転生とらぶる   作:青竹(移住)

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2688話

 月を出発したシーマ艦隊だが、当然のように出発してすぐに到着出来るという訳ではない。

 いやまぁ、システムXNの類を使えば一瞬で到着するのだが、その辺は今は考える必要もないだろう。

 ともあれ、月を出発して数日……俺はリリー・マルレーンの一室で気楽な時間を楽しんでいた。

 リリー・マルレーンはザンジバル級……正確にはザンジバルⅡ級なのだが、違いはそこまで多くない為か、基本的にはザンジバル級という名称で統一されている。

 ともあれ、そのザンジバル級はジオン軍の中でもかなりの高性能艦と言ってもいいだろう。

 何しろ、宇宙と地球の両方で使える軍艦なのだから。

 ……とはいえ、それはあくまでも性能は高いというだけであって、居住性にも気を遣っているかと言われれば、その答えは否だ。

 つまり、リリー・マルレーンの中には個室として使える仕官部屋もあるが、そこまで数は多くない。

 そんな状況で俺にその部屋が宛がわれたのは……シーマがその辺を気にしたから、というのが大きいだろう。

 何しろ、俺がシャドウミラーのアクセル・アルマーであるというのは、半ば公然の秘密に近い。

 だからこそシーマも気を遣って、俺に仕官部屋を譲ったのだろう。

 もっとも、個室ではあってもそこまで広い部屋という訳ではないのだが。

 ともあれ、そんな部屋に1人でいても特にやるべき事はなく……それこそ、ガイア達と模擬戦でもするか? と雑誌を読みながら考えていると、不意に通信が入った。

 

「どうした?」

『問題が起きたよ』

 

 俺の言葉に、シーマが即座にそう返してくる。

 にしても、問題か。

 まぁ、ジオン軍が秘密裏にMSの開発を行っているペズンを占拠して接収しようとしている以上、問題が起きない筈はないのだが。

 

「どんな問題だ?」

『あたし達と同じように、ペズンに向かっている奴等がいるね』

「……連邦とジオン、どっちだ? まさか、サイド6って事はないと思うが」

 

 サイド6は一応中立という形になってはいるが、実際には連邦の勢力下にあると言ってもいい。

 ましてや、現在はもう終戦に向けて協議をするという話になっている以上、サイド6が中立をやめて連邦軍に戻るという選択をしても、そうおかしな話ではない。

 他の勢力といえば宇宙海賊といった連中もいるが、ペズンは仮にも新型MSを開発している拠点だ。

 そんな場所に宇宙海賊が攻撃を仕掛けても、それこそ撃退されるだけだろう。

 場合によっては、ペズンで開発されている新型MSの演習の的にされるという可能性すらある。

 つまり、結局のところ現在ペズンに向かう勢力としては、サイド3やア・バオア・クーでペズンの情報を掴んだ連邦軍か、ア・バオア・クーからの脱出に成功したキシリア率いる突撃機動軍か、もしくは……そうだな、ア・バオア・クーからは脱出したが、キシリアと合流するのを嫌ったジオン軍の残党といった連中か。

 勿論、その中には俺達ルナ・ジオン軍も存在しているが。

 

『ジオン軍だね。ただ、数が思ったよりも多くはない。うちと同じか、若干少ないくらいだ』

 

 そうなると……どっちだ?

 キシリアが率いている突撃機動軍として考えれば、数は少ない。

 だが、キシリア以外の残党となれば、それはそれで数が多い。

 前者の可能性だと、キシリア本人が来た訳ではなく、部隊を派遣したといった可能性がある。

 後者だと、キシリアに合流しなかったジオン軍の残党が幾つも集まってペズンに向かっているという可能性もある。

 

「なら、どうするんだ? このままずっと何もしないって訳にはいかないだろ? 向こうがこっちに気が付いてるのかどうかも分からないし」

『そうだね。どのみち、ペズンという目的は同じだし……降伏するように促してみるかい? それで降伏すれば、それはそれでいいだろうし、もし降伏しないのなら、戦いを挑めばいいだろう? 取りあえず、ペズンまではもうすぐなんだから、ペズンに到着する前に処理しておきたいね』

 

 シーマの言いたい事は分かる。

 ペズンにとって、俺達は間違いなく敵だ。

 そんな場所に、俺達とは別の勢力を連れていくような真似をした場合、三つ巴の戦いになる可能性がある。

 いや、最悪なのはペズンの部隊とジオン軍が協力してこちらに攻撃をしてくる可能性があるという事か。

 そうならないようにする為には、やはりペズンに到着する前にジオン軍をどうにかした方がいい。

 シーマの言葉を信じるのなら、戦力はこちらの方が上だ。

 そうである以上、先制攻撃を仕掛ければこっちは更に有利になるだろう。

 

