転生とらぶる   作:青竹(移住)

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2663話

「これは……?」

「ジオン軍の戦闘ポッド……オッゴって名前らしい」

 

 格納庫でガンダム7号機の補給と整備を頼んでから、確保したオッゴの側まで移動する。

 パイロットはまだオッゴの内部で気絶しているが、それでもいつ目を覚まして攻撃してくるのか分からない以上、周囲にはいざという時の為にコバッタが待機していた。

 ……とはいえ、コバッタの武器はあくまでも対人用なので、オッゴのような戦闘ポッドに効果があるとは思えないが。

 それでも周囲にいるメカニック達の盾になったり、もしくは避難させるといったような事は出来る。

 また、現在コバッタはオッゴのコックピットを開ける為に、ハッキングを行っていた。

 

「ジオン軍でもこんなものが開発されていたんだな」

 

 しみじみと呟くメカニックを見て疑問を抱き、口を開く。

 

「知らないのか? ジオン軍で開発されたんだし、その情報くらいはあってもいいんじゃないか?」

 

 俺の記憶が正しければ、このメカニックは元ツィマッド社の技術者だ。

 そうである以上、ジオン軍でオッゴを開発していれば、そのくらいの情報くらいは入手出来てもおかしくはない……と、そう思うんだが。

 

「俺が月に来る前には、このオッゴとかいう戦闘ポッドの開発はされていなかったな。……勿論、俺が知らなかっただけで、実は開発されていた可能性もあるが」

「つまり、オッゴは本当に緊急で開発された代物だって事か?」

「だろうな。……実際、こうして見た限りではザクの部品もかなり流用されているし」

「……ザクの?」

「ああ。武器もあれはザクマシンガンだ」

 

 どうやら、俺の予想通りオッゴが使っていたマシンガンはザクマシンガンだったらしい。

 

「やっぱり、ボールの影響か?」

「勿論それもあるだろうが、それだけではないだろうな。単純に今は使われていないパーツを流用する為に開発された機体という可能性も高い。……戦闘ポッドなら、MSのような難しい操縦技術は必要ないしな」

 

 この辺は俺の予想と同じだな。

 ジオン軍は人手不足で、MSのパイロットを用意する事が出来ない。

 だからこそ、MSを操縦するのは無理でもある程度戦力になるような兵器を欲したのだろう。

 それだけ連邦軍のボールはジオン軍にとって大きな衝撃だったという事なのだろう。

 

「お、開いた」

 

 メカニックの言葉と共に、オッゴのコックピットが開き、コバッタが中からパイロットを運び出してくる。

 

「うわ」

 

 そのパイロットの顔を見て、思わずそんな声が出る。

 別に怪我をして血だらけ……といった訳ではない。

 単純に、そのパイロットの顔がまだ若い……いや、幼かったからだ。

 いやまぁ、外見年齢的にはぶっちゃけ今の俺とそう変わらないように見える。

 そういう意味では、そこまで気にする必要もないのかもしれないが……それでも、実際にこうして見ると、驚くなという方が、無理だった。

 

「アクセル、このパイロットはどうする?」

「取りあえず怪我とかがないかを調べてから、どこかの部屋に軟禁しておいてくれ。コバッタがいれば、その辺は問題ないだろ」

 

 コバッタがいるというのは、ルナ・ジオン軍にとっては非常に大きな強みとなっている。

 何しろ、コバッタは様々な仕事が出来るし、戦闘もある程度はこなす。

 その上で、無人機である以上は簡単に量産も出来る。

 ……勿論、どうしても無理な仕事とかもあるが、大抵の仕事はある程度どうにかなるのは事実だ。

 

「分かった。後は……このオッゴだな。どうする? 今のうちに、少しでも調査しておくか?」

 

 そう尋ねるメカニックの様子は、決してやる気に満ちているといった様子ではない。

 さっきも言っていたように、ザクとかの部品を流用して開発されたと思えるだけに、ジオン公国出身者としては、見るべきところはあまりないのだろう。

 コストの安さは、魅力的だろうが。

 ただ、それはあくまでもジオン軍のように国力が低い国だからだろう。

 いやまぁ、連邦軍でもボールを開発したのを考えると、必ずしもそうとは言えないのだが。

 月であれば……少なくても将来的にシャドウミラーからの援助がなくなった後ならともかく、今の状況では資源に困るような事はない。

 そんな月にしてみれば、オッゴのような戦闘ポッドは……まぁ、将来の為に戦闘ポッドの研究を続けるといったような真似をしてもいいとは思うんだが。

 ディアナの技術力は、相当に高い。

 それだけに、戦闘ポッドの研究を続ければ将来的には花開く可能性もある。

 

