ペズン側との模擬戦の時間になったので、俺、シーマ、マッシュの3人はMSで出撃する。
ガンダム7号機に、ヅダが2機。
普通に考えれば、一体どういう組み合わせだろうと思ってもおかしくはない。
とはいえ、ルナ・ジオン軍にしてみれば特に珍しい組み合わせでもないのだが。
そして、俺達が出ると同時にペズンからも出て来るんだが……
『何だい、ありゃあ?』
シーマの驚きと戸惑いの混ざった声が通信から聞こえてくる。
とはいえ、俺もそんなシーマの意見には賛成だった。
何故なら、ペズンから出撃してきたMSは3機が3機とも今まで見た事がなかったからだ。
いやまぁ、ペズンでは新型MSを開発していたんだし、ペズンの司令官をしているダービットも、ペズンの抗戦派は新型MSを自分達が勝利する理由としていると言っていた。
そんな中で、ルナ・ジオン軍とペズンの間で模擬戦をやってこちらの力を見せつける必要があるのだから、向こうが頼りにしている新型を出してくるのは当然の事だろう。
まず、隊長機と思われるのは……全体的な印象として見れば……何と表現すればいいんだろう。
全体的にはゲルググ的な感じがするし、同時にギャン的な要素も見る事が出来る。
ともあれ、分類するとすれば汎用MSといったところか。
手にビームライフルを持ってるのは、既にゲルググでビームライフルが運用されている以上、おかしな話ではないだろう。
シールドもあるし、まだ抜いてはいないがビームサーベルらしき物もある。
ゲルググの後継機なのか、ギャンの後継機なのか……その辺ははっきりとしないが、新型MSであると考えれば、その辺は特に気にする必要はないのだろう。
次に出て来たのは、見るからにドム系の機体と分かる重MSだ。
ただし、ドム系の特徴の1つとして頭部が丸いというのがあるのだが、ペズンから出撃してきたドム系のMSは頭部が三角形になっていた。
武装としては、腰の後ろに装備されているヒートサーベルと、ジャイアントバズの2つ。
正統系のドム系……いや、宇宙で使っている事を考えると、リックドムの進化形といった感じか。
とはいえ、敵味方共にビームライフルを使うようになった今、重装甲のMSは若干時代遅れのような気がするが。
それでもリックドムのような機動性の高いMSというのは、需要が大きいのだろう。
そして最後の1機は……ザクだ。
普通に考えれば、ザクの後継機はゲルググだ。……人によってはグフやドムという意見もあるが、汎用型MSという意味ではやはりゲルググだろう。
だが、新たに出て来た3機目のMSは、明らかにザクの系譜だ。
勿論ペズンで開発された新型MSなのだから、外見はザクでもその性能は大きく違うのだろう。
実際、ザクが持っている武器は本来ならザクが使えないビームライフルだし。
ただし、あくまでも使えるのはビームライフルだけなのか、近接用の武装はビームサーベルではなく、ザクらしいヒートホーク。
「ドム系以外は、両方ともビームライフルを標準装備か。……その点では、こっちが不利だな」
俺のガンダム7号機はビームライフルを装備しているが、シーマとマッシュのヅダは、双方共に実弾だ。
武器の威力という点では、明らかに敵よりも劣っている。
『それはちょっと聞き捨てならないね。武器の威力が戦力の決定的な差ではないだろう?』
『黒い三連星の名前を侮って貰っては困る。相手がビームライフルを持っていて、こっちは持っていないのは不利だ。だが、だからといってそれで勝負が決まる筈もない』
シーマとマッシュの2人が、揃ってそう告げてきた。
とはいえ、実際その言葉は決して間違っている訳ではない。
相手がビームライフルであろうと、ザクマシンガンのような実弾であろうと、当たらなければ意味はないのだから。
『双方、共に準備はいいようだな』
不意にダービットが通信に映り、そう告げてくる。
これは別に俺だけに通信を送っている訳ではなく、オープンチャンネルでペズンにいる面々、そしてシーマ艦隊の面々全てに通信を送っているだろう。
『これより、ペズンとルナ・ジオン軍による模擬戦を行う。……ただし、その前に模擬戦に参加する者達を紹介しよう。まずは、ペズン側から……』
そんな真似をするのか?
というか、ペズン側からという事は、こっち側も紹介するのか?
