転生とらぶる   作:青竹(移住)

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2683話

「なるほど、このサイコミュは凄いですね」

 

 ジオングを調べていたアルテミスの研究者の1人が、コックピットを調べてそんな風に言う。

 ちなみにサイコミュというのは、正式にはサイコ・コミュニケーターの略称で、言ってみればニュータイプ用のシステムの1つだ。

 最初こそスライムという存在に戸惑っていた面々だったが、目の前のスライムが無害だと理解すると、大きなメリットを目にする。

 何しろ、スライムは俺の思い通りに動けるのだ。

 つまり、スライムに立ったままで自由に上げたり下げたりといった事も可能となる。

 ……実際には、スライムは触れている相手を吸収するような真似も出来るのだが、今のところそれは皆も知らないので、そこまで気にする様子はないらしい。

 

「ちょっとこれを見てください! コックピットが頭部だけではなく、胴体にもありますよ」

 

 そう叫ぶアルテミスの研究者。

 その言葉にジオングの周囲にいた者達が視線を向ける。

 すると、叫ばれた言葉通り胴体にはもう1つのコックピットが存在していた。

 胴体にももう1つのコックピット?

 何の為に?

 一瞬そう思ったが、考えてみればブラウ・ブロでも複数のパイロットで操縦出来るようにしていたのだから、それを考えると胴体にもコックピットがあるのは不思議ではない……のか?

 いや、だがニュータイプ用のザクはコックピットが1つしかない。

 普通に考えれば、ニュータイプ用のザクにコックピットが2つあって、その後継機のジオングが1つというのなら分かるが。

 いや、それともニュータイプ用のザクでテストをした上で、ブラウ・ブロと同じようにコックピットが複数必要と判断されたのか?

 ともあれ、胴体にコックピットがあるのを見て驚いている者がいれば、有線ビーム砲となっている両腕を興味深そうに調べているも者もいる。

 ……ちなみに、一応ということでニュータイプ用のザクも出してあるのだが、アルテミスの研究者達はジオングの方に集中している。

 ジオングの方が最新鋭のニュータイプ用MSなのだから、そちらに集中するのも当然なのかもしれないが。

 ただ、有線ビーム砲そのものはジオングと技術的に大きな差はない為か、ディアナの技術者達はニュータイプ用のザクを興味深そうに調べている。

 こうして見ている限りでは、ディアナとアルテミスの者達が綺麗に分かれて、それぞれ自分達の興味を惹く存在を調べているといった感じである以上、寧ろこれが最善の結果だったのかもしれないが。

 

「アクセル代表、スライムをもう少し上げてください! 頭部のコックピットの方をちょっと調べてみたいので!」

 

 アルテミスの研究者の言葉に、スライムを動かしてやる。

 当然ながら、スライムを動かすような真似は研究者には出来ない。

 出来るのは、あくまでも俺に動かしてくれるように頼むだけだ。

 ……まぁ、スライムの能力を考えると、研究者が下手に動かせるようにするのは色々と危険だしな。

 そういう意味では、こうして俺が動かすというのは、そうおかしな話ではない。

 そんな風に思っていると……

 

「おわぁっ! これは一体……」

 

 不意に聞こえてきたその声に、一体何があったのかと視線を向ける。

 すると、そこには見覚えのある顔があった。

 

「オリヴァー? どうしたんだ?」

「いえ、これから働く事になる場所を見てみたいと言ったら、ここに連れてこられたんですけど……」

 

 そう言い、驚きの表情を隠せない様子のオリヴァー。

 へぇ。あっさりとルナ・ジオンへの亡命が認められたのか。

 それだけ、オリヴァーという人材は問題なしと判断されたのだろう。

 ……実際、少し話してみた感じでは、特に何か思想的な問題があるようには見えなかった。

 それを考えると、こうしてあっさり解放されたのも分かるというものだ。

 勿論、何かあった時はすぐに対処するように、案内役兼護衛役兼見張りのコバッタが、その足下にはいるのだが。

 

「そうか。コバッタがいるのなら、妙な事を考えても安心だな」

「そんな事はしませんから」

 

 そう告げるオリヴァーだったが、ルナ・ジオンという国の一番の売りは、シャドウミラーと同じく技術関係になる筈だ。

 そういう意味では、月の軍事メーカーのディアナが持つ意味は大きく、戦後となれば産業スパイとかも警戒する必要が出て来る。

 もっとも、コバッタや量産型Wがいる以上、そう簡単に産業スパイとかが活動するといったような事は難しいが。

 

