転生とらぶる   作:青竹(移住)

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2694話

「で、えっと……説明するのは、ペズン計画で開発したMSの中でも、模擬戦に出たガルバルディ、アクトザク、ペズンドワッジ以外のMS、という事でいいんでしょうか?」

 

 部屋の中に、緊張した様子のメカニックの声が響く。

 部屋の中にいるのは、俺とマッシュ、それとメカニックの3人だけ。

 海兵隊だから……というのはどうかと思うが、ともあれ結局海兵隊の中でペズン計画について詳しい説明を受けたいと思う者はいなかった。

 いや、そういう意味ではディアナの技術者達がそうだが……あの連中は、話を聞くよりも実物を自分の目で見たいと、格納庫とかの方に移動している。

 俺もそっちでもよかったのだが……まぁ、たまにはこういうのもいいだろうと判断して、こちらで話を聞く事にした。

 ちなみにメカニックが緊張しているのは、俺がいるから……ではなく、マッシュがいるからだったりする。

 ペズンという離れた場所にいても、当然のように黒い三連星がレビルを捕らえたといったような情報は入ってくるらしい。

 一応、俺も月の大魔王という異名が……いや、今の俺はシャドウミラーじゃなくてルナ・ジオン軍という事になってるから、それを考えると俺は腕利きではあっても異名持ちではない、ただのパイロットといったように思われてもおかしくはないか。

 

「ああ、それでいい。その3機については、それなりに模擬戦で見たからな」

「……模擬戦で見たって、あそこまであっさり終わったのに、いいのか? いやまぁ、実際にまだ見ていないMSが気になるのは事実だけど」

「そのMSを倒したアクセルが言うのはどうかと思うけどな。ともあれ、別に時間がない訳じゃないんだ。なら、まだ見ていないMSを見て、それでまだ余裕があったら、話を聞けばいいだろ?」

「それは……まぁ」

 

 マッシュの言葉に、曖昧ながらもそう言葉を返す。

 その言葉に特に思うところがない訳でもなかったが、今はとにかく話を先に進めた方がいいだろうと判断して、マッシュの言葉に異論を唱えないでおく。

 そうして、俺とマッシュが同意したのを見たメカニックが、部屋の中にある映像モニタに1つの映像を映し出す。

 

「これはまた、随分と強面のMSだな」

「これは、MS-13のガッシャ。汎用MSにズゴックのコンセプトを導入したMSです」

 

 何をどう考えれば、汎用MSにズゴックのコンセプトを導入しようと思うんだ?

 いやまぁ、言われてみれば外見はズゴックに似ているような感じもするので、それを考えればズゴックのコンセプトの導入というのは成功してるんだろうが……何がどう考えてそんな感じに?

 

「また、背部には対地センサーを装備しており、リックドムとの連携を前提として開発されたMSで、基本的には復座型となっています」

 

 何だか突っ込み所が満載だな。

 対地センサーということは、当然のように地面がないと使えない。

 にも関わらず、何故宇宙用MSのリックドムとの連携を前提として?

 使い道があるとすれば、ルナツーを攻略する時……いや、待て。宇宙用MSのリックドムと対地センサーの組み合わせとなれば、それが使える一番相応しい場所は、月だ。

 もしかして、このガッシャは月での運用を……正確には月の攻略の為に開発されたMSじゃないか?

 ジオン軍にしてみれば、グラナダを奪われたという事は決して面白くなかった筈だ。

 ましてや、グラナダを攻略する際に突撃機動軍のMSや戦闘機やらを纏めて俺は撃破している。

 基本的にパイロットは殺さなかったが、MSを含めた兵器の諸々が受けた被害というのは、間違いなく大きい。

 であれば、その事を不満に思って月を奪還しようと思う者がいてもおかしくはない。

 もしくは月の奪還とまではいかなくても、また何らかの理由でルナ・ジオン軍――正確には俺なんだろうが――に攻められた時に対処出来るようにと考えての可能性もある。

 

