オッゴをいきなり攻撃した、3機のジム。
先程黒い三連星に取り押さえられたのはジムコマンドだったのに対して、こちらはあくまでもジムだ。
……ジムにも開発された場所や時期によって色々と細かな違いはあるらしいが、正直なところあの3機がどんなジムなのかは、俺にも分からない。
ただ、結局のところジムコマンドではなくノーマルのジムに乗っている以上、腕利きという訳ではないのだろうが……ともあれ、そんな3機のジムに近付いてどんなつもりでオッゴを攻撃したのかと通信を送ったのだが……そんな俺の言葉に返ってきたのは、銃口をこちらに向けるという行為。
『止まれ。それ以上近付くな』
そんな通信が送られてきたのを考えると、やはりオッゴを撃墜したのは何らかのミス……という訳ではなく、純粋にそのような動きを狙っていたからということを示していた。
だとすれば、一体何のつもりだ?
可能性があるとすれば……
「お前達がジオン軍に恨みを抱いているのは分かる。だが、あのオッゴ……戦闘ポッドに乗っているのは、学徒兵だ。コロニー落としをした連中じゃない」
『はぁ? あんた、一体何を言ってる訳?』
俺に止まれと言ったのとは、また別の声が聞こえてくる。
真剣さといったものが足りず……それこそ軽い調子で、俺が何を言ってるのか本当に理解出来ないといった様子の言葉が。
軽い調子で告げたその男は、パイロットスーツを着ていても分かるくらい、軽薄な笑みを浮かべ……目に嗜虐的な光を浮かべたまま、言葉を続ける。
『折角獲物がああして集まってるんだぜ? なら、ここで可能な限り撃破数を稼いだ方がいいだろうが。ここでの戦績は、戦後に重要な意味を持つんだ。あんたが月の人間だからって、邪魔をするような真似は許せねえな』
「……なるほど。お前達は最初からこのEフィールドにいた連邦軍じゃなく、俺達と一緒にこのEフィールドに来たサラミスの所属か」
俺達と一緒に来たサラミスの部隊は、評判が悪いという話は聞いていた。
だが、幸か不幸か今までは俺達が行動している中で、何か目立った動きをしたりはしなかったので、すっかりとその辺については忘れていたんだが……どうやら評判は正しかったらしい。
『あったりー! そんな訳で、俺の撃墜数稼ぎに……』
その言葉を最後まで言わせず、ビームライフルを1発撃ち込む。
勿論ジムに命中させるようなことはなく、警告射撃ということで、エネルギーも最低限にしている。
あくまでも警告の一撃だと、そう相手に知らしめる為の一撃だ。
『ちょっと、今の一撃は何のつもりだよ? 冗談にしちゃあ、笑えないぞ?』
「ルナ・ジオン軍からの通信はそちらにもいっていたな? あそこにいる敵はこちらに降伏する予定だ。余計な手出しはしないで貰おう」
『予定って……それはつまり、まだ降伏するって決まった訳じゃないんだろ? なら、俺達が攻撃してもいいじゃん。さっきも言ったけど、この戦いでどれだけの活躍をしたかで、今後の待遇に大きな差が出るんだぜ? なら……分かるだろ?』
「残念だが、それはそっちの理屈だ。そっちが自分達にとって都合のいいようにしたいのと同様、こっちも相応に目論見があるからな」
オッゴそのものは、それこそ1機か2機あればそれで十分だが、この場合俺が欲しいのはオッゴよりも学徒兵の方だ。
学徒兵……つまり、10代半ばから後半くらいの者達というのは、人手が足りない月にしてみれば、それこそ喉から手が出る程に欲しい人材だ。
学徒兵の中には、ジオン公国を守る為に投降はせず、最後まで戦うと主張するような者もいるだろうが。
そのような連中なら、こういうジムの攻撃によって死んでもしょうがないと諦める事も出来る。
だが、誰彼構わず攻撃をするというのであれば、俺としてもそれは許容出来ない。
『ふーん。……それは、連邦軍に敵対するって事なのかな?』
「正確には、連邦軍じゃなくてお前達にだけどな。一応言っておくが、この通信記録はきちんと保存してある。もし連邦軍との間で問題になった場合は、何故戦闘になったのかという事の証明をしっかりとしてくれる筈だ」
『……ふーん……』
通信を記録しているという言葉に、数秒前までとは違う低い声でそう返事をしてくる。
向こうにしてみれば、俺の言葉は許容出来ないといったところか。
