レコアの技量は、確かに新人らしい未熟なものではあったが……それでも、才能の片鱗を見る事は出来た。
「レコア、右から接近してくるザクを抑えろ。クリスはレコアの援護を」
そう指示し、俺は正面からこちらに向かってくるザク……それも、バーニィの乗っていた最終型、FZ型のコックピットをビームライフルで撃ち抜く。
バーニィから聞いた話によると、統合整備計画によって改修されたザクは性能がかなり上がっているらしい。
だが、性能の強化と引き換えに燃費はかなり悪くなっており、長期戦には向かないとか。
とはいえ、ここはア・バオア・クーの存在する宙域だ。
エネルギーが切れたら、すぐにでもア・バオア・クーに戻って回復する事が出来る。
そういう意味では、FZ型のザクは拠点防衛用としては最適なのかもしれないな。
生産性の高さと性能の高さがいい具合に釣り合っているというか……
もっとも、だからといってガンダム7号機を操縦する俺の相手になるかと言えば、それはまた別の話だったが。
そうしてザクを撃破しながら、クリスとレコアの方を見る。
するとそこでは、ザク……FZ型ではない、普通のザクを相手にアサルトブースターを使って一気にザクとの間合いを詰め、近距離でショットガンを使っているレコアのヅダの姿があった。
アサルトブースターを使いこなしている辺り、やはりレコアの才能には光るものがある。
とはいえ、その能力を実際に活かすことが出来るのは、クリスのSP型のヅダがしっかりとレコアの機体を援護しているからなのだが。
『こちら、クリアです』
「よくやった。……確かに、俺達に預けられるだけの技量の持ち主ではあるようだな」
『ありがとうございます。ただ、私程度の技量の持ち主は、他にも多数いますから』
「だろうな。それは否定しない」
そもそも、ルナ・ジオン軍のMSパイロットは異名持ちやパーソナルカラーを許可されているエースパイロットが数多くいる。
そのような者達の能力を考えると、そこにある技量差はとてつもなく大きいだろう。
特にレコアは、まだ10代半ばでパイロットとしての経験も短い。
先が楽しみだという意味では、バーニィと似たようなものか。
……この戦いが終わって月に戻ったら、バーニィとレコアを会わせてみるか?
バーニィはクリスが気になっている様子を見せていたが、クリスの方は全くその気がないみたいだし。
クリスにしてみれば、バーニィとはまだそこまで付き合いが深くないのだから、そういう対象として見ることが出来ないのも、分からないではなかったが。
取りあえずバーニィとレコアなら……年齢的にはバーニィの方が年上だが、引っ張るという意味ではレコアの方が向いていると思う。
そんな事を考えつつ、他の戦闘になる場所を探し……
『アクセル! 聞こえているか!』
と、不意にそんな……半ば悲鳴のような通信が飛び込んできた。
その通信に映っているのは、カイ。
ホワイトベースでガンキャノンを操縦している、腕利きのパイロットだ。
「カイ? どうした?」
この通信の周波数をよく知っていたと思ったが、そう言えば俺がホワイトベースにいた時に教えていたか? と思い出す。
『アムロがとんがり帽子……エルメスと戦ってるんだが、かなり厳しいんだ。俺達だと、援軍にも向かえない。連邦軍の上層部に連絡しても援軍はないし、サラブレッドの方も現在はア・バオア・クーから出て来たMSとの戦闘で忙しい!』
だから、こっちから戦力を回せないか……と、そういう事か。
「ユウはどうした? ユウなら、アムロとの戦闘にもついていける筈だ」
ホワイトベースの中で、本気のアムロと互角に戦える奴がいるとすれば、それはユウだけだ。
勿論パイロットの能力だけではなく、ブルーデスティニー3号機という、EXAMシステム搭載機あっての事だが。
だが、ユウはそのEXAMシステムをリミッターのおかげとはいえ完全に使いこなしており、暴走させるような事はない。
ペイルライダーのパイロットが薬漬けにされてようやく機体を使いこなしていたのを考えると、ユウがどれだけ異常なのかが分かりやすいだろう。
もっとも、ペイルライダーにEXAMシステムが搭載されているというのは、まだ俺の予想でしかないのだが。
その辺りも、出来るだけ早く調べておきたいところだよな。