「なら、攻撃をするか? 幸い、こっちには異名持ちがいる。宇宙の蜉蝣と黒い三連星が相手となれば、向こうも大人しく降伏するかもしれないぞ?」

『そこに月の大魔王も入るんなら、尚更だろうけどね。……けど、そうだね。アクセルの言う通り、ここは先手を打った方がいい。今のところ、向こうはこちらの様子に気が付いてはいないようだし』

 

 シーマの中でも、実際には先制攻撃を仕掛けるというのは既定路線だったのだろう。

 だが、俺がどう考えているのかを、一度聞いてみたかった……といったところか。

 気を遣わせてるな。

 そう思うが、取りあえず今はその辺をそこまで気にする必要もないか。

 今やるべきは、ジオン軍の対処だ。

 

「なら、俺も出撃するか。出撃の準備はどうなっている?」

『今させてるよ。あたしのヅダももう少しで出撃準備は整う。アクセルのMSも、問題なく出撃出来る筈だよ』

「分かった。なら、格納庫に向かう」

 

 本来なら、シーマは立場上戦闘に参加するといったような事はしない方がいい。

 だが、シーマの性格上そのような真似は出来ないといったところか。

 通信を終えると、部屋を出て格納庫に向かう。

 途中で何人か海兵隊の面々に会うが、俺を見ると頭を下げてくる。

 本来なら、海兵隊ってのは気が荒い連中が多いんだが。

 とはいえ、俺とシーマの海兵隊の関係は何気に深い。

 ルナ・ジオン建国前、ジオン公国にセイラを始めとした面々と潜入していた時、俺は海兵隊に入り込んでいたのだから。

 ……ただし、シーマとラルの関係というのは、初対面の時はもの凄い険悪だった。

 当然だろう。何しろ、本来ならコロニー落としに使うコロニーに毒ガスを使うのは、ラルが命令された事だったのだから。

 だが、ラルはその命令を拒否し、その結果としてシーマ達海兵隊が上に騙され、毒ガスを使う事になってしまった。

 シーマ達を騙したのは、ラルが毒ガスを使うのを拒否したという前例があったからなのかもしれないな。

 ともあれ、それによってシーマは一種のトラウマを負ってしまった。

 今ではレモンの治療によって、その辺も大分軽くなってはいるようだが。

 当然そんなシーマとラルが最初から上手くいく筈がない。

 それでも、何だかんだと色々とあって、現在のように友好的な関係を築いているんだが。

 ともあれ、そんな訳で俺とシーマの海兵隊の関係は何気に深い。

 だが、シーマの側近と言うべき連中ならともかく、そうでない者とはそこまで親しくないんだよな。

 そんな風に考えながら、俺は格納庫に到着する。

 

「おや、遅かったね」

 

 そう声を掛けてきたのは、パイロットスーツに身を包んだシーマの姿。

 何気にこのUC世界のパイロットスーツは、マブラヴ世界程に極端ではないとはいえ、身体のラインがそれなりに露骨に出る。

 特にシーマは、成熟した女の色気を持っており、その身体付きも非常に男好きをするものだ。

 ……実際、格納庫にいる何人かは、周囲に見つからないようにシーマの身体に視線を向けていた。

 それでもそのような者が少ないのは、シーマに対して女というよりも自分達を率いている人物という意識が強いからだろう。

 シーマも、当然のようにそんな周囲の視線には気が付いているようだが、本人はそれを気にした様子もない。

 この辺りの大人の余裕も、シーマに人気がある理由の1つなのかもしれないな。

 

「俺が遅いというより、シーマが来るのが早いと思うんだがな。さっき通信で話した時は、まだブリッジにいただろ?」

 

 なのに、もうこうして格納庫にやってきており、その服装もパイロットスーツに着替えているのだから、シーマの行動は素早いという他ない。

 

「そうかい? 敵を倒すのは少しでも早い方がいいだろう?」

「まぁ、それは否定しないけどな。他の艦はどうなってる?」

「そっちでも準備を始めているよ。あたしもヅダに乗り込むところだし」

 

 そう言い、シーマは1機のヅダに視線を向ける。

 基本的には強襲型のA型だが、それをベースにしてシーマが使いやすいように改修されていた。

 黒い三連星のヅダもそうだが、エース級や異名持ちともなれば、自分がより使いやすいように改修する事は珍しくはない。

 

