転生とらぶる   作:青竹(移住)

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2666話

 ビグ・ラングを渡すか、もしくはビグ・ラングと共に月に亡命してくるように説得していたところ、不意に攻撃を受けた。

 もしかして、誤射か?

 そう思わないでもなかったが、ガンダム7号機の全天周囲モニタに表示されているのは、ビームガンを構えているジムコマンドの姿。

 ちなみにこのジムコマンドは、同じ名前であってもコロニー内仕様と宇宙仕様があるという変わり種だが……その中でも一番大きな違いは、コロニー内仕様の場合は実弾のマシンガンを装備しており、宇宙仕様の場合はビームガンを装備している。

 現在、そのビームガンの銃口が、明確に俺に……ガンダム7号機に向けられている。

 それを見れば、とてもではないが今の一撃が誤射だったなどとは思えない。

 明白に俺を狙っての一撃以外のなにものでもない。

 

「何のつもりだ?」

 

 連邦軍用の周波数で、俺を狙ってきたジムコマンドに通信を入れる。

 取りあえずモニクとオリヴァーとの通信は繋がったままだが、こっちの声は聞こえても、向こうからの声は聞こえないようにしておく。

 

『そっちこそ、何のつもりだ! 倒せる時にジオン軍を倒さず、その上で何かの密談をしている。……それを見れば、とてもではないが味方だとは思えないぞ!』

 

 聞こえてきたのは、怒声。

 その言葉の内容には、一応理解出来るところがない訳でもなかった。

 人の数が少ないEフィールドという場所で、敵の……しかもビグ・ラングという巨大なMAと接触しているのだから、俺を怪しむなという方が無理だろう。

 とはいえ、MSの識別反応を確認すれば俺が連邦軍ではなくルナ・ジオン軍の人間であるという事は一目瞭然だ。

 

「お前の言いたい事は分かった。だが……俺は連邦軍じゃなくて、ルナ・ジオン軍の人間だ。そして俺達には独自に行動する権利が与えられている」

『それでも、敵と密談するような真似が許容出来るかぁっ! それもジオン野郎なんぞと、恥を知れ!』

 

 あ、今の通信を聞いて、モニクが何か騒いでるな。

 モニクにしてみれば、この連邦軍の兵士の言葉は大きな不満を抱くには十分だったのだろう。

 それにしても、このパイロットはジオン軍に強い恨みを持っているらしい。

 いやまぁ、連邦軍に所属している者の中には多かれ少なかれそんな恨みを持っている奴がいるんだから、おかしくはないが。

 

「お前の気持ちは分かる。だが、俺達はルナ・ジオン軍だ。その中には当然ジオン・ズム・ダイクンの思想がある国で、そういう意味では今のジオン公国は間違っているが、それでも同胞に近い」

 

 俺は別にこの世界の人間じゃないんだから、今のは殆ど口から出任せに近いが。

 だが、実際に今のジオン公国に残っている者の中には、ザビ家を信用出来ないが、ダイクン派もちょっと……という風に思っている者も多い。

 また、ジオン・ズム・ダイクンが死んだ後のジオンはデギンが率いていたという実績があるのに対し、ルナ・ジオンの女王はまだ17歳のセイラだ。

 その年齢から、頼りないと思う者も少なくない。

 それ以外にも様々な理由で、月に来ないという者はいる。

 そのような相手を説得しているのだと知れば……そう思ったのだが、生憎と向こうにしてみればジオン軍憎しで心が凝り固まっているらしい。

 

『ふざけるなぁっ! ジオン軍の連中を引き入れるだと!? そんな真似をする奴は、俺の敵だ!』

「……敵ならどうする?」

 

 この様子だと、これ以上は何を言っても無駄だろう。

 そう判断し、俺は気持ちを切り替える。

 向こうには向こうの言い分だがあるのだろうが、だからといってこっちがそれに従わなければならないという訳ではない。

 これ以上こっちの邪魔をするのであれば、それこそ排除する事もやむなし、と。

 そんな思いで尋ねるが……ジムコマンドのパイロットは一向に退く様子をみせない。

 

『決まっているだろう。敵なら……撃つ!』

「いいのか? お前が……連邦軍がルナ・ジオン軍に攻撃をするという事は、大きな問題となる。それは全ての連邦軍に影響を与える事になるんだぞ。それも、最悪の場合はこの場でジオン軍、連邦軍、ルナ・ジオン軍といった三つ巴の戦いになる可能性すらある。そうなれば、当然だがお前の名前は悪い意味で歴史に残る事になる。その上、お前の家族や親類も、お前がいたからという事で、最悪の結果になるかもしれない」

