取りあえずバニング達を納得させ……モンシアはシャアを逃した事をまだ完全に納得した様子を見せていなかったが、それでもバニングが何かを言えば、大人しくなる。
不死身の第四小隊は、間違いなくモンシアがエースの小隊だ。
だが、それを纏め、小隊の中心にいる存在は、やはりバニングなんだな。
そんな訳で、俺はこれまでにも何度か繰り返してきたようにコックピットの外に出てジオングを回収する。
……生身で外に出て平気で動き回っている俺の姿に、これまたバニング達は驚いていたが……その辺は魔法という言葉で乗り切った。
ともあれ、アムロを助けてシャアを無力化するというのは、一応達成した訳で……ホワイトベースに戻ろうとしたところで、近付いてきたカトンボから通信が入る。
『アクセル代表』
「……どうした? 何故ここにいる? お前達はホワイトベースと一緒に行動していた筈だろ?」
俺の母艦たるカトンボには、ホワイトベースと一緒に行動するように言っておいた。
なのに、何故ここにカトンボだけでやって来るのか。
もしかしたら、ホワイトベースに何かあったのか?
そんな嫌な予感と共に、量産型Wとの会話を続ける。
『ホワイトベースは、ア・バオア・クーに向かいました』
「……は? いや、何でそんな真似をする?」
『ジオン軍の指揮系統が著しく混乱した隙を突く、と』
そう言われれば、納得も出来た。
同時に、何故指揮系統が著しく乱れたのかというのも、予想出来る。
つまり、キシリアによるギレン暗殺の影響が如実に出た形だ。
そしてキシリアが自分の能力なら上手くやれると思ってはいたのだが……それは実際には失敗している。
元々キシリアは有能な女ではあるが、それでもギレン以上の能力があった訳ではないのだろう。
……いやまぁ、ここでギレンを暗殺する事に成功したんだから、そういう意味では思い切りはギレンよりも上だったのかもしれないが。
だが、ギレンが殺されたという時点で、多くの者が動揺するのは当然だった。
そんな状況で、ギレンよりも能力の低いキシリアがスムーズに指揮系統を引き継げるかと言われれば……その答えは、当然否だ。
それこそ場合によっては、ギレン死亡の真相を理解する者も多いだろう。
何だかんだと、ギレンを慕っている……いや、崇拝している者は多い。
そのような者達にすれば、ギレンを暗殺したキシリアの命令を聞けるかと言われれば……正直微妙だろう。
ジオン公国の為にと、自分を押し殺してでも命令を聞くような者もいるかもしれないが、当然のようにそれは戦いの中に影響してくる。
勿論、中にはキシリア派の者もいて、そのような者達にしてみればキシリアの命令を素直に聞くだろうし、ギレンにもキシリアにも興味のない奴といった者達もいるだろう。
だが、そうしてキシリアに対して思うところのある者とない者がいるという時点で、今まで通りに連携が出来なくなるというのもある。
つまり……
「勝ったな」
このような大きな戦いにおいて、一度決定的な流れが生み出されてしまえば、それに抗う事は難しい。
それこそ、デギンとレビルを共に葬り去った巨大なビームを再度発射する事が出来れば、まだ話は別だったが。
しかし、あのビームは再度の発射に数日掛かるという予想が出ている。
そうである以上、こうなってしまった今の状況で、ジオン軍が戦局を覆すような真似は、まず不可能だ。
『それで、私達はどう行動しますか?』
量産型Wの言葉に、どうするべきか迷う。
ホワイトベースからの要請は、無事達成したと思ってもいい。
なら、俺達もア・バオア・クーに向かうか?