「武器は、通称山越えハンマーと呼ばれる棘のついた鉄球を撃ち出すハンマーガンと、4連装180mmミサイルランチャーを2門。それと両腕部はズゴックのアイアンネイルのような近接戦闘用の武器となっています」

 

 ミサイルランチャーはともかく、ハンマーガン……何だか誰かが趣味で作ったようなMSといった印象がしてきた。

 恐らくリックドムが敵に突っ込んで、ガッシャはそれを背後から援護するといったような形になってるんだろうが。

 

「どう思う?」

「取りあえず、ルナ・ジオンでは使い物にならないだろうな」

 

 マッシュに尋ねるも、俺と同じような意見だったのか、呆れと共にそう告げてくる。

 俺もマッシュと同じ意見だ。

 4連装180mmミサイルランチャーというのは結構な火力を期待出来るので、無理に使うとすれば、多数を用意して長距離からの制圧射撃といったところか。

 ハンマーガンの方も、そういう意味ではそれなりに使い道はあるだろうし。

 接近された時の対処には、両腕部のクローがあるし。

 ……こうして部位だけを並べていけば、それなりに使えそうな感じはするんだけどな。

 それが組み合わさると、何故か使い物にならないようなMSになるのは……一体何でだ?

 

「ガッシャは、そこまで悪くないMSだとは思うんですけどね」

 

 そう言いつつも、どこか気まずそうなのは……自分達で開発したMSだけに愛着はありつつも、メカニックとしてはガッシャにそこまで有用性を見いだせないといったところか。

 

「こほん。では、次のMS。……ただし、こちらはガッシャ以上の異色のMSなので、驚かないでくださいね」

 

 そう言ったメカニックの操作により、映像モニタにはガッシャと変わって別のMS……MS? MSと呼んでもいいのかどうか、正直なところちょっと微妙だったが、取りあえず別の機体が表示された。

 足の代わりにタイヤがついており、右手は汎用型のマニピュレータではなく、武器がそのまま接続されていて、頭部にはボールのように砲門が乗せられていた。

 

「……これは?」

「MS-12ギガン。MSという扱いになっていますが、実際には要塞防衛用の移動砲台といった感じですね」

「ボールやオッゴ……いや、どちらかと言えばガンタンク的なMSか?」

 

 ガンタンクは別に拠点防衛用といった訳ではないが、下半身がキャタピラかタイヤかで、大きく変わってくる。

 ただし、見た感じではギガンのタイヤの走破性そのものはそこまで高くないようだし、それを考えれば、やはり要塞内部とかそういう地面が平らな場所で使われるMSなのだろう。

 

「見た感じではそうだな。……コスト的にはどうなんだ? 普通のMSを製造するのに比べて低いのか?」

 

 マッシュの言葉に、メカニックは困った様子で首を横に振る。

 

「その、普通のMSと比べれば、間違いなくコストは低いです。ですが、それでも他のMSに比べて驚く程に……という程ではないですね」

「そうか。限定された場所だけで使うのなら、そう悪くはないと思ったんだが。……だが、コストがそこまで圧倒的ではないとなるとな」

 

 その言葉は俺も同意せざるをえない。

 普通のMSと比べると、脚部がない分結構なコスト圧縮にはなってると思うんだが。

 とはいえ、拠点防衛用という意味ならバッタあたりがいれば十分だろうし。

 勿論、バッタの性能そのものもメギロートに比べると、そこまで高くない。

 それこそ生身の兵士であっても銃火器の類を持っていれば、バッタを倒す事は可能だろう。

 ただし、バッタは無人機でコスト的にも安い為に、大量生産するのが基本だ。

 それこそ、ボールやオッゴ的な使い方をする機体と言ってもいい。

 また、何よりも大きいのは無人機だという事だ。

 オッゴやボールのように、機体性能的に低い戦闘ポッドに乗っていれば、当然のように撃破される可能性は高い。

 事実、ソロモンやア・バオア・クーでボールやオッゴが呆気なく撃破される光景を見ているのだから。

 だが、そのMSと違ってバッタは無人機だ。

 最初から一定の技量を持っている。

 その技量は、それこそ一流やベテランといったパイロットなら倒す事が出来るような程度の技量だが、新人パイロットでは勝ち目がない。

 そういう意味では、やはりバッタの方がかなり便利なのは間違いのない事実だ。

 

