『アクセル代表、ホワイトベースから通信が入っています』
Sフィールドに向かっていたカトンボだったが、幸いなことに途中で明確な敵のジオン軍や……妙な事を考えている連邦軍と遭遇することなく、目的地付近まで到着した。
そうしてすぐに通信を送ってきたのだから、それだけホワイトベースは焦っていたのだろう。
「繋げ」
『了解しました』
その短いやり取りの後、ガンダム7号機の映像モニタにブライトの顔が表示される。
「久しぶりだな。……いや、数時間ぶりだから、久しぶりって表現はどうかと思うけど」
この星一号作戦では、色々な事が起きた。
それらを考えると、それこそ実際には数時間ぶりであるにも関わらず、こうしてブライトの顔を見るのはかなり久しぶりな気がする。
にしても、本当にこの星一号作戦ではちょっと信じられない程に色々な事が起きている。
これ、原作だと一体どうなってたんだろうな?
アムロがこの世界の主人公なのは間違いないが、それだとしてもアムロだけで俺が経験した諸々……いや、それだけではなく、他にも俺が分からないだけでかなりのイベントが、このア・バオア・クーでは起きている筈だ。
それを全てアムロが解決するってのは、正直無理な気がする。
そうなると……いや、今はその事を考えるような余裕はないか。
「それで? アムロが苦戦しているって相手はどんな連中だ?」
『新型のMSだ』
またか。
ブライトの言葉に、そう思ってしまった俺は悪くない筈だ。
ソロモンでもそうだったが、このア・バオア・クーでは特に新型のMSやMAが多い。
俺が知ってるだけでも、ニュータイプ用のザクや、ビグ・ラング、オッゴ……連邦軍でもペイルライダーがいる。
「それで、こっちの被害は?」
『ヤザンの小隊、ユウの小隊、それ以外にもスレッガー中尉やハヤト、リュウといった面々も揃って中破から大破だ。幸いな事に、撃破された奴はいないが。報告によると、敵はシャアらしい』
「それは、また……」
ぶっちゃけ、ホワイトベースの戦力の大半がやられているという事になっている。
それでいながら、まだ誰も撃破されていないというのは……シャアがそれを狙ったのか、それとも戦いの中で腕を磨いていたホワイトベース隊の面々が何とか撃破を免れたのか。
その辺ははっきりとしないが、何となく前者だという気がする。
普通の戦場であっても、怪我人がいればそれを後方に連れて行く必要がある。
それが宇宙空間ともなれば、普通の戦場以上に怪我人に気を遣うことになる。
『それで、アクセルに援軍を希望したのだが……頼めるか?』
「ここまで来たんだ。そうである以上、ここで行動しないという選択肢はないから安心しろ。それで、アムロとシャアはどこで戦ってるんだ?」
『座標を送るから、確認してくれ』
そうしてすぐに座標が送られてくる。
……正確には、カトンボに送られてきた座標を量産型Wが俺に転送してきたのだが。
「受け取った。この座標でいいんだな?」
『悪いが、それでも確実とは言えない。さっきも言ったが、相手はシャアらしい。その2人が戦っている以上、一ヶ所で戦っているとは思えない。その座標はこちらで最後にアムロの姿を確認出来た場所だ』
「……なるほど」
アムロとシャアの2人は、どちらも高い機動力を活かした戦い方を得意としている。
それを考えれば、同じ場所で戦っていないというのは、理解出来た。
「その件は分かった。それでもう1つだが……その新型MSのデータは何かないのか?」
『一応、戻ってきたMSのデータから映像は取り出してある。送るぞ』
その言葉と共に、今度は静止画の映像が送られている。
「これは……また……」
そのMSは、初めて見るMSだ。
だが、ペイルライダーの時に入手したニュータイプ用のザクと似通った場所が多い。
何より、手が有線ビーム砲となっているのを見れば、あのザクとの共通性は明らかだろう。
いや、正確にはあのザクの後継機……もしくはあのザクが技術立証試験機といったようなので、この映像に表示されているMSが最初から考えられていたMSという可能性もある。
とはいえ、このMSは脚部がない。
つまり、半ばMA的な存在でもあるという事だ。
……そんな脚部がない状態でありながら、普通のMSと同等か、場合によってはそれよりも巨大なようにも見える。