しかし、そうなると連邦軍が面白く思わない筈だ。
ソロモンでも、何だかんだと結局はルナ・ジオン軍の協力が大きかった。
それに……ぶっちゃけた話、ア・バオア・クーにはあまり大きな魅力を感じていないのも事実だ。
ジオングのデータや予備部品、それ以外にもア・バオア・クーで開発されていただろう諸々に興味はあるが、ぶっちゃけそれらの情報はサイド3……特に首都たるズム・シティ辺りにデータが送信されている筈だ。
つまり、ア・バオア・クーよりもジオン本国に早く向かった方が、こっちとしては美味しい思いが出来る訳だ。
とはいえ、今すぐに星一号作戦を放り出してサイド3に向かう訳にもいかない以上、現在の状況で出来るのは……それこそ、星一号作戦が終わったと判断したらすぐにでもサイド3に向かえるように準備をしておく事か。
「Eフィールドに戻って、ルナ・ジオン軍と合流する。それから、俺達がどう行動するのかをシーマ達と相談した方がいいだろう」
あくまでも星一号作戦が終わったらすぐにでもサイド3に向かうというのは。俺が考えた事だ。
それ以外の面々が何か他の事を考えているのかは、正直なところ分からない。
そうである以上、何をするにしてもまずはルナ・ジオン軍がいるEフィールドに戻る方が先だった。
……クリスやレコアが無事なのかどうかも、出来るだけ早く知りたいし。
シーマが一緒にいるし、そもそもEフィールドには敵の数もそこまで多くはない。
その辺の事情を考えれば、心配する必要はないんだろうが……それでも、戦いに絶対はない。
「俺達はルナ・ジオン軍の本隊がいるEフィールドに戻るけど、そっちはどうする?」
『母艦に戻って補給した後で、またSフィールドでの戦いに出るでしょうな』
バニングの言葉に、それはそうかと納得する。
あくまでも自由に動ける俺とは違い、バニング達は連邦軍に所属している立場だ。
そうである以上、多少の判断はともかくとして、これからどう行動するべきかを自分で勝手に決める訳にはいかないのだろう。
「そうか。なら、ここでお別れだな。……星一号作戦も、もう終盤だ。この戦いが終われば、恐らくジオン軍は降伏してくる。……死ぬなよ」
何だかんだと、付き合いが出来た不死身の第四小隊だ。
ここまで生き残ったのなら、この戦いでは最後まで死なないで貰いたいと思うのは当然だろう。
『了解』
バニングがそう告げると、通信を切る。
『そっちも死ぬなよ』
「俺が死ぬと思うか?」
『そりゃまぁ、当然か』
バニングに続いてモンシアと言葉を交わして、通信が切れる。
他の2人とは顔見知り程度なので、特に通信をするような事はなかった。
そうして自分の母艦に向かった不死身の第四小隊と別れ、俺もまたこちらに向かって来ていたカトンボに向かう。
そうして格納庫に入ると、量産型WにすぐEフィールドに向かうように命令する。
「アクセル、入手出来たんだろ?」
ディアナの技術者が、そう尋ねる。
何を? と言わなくても、それが何を示しているのかは、はっきりとしていた。
「ああ。シャアから聞いた話によると、あのMSの名前はジオング。ニュータイプ用のMSだ。……足がないから、宇宙用のMSというか、半MAというか……微妙なところだが」
MSにとって特徴的なのは、AMBACだ。
そしてMSの脚部というのは、AMBAC肢としては重要な部位だ。
そうなると、ジオングをMSだと断言するのは正直難しいと思う。
AMBAC肢としてあまり効果がないような脚部のMSというのは、幾つか知ってるが……脚部そのものがないというのは、MSと呼んでもいいのかどうか、微妙なところだろう。
あ、でもそうなるとゾックとかも……うーん、そうなるとやっぱり、ジオングはMSでいいのか?
