「アムロ、気が付いてるな!」
『分かってます!』
シャアの乗るMSに近付きつつ、アムロに通信を入れる。
戦いに専念させようと思ってこの宙域に到着した時も、アムロに連絡を入れるような真似はしていなかった。
シャアとの戦いでは、それこそ万が一にも何が起きるのかが分からない。
そうである以上、少しでも気を散らせるような真似はしたくなかったのだが……幸いにして、シャアと戦っていたアムロは俺や不死身の第四小隊の存在に気が付いていたらしい。
俺の言葉に、即座にそんな通信が入ってくる。
「よし、なら一緒にシャアのMSを倒すぞ。ただし、出来れば鹵獲したいから、可能な限り壊さないようにしてくれると嬉しい」
『無茶を言わないで下さい!』
そんな言葉が返ってくるのは、当然の事ではある。
「まぁ、出来る限りって事で……な!」
間合いが大分詰まったところで、ビームライフルを撃つ……が、シャアは俺がビームライフルを構えた瞬間にはスラスターを全開にしてその場から退避していた。
足がないMA的な機体だからか、機動力は高いんだよな。
足がない状態でも並のMSくらいの大きさはあるので、瞬発力という点ではどうしても多少劣るのだが……それでも何とかする辺り、シャアの操縦技術の高さが垣間見える。
とはいえ、その操縦技術が今は厄介なのだが。
うーん、これはやっぱりあの未確認MSを出来るだけ無傷で確保したいというのは、無理があるか?
とはいえ……シャアと戦っているのは、俺とアムロだけではない。
「アムロ!」
『分かってますよ!』
その言葉と共に、アムロは回避した先にいるシャアに向かってビームライフルを撃ち……だが、シャアの乗っているMSの胴体から発射されたメガ粒子砲が、G-3ガンダムの撃ったビームと正面からぶつかり……呑み込み、次の瞬間にはG-3ガンダムに向かう。
それをニュータイプ能力で察知していたのか、回避するアムロ。
シャアの才能は、こうして見ると改めてとんでもないよな。
シャアは星一号作戦が始まった時、ゲルググに乗っていた。
だが、今はこの未確認MSに乗っている。
普通なら、別のMSに乗るという時は機種転換訓練が必須だ。
それこそ同じような機体であってもその手の訓練は必須なのに、ゲルググと現在のニュータイプ用MSであれば、余計に操縦感覚は違うだろう。
ましてや、脚部がない半MA的な機体で、ゲルググにはなかった有線ビーム砲の類も存在しているとなれば、尚更。
もしかしたら……本当にもしかしたら、ゲルググに乗る前から実はあのMSの操縦訓練をしていたという可能性もあるが、正直なところそれは微妙なところだろう。
ともあれ、未確認MSからのメガ粒子砲に命中しそうになったアムロだったが、それくらいはこの戦闘では問題がない。
『アクセル・アルマー! 貴様か!』
とそんな中、オープンチャンネルでそんな怒声が聞こえてきた。
それが一体誰からの言葉なのかは、この状況であれば考えるまでもない。
「月の女王様がお前の身柄を欲してるんでな。悪いが、お前にはここで捕虜になって貰うぞ。ついでに、そのニュータイプ用のMSも欲しいから貰う」
『ジオングを? そんな真似をさせると思うか!』
俺の言葉に叫ぶシャア。
……なるほど。あのMSはジオングというのか。
ジオンの名前をMSの名称に入れている以上、ジオン軍にしてみれば、このジオングというMSはかなりの自信作なのだろう。
まぁ、その気持ちも分かる。
両手が有線ビーム砲になっており、それこそケーブルの届く範囲内であれば、どこからでも攻撃が届く。
その上、胴体や頭部にもメガ粒子砲を装備しており、その攻撃力は現在のUC世界においてもトップクラスなのは間違いない。
ジェネレータ出力、一体どれくらいなんだろうな。
現在ルナ・ジオン軍で使われている中で最も出力の高いジェネレータは、アプサラスⅢに搭載されている代物だ。
ゾックで使われていた動力炉を、ギニアスが改修して使えるようにした物。
何しろゾックの動力炉は水陸両用MSであることを活かしてこそ、あれだけの高出力だったのだ。
それをアプサラスⅢで使おうとなれば、当然のように再設計をする必要があった。
ともあれ、そんなアプサラスⅢと比べても、ジオングのメガ粒子砲の威力や数は凄い。
ジオング程のMSの大きさに入れられる動力炉で、更にゾックの動力炉よりも高出力……ジオン軍の技術が高いという評判にも、納得は出来る。
「そっちが許容出来ないのは分かってる。けど、だからってこっちがその言葉に素直に従うと思うか? っと!」
俺の言葉を遮るように、有線ビーム砲からのビームがあらぬ方向から飛んでくるのを回避する。
俺と話しながらアムロを牽制し、それでいながら左右2つの有線ビーム砲を動かす。
さすがジオン軍のトップエース、赤い彗星といったところか。