考えてみれば、ニュータイプ用のザクをベースにしている機体である以上、それをニュータイプのシャアが乗るというのは、そんなにおかしな話ではないか。
『頼めるのか?』
「ああ。ただし、このMS……俺が鹵獲したら、そのまま貰うぞ」
『その辺はこちらでは何とも言えない。だが、恐らく問題はないだろう』
そう、黙認するといった様子を見せる。
向こうにしてみれば、本来なら連邦軍に知らせる必要があるんだろうが……まぁ、それはそれといったところか。
このままアムロが負けて死ぬという結果は、絶対に見たくないのだろう。
であれば、俺としてもこの話に乗らないという選択肢はない。
あのザクを調べても、ジオン軍の持つニュータイプ技術をMSに応用した諸々はかなり入手出来るのは間違いないだろうが、足のない新型MSは俺が入手したザクよりも最新鋭のMSだ。
そうである以上、あのザクにも採用されていない新技術が新型のMSには搭載されている可能性は十分にある。
「そうか、分かった。なら、俺は早速出撃する。……カトンボはそちらに向かわせるから、ホワイトベースと一緒に行動させてくれ」
そう告げておく。
カトンボは基本的に強力な軍艦だ。
それこそ、現在のこのUC世界の軍艦と戦った場合、かなりの性能を持つと言ってもいい。
だが……それはあくまでも、主砲の重力波砲を使えればの話だ。
それが使えないのなら、武器はミサイルの類しか存在しない。
そしてナデシコ世界と違って、この世界にはミノフスキー粒子がある以上、ミサイルで正確な狙いを付けるといったような真似は出来ない。
だからこそ、ガンダム7号機が出撃した後はホワイトベースと一緒にいた方がいいのだ。
メガ粒子砲を使え、それ以外にも中破や小破したとはいえ、まだMSは結構な数残っている。
ガンタンクも固定砲台として使えば、十分な戦力となる。
つまり、ホワイトベースと一緒にいた方が、安心なのだ。
……これが俺達と一緒にEフィールドに向かったサラミスとかなら、信用出来ないので一緒に行動しようとは思わなかっただろう。
だが、ホワイトベースの艦長はブライトだ。
その性格は生真面目で、それこそこの機会にこちらを攻撃する……などといった真似は、まずしない。
また、生真面目でありながらも、これまでの行動で柔軟さも身につけたので例え上からカトンボを攻撃したり拿捕するように命令されても、大人しくそれに従うといったような真似は、まずしないだろう。
『了解した』
ブライトが俺の言葉に頷いたのを見ると、通信を切る。
「量産型W、俺はこれから出撃するから、カトンボはホワイトベースと合流しろ。……まずないと思うが、ブライト……いや、連邦軍がカトンボを接収しようと動いてきたら、それに対しては全面的に拒否しろ。反撃も許可する」
『了解です』
素直に俺の言葉に頷く量産型W。
カトンボは、このUC世界の人間にしてみれば、異世界の軍艦だ。
ブライトは信用出来るが、ブライト以外の奴も同じように信じられるかと言えば、また話は別だろう。
あ、でもサラブレッドの面々は信じられるな。
そうして簡単な打ち合わせを行うと、俺は早速出撃する。
「ガンダム7号機、アクセル、出るぞ!」
その言葉と共に、リニアカタパルトで射出されるガンダム7号機。
当然のように、射出されたのはアムロとシャアが戦っていると思われる方向だ。
そちらに向かえば、恐らくそう遠くないうちに敵のいる場所が分かる筈だろう。
アムロにしろ、シャアにしろ、その戦闘はお互いに容易に相手を倒す事が出来ない以上、どうしてもその戦闘は激しくなるのだ。
ましてや、双方共に乗っているのは……アムロが連邦軍の中でも最高峰の性能を持つMS、G-3ガンダム。そしてシャアは、ニュータイプ専用MSと思われる新型のMS。
お互いが高性能機で、そしてパイロットの技量という点でもトップクラスの実力を持つとなれば……その戦いが派手にならない筈もない。
そんな事を考えながら、ブライトから指示された座標に向かいつつ、シャアが乗っている新型MSについて若干の疑問を抱く。
それは、一体何故シャアの使っているMSが有線のビーム砲なのかという事だ。
俺が確保した、ニュータイプ用のザクでその辺の技術を蓄積したのは分かる。分かるんだが……それでも、有線と無線のどちらが戦闘で有利なのかと言われれば、当然のように無線だ。