……何気に、ダービットはこういう雰囲気に合わせた言動も出来るんだな。
ジオン軍の軍人なんだし、最初に話した時の印象からお堅い性格をしているとばかり思っていたが。
『ガルバルディに乗っているのは、フィーリウス・ストリーム少尉。まだ年齢としては幼いが、その操縦技術はペズンでも最高峰の実力を誇る』
その言葉と共に、映像モニタには10代半ばの俺と同じか、もしくは少し年下だろう男の姿が表示される。
同時に、ガルバルディというのがゲルググとギャンの双方が合わさったようなMSなのだという事も、そこには表示されていた。
へぇ、ザク、グフ、ドムと来たから2文字のMSかと思ったら、ガルバルディなんて名前なのか。
いやまぁ、ゲルググもギャンも2文字じゃないしな。
そういう意味ではガルバルディでもおかしくはないのか。
『次は、バネッサ・バーミリオン曹長。搭乗MSはアクトザク』
その言葉と共に表示されたのは、女のパイロット。
気の強そうな美形と言ってもいいその女が乗っているアクトザクというのは、名前にザクという名前がついてるのを見れば分かるように、ビームライフルを持ったザクだ。
『そして最後が、ガイウス・ゼメラ曹長。搭乗MSはペズンドワッジ』
最後に表示されたのは……モヒカンというのか? 頭の両脇は剃っている状態で、中央部分からだけ髪を生やしている巨漢。
その男が乗っているのは、ペズンドワッジか。
ドム系のMSにドワッジというのがあったけど、それと同じ名前なのは何でだ?
いやまぁ、頭にペズンがついてるから、混同する事はないだろうが。
『そして、次がルナ・ジオン軍の紹介となる』
ダービットはそう告げ、俺、シーマ、マッシュについて説明していく。
いや、何でこっちの事情を知っている?
そう思ったが、俺とマッシュは盗み撮りか何かされた映像だったのに、シーマだけがカメラ目線だったのを考えれば、出所は何となく想像出来た。
いつの間に送ったんだ? と思ったが、俺やマッシュとリリー・マルレーンで話をした後、シーマは模擬戦の条件を詰める為にペズンと通信をしていた。
それを思えば、恐らくその時に映像を送ったのだろう。
『にしても……』
映像モニタを見ながらダービットの説明を聞いていると、マッシュが若干不思議そうに呟く。
「どうした?」
『いや、不思議な事もあると思ってな。乗ってるMSは違うが、パイロットの構成として考えれば、こっちとあっちはそう変わらないと思わないか?』
「それは……」
なるほど。言われてみればそうだな。
普通なら学徒兵と呼ばれてもおかしくはない年齢の男と女が1人に強面の男が1人。
そういう意味では、こっちの部隊とペズンの部隊の構成が似ているというマッシュの言葉には納得出来る。
勿論似ているのは構成だけであって、細かいところは色々と違うが。
シーマは20代後半なのに対して、向こうの女は20代になったかどうか……もしくは20代前半といったところだし。
『アクセル? 何か、妙な事を考えてないかい?』
そう考えた瞬間、シーマからの通信が入る。
ニュータイプか?