 

 そう告げ……最初の間は俺の話を聞いていた男だったが、最後の家族云々のところで表情が一変する。

 

『俺には、もう家族はいない。お前達ジオンによって、殺されたからなぁっ!』

 

 その叫びと共に、ビームガンのトリガーが引かれ、連続してビームが放たれる。

 瞬間、俺はスラスターを使ってモニクの乗っているゲルググの胴体を持ったまま、その場から移動した。

 映像モニタではモニクが騒いでいる様子が一瞬見えたが、幸いにして現在はこっちからの声は聞こえるが、向こうからの声は聞こえないようにしてあるので、こっちの行動の邪魔にはならない。

 ビグ・ラングの方は無事か? と思うも、ジムコマンドのビームガンの銃口が向けられているのは、あくまでもガンダム7号機だ。

 先程までの会話から考えると、あのパイロットはジオン軍に対しては強い恨みを抱いているのだろうが……それでも俺に狙いを付けてくるということは、ジオン軍には強い恨みがあるが、それよりもジオン軍を自分達の勢力に引き込もうとした俺が、ジオン軍以上に気にくわないといったところか。

 ともあれ、いきなりの攻撃ならともかく、こうして距離を取ってしまえばジムコマンド1機程度はどうとでもなる。

 それこそ、そのつもりになれば撃破することだって可能だろう。

 だが……このパイロットは、連邦軍に対しての切り札となる。

 いや、切り札とまではいかないか。

 それでも、交渉条件の1つとして有効なのは間違いない。

 そうである以上、出来ればこのまま撃破しないで、生かしたまま捕らえたかった。

 ……問題なのは、モニクの乗っているゲルググの胴体をどうするかだろう。

 こうして抱えている以上、当然だがガンダム7号機で普段通りの動き……Gを無視したような機動は出来ない。

 もしそのような真似をした場合、俺はともかくモニクが怪我をしてしまい……最悪死んでしまいかねない。

 また、胴体を抱えている以上は最低でも片手はその保持に使われなければならない以上、戦闘では使えない。

 かといって、まさかここで胴体をその辺に放っておけば……間違いなくジオン軍が救出に来るだろう。

 ビグ・ラングを入手する上で、モニクという存在は不可欠だ。

 そうである以上、そのような真似も出来ない。

 そうなると、可能なのは……やはり援軍に来て貰うという事だろう。

 このEフィールドにいるルナ・ジオン軍は、別に俺だけではない。

 それどころか、現在連邦軍に協力しているルナ・ジオン軍の全てがここには集まっているのだ。

 であれば、ここで援軍を期待するのはそうおかしな話ではなく……

 

『おう、アクセル。何だか随分と面白そうな状況になってるな』

 

 そう通信を送ってきたのは、3機の黒く塗られたヅダ。

 黒い三連星のガイアからだ。

 そこに続く他の黒いヅダ2機は、オルテガとマッシュのヅダで間違いないだろう。

 

「丁度いいところに来てくれたな」

『らしいな。ジオン軍と戦ってるのならまだしも、なんで連邦軍と戦ってるんだ? それも、アクセルからは攻撃しないで、一方的に攻撃される形で』

 

 こうして話をしている間も、現在進行形で俺はジムコマンドに狙われていたりする。

 その攻撃を回避しつつ、モニクの乗っているゲルググの胴体を持ったままで、俺は攻撃を回避し続けていたのだ。

 ここまで露骨に攻撃を回避していれば、向こうもお互いの実力差には気が付いてもいいと思うんだが……残念ながら、頭に血が上っている状態ではそんな事も判断出来ないのか、全くこっちに対する攻撃を止める様子はない。

 いっその事、攻撃をするのを諦めてくれると、こちらとしても色々と楽だったのだが……生憎と、そんな様子はない。

 こうなると、エネルギー切れを待った方がいいか?

 ジムコマンドが使っているビームピストルは、当然の話だがガンダム7号機が使っているビームライフルと、構造そのものは同じだ。

 つまり、エネルギー切れになると、充電するまで使い物にならなくなる。

 勿論、ビームライフルと違って、ジムコマンドという量産機が使うようになっている武器である以上、製造数は多い筈だ。

 つまり、このジムコマンドの母艦に向かえば、そこですぐにエネルギーの充電が完了している、新しいビームガンを持ってくる事が出来るのだ。

 とはいえ……当然の話だが、俺がそれに付き合う必要はない。

 もしビームガンのエネルギーが切れて、ジムコマンドが母艦に戻ったら、俺もその隙にモニクを引き連れてここから移動するだけだ。

 そう考えていたのだが、黒い三連星が来たとなれば話は違ってくる。

 