「取り合えず、信用しておくよ。それで、他の面々はどうした?」

「モニク大尉は、色々と厳しいみたいです。……その、所属が総帥府の政治将校ですから」

「あー……うん。まぁ、話した感じでは、それっぽかったしな」

 

 ともあれ、政治将校という立場となれば、ギレンの思想に染まっていてもおかしくはない。

 そういう意味では、やはりしっかりと調べる必要があるのだろう。

 だが……逆に言えば、ここでしっかりと調べられて問題がないと判断されれば、大手を振って出歩けるようになる。

 そういう意味では、モニクにとって今が重要な意味を持つ筈だ。

 

「そう言えば、モニクは弟がいるって話だったけど、そっちはどうだったんだ? 何だかんだと、今まではその事を聞いてなかったけど」

「ああ、それは問題ありません。無事ですよ。……これも、アクセルさんのおかげです」

 

 深々と頭を下げてくるオリヴァー。

 いや、そこまで気にする必要はないんだが。

 

「別にオリヴァーがそこまで頭を下げる必要はないだろ?」

「いえ、モニク大尉の弟の件だけではなく、アクセルさんのおかげでオッゴに乗っていた学徒兵の多くが死なずにすみました。もしあの戦いでアクセルさんが降伏するように言ってこなかったら、私達だけで連邦軍と戦って、多くの学徒兵が死んでいたと思います」

「だろうな」

 

 オリヴァーのその言葉は、決して間違いではない。

 実際に、もし俺達がいなければ、オリヴァー達だけで連邦軍と正面から戦う事になっていたのだから。

 とはいえ、モニクが操縦していたゲルググはかなりの強さだったり、俺がいなければカスペンやその部下もあの戦場にはいた。

 そんな面々と正面から戦っていれば、連邦軍の方も大きなダメージを受けていたのは間違いない。

 ……ただ、連邦軍が俺達にあそこに行くように要望したからこそ、Eフィールドに追加で派遣された戦力はサラミスが3隻、それも評判の悪い部隊だったのだが。

 もしルナ・ジオン軍がいなければ、派遣された戦力はもっと多かった可能性は十分にある。

 そして連邦軍の数が多くなれば、当然の話だが、ジオン軍が……特にオッゴに乗っている学徒兵が受けた被害も大きくなっていた筈だ。

 だからこそ、オリヴァー達にとっては、ルナ・ジオン軍と遭遇したというのは幸運だったのだろう。

 

「恩を感じてるのなら、月が発展するように頑張ってくれれば、俺としては助かるけどな」

 

 月が発展するという事は、当然の話だが多くの者が月に集まってくる事になり、俺達が……シャドウミラーが期待している、このUC世界独自の技術も自然と月に集まるという事になる。

 ちなみに経済的な規模で考えれば、月という存在はこのUC世界において必要不可欠なものになっている。

 月面都市の持つ経済規模というのは、それだけUC世界においては大きいのだ。

 もっとも、だからこそジオンの独立戦争が終わってからは、連邦軍……いや、連邦政府が月に色々とちょっかいを出してくる可能性があるのだが。

 

「任せてください。私が出来る限りはやらせて貰いますよ」

 

 そう告げるオリヴァーの様子を見る限りだと、どうやら本人としても月という場所に魅力を感じているのは間違いないらしい。

 これで何か余計なことを企んだりといったような真似をしないのなら、こちらとしては万々歳といったところなんだが……まぁ、コバッタがいる限り、その辺は特に気にしなくてもいいか。

 そう判断し、ふと気になった事を尋ねる。

 

「あそこにあるのはジオングとニュータイプ用のザクだから、それについて何か知ってる事はあるか? 技術部隊だったんだろう?」

「いえ、残念ながら」

 

 俺の言葉に首を横に振るオリヴァー。

 それは何かを誤魔化しているといったようなものではなく、本当に何も知らないといった様子だ。

 

「私達が試していた技術は……色々と曰く付きの物が多かったので。そういう意味では、この2機のMSについては初めて見ます」

「そうか」

 