とはいえ、俺とアムロを相手にしてどちらかに専念せず……といった真似が、そう長く続くとも思えないが。
このまま短期間で決着をつけるのではなく、時間を掛けてシャアを疲労させるのが、ジオングを無傷で入手するのに最善の選択なのは間違いない。
……とはいえ、この星一号作戦も始まってから結構な時間が経過している。
そうである以上、長時間の戦いとなると……シャアの実力云々以前に、戦っている最中に星一号作戦が完了する可能性もある。
とはいえ、今の状況ではそれが最善の選択肢なのは間違いない。
「アムロ、持久戦だ! シャアをこっちに引き付けるぞ!」
こちらにシャアを引き付けておけば、シャアはこちらに集中する必要がある。
つまり、そうすれば連邦軍の被害が少なくなる。
もっとも、それは逆に言えば俺やアムロという高い戦力を持つMSパイロットがシャアに引き留められているようなものでもあるのだが。
ただし、ジオン軍と連邦軍の数で考えれば、こちらの方が圧倒的に多い。
そう思ったのだが……
『嫌です! シャアはここで倒します!』
アムロの声は、強い拒否感がある。
……何だ? てっきり自分達の安全を考えれば問題なく引き受けるかと思っていたんだが。
いや、でもララァの件を考えれば……だからか?
アムロはこの星一号作戦において、ララァという女を殺してしまった。
それが具体的にどのような状況でそうなったのかは、アムロから聞いてはいない。
だが、それでも今の様子から考えると、シャアが何らかの要因となったのは確実だろう。
ララァとシャアが一緒に出て来た戦いで、ララァが死んだ。
勿論、あの時の戦場にはララァとシャア以外にも多数の戦力がいたので、それだけでシャアが原因とは限らない。
実際、俺だってあの戦いが行われていた時はキマイラ隊と戦っていたのだから、他にもキマイラ隊程の……とまではいかないが、それに近い実力の持ち主がいて、その敵が原因でララァが死んだという可能性も、否定は出来ないのだろうが。
ともあれ、一緒に戦っているアムロがやる気満々となれば、俺もそれを無視する訳にはいかない。
ジオングの胴体から発射されたメガ粒子砲を回避しながら、アムロに通信を送る。
「分かった。なら、積極的に攻めるぞ。俺が囮になってシャアの注意をこっちに向けるから、行けると思ったらアムロはジオングに攻撃を仕掛けろ。それと、気が付いていると思うが、ジムコマンドはこっちの援護をしてくる相手だ。不死身の第四小隊……オデッサ作戦が始まる前にワルシャワでヤザンと戦って負けた結果、裸踊りのモンシアって異名を付けられた奴がいただろう?」
『ああ、あの不死身の第四小隊の……』
「意外だな。アムロもその辺を知ってたのか」
以前ヤザンが……ホワイトベース隊が関わった相手であるというのは、間違いのない事実だ。
そうである以上、何らかの情報が入っていてもおかしくはないが……アムロはその辺についてあまり興味があるとは思えなかったのだ。
あるいは、不死身の第四小隊に年上の美人がいれば、もしかしたらそっちの関係で興味を持った可能性もあったが。
とはいえ、今はその辺に突っ込むような真似は出来ない。
何しろ、こうしている今でもジオングはこちらの隙を窺っているのだから。
「とにかく、不死身の第四小隊もこっちの援護をしてくれるから、その事を念頭に置いて行動しろ。……こうなった以上、シャアをここで倒すぞ」
『はい!』
元気よく返事をするアムロだったが、個人的にはここでシャアを倒すのはともかく、殺すといったような真似はしたくないんだよな。
そんな真似をすれば、それこそ月にいるセイラがどういう反応をするか分からない。
俺との接触で未来のイメージを見たセイラが、地球に小惑星を落とすというシャアの行動を止める為にルナ・ジオンという国を建国したのだ。
それを考えれば、もしシャアが死ぬなどといった事になった場合、セイラはアムロを相手に徹底的に攻撃する可能性は否定出来ない。
ただ、その辺りの情報を正しくアムロに教えても、それに対して素直に頷くとは思えない。
その辺の事情を考えれば、やはりここはアムロに合わせておき……いざとなったら、アムロを止めるといったようにした方がいいだろう。
……間違いなくアムロは俺の言葉に納得しないだろうし、ララァのことを思えば俺を恨む可能性すらある。
だが、アムロを守る為である以上、納得して貰う必要があった。
そうしてG-3ガンダムとガンダム7号機が動き出したのを見たからだろう。シャアの操縦するジオングも、こちらに向かって迎撃を始める。
シャアにしてみれば、俺とアムロが会話をしている間、攻撃はしていたものの、本格的な……それこそ全力での攻撃といったような真似をしなかったのは、若干の疑問がある。
普通に考えるとすれば……向こうも時間稼ぎをしたかったのか?