「ガイア、悪いがあのジムコマンドを鹵獲してくれないか?」

『鹵獲? 撃破じゃなくてか?』

「ああ。あのMSのパイロットは、友軍である俺を攻撃しようとした。それも、こっちが制止するのも全く聞かずにな。これは戦いが終わった後で、連邦軍と交渉する際のカードの1つとなる」

 

 ジオン軍の遺産とも言うべき代物は、出来る限り多く手に入れておきたい。

 このパイロットは、その為の大きなカードの1つとなる。

 例え戦いの中であるとはいえ、もし連邦軍がそのような真似をしたと知られれば……これは連邦軍にとって、大きな損失となる。

 あるいは、この世界にルナ・ジオン軍が存在せず、ジオン公国が降伏した後で残っているのが連邦軍だけなら、この手の不祥事も隠す事も可能だったかもしれない。

 だが、現在このUC世界には連邦以外にルナ・ジオンという国がある。

 ……一応サイド6も実情はともかく、表向きは中立という立場を取っている以上、数に入れてもいいかもしれないが……サイド6の軍隊のリーア軍は、アレックスの件で見たけど、とてもではないが軍と呼ぶのは不可能な編成や規模だった。

 警察組織という点で考えれば、ありかもしれないが。

 ともあれ、そんな訳で連邦軍としては友軍に攻撃をしたという事が公になれば、ダメージが非常に大きい。

 それをどうにかする為には、やはりこの件を公にしないという選択肢が一番大きく、そして公にしない代わりに、こちらの要望も呑んで貰う。

 そして、呑んで貰う要望は……当然のように、この戦いが終わった後の事だ。

 とはいえ、それでも結局のところ1人のパイロットがやった事である以上、そこまで大きな条件と交換したりといったような真似は出来ないだろうが。

 ただし、そこまで大きくない条件となら交換出来るということを意味してもいる。

 もしくは、他にも幾つかの取引材料があれば、それと抱き合わせてどうにかするという事も出来る。

 敵の攻撃を回避しながら、ガイアにその辺りの事情を説明し……

 

「そんな訳で、頼めるか? 俺は、あのビグ・ラングのパイロットとの交渉もする必要があるからな」

『しょうがないな。あのMA……ビグ・ラングといったか? そちらに興味があるのも、事実だしな』

 

 やがてガイアは、若干渋々といった様子ではあったが俺の言葉に同意する。

 

『オルテガ、マッシュ、行くぞ。ジェットストリームアタックだ』

『おうよ』

『しょうがねえな』

 

 ガイアの言葉に、オルテガとマッシュの2人もそう言って、ジムコマンドに向かって突っ込んでいく。

 3機が直線に並んで、敵に1機だと思わせたり、ガイアの後ろにいるオルテガやマッシュがどんな攻撃をしてくるのか把握させない。

 言ってみれば簡単な攻撃方法ではある。

 だが……その簡単な攻撃方法を一流を超えた超一流と呼ぶべき域にまで高めたのが、黒い三連星のジェットストリームアタックだ。

 自分の前や後ろにいる者達の行動をどんな小さなものであっても見逃さず、それこそ呼吸まで合わせてるのではないかと思わせる程の連携。

 ……連邦軍の1人に向けるには、勿体ないくらいの攻撃ではある。

 ガイア達にしてみれば、冥土の土産といった感じなのだろう。……殺すつもりはないと思うが。

 捕虜にするように言ってあるんだし、取りあえずその辺は信じてもいいだろう。

 

「さて、そんな訳で……」

 

 黒い三連星が向かったからだろう。

 ジムコマンドの攻撃の矛先は、俺から自分に向かってくるガイア達に向けられていた。

 黒いパーソナルカラーを持つ3機のヅダ。

 それだけ状況が揃っていれば、あのジムコマンドのパイロットにも自分に向かって来ているのが黒い三連星であるというのは、分かるだろう。

 ジオン軍に対して強い憎悪を抱いているのなら、当然のように俺ではなくそちらに攻撃を集中させる筈だ。

 ましてや、黒い三連星は赤い彗星、青い巨星といった面々と同様に、ジオン軍の中でもプロパガンダで多く名前を使われていた部隊だ。

 特に黒い三連星は、ルウム戦役においてレビルを捕虜にするという手柄も立てている。

 その辺の事情を考えれば……取りあえず、俺はそちらを気にせず、映像モニタに表示されているモニクに視線を向けるのだった。




アクセル・アルマー
LV:43
PP:1265
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.11
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1632

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