「映像で見た限りだと、今までの物とは全く違う外見をしていたな。ザクでもグフでもドムでもゲルググでもない、全く未知のMSに」
「そうだな。もしかしたら、あれがジオン軍の全く新しいモデルだったのかもしれないけど……正直なところ、今更って感じだが」
この状況で新たなMSが開発されても、既に遅い。
いやまぁ、俺にとってはジオン公国を占領した後で情報を色々と入手出来るという可能性もある以上、悪い話ではないんだが。
それに、あくまでもジオングはニュータイプ用のMSだ。
ニュータイプというのは、この世界においてもかなり希少な存在である以上、ニュータイプ用のMSを量産しても意味はない……訳ではないが、コスト的に問題がある。
それこそ、ニュータイプに対応したMSなりMAなりを開発した方がいいと思う。
ただでさえジオン軍は資源とかの問題で厳しいんだから、ジオングのようなMSを量産するのは意味がないだろう。
あるいは、フラナガン機関がまだ生きてる以上、実はニュータイプをそれなりに確保しているという可能性も否定は出来ないのだが。
「そうかもしれないが、俺達ディアナにしてみれば、今回の収穫は大きいと思う。……結果として、ニュータイプ用のザクはあまり意味がなくなってしまったが」
その言葉には、俺も素直に同意する事しか出来ない。
ペイルライダーの一件で入手したニュータイプ用のザクは、ジオングの技術立証試験機といった扱いだと思われる。
つまり、ニュータイプ用のザクよりも技術的に進んでいるジオングを入手出来た以上、そちらはあまり意味がないという事になる訳だ。
「ああ、でもあまりであって、全く意味がない訳じゃないぞ?」
「は? それはどういう意味だ? ジオングの方が進化しているMSだろ?」
「そうだな。それは否定しない。だが、MSに限らずに技術というのは、その進化の過程にも色々な意味がある。進化の過程で得られた技術やアイディアが、全く別の技術に繋がる……という可能性も否定は出来ないし」
そう言われ、そう言えば以前レモンやマリューからも似たような事を言われた覚えがあったような? と思い直す。
ともあれ、ニュータイプ用のザクが多少なりとも何らかの意味を持つのなら、俺としては確保した甲斐があったというものだ。
「そうか、分かった。……ともあれ、ガンダム7号機の補給と整備を頼む。正直、今日だけで一体何度頼んでいるのか分からないくらいだが」
出撃しては戻ってきて、整備と補給を行い、再び出撃する。
俺がやってるのは、そんな行為の繰り返しだ。
とはいえ、ギレンが暗殺された事によってジオン軍の指揮系統は半ば崩壊している状況だ。
こちらに入ってきている情報によると、キシリアの指示には従えないとしてア・バオア・クーから撤退している艦隊もいるらしい。
……そう、艦隊だ。
これがMSだけであったり、もしくはムサイ級やザンジバル級、チベ級、ティベ級等々の軍艦が1隻でア・バオア・クーから撤退したのであれば、理解は出来た。
だが……まさか、艦隊諸共に撤退するというのは……
しかも、その艦隊が1つではなく複数に及んでいるとなれば、何と言っていいのか分からない。
ギレンがそこまで崇拝されていたのかと驚けばいいのか、キシリアの指揮下では絶対に戦いたくないと思われた人望のなさを哀れめばいいのか。
恐らく、キシリアにしてもこの状況は予想外だっただろう。
何しろ、ここでア・バオア・クーから撤退すれば、もうジオン公国は無防備な状態になってしまうのだから。
そうである以上、自分がギレンを暗殺した事に不満を抱く者は多いのだろうが、それでもサイド3を守る為、自分の指揮に従うと……そう思っていたのか。
「とにかく、ガンダム7号機の方はこっちに任せておいてくれ。……ジオングを始めとして、色々と調べたい機体やら技術やらがあるのを思えば、この戦いは出来るだけ早く終わらせたいしな」
そう言い、メカニックは俺の前から去っていく。
張り切っているその様子は、このア・バオア・クーにて……いや、ソロモンでの戦いから確保した各種技術諸々の事を考えれば、メカニックとしては当然の反応なのだろう。
連邦軍やジオン軍の各種最新鋭技術を入手出来たのだから。
ジオングだったり、ニュータイプ用ザクだったり、エルメスのビットだったり、Eパック方式のビームライフルだったり、複合武装だったり。
技術者であれば、それに興味を持つなという方が無理だ。
……もっとも、ニュータイプ用MSとなれば、ディアナだけではなくニュータイプ研究所とも協力して解析をする必要があるだろうが。
とはいえ、ブラウ・ブロを開発したシムスがいる以上、ジオングの有線ビーム砲についても、その発展系といったところで、解析そのものにはそこまで時間は掛からないだろう。
そういう意味では無線のビットがかなり興味深いんだろうが……生憎と、エルメス本体は確保する事が出来なかったしな。
そちらについては、シムスを始めとするニュータイプ研究所の面々に任せるしかない。
とはいえ、ジオングにビットを採用しなかったという事は、もしかしたら非常に高い能力を持つニュータイプではないと使えないという事かもしれないが。
もしくは、単純にジオングにビットを搭載出来なかったからか。
何しろ、ビットの大きさはMSの半分……8m程もある。
ジオングは足がなくても一般的なMSよりも大きいが、そんなビットを搭載するというのは無理だろう。
ニュータイプ研究所の面々の仕事は、取りあえずビットを小型化する事になりそうだな。
そんな風に思いつつ、俺はEフィールドにいるルナ・ジオン軍と合流するのを待つのだった。
アクセル・アルマー
LV:43
PP:1290
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1637