それは構わないが、問題なのはこの状況から連邦軍のパイロットがどう反応するのかといったところだろう。
「それで、どうする? これでお前が立ち去るのなら、このまま見逃してもいいが」
オッゴを1機撃破してはいるが、このままここから立ち去るのなら、見逃してもいい。
ジオン軍としては許容出来ないかもしれないが、今は戦争の最中だ。
モニクやオリヴァー達にしてみれば、俺のその言葉には許容出来ないかもしれない。
だが、今の状況ではその不満をどうにかしてやるような真似は出来ない。
そんな訳で、後は連邦軍のパイロット達がどう反応するかだが……
「どういうつもりだ?」
連邦軍のジムが……それも3機揃って、こちらに銃口を向けたのを見て通信を入れる。
『どういうつもりって、決まってるじゃん。あんたが生き残っていると厄介だからね。このまま、ジオン軍に殺されて貰うのさ。そこに俺達が駆けつけて仇を討った。……どう? 自然でしょ?』
「そうだな。自然かどうかで考えれば、自然だな。……ただし、それが実行可能かどうかで考えると、また別だが」
そもそもの話、あの3機のジムが何を考えているのか分からないが、本来ならジムはビームスプレーガンを使うという選択肢もあった筈だ。
にも関わらず、何故かあのジムは3機揃って実弾のマシンガンを使っている。
単純に、3隻のサラミスに乗っていた部隊は評判が悪かったので、ジムは配備されてもビームスプレーガンは配備されなかったのかもしれないが。
ともあれ、ルナ・チタニウム製の装甲を持つガンダム7号機を相手に、実弾では倒すのが無理とは言わないが、相当に難しい。
それこそ、あのようなマシンガンではなくバズーカの類の方が、まだルナ・チタニウム製の装甲を破壊出来る威力を持っているという点では勝算があるだろう。……その攻撃が命中するかどうかは、また別の話だが。
『へぇ、言ってくれるじゃん。なら、それを実際に示して貰おうか……な!』
その言葉と共に、向こうからの攻撃が始まる。
それは脅しでも何でもなく、ガンダム7号機を相手にして自分達が勝てると、そう思い込んでいるような態度だ。
MSの操縦技術云々の前に、今の状況では向こうもどうしようもないのは間違いないと思うんだが……もしかして、ガンダム7号機について知らないとか?
普通に考えれば、そんな事はないと思う。
だが、評判の悪い部隊となれば、もしかしたらその手の情報も流されていない可能性は否定出来ない。
そう考えつつ、向こうが攻撃してきた以上、こちらとしてもそれを大人しく食らう訳にはいかないし、先程のジムコマンドの時のように手加減する訳にはいかないだろう。
ジムコマンドの時は1機だったし、俺に攻撃を集中していたのでオッゴ達に被害が及ばなかった。
だが、この3機のジムは頭に血が上っているものの、それでも冷静に俺を排除しようと攻撃をしてきているのだ。
ここで敵を撃墜しないで生け捕りにしようとすれば、それこそ腹いせや最後の悪あがきでオッゴに向かって攻撃をしたりしかねない。
何よりも、ああいう性格だというのを考えると、生かしておけば何をどうするのか、分からないというのが不安だ。
この手の連中は、それこそ自分勝手に行動する可能性が高い。
……生かしておけば、それはそれで月の農場で強制労働をさせる事が出来るし、コバッタがいれば妙な真似も出来ないとは思う。
だが、今のこの状況でそのような事の為に生かして捕らえた方がいいのかと考えれば、やはり答えは否なのだ。
「なるほど。なら、こっちもお前達の行動に対応させて貰おう」
そう通信を入れ、こちらに向かって銃弾を撃ってくる3機のジムの攻撃を回避しながら、間合いを詰める。
この3機が、何を思って自分達なら俺に勝てるのかと、そう判断したのかは分からない。
だが、その考えが間違いだったということを、しっかりと教育してやる必要があるだろう。
そう判断し、間合いを詰めつつビームライフルを撃つ。
次の瞬間、1機のジムが爆散する。
そして、敵は見るからに動揺した。
まさか俺がこうも平気で友軍の連邦軍を撃つとは思っていなかったのか、それとも単純にここまでの強さを持っているとは思わなかったのか。
その辺の理由は分からなかったが、それでもこちらにとってチャンスなのは間違いのない事実だ。
