転生とらぶる   作:青竹(移住)

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2671話

『それでオーリスの奴、エスナに勢い余って告白したら……』

『ちょっ、おい! それは言うなって!』

『あ、俺もそれ聞いた事がある!』

『げ! ちょっ、おい、待てよ。もしかして、その話ってかなり広まってるのか!?』

 

 ア・バオア・クーの戦場を移動中、取りあえず臨時で決めた周波数でそんな通信が飛び交う。

 本来なら、ア・バオア・クーの周辺では多くの戦いが行われている現状である以上、そんな通信をするというのは言語道断だろう。

 実際、俺の膝の上に座っている……それこそ横座りになっており、俺がこのまま立ち上がればお姫様抱っこという形になるだろうモニクは、そんな通信を不機嫌そうに聞いていた。

 

「このような無駄な通信、止めさせた方がいいと思うのだけど」

 

 そう告げるモニクの頬は、パイロットスーツのヘルメット越しであっても見て分かる程に赤くなっている。

 見るからにお堅い性格をしているモニクだけに、俺の膝の上に座っているというのが照れ臭いのか、それともこの通信が気に障るのか。

 ……何となく後者のような気がするのは、きっと俺の気のせいではないだろう。

 

「いや、こうやって通信をする事によって不安を紛らわせてるんだ。このままでいい」

 

 戦っている時ならともかく、今の俺達は出来るだけジオン軍に……そして面倒を少なくする為に、連邦軍にも見つからないように移動している。

 だからこそ、ここで大人しく……声も出さないようにして移動していると、不安から気が滅入ってきてしまう。

 自分達でルナ・ジオン軍に投降するという事を決めたが、誰とも話さずに1人で移動していると、どうしても色々と考えてしまうのだ。

 それこそ、投降せずに母艦に戻ってジオン軍として活動した方がよかったのではないか、と。

 そして一度妙な考えに陥ってしまえば、その考えから抜け出せず……このまま俺達と一緒に行動している方が不味いと判断する可能性も高くなり、やっぱり母艦に戻るといったような選択をする可能性もあった。

 いや、それだけならまだいいのだが、場合によっては何らかの手土産がないと戻れないと思い込み、こっちに攻撃を仕掛けてくるという危険すらあるのだ。

 そんな風にならないように、こうして馬鹿話をさせておいた方が、ネガティブな考えに陥らなくていい。

 

「……そう」

 

 お堅い性格をしているモニクにしてみれば、理由を説明しても完全に納得出来なかったのか、そんな言葉を返してくるが。

 実際、こうして馬鹿話をしているからこそ、戦場での緊張はそこまで感じていないという点もあるんだけどな。

 こうしている今も、映像モニタを見れば幾つもの爆発の光が見える。

 それは、全部が全部とは言わないが……それでも、その大半はMSや……場合によっては軍艦の爆発する光だろう。

 そんな中を、出来るだけ敵に見つからないようにして移動するのだ。

 それを考えれば、やはり緊張するのは間違いない。

 

「これは……本当に凄い。まさか、コックピットの内壁部分を全て映像モニタにするとは。このような発想……」

 

 まぁ、そんな不安よりも全天周囲モニタに強い興味を示しているオリヴァーのような奴もいたが。

 ただ、これは本当に例外中の例外だろう。

 そう思っていると、不意にこちらに近付いてくる存在をレーダーが察知する。

 ミノフスキー粒子が散布されているので、こうして相手の接近に気が付いた時は、既に回避するといったような真似は出来ない。

 ましてや、オッゴを率いている今の状況では尚更だろう。

 さて、一体近付いてきたのは、どこの誰だ?

 出来れば、オッゴを攻撃したジムのような奴じゃないといいんだが。

 そんな俺の思いが通じたのか、それとも単純に日頃の行いの影響か、近付いてきたのはヅダであると判明する。

 ヅダ……つまり、ルナ・ジオン軍のMSだ。

 つまり、俺にとっては味方だ。

 

「聞こえているか? こっちに近付いてくるヅダ。俺はアクセルだ」

『アクセル代表? ……どうしたんですか、その……妙な人達を連れて』

 

 どうやらヅダに乗ってるのは、俺が俺だと知っているパイロットらしい。

 ルナ・ジオン軍の中には、俺の事をアクセルだと知っていても、シャドウミラーの人間だと知らない者もいるし、もしくはシャドウミラーの人間であっても、代表のアクセル・アルマーとは同姓同名の別人だと思っている者もいる。