「そうだな。取りあえず調査はしておいてくれると助かる。……このオッゴは、ボールと比べて性能的にはどうだと思う?」

「うーん、まだしっかりと調査はしていないが、前線での様子を見る限りでは、純粋な性能はボールよりも上だな。何しろ、ザクマシンガンのようにMSの部品を流用しているのが大きい」

 

 まだ調査は始まっていないにも関わらず、そう断言するメカニック。

 何だかんだと、結構興味は持っているらしい。

 

「MSの部品の流用か。……それは見るべきところではあるな」

 

 現在、ルナ・ジオン軍の主力機たるヅダ。

 だが、このヅダも現在はともかく、将来的には別のMSに主力機の座を譲る事になるのは間違いない。

 であれば、ある意味でリサイクル兵器的な意味で戦闘ポッドのような存在はあってもいいだろう。

 MSであっても、ザクタンクとかそういうのがあるんだし。

 ……ただ、ザクタンクというのは現地改修されたMSで、マゼラベースの下半身にザクの上半身というのが共通しているが、それ以外はかなり大きな差異がある。

 それこそ、中には実際に戦闘で使えるようなザクタンクもあれば、作業用に特化したようなザクタンクもあるらしいし。

 それはそれで面白いが、そうなるとどうしても整備性の問題だったり、部品の調達だったりで問題が出来る。

 だからこそ、最初からリサイクル兵器を開発しておけば……まぁ、旧ザクとかは普通に作業用ザクとかとして利用されているので、ヅダも最悪その手の作業用MSにすればいいんだろうけど。

 最終的には、作業用MSとしても使えなくなったヅダを戦闘ポッドにして、それでも使えなくなったら作業用ポッドにして、それでも更に駄目になったら、最後はホワイトスターのキブツに投入する……といったような真似をすればいいだろう。

 

「ああ。そういう意味では、それなりに興味深い機体ではあるな。……ただ、出来ればヅダの部品は他のMSでも使えるようにしてくれれば、パーツ単位で融通する事も可能になるんだが」

「ルナ・ジオン版の統合整備計画といったところか。……一応、それに近い形にはなってるんだろ?」

 

 ジオン軍の統合整備計画が優秀だった事から、ディアナでもそれを念頭において新型MSの開発はしている筈だった。

 ジオン軍としては、ジオニック、ツィマッド、MIPという3つの兵器メーカーに、競争意識を持たせ、切磋琢磨して欲しかったのだろう。

 実際、その狙いは決して間違ってはいない。

 その証拠に、ジオン軍では次から次に様々なMSが開発されていったのだから。

 中には使い物にならないようなMSもあったりしたのだろうが、それでも大半のMSは相応の成果を残している。

 だが……その競争意識を高めた事により、少しでも他の兵器メーカーのMSよりも高性能のMSを開発しようとして、その会社独自の部品を多用するようになった。

 今だからこそ、そういう風に言えるのだろうが、ジオン軍がその辺に気が付いた時は、もうかなり独自の部品を使われるようになっていたのだろう。

 その為、ジオン軍が慌てて共通の部品となるように設定し……その結果として、ザク、ドム、ゲルググといったMSは統合整備計画の影響により、より高性能化したというのは一種の皮肉に近いだろう。

 微妙に不満なのは、ザク、ドム、ゲルググが統合整備計画によって性能向上してるのに、グフが対象になっていない事か。

 ……とはいえ、グフは操縦者の技量があってこそ、その性能を最大限に発揮出来るという非常に個性的な……言い換えれば、使いにくいMSだ。

 その上、現在ジオン軍はほぼ地上から追い払われている状況なのを考えれば……いや、でもズゴックEやハイゴッグとかは水中用MSで、それこそ現在のジオン軍でも使い道が殆どないにも関わらず、統合整備計画の恩恵を受けてるな。

 そう考えれば、やっぱりグフは不遇と言ってもいい。

 ノリスやガトーが地上で使っていたみたいに、グフ系列の機体は使いこなす事さえ出来れば、かなりの性能を発揮するんだけどな。

 そんな風に考えつつも、メカニックとの話を続け……取りあえず、オッゴについては解析を任せる事にした。

 とはいえ、今はガンダム7号機だけだが、もう少し時間が経過すれば、他のMSもそろそろ補給の為に戻ってきてもおかしくはない。

 ……レコア辺りなら、補給ではなく修理の為に戻ってくる可能性もあったが。

 