EXAMシステムが、もしニュータイプの犠牲もなしに量産出来るのだとすれば……今ユウが使っているそのままの性能では色々と危険だが、ダウングレードして使いやすいようにすれば、それなりに使い勝手はよさそうだ。
もっとも、機体の性能を完全に引き出すという事は、それだけ整備も大変になるという訳で……コバッタの類がいる、シャドウミラーだからこそ出来る事なのかもしれないが。
『無理だ。エルメスと一緒に襲ってきた敵の数が多いし、ビットの攻撃からフィリップを庇って、ダメージを受けている』
「……そうか」
フィリップも、ホワイトベースの中では標準的な技量でしかないが、連邦軍全体で見れば、間違いなく上位に位置するだけの実力を持っている。
そんなフィリップですら、エルメスのビットによって致命的な攻撃を受けそうになったというのを考えると……やはり、エルメスは厄介だな。
にしても、フィリップを庇ってダメージを受けたにしろ、ブルーデスティニー3号機が撃破されていないというのは、少し驚きだ。
ビットから放たれるビームの威力が強力なのは、それこそサラミスやマゼランを何隻も撃沈しているのを見れば明らかだろう。
だというのに、ブルーデスティニー3号機はMSであるにも関わらず、攻撃を受けてもダメージはあっても撃破はされていない。
これは、余程上手い具合に敵の攻撃を機体で受けたといったところか。
もしくは、シールドでどうにか対処したという可能性も否定は出来ない。
「敵はエルメスだけじゃないんだな? 数が多いってのは、具体的にどれくらいだ?」
『20機近い! それに……奴が……シャアが来てるんだよ! しかも赤いゲルググに乗って!』
なるほどな。
例えエルメスが相手でも、アムロがそこまで苦戦するというのは、正直なところ納得出来なかったが……その中に、赤い彗星のシャアがいるとなれば、話は変わってくる。
シャアを相手にするとなると、それこそ並大抵の実力ではどうしようもないだろう。
アムロにしてみれば、それこそエルメスとシャアの双方を相手にする必要があるのだ。
その上で、シャアの乗っている機体がザクでもズゴックでもなく、ジオン軍の中でも最新鋭機たる、ゲルググ。
ジオン軍に存在する兵器メーカーの総力を結集して開発されたその機体は、性能という点で突出してる。
幸か不幸か、今までそこまで腕利きのパイロットが乗っているゲルググと遭遇した事はあまりない。……ちなみにこの場合の腕利きというのは、あくまでも俺にとっての腕利きで、端的に言えばこのUC世界における異名持ちクラスの連中だ。
そんな強敵が相手ではなかったので、ゲルググに乗っている奴が相手でも、全く問題なく戦えていたが……このゲルググにシャアが乗ってるとなると、また話は違ってくる。
その上で他にもMSパイロットがいるのだから、ホワイトベース隊の面々で対処出来ないというのも、納得出来た。
ユウが万全の状態ならどうにかなったかもしれないが、機体が損傷しているのでは、どうにもならない。
いやまぁ、ユウの能力なら余っている普通のMSを使ってもそれなりに活躍は出来るだろう。しかし、ユウがアムロに匹敵するだけの実力を発揮するのは、やっぱりユウという凄腕のMSパイロットと、EXAMシステムを搭載したブルーデスティニー3号機があってこその話なのだ。
その2つが揃ってようやく互角という点で、アムロが異常なまでの能力を持っているという事は理解出来た。
「分かった。そうなると、そっちを放っておく訳にはいかないな。すぐに向かう。座標を送ってくれ」
『頼む! でないと、アムロがやられちまう!』
カイがそう叫ぶと、自分がいる場所の座標をこちらに向かって送ってきて、すぐに通信が切れた。
恐らく、俺達以外にも知り合いに救助を求める通信を送っているのだろう。
「さて、そんな訳で、これからホワイトベース隊の援護に向かう訳だが……どうする?」
クリスとレコアの2人に、そう通信を送る。
クリスはそれなりに高い技量を持っているし、ヅダも遠距離からの攻撃を主とする高機動狙撃型だ。
それに対して、レコアは技量もクリスより低いし、ヅダのタイプも敵と直接戦う強襲型だ。
レコアの技量でシャアやその部下……技量が高いだろうMSパイロットと戦えば、どうなるか。予想するのは難しい事ではない。
だが……