俺がそう思っても、おかしくはないだろう。
だが、可能な限り動揺を表には出さず、首を横に振る。
「いや、何でもない。それより、そろそろ模擬戦が始まるだろ。戦う相手はどうする? 俺は、あのガルバルディと戦いたいんだが」
相手が俺と同じ年下枠――俺はあくまでも10代半ばの姿になってるだけだが――だというのもあるが、それと同時にガルバルディというMSに興味があるのも事実だ。
ペズンドワッジはリックドムの、アクトザクはザクの後継機である以上、性能そのものは上がっているのだろうが、MSの特徴といったものは同じようなものだろう。
……世の中には、ゴッグが統合整備計画によってハイゴッグという風に機体特性そのものも大きく変わっているような例もあるから、絶対に後継機だからといって機体特性が同じとは限らないが……ただ、こうして見た感じではそう極端には違わない筈だ。
だが、ガルバルディだけは違う。
ゲルググとギャンの性能を融合したかのようなMSであるだけに、汎用MSであるとはいえ、基準となる機体性能ははっきりとしないのだ。
だからこそ、出来れば直接戦ってみたいと思う。
それにペズン最高峰の強さを持ったMSパイロットというのにも、興味はあるし。
『なら、あたしは女は女同士でアクトザクだね』
『となると、俺はあのペズンドワッジか。……ただ、こっちでそう決めたからって、向こうが受けるとは思わないぞ? 模擬戦だけに、連携の途中で違う相手に攻撃をしたりといったような事をする可能性もあるし』
「それならそれで構わない。ともあれ……ほら、もうそろそろだ」
ダービットの話が終わり、ちょうどそのタイミングでダービットが口を開く。
『では、模擬戦……始め!』
ダービットの言葉と同時に、俺、シーマ、マッシュの3人は動き出す。
話をしていながらも、模擬戦開始の合図と共に即座に動き出す辺り、戦いに慣れているからだろう。
ちなみに、当然の話だがペズン側のMS達もダービットの合図と同時に動き出し……へぇ。
その移動している方法を見て、感心する。
何故なら、ガルバルディが俺に、アクトザクがシーマに、ペズンドワッジがマッシュに、それぞれ向かって来た為だ。
どうやら向こうも、こっちと同じような事を考えていたらしい。
あるいは、実はこの辺の演出もダービットから指示されていた可能性はあるな。
それこそ、前もってシーマと打ち合わせをした上で。
何しろ、こっちが相手を狙っているからといって、向こうもこちらと素直に戦ってくれるとは限らないのだから。
ともあれ、これが元々の予定であっても俺がガルバルディと戦いたいと判断したのは、間違いないのだから、それを責めるつもりはない。
「っと」
元々がお互いそこまで離れていた間合いではなかった為か、ガンダム7号機は既にガルバルディのビームライフルの間合いに入っていたらしく、ビームが放たれる。
模擬戦用に、命中しても被害を受けないように威力の弱いビームだったが、それでも速度は実戦の時と変わらない。
スラスターを使いながらガルバルディの攻撃を回避しつつ、こちらも反撃にビームを放つ。
当然の話だが、その場に停止してビームを撃つのと、敵の攻撃を回避しながらビームを撃つのとでは、後者の方が断然難易度が高い。
だが、命中のステータスと、何よりも今ままで多くの戦場を戦い抜いてきた経験は、そのような攻撃の仕方でも攻撃を外すということはなく、ガルバルディの右手……正確には、その右手が持っていたビームライフルに命中する。
この一撃でコックピットに命中させる事も出来たが、今回の模擬戦はあくまでも相手にこちらの実力を知らしめ、ペズンの接収に関してシーマ艦隊と戦うといった選択が間違いであると、そう見せつける必要があった。
だからこそ、こちらの実力を見せつける為に、意図的にビームライフルを狙ったのだ。
一撃だけでは偶然と判断される可能性もあるので、続けて2撃目、3撃目と機体に回避運動をさせたままビームを発射し、ガルバルディの左手、頭部に続けて命中させる。
当然だが、そうなってしまえば模擬戦でもこっちの勝ちは決まっており……
「へぇ」
ガルバルディがあっさりと戦闘を止めたのを見て、感心する。
今の俺と同年代くらいである以上、負けを負けとしっかり認める事が出来たというのは、素直に凄いと思う。
ペズンの中でも最高峰の腕を持っているとダービットに言われたのだから、当然のように自分の技量にも相応の自負はあっただろうに。
そんな相手に感心しつつ、他の模擬戦に視線を向ける。
まず目がいったのは、シーマの方。
こちらは、ヅダもアクトザクも双方共に高い運動性を持っている機体ということで、派手に動き回りながらの戦いとなっていたのだが……やはりペズンの中では腕の立つものであっても、このUC世界全体で高い技量を持ち、宇宙の蜉蝣の異名を持つシーマを前にしては、あらゆる面で上をいかれてしまう。
唯一あの女が勝っているのは、若さ……いや、これ以上考えるのは止めておこう。
実際、シーマの操るヅダの視線が一瞬こちらに向けられた気もするし。
ともあれ、シーマの貫禄勝ちといった形で完封して、終わる。
マッシュの方も、シーマと同じような形だった。……いや、もっと酷い。
ペズンドワッジは機動力こそ高いが、運動性という点ではどうしても劣る。
だが、ヅダは改修された事により、機動性と運動性を両立したようなMSとなっており、1撃の威力は高いが、基本的には基地や軍艦を相手にするのが向いているだろうペズンドワッジでは、ヅダに手も足もでないまま負けるのだった。
アクセル・アルマー
LV:43
PP:1290
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1637