「俺もそろそろもう一度出る。上手くいけば、オッゴをもう数機確保出来るかも……」

 

 しれないしな。

 そう言おうとした俺の言葉を遮るように、不意に格納庫の中に通信が入ってくる。

 このタイミングで通信が入ってくるとなると、あまりいい予感はしないな。

 

「アクセル、量産型Wからお前さんにだ!」

「ますます、嫌な予感しかしないな」

 

 そんな思いを抱きつつ、通信に出る。

 

「どうした?」

『前線にて、未確認MAが姿を現したとの事です』

「……未確認MA?」

 

 その言葉に、俺は驚くのと同時に納得する。

 ここはア・バオア・クー。

 ジオン公国にとっては、最後の砦なのだ。

 そうである以上、このア・バオア・クーにはジオン軍の最終兵器や秘密兵器の類が眠っていても、おかしくはない。

 

『はい。正確にはビグロをベースにしたMAのようです』

「ビグロか。……それは興味深いな」

 

 現在このUC世界においてMAというのは幾つか種類があるが、その中で最も成功しているMAは何かと言われれば、軍事に詳しい者なら間違いなくビグロを上げるだろう。

 アッザムはMAの中では最初期の代物で、それなりに高性能ではあるが、弱点も多い。

 アプサラスⅢは極めて強力で、MAとしては現時点では完成形に近いが、1機辺りの製造コストが高すぎる。

 グラブロは、ビグロをベースにしてると言われるだけあって完成度が高いが、いかんせん水中という限定された戦場でしか使えない。

 それ以外にもMAは幾つも存在しているが、その中で量産まで行われているのは、ビグロだけだ。

 ……まぁ、そのビグロの量産も、ジオン軍はそこまで数が多くはないし、ルナ・ジオン軍の場合はシャドウミラーの資源があってこそ可能な事だったのだが。

 ともあれ、そんな訳でビグロというのはMAの中でも現時点の完成形の1つと言ってもいい。

 ちなみに、アプサラスⅢも完成形の1つと表現したが、アプサラスⅢの場合はその性能という点での意味の完成形の1つであるのに対して、ビグロの方はそれなりの高性能ではあるが、MAとして量産出来たという意味での完成形の1つだ。

 同じ完成形という表現であっても、実際にはその意味は違う。

 

『現在確認されているのが、1機だけですね。前線から回ってきた画像を回します』

 

 そう量産型Wが言うと、次の瞬間映像モニタにMAの姿が表示される。

 

「これは、また……」

 

 表示されていたのは、俺にとっても完全に予想外の代物だった。

 ビグロをベースにしたMAということで、ビグロマイヤーとか、そっち系のMAかと思っていたんだが……それは、ビグロの後方に巨大な建造物を背負っているような……どこか、ヤドカリ的な印象を受ける。

 ただし、ヤドカリの場合は貝を背負っているといった形だが、このビグロは貝ならぬ、何らかのパーツをぶら下げているといったような形となっていた。

 ……それでいながら、機体色は何故か赤系統なのは疑問だが。

 シャアやジョニーにあやかっての事なのか、ニーズヘッグを使っている俺に対する挑発なのか。

 普通に考えれば前者だろうが。

 ただし、あんな巨大な物体をぶら下げていれば、ビグロの最大の特徴たる機動力を殺すような事になるような……だとすれば、あのビグロは機動力を活かして飛び回りながら攻撃をしたりする訳ではなく、その場に留まって攻撃を行うのか?

 いや、だが……あんな巨体でその場に留まるとなると、当然の話だが戦っている相手にとってはいい的だ。

 待て。いい的?

 あのビグロの改修をした者達も、当然のようにそのくらいの予想は出来た筈だ。

 それこそ、あのビグロはビーム兵器で狙われてもおかしくはない。……つまり、あのビグロはビーム兵器を無効化する機能……ビグ・ザムが使っていたIフィールドがあるのか?

 可能性としては、あのビグロがIフィールドを装備していても、決しておかしくはない。おかしくはないが……そうだな、その辺は実際に近付いて確認してみた方がいいか。

 

「分かった。可能なら、あのビグロを捕らえる。……出撃するぞ!」

 

 映像モニタの向こう側にいる量産型Wと、俺の隣でビグロの新型に目を奪われていたメカニックの2人に、そう告げるのだった。




アクセル・アルマー
LV:43
PP:1265
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.11
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1632

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