ビームライフルの1撃で敵の動きが止まったところに、スラスターを全開にして突っ込んでいく。
向こうは咄嗟に頭部バルカンを撃ってくる。
だが、頭部バルカン程度では当然のようにガンダム7号機を止めることは出来ない。
……それ以前に、次々に放たれる一撃はとてもではないが俺のガンダム7号機に命中するといったようなことはなかったが。
そうして間合いを詰めたところで、ビームサーベルを振るい、胴体を一閃。次の瞬間には爆発する。
3機いたジムの小隊は、それこそあっという間に俺によって2機減らされ、残り1機となる。
『なぁっ!? ちょっ、おい、何だよこれ!』
唯一残っていたジムから、そんな混乱したような通信の声が聞こえてきたが、俺はそれに構わずにコックピットにビームサーベルの切っ先を突き刺し、蹴り飛ばす。
その反動で少し離れ……やがて、宇宙に爆発の華が生み出された。
どうやら、ガンダムという機体を相手にするというのが、どういう事なのかを理解していなかったらしい。
この状況でこっちに喧嘩を売るような真似をしてくるのだから、評判が悪い部隊であっても腕利きなのかと思っていたんだが……大きな勘違いだったようだ。
腕利きではなく、現実を知らない単なる間抜けか。
……にしても、そうなればそうなったで、微妙に疑問ではある。
現在連邦軍の指揮を執っている連中は、何を考えてこんな部隊をルナ・ジオン軍と一緒に行動させようなんて考えた?
普通に考えれば、この程度の相手を俺達と一緒に行動させるような理由など、どこにもない。
つまり、普通ではない何らかの考えがあったという事なんだろうが。
さて、それは一体どういう理由なのやら。
まさか、この状況……サラミスの部隊が全滅するのを待っていたのか?
いや、全滅したのは俺に絡んできた連中だけで、他の部隊はまだ普通に戦っている筈だ。
勿論、他のパイロットも同じようにこっちに敵対的な行動をしないとも限らない。
「ルナ・ジオン軍全員に告げる。最初にここで戦っていた連邦軍はともかく、俺達と一緒にここまでやって来た3隻のサラミスに乗っていたMS部隊は、自分達の手柄の為なら平気でこっちを攻撃してくる。そのような真似をするのなら、躊躇せずに反撃しろ。何かあった時は、俺がどうにかする」
そう告げ、通信を切る。
取りあえず、これでルナ・ジオン軍のパイロットが連邦軍のパイロットに襲撃されるような真似はまずないだろう。
ミノフスキー粒子の濃度が濃いので、通信が届いていない場所によっては万が一という事もあるかもしれないが、そのような時は残念ながら諦めて貰うしかない。
運か実力のどっちかがあれば、恐らく生き残る事は出来るだろうし。
連邦軍の指揮を執ってる奴が何故このような真似をしたのか。
連邦軍と月の関係を悪くする必要があるからか?
いや、けど……連邦はジオンとの戦いでかなり疲弊している。
今でこそ、ア・バオア・クーという、ジオンの最終防衛線にまで攻め込んでいるが、だからといって連邦軍に余裕があるのかと言われれば、その答えは普通に否だ。
現状で連邦軍が月と敵対する理由はないし、もし敵対した場合は間違いなく連邦軍が負ける。
そもそも、月は別に南極条約を批准している訳ではない以上、コロニー落としとか普通に出来るし、そこまでいかなくても月にあるマスドライバーを使って地球を攻撃出来る。もしくは、月の周囲に配置されている機動要塞も、その名前通り機動出来るのだから、地球の側まで行けば主砲を使って宇宙から攻撃は出来るのだ。
……そのどれもが、地球環境に大きな被害を及ぼすので、月にいる人員の中にはその攻撃に反対する者もいるのだろうが。
あるいは、メギロートやバッタといった無人兵器を大量に投入するという手段も使えない事はない。
それに最悪、シャドウミラーが出て来れば、それこそ連邦軍ではどうしようもないのは確実だった。
そんな風に考えていると、やがてビグ・ラングから通信が入り……俺が連邦軍を敵に回しても勝利したのを見た為か、素直にオッゴ諸共こちらに投降するという結論になるのだった。
アクセル・アルマー
LV:43
PP:1280
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1635