 特にルナ・ジオン軍は、今回精鋭の他にもレコアのように新人を結構な数連れて来ているので、その辺を思えば余計に俺を俺だと知らない者も多いだろう。

 そういう意味では、こうして俺の前に現れたのが俺をアクセル・アルマーと認識している奴で、助かった。

 

「ルナ・ジオン軍に投降した連中だ。通信が聞こえなかったか?」

 

 ミノフスキー粒子の濃度によっては、遠くまで通信が聞こえない事も珍しくはない。

 特にこの星一号作戦は、連邦軍にとってもジオン軍にとっても一大決戦と呼ぶべき戦いだ。

 そうである以上、当然の話だが双方共に相手を思い通りに行動させない為に、ミノフスキー粒子の散布は徹底してるだろう。

 このEフィールドは、今回の戦闘の中でもかなり戦力が少ない……言わば、手薄の場所だ。

 それだけに、ミノフスキー粒子の散布濃度が薄くてもおかしくはないんだが……そう都合よくはいかないか。

 

『え? いえ……その、すいません』

「気にするな。とにかく、この連中はさっきも言ったが、ルナ・ジオン軍に降伏した連中だ。現在、カトンボに向かって移動している」

『そうなんですか。……なら、自分達が護衛につきましょうか? 見たところ、数は多いようですけど、もし襲われたら対処しようがないでしょうし』

「そうか? そうしてくれると助かる」

 

 ヅダが3機というのが、一体どれだけの抑止力になるのかは分からない。

 だが、何もしないよりは、護衛がいた方がいいのは間違いないのだ。

 それに、ヅダは決して性能が低い訳じゃないし。

 ……ゲルググとかを相手にした場合、純粋な機体性能では負けている部分も多々あるのは事実で、それこそパイロットの技量がなければ最新鋭機に勝つような事は出来ないが。

 

『了解しました、任せて下さい』

 

 そう通信で言葉が返ってくると、3機のヅダはそれぞれの位置につく。

 ……微妙に何か言いたそうだったのは、その体勢の関係上、どうしても映像モニタに表示されていたモニクに関してだったのだろうが。

 そのモニクは、俺がヅダのパイロットと話をしている間、居心地が悪そうにしていた。

 恐らくだが、今のモニクの顔を見れば羞恥で真っ赤に染まっているだろう。

 先頭を俺が操縦するガンダム7号機が、そして左右と背後をヅダが護衛しながら進む。

 とはいえ、モニクとオリヴァーを乗せている以上、もし戦闘になっても、ガンダム7号機は戦力として数えるのは難しいだろうが。

 モニクもオリヴァーもMSやMAを操縦していた以上、普通の範囲のGに対しては全く問題ないだろう。

 だが、俺の場合は混沌精霊となって以降、その身体能力を前提とした操縦をしている。

 勿論、誰かを乗せると操縦出来ない……といった訳ではないので、一応この状況でも操縦は出来るのだが、この状況で俺の最大限の実力を発揮するというのは不可能なのだ。

 別に、最大限の実力じゃなくて、そこそこ程度の実力で十分といった見方も出来るのだが。

 

「取りあえず、俺がいつも通りの操縦をすると……オリヴァーはともかく、モニクは色々と酷い事になりそうだな」

「……ちょっと、それはどういう意味?」

 

 今の言葉で自分が見くびられたと思ったのか、モニクが鋭い視線をこちらに向けてくる。

 ああ、今のはちょっと聞き間違えると色々と問題になるような言葉だったが。

 

「別にモニクの実力がどうこうって訳じゃなくて、純粋に俺の膝の上にいる今の状況が危険だと言ってるんだよ。……そんなモニクに比べると、コックピットの後ろにいるオリヴァーは、掴まる場所が多いからな」

 

 この状況でガンダム7号機が激しい動きをした時、モニクが吹き飛ばされないようにする為には……それこそ、俺の身体にしがみつくといったような真似をするしかない。

 いや、あるいは他の方法もあるかもしれないが、それでも俺の身体にしがみつくのが一番手っ取り早いのは間違いないのだ。

 もっとも、戦闘の最中にそんな真似をした場合、間違いなく操縦の妨げになるのだが。

 やっぱり、カトンボに到着するまでジオン軍や……ましてや、連邦軍とも遭遇しない事を祈るしかないか。

 今回の移動に関しては、敵の実力云々よりも前に見つからないのが最善なのだから。

 一応ヅダが護衛にいるとはいえ、オッゴを守りながらの戦いとなれば間違いなく不利だ。

 

「……ふん」

 