有線の場合、ビーム砲と本体を繋いでいるケーブルを辿れば本体がどこにいるのか丸分かりだという欠点もある。
その辺を考えると、やはり無線の方がいいのは間違いない。
その手の技術がないのならまだしも、エルメスでビットを採用している以上、無線でビーム砲を動かす技術を持っている。
にも関わらず、シャアの使っている新型MSでそれが採用されていない理由は……俺が考えられる限り、2つ。
1つは、あのビットを自由自在に動かすには高いニュータイプ能力が必要なのだが、シャアにその技術がないという事。
ただし、シャアがアムロの宿命のライバルである以上、当然のように高いニュータイプ能力を持っていてもおかしくはない。
つまり、こちらの可能性は低いと思う。
そしてもう1つは、単純にあの新型MSに搭載出来る程に、ビットを制御出来るニュータイプ用のシステムを小型化出来なかった場合。
エルメスはMSとは比べものにならないくらいに大きく、それどころかMAと比べてもかなり巨大だ。
それだけ巨大になったのは、相応の理由がある筈であり……それこそが、ニュータイプ用のシステムという可能性は否定出来ない。
とはいえ、ブラウ・ブロのことを考えると……そう簡単には判断できないのだが。
有線と無線の技術では、当然のように無線の方が高度なものとなる。
だが、ブラウ・ブロとエルメスでは、双方共に巨大ではあるが、同時にそこまで極端な差はない。
これがある程度時間が経ってエルメスが開発されたのなら、ビットをコントロールするシステムの小型化に成功したといったような事も考えられるのだが……ブラウ・ブロとエルメスが完成したのはそこまで差がなく、ほぼ同時期だ。
「その辺は、実際にシャアのMSを確保すれば分かるか。……っと!」
こちらに向かって飛んできたバズーカの砲弾を最小限の動きで回避する。
頭部バルカンを使って迎撃しなかったのは、シャアとの戦い前に無駄に弾薬を消耗したくなかった為だ。
とはいえ、一度こっちを見つけたザクは、ザクバズーカを懲りずに撃ってくる。
敵の数は1機だけというのは、少し疑問だが……恐らく、これまでの戦いで味方機を失ったのだろう。
アムロとシャアが戦っている場所の近くではあるが、当然のようにこの場所で行われている戦いは、アムロやシャア以外のものもある。
そうである以上、ジオン軍のザクがガンダム7号機の姿を見つけて、それに反応しない訳がなかった。
特にジオン軍にしてみれば、ア・バオア・クーは最後の砦なのだ。
そうである以上、敵を見つけたら可能な限り撃破するというのは、当然の事なのだろう。
だからといって、俺がそれに付き合う必要は全くないのだが。
続けて撃たれるザクバズーカの攻撃を回避しながら、ザクとの間合いを詰めていく。
スラスターも全開にするのではなく、出来るだけ消耗しないように効率のいい動きを心掛ける。
普通なら、そんな動きをする相手は狙いやすい。
実際、ザクのパイロットもこれなら何とかなると、そう判断していたのだろうが……
「甘いな」
呟き、再度飛んできたバズーカの砲弾を、AMBACを使う事によって回避する。
その一撃を回避されるとは思ってもいなかったのだろう。
唖然とした様子で、機体の動きを止めるザク。
AMBAC機能については、それこそジオン軍の方に一日の長があるんだろうに、何故そこまで驚く?
もしかして、連邦軍のパイロットがそこまでMSを使いこなせるとは思ってもいなかったのか? 実際には、連邦軍じゃなくて、ルナ・ジオン軍……でもなくて、シャドウミラーの所属なのだが。
それにAMBACはMSを操縦する上で必須の技術だ。
連邦軍のMSパイロットであっても、当然のように使いこなす。
……というか、それを使えない奴なんているのか?
そしてそれを分からないという事は、もしかしたらこのザクのパイロットは促成栽培された新兵なのかもしれないな。
だが、こうして戦場に出て来た以上、敵は敵だ。
俺はザクの横を通りすぎる際に、ビームサーベルでザクのコックピットを切断するのだった。
アクセル・アルマー
LV:43
PP:1285
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1636