロン家がいるのだから。

 

「ともあれ、ソーラ・システムに関しては連邦軍が今回使うのは難しいだろうな。……それ以外にも、それこそ攻撃手段は幾らでもあると思うが」

「……例えば、どのような?」

「小惑星を敵に向かってぶつけるとか」

 

 ガトーの言葉にそう返す。

 実際、これはそう珍しい物ではない。

 ジオン軍は連邦軍と開戦後に、月のマスドライバーから地球に向けて岩を発射したし……言ってみれば、コロニー落としも似たような代物なのだから。

 

「うーん、でもそれだと……南極条約に違反しない?」

 

 俺の言葉に、クリスがそう言ってくるが……違反してるのか?

 

「コロニー落としや小惑星のような大質量を使った兵器の使用は禁止とあったでしょ?」

「それは……地球に向けてじゃないのか? 宇宙でも適応されるのか?」

「南極条約には、別に地球と書かれていた訳じゃないから、多分宇宙も含まれると思うわよ?」

「……まぁ、それはそうか。既に同じような兵器を使ってるんだから、それを戦場で使わないという選択肢は、普通ないよな」

 

 してやったりと思っていたのだが、実際には全く意味のないものだったと知り、少しだけがっかりする。

 とはいえ、これはあくまでも連想ゲームのようなもので、実際にその準備をしていた訳でもないので、特に問題はなかったが。

 ちなみに、南極条約を結んだのは、あくまでも連邦軍とジオン軍なので、ルナ・ジオン軍はそれに縛られる必要はないのだが……まぁ、それでもわざわざ波風を立てる事もないだろう。

 もし迂闊にそんな話が広まって、月にコロニー落としや小惑星を落下させようなんて事を考える奴が出て来たら、洒落にならないし。

 ……一応、月の周囲には機動要塞が存在している以上、そんな真似をしても対処は出来るのだが。

 

「そうでしょうね。……とはいえ、お互いに完全に南極条約を守ってる訳ではないようだけど」

 

 クリスの言葉に、今までの経験を考えて納得する。

 基本的に、ここ最近は連邦軍側で動いていたという事もあり、南極条約を違反しているのは連邦軍よりもジオン軍といった印象の方が強い。

 だが、それはあくまでも俺の知ってる限りの情報であって、それ以外……具体的には、俺のいない場所で連邦軍が南極条約違反をしている可能性は、十分にあった

 そもそも、南極条約では中立地帯……具体的にはサイド6近辺での戦いを禁止しているにも関わらず、戦闘が行われていた。

 俺がサイド6でアレックスやそれに関わる諸々を知る事が出来たのは、サイド6付近で戦闘が行われたから、というのを知ったからだし。

 その辺の事情を考えれば、やっぱり南極条約違反は双方がしているものと思った方がいい。

 それに……捕虜の扱いも南極条約に関してはあった筈だが、双方共にそれを守っているとは考えられない。

 まぁ、捕虜に関しては連邦軍もジオン軍も双方が違反してそうだが。

 連邦軍にしてみれば、ジオン軍は自分達よりも圧倒的に国力が少ない格下の癖に逆らって生意気だと思ったり、自分達には存在しなかったMSを開発した事に対する嫉妬だったり、何より地球にコロニー落としをしたというのが許せない。

 ジオン軍にしてみれば、連邦は今まで散々自分達から搾取して私腹を肥やし、絶対民主制によってスペースノイドの人間が政治に関わる事も出来ず、経済的に宇宙の比率が大きいのに、それを不満に思っていたり、国力を傘に好き放題やってきたのが許せない。

 お互いにそんな思いがあり、また同時に今までの戦いで自分の知り合いや友人、恋人、家族といった者達が殺されている以上、捕虜に対して乱暴な対応になってもおかしくはない。

 ……まぁ、中には偶然自分の知り合いが誰も殺されていなかったり、人間が出来ていて、自分の中にある怒りを態度に出さないようにして仕事をするといったような者もいるかもしれないが。

 

「南極条約か。その手の戦時条約は、月の方でも検討しておいた方がいいのかもしれないな」

「そうですね。この戦いでは、月はあくまでも協力しているという立場であって、実際に戦っているのは連邦軍とジオン軍です。この戦いが終わった後でどのような世界になるのかは分かりませんが、その戦いに月が巻き込まれる事は……ほぼ間違いないかと」

「月の戦力を考えれば、それは当然でしょうな」

 

 ガトーの言葉にノリスが同意する。

 月を支配するルナ・ジオンという新興の国家は、戦後にそれだけの影響力を持つのは間違いない。

 連邦としては、自分達の思いのままにならない戦力がいるのを面白く思わないだろうし、何らかの戦争があった場合、そこに月を巻き込むというのは十分に考えられた。

 これは、別に連邦軍が月に攻撃を仕掛けてくるといったようなことではなく、どこかの勢力と戦う時に月を自分達の援軍として参戦させようと、そういう事だ。

 

「条約の他に、その辺についても考えておいた方がいいか。……けど、ジオン公国が負けてしまえば、連邦軍を相手に出来るだけの勢力は……それこそ、月くらいしか残ってないと思うけどな」

「ジオン軍の性格を考えれば、ジオン公国が降伏しても大人しくそれに従うとは限らないでしょうね。だとすれば、ゲリラになったジオン軍と戦う時に月を必要とするんじゃない?」

「クリスの言いたい事も分かるが、それに月を引っ張り込むのは難しくないか?」

 

 ジオン軍という勢力であれば、連邦軍だけでは対処出来ずに月に協力要請をしてくるのも十分に分かる。

 だが、それがゲリラになった敵が相手となると……言ってみれば、それは1つの勢力ではなく、1つの部隊と言ってもいい。

 であれば、1つの部隊の為に月に協力をして欲しいと言ってくれば……それは、ある意味で連邦軍が自分達の実力不足を周囲に知らしめる事になる。

 当然のように、連邦軍としては面白くないだろう。

 いや、面白くないだけではなく、それこそ面子の問題にもなってくる。

 組織としての面子……それも、連邦軍の大きさを考えれば、そんな事はどうあってもやる訳にはいかないだろう。

 だからこそ、ゲリラのような相手を叩くのなら、月に助けを要請するのではなく、自分達の実力だけでやるというのが俺の予想だったし……そして、その予想はそう外れている訳ではないという自信が俺の中にはあった。




アクセル・アルマー
LV:43
PP:1210
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.11
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1621

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