 モニクも俺の言いたい事が理解出来たのか、不機嫌そうなままではあったが、素直に俺の言葉に頷く。

 ともあれ、こうして俺は大量のオッゴを引き連れ、同時に3機のヅダを護衛として連れながら、移動を始める。

 その後……幸いな事に、ジオン軍や連邦軍に遭遇する事なく進み、途中で遭遇したのはヅダのみで、その中から更に護衛として引き連れていく。

 元々このEフィールドは敵も味方も数は少ないのだから、それを考えるとこの成り行きは自然なものなのかもしれないが。

 そんな風に考えていると、何故かモニクが微妙な表情を浮かべているのに気が付く。

 お堅い性格をしているモニクだけに、男と――異性的な意味で――接する機会は少なかったのだろうから、頬が赤く染まったままでいるのは分かる。

 しかし、こうして見た感じではそれとは別の理由で何か微妙な表情を浮かべているといった様子だった。

 ……ちなみに、オリヴァーの方は未だに全天周囲モニタに興味津々の様子で、モニクの様子には全く気が付いていない。

 

「どうした? 何かあるのなら言ってくれ。……この体勢に文句があるのなら、聞く訳にはいかないけどな」

「そっ! そんな事を考えてる訳じゃないわ!」

 

 俺の言葉に一層顔を赤くしながら叫ぶモニク。

 この年齢で大尉という事は、よっぽど優秀なのだろう。

 ジオン公国の場合は、家柄で高い地位に……という可能性もあるが、モニクの場合は弟が学徒兵としてオッゴに乗っているんだから、ラル家やサハリン家のような名家という訳ではないのは確実だ。

 つまり、実力でこの年齢で大尉になったのだ。

 若くて実力があって美人な女となれば、クリスとかもそんな感じだが……クリスが中尉だったのに対し、モニクは大尉だ。

 年齢的にもモニクの方がクリスよりも上のようだが……ともあれ、言ってみればモニクはクリスの上位互換といった感じだ。

 ただし、クリスはモニクにはない人当たりのよさがある。

 そういう意味では、男と触れあう機会はクリスの方が多かったんだろうけど。

 

「じゃあ、何だ?」

「……ヅダに関してよ」

 

 ヅダ? 何だってモニクの口からヅダの名前が出て来るんだ?

 

「どういう意味だ?」

「私達は本来実戦部隊じゃなくて、技術試験をする為の部隊なのよ。……その中で、ヅダが一時期話題になった事があったわ」

 

 技術試験をする為の部隊、ね。

 そういう部隊までもが最前線……いや、Eフィールドだから最前線という表現が相応しいかどうかは分からないが、ともあれそんな場所に出撃しなければならないというのが、ジオン軍の現状の厳しさを現しているな。

 ともあれ、そんな部隊が何故ヅダに興味を持つ?

 

「ヅダはザクとのコンペで負けたMSだろ? ……まぁ、ルナ・ジオン軍はそれを改修して使ってるんだが。それが何で技術試験部隊に興味を持たれるんだ?」

「一時期、新型MSとして大々的に発表する予定だったらしいわ。私も後で知った話だから、詳細までは分からないけど……」

 

 ヅダを新型MSとして?

 正直なところ、何故そのような真似をするのかが、よく分からない。

 実際にジオン軍はザクを開発した後にもグフ、ドム、ゲルググ……それ以外にも水陸両用MSや、数機しか作られなかったMSも含めれば、結構な数のMSが開発されている。

 そんな中で、何故敢えてヅダを出そうとする?

 今でこそ、再設計をしたおかげでゲルググには劣るものの、かなりの性能を発揮してはいるが、再設計をする前は、ザクよりも高い性能を持つが、それでもその程度でしかない。

 そうなると、考えられるのは2つだな。

 1つは、俺達と同様にベース機となるヅダに可能性を感じて再設計をしたか。

 もう1つは、ジオンの技術力をアピールして、連邦軍にプレッシャーを掛ける為のブラフだったか。

 普通に考えれば前者だろうが、ジオン軍の押されっぷりをみると、後者の可能性もなきにしもあらずといったところか。

 

「どっちだろうな」

「え? 何が?」

「いや、ヅダの件について少し考えていたんだけどな。実際に再設計をしたのか、それとも連邦に対するブラフだったのか」

「……それだと、恐らく後者でしょうね」

 

 モニクは俺の言葉にそう告げ……それと同時に、ルナ・ジオン軍の艦隊がレーダーに表示されるのだった。




アクセル・アルマー
LV:43
PP:1280
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.11
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1635

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