だとすれば、援軍が来る可能性もある。
また、キマイラ隊なんかが来たりしたら、この状況だとちょっと洒落にならないな。
状況としては、星一号作戦が開始した時に最初にシャアやララァと戦った時と似ている。
……いや、ララァがいない分、こちらにとっては有利であるという見方も出来るだろう。
だが、その時と今では決定的に違うのが……シャアが乗っているのが、ゲルググではなくジオングだという点だ。
勿論、ゲルググは決して性能の低いMSではない。
いや、寧ろ現在のUC世界においては量産MSの中では最高峰の性能だろう。
だが、今シャアが乗っているのは、ジオング。
ジオン軍が、ジオンという名前を付けてもいいと、そう判断したニュータイプ用MSなのだ。
ゲルググが幾らか高性能でも、そんなジオングと比べればどうしてもその性能は劣る。
ましてや、俺としてはジオングを欲していて、シャアを殺す訳にはいかない以上、致命傷を与えるような真似も出来ないのだが。
それでも今はやるしかない以上、ある程度運を天に任せて攻撃をさせて貰う。
「死ぬなよ」
呟き、ビームライフルを撃つ。
放たれたビームライフルは、しかしジオングの胴体から放たれたメガ粒子砲と途中で命中し……先程アムロのG-3ガンダムと同じ結果になり、ガンダム7号機の放ったビームを呑み込み、こちらに向かってくる。
「ちっ」
やっぱりビームの出力自体は、ジオングの方が上なのだろう。
それもちょっとやそっとの差ではなく、圧倒的なまでに。
だからこそ、ビームライフルのビームと正面から当たっても、向こうの威力を多少抑える事は出来るのだろうが、そのままこっちに向かってくる。
とはいえ、ビームの出力が高いというのは、そこまで大きな意味を持たない。
そもそも、ビームとビームが正面からぶつかるなんてことが、そう簡単に起きるような事ではないのだから。
ジオングのメガ粒子砲に呑まれる程度の威力であっても、命中すればジオングの装甲に致命的なダメージを与えることは、間違いなく可能だ。
結局のところ、ビームの出力というのはMS戦ではそこまで致命的な代物ではない……といったところか。
「とはいえ、当たれば致命傷なのはこっちも同じだけどな!」
あらぬ方から放たれた5条のビームを回避しながら、そう口に出す。
不死身の第四小隊のジムコマンドから放たれたビームが幾つもこちらに攻撃をしてきたジオングの有線ビーム砲に向かって放たれ、それを嫌ったのかシャアは腕を引き戻す。
あの有線ビーム砲を自由に動かされるのは非常に面倒ではあったが、不死身の第四小隊の方で上手い具合に牽制出来ているのはありがたい。
ジムコマンドの持つビームガンは、ビームライフルに比べるとその射程は短い。
だが、今のこの状況では十分役に立っていた。
そうして、シャアとの戦いが数分続き……やがて、俺は間合いを詰める事に成功する。
胴体にメガ粒子砲があるので、正面からとなると難しいが、それでも背後から接近すれば、有線ビーム砲以外は警戒しなくてもよく……そうして触れると、通信回線でシャアに叫ぶ。
「降伏しろ! セイラの為にもお前は殺したくない」
『黙れ! 貴様などに……何?』
叫ぼうとしたシャアだったが、不意にその言葉の勢いが収まる。
何かあったのか?
そんな風に思う俺に、接触回線越しに、シャアの信じられないといった言葉が聞こえている。
『キシリアがギレンを殺した……だと?』
そんな、俺からしてみても信じられないような言葉が。
アクセル・アルマー
LV:43
PP:1290
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1637