『行きます!』
『行くわ』
レコアとクリスが揃ってそう告げてくる。
どうやら、揃って同じ結論に達したらしい。
レコアはともかく、冷静な一面もあるクリスが賛成するとはちょっと思わなかった。
さて、これはどう反応すべきか。
「レコア、お前の実力ではシャアの……赤い彗星の部隊と戦うには、完全に実力不足だ。そうなると、お前は前線で戦う事は出来ない。そうすれば、間違いなく死ぬからな。つまり、もしホワイトベース隊の援軍に向かうのなら、お前の仕事はクリスの護衛となる。それでも構わないか?」
強襲用のA型に乗っているレコアだが、別に敵と正面から戦う必要はない。
クリスの乗っているSP型の護衛としては、十分に戦力となる。
『それは!』
レコアが俺の言葉に不満そうに叫ぼうとするも、その言葉は最後まで口に出ない。
自分がここで何を言っても、俺が考えを変えることはないと、そう理解している為だろう。
そして、それは実際に正しい。
レコアは新米パイロットとして考えれば、かなりの凄腕と言ってもいい。
だが、それはあくまでも新米パイロットとして考えればの話であって、新米を抜け出した一人前のパイロットやベテランを相手にすれば、一対一ではまず勝ち目がないのだ。
「どうする? もしそれが不満なようなら、レコアはシーマの部隊に戻れ。シーマにも、こっちの現状を説明すれば、それに対して否とは言わないだろう」
『……いえ、護衛でも構いません。よろしくお願いします』
数秒の沈黙の後、レコアはそう言葉を返してくる。
レコアにしてみれば、ここでシーマの部隊に返されれば面子が潰れるとでも思ったのかもしれないな。
その判断は、それこそレコア本人がやる事なので俺からは何も言わないが……それでも、今の状況を考えればクリスの護衛がいるのは頼もしい。
「そうか。なら、ついてこい。ただし、護衛という役割を忘れて好き勝手に行動するような事があった場合、相応の処置をする。それでも問題ないか?」
『はい、問題ありません』
取りあえずレコアが俺の言葉に頷いたので、問題はないとしておく。
もしかしたら、現場に行ったところでいきなり自分勝手に行動するという可能性もあるが……そういう時は、それこそシーマに苦情を入れればいいだろうし。
というか、幾ら腕がいいとはいえ、新人にしてはといった程度なんだから、そんな状況で自分の実力を過信するような奴なら、将来的にもルナ・ジオン軍にとって邪魔になるだけなんだから、さっさと死んでくれた方がいい。
「じゃあ、行くぞ」
ガンダム7号機は、ファーストアーマーやセカンドアーマーを装備していれば、MA的な運用……素早く敵のいる場所まで移動出来るが、今のガンダム7号機は素の状態のままだ。
何だかんだと、乗っているMSが大きくなるのは戦いでは使いにくいんだよな。
ビグ・ザムのように、Iフィールドでビームを防げるようになっていれば、また話は別だが。
それに、こういう何もない場所でなら問題はないが、デブリとかが浮かんでいる暗礁宙域とかだと、余計に使いにくい。
MS同士で戦う時は、小回り……運動性が高い方が使いやすいという点もあるし。
そうである以上、素の状態のガンダム7号機は、決して悪い選択肢ではなかった。
そしてヅダも、高機動型として設計されたMSだけに、ガンダム7号機の移動速度には普通についてくることが出来る。
そう考えれば。ガンダム7号機とヅダの小隊というのは、移動速度的な面でそんなに悪くない組み合わせなのは間違いない。
……ここでやはり問題なのは、レコアの乗っているヅダがどう動くかという事だろう。
ここで下手に動いて……それこそ、レコアとシャアが戦うようになったりしたら、それこそ最悪の結果しか予想出来ない。
それでレコアが死ぬだけなら、まだ納得も出来る。
だが、それに護衛対象のクリスが巻き込まれるといったようなことは、絶対に避けるべきだろう。
この考えは、クリスとはそれなりに親しいが、レコアとはまだ会ったばかりだから、というのもあるのだが。
そんな風に考えつつ、俺はアムロとシャアが戦っている宙域に向かうのだった。
アクセル・アルマー
LV:43
PP:1245
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1628