「そうか。なら、俺もそれに習うとするか」

 

 そう告げ、ガンダム7号機に向かう。

 ヅダはツィマッド系……ジオン系で、ガンダム7号機は当然のように連邦系だ。

 そういう意味では、リリー・マルレーンは今のルナ・ジオンを象徴している光景なのかもしれないな。

 とはいえ、連邦系とジオン系が揃っているという事は、今の時点では互いの技術が別々だったりもするので、メカニック達の負担は大きいのだが。

 これがもう数ヶ月……いや、数ヶ月は無理か。数年くらいしたら、自然とメカニック達も連邦系とジオン系のどちらに対してもしっかりと整備とかが出来るようになるんだろうが。

 いや、数年も掛かれば、そもそも連邦とジオンの技術の双方が混ざり合ったルナ・ジオン……月系といったMSが出来る方が先になのか?

 その辺は、ディアナと……ニュータイプ用のMSやMAの件を考えると、アルテミスの頑張り次第か。

 そんな事を考えている間に、ガンダム7号機が出撃する順番が来る。

 

「アクセル・アルマー、ガンダム7号機、出るぞ!」

 

 その言葉と共に、ガンダム7号機はリリー・マルレーンから発進する。

 俺よりも先に出撃していたシーマのヅダは、リリー・マルレーンの側で待機していた。

 

『アクセルはどうするんだい? 小隊を組むのか、それとも単独行動をするのか』

「そうだな、単独行動で頼む」

 

 ヅダは高い機動性を持つ、宇宙で使うには最適のMSだ。

 だが、ガンダム7号機はそんなヅダよりも更に高性能なMSで、他のヅダと一緒に行動するには向いてない。

 クリスが使っていたSP型のように、遠距離からの援護をするようなヅダとなら、小隊を組んでも問題なく……いや、どうだろうな。

 クリスと小隊を組んでいた時は、あくまでもクリスの実力があってこそ、SP型を無事に使いこなせたのだ。

 特に今回シーマが連れて来た連中は、その多くがチェンバロ作戦や星一号作戦にも参加出来なかったパイロットだ。

 元からのシーマの部下なら、クリスと同じように……あるいはそれ以上に能力を信用出来るのだが。

 ただし、シーマとしても俺と一緒に行動するとなれば、ベテランを回す余裕はないだろう。

 その辺を考えると、下手に新人と組むよりは単独行動の方がいい。

 それに、ルナ・ジオン軍として行動する事も多いが、俺は正確にはルナ・ジオン軍ではなく、シャドウミラーの人間だ。

 そうである以上、下手に俺と行動を共にして妙な常識を身につけるよりは、きちんとルナ・ジオン軍の軍人同士で行動出来るようになっておいた方がいい。

 

『そうかい? じゃあ、そうさせて貰うよ。幸いにして、さっきも言ったけど敵の数はあたし達と比べてもかなり少ない。そういう意味では、新人共にとってはいい腕試しの相手だろうね』

「そうしてくれ。俺は俺で、適当に行動するから。ああ、勿論全体的な行動はそっちに合わせるから、気にするな」

 

 その言葉を最後に、通信が切れる。

 さて、そうなるとこっちの戦力が揃うまではやる事がないな。

 向こうのジオン軍がどう反応するかが、ちょっと気になるが。

 そんな風に考えながら、俺は周囲の様子を確認する。

 他のムサイ級からも、MSが次々と出撃してきているのが見えた。

 そんな中でも、特に目立っているのは黒いパーソナルカラ-に塗られた3機のヅダだろう。

 黒い三連星用にカスタマイズされたヅダは、その異名故に一種異様な迫力を持っていた。

 この辺はシーマやラルといった面々を見れば分かるのだが、異名持ちのパイロットというのは、独特な雰囲気を持っている。

 ガトーの場合は……ソロモンの悪夢の異名を得たばかりなので、まだそこまでの実力はないのだが。

 そういう意味では、やはり異名持ちというのは色々な意味で特殊なのだろう。

 異名持ちだけで戦局が一変するといった事すら有り得るのが、ミノフスキー粒子によってMS戦が行われるようになったこのUC世界の戦場だ。

 ……まぁ、異名持ちというのなら、俺も月の大魔王という異名を持つにいたったのだが。

 そんな風に考えつつ、俺はペズンでの戦闘に備えてジオン軍との戦いを出来るだけ早く終わらせた方がいいだろうと考えるのだった。




アクセル・アルマー
LV:43
PP:1290
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.11
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1637

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