 オリヴァーの言葉に、納得する。

 実際、ジオングとニュータイプ用のザクは、双方共にジオン軍にとっては最重要機密といいった物だったのは確実だ。

 それを思えば、オリヴァーがこれらについて知らなくても仕方がないという一面もあるのだろう。

 ……出来れば、その辺を知っててくれると楽だったんだが。

 とはいえ、こうした今の状況では何を言っても意味はない。

 出来るのは、オリヴァーにもディアナの技術者――まだ正式には決まっていないのだろうが――として、頑張って貰う必要があるという事だろう。

 

「取りあえず、オリヴァーはMSの解析を手伝ってくれ。特に両方のMSに使われている有線ビーム砲は、この先ルナ・ジオン軍の中でもかなりの価値を持ちそうだし」

 

 アルテミスの研究者によると、サイコミュというシステムを使って有線ビーム砲とかを動かしているらしいが、その辺はコンピュータ制御で何とかして貰えば、サイコミュなしで、ニュータイプじゃなくても使えるようになる筈だ。

 もっとも、エルメスのように無線で使うビットは、ミノフスキー粒子の影響でニュータイプでなければ使えないんだろうが。

 

「ルナ・ジオン軍ではこれを使うんですか?」

「どうだろうな。あくまでも俺の希望だし、それに手を有線ビーム砲にするってのはどうかと思うけど」

 

 手を有線ビーム砲にするとなると、5連装のビーム砲というのは大きいが、それでもMSの特徴である様々な武器が使えなくなるというのは痛い。

 実際、ニュータイプ用のザクもジオングも、双方共に普通の武器を使うといった事は難しいだろうし。

 あるいは、ビーム砲になっている手でも使える武器を開発するか。

 とはいえ、射撃武器ならビーム砲となっているのだから、わざわざ作る必要はない。

 だとすると、ビームサーベルとかそういうのか?

 連邦軍のMSが使っているようなビームサーベルの持ち手を多少改良すれば、有線ビーム砲になっている手でも普通に使えそうな気がするが。

 

「手ではないとすると……?」

「別に有線ビーム砲は絶対に手じゃないといけない訳でもないだろ。例えばバックパックとかその辺から砲門は1つでいいから、有線で繋がっているビーム砲を発射するといったような事が出来れば、普通に武器として使える筈だ」

 

 ただし、当然の話だが有線ビーム砲を出している状況でMSを普通に操縦する必要がある以上、やはり有線ビーム砲はAI任せにする必要がある。

 そのAIの開発もする必要がある以上、ディアナでもすぐに開発出来るとは思えない。

 いつも決まった条件で使える訳ではなく、有線ビーム砲を使う度に全く違う状況になるのだから。

 

「……分かりました」

 

 俺の言葉をどこまで理解したのかは分からなかったが、ともあれオリヴァーもコバッタと共にニュータイプ用のザクの解析に入る。

 同じ技術者同士という事か、先にニュータイプ用のザクの解析をしていた面々とは、それなりにすぐ打ち解けたらしい。

 この辺は、技術者らしいのだろう。

 もしくは、ディアナの技術者は連邦からやって来た技術者も多いが、建国前にジオン公国の内部に潜んで人材集めとかをしていた関係から、どうしてもジオン出身者が多い。

 オリヴァーの所属は兵器メーカーではなく、ジオン軍の技術関係の部署にいた男だ。

 当然のように、ジオニック社、ツィマッド社、MIP社といった面々と話す機会もそれなりにあり、ここには顔見知りがいてもおかしくはない。

 それは、オリヴァーをディアナに馴染ませるという意味で、決して悪い話ではなかった。

 取りあえず、あっちの方はこれ以上特に気にする必要はなさそうだな。

 あとは、アルテミスの方だが……まぁ、こっちも元フラナガン機関の者が多いんだし、そういう意味ではニュータイプ用のザクやジオングといったMSを調べるのに熱中してるし、放っておいても大丈夫、か。

 そうなると、取りあえずビグ・ザムとビグ・ラングに関しては後に回すとして……俺はセイラにでも会って来るか、

 停戦条約についての話を聞いておく必要もあるし、その停戦条約に際してガルマを使ってジオン公国を纏めるといった事を相談する必要もあるし。

 

「じゃあ、取りあえずMSはここに置いておくぞ。俺はこれから他にもやる事があるから、行くからな」

 

 聞こえてるのかどうかは分からなかったが、取りあえずそう告げ……俺は影のゲートに身体を沈めるのだった。




アクセル・アルマー
LV:43
PP:1290
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.11
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1637

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