「そうですね。正直ペズンでもギガンを疑問視している人はいます。ですが、拠点防衛用のMSを開発しろと命令が来れば、それに従わない訳にはいきませんし」

 

 メカニックの言葉から、メカニック本人もギガンを好んでいる訳でないのは明らかだ。

 そんな状況であっても開発しないといけないのは、宮仕えの辛いところだよな。

 

「MSについては、これで全部です。ただ、MSではなくMSが使うサポート兵器といったような物はありますが、こちらも見ますか?」

「頼む」

 

 マッシュからの言葉という事もあって、メカニックは素直に頷いて手元の機器を操作する。

 そして次に映像モニタに映し出されたのは……

 

「バストライナー?」

「え? いえ、これはスキウレという名前ですが」

 

 俺の言葉に、きょとんとした様子で返すメカニック。

 これは、もしかして偶然なのか?

 いやまぁ、バストライナーは連邦軍の中でもかなり機密度の高いFSWS計画の産物として出来た兵器だ。

 そういう意味では、ジオン軍がFSWS計画を知る事は不可能……とまではいかないが、かなり難しいのは間違いない。

 

「これは巨大なメガ粒子砲を持っていて、MSを乗せて移動出来る……そんな兵器だな?」

「そうですね」

 

 少しだけ驚くメカニックだったが、それでも少しだけなのは、見れば大体どういう性能なのかという事が分かるからだろう。

 

「アクセル、これは偶然だと思うか?」

 

 マッシュの言葉が、連邦軍のバストライナーを示しているのは明らかだ。

 バストライナーは、ジャブローで俺が得た報酬の中に入っていたし、それがディアナにもある以上、ルナ・ジオン軍の中でもある程度の地位にある者であれば、それを知る事が出来る。

 そしてマッシュは、当然のようにその地位にある者だ。

 

「偶然……だと思いたいが、ここまで形が似ているとな」

 

 実際には、細かい場所は結構違う。

 だが、大まかな外見という点では、間違いなく似てるのだ。

 

「けど、スキウレがバストライナーを参考に作ったという可能性は、考える必要もない筈だ。……まぁ、連邦軍のバストライナーとジオン軍のスキウレのどちらが信用出来るかと言われれば、スキウレと答える者がルナ・ジオン軍に多いのは間違いないだろうが」

 

 何だかんだと、ルナ・ジオン軍に所属している者はジオン軍出身者……もしくはジオン公国では軍隊に入っていなかったが、月に移住してきてシーマの件や、それ以外でも異名持ちが多い事からという理由でルナ・ジオン軍に入隊した者が多い。

 そのような者達にしてみれば、やはりジオン公国が先にMSを開発したという事で、一種の安心感のようなものを抱くのは当然だろう。

 実際には連邦軍の方が技術の進んでいる場所も多かったりするのだが……その辺に関しては、個人の考え方によって違う。

 ともあれ、そういう理由でバストライナーとスキウレという似たような性能を持つ兵器であれば、後者を選んでもおかしくはない。

 もっとも、バストライナーはホバー移動出来るから、地上でも……それどころか水上でも使えるのだが。

 それに比べると、スキウレはメカニックからの説明を聞いた感じだと、あくまでも宇宙用らしい。

 そういう意味では、バストライナーの方が性能は上だと思う。

 もっとも、そういう風に様々な能力を詰め込みすぎた関係で、コスト的な面ではスキウレが勝っているらしい。

 

「それと、これが最後になります。ただし、これは開発半ばで中止された物なのですが」

 

 そう言い、映像モニタに表示されたのは……何だ、これは。

 似ているのは、いわゆる水中用のスクーターと呼ばれている物だろう。

 とはいえ、ペズンで開発されている以上はまさか本当に水中用スクーターといったものではないだろう。

 

「説明しなくても分かるが、これはMSを運ぶ為の……言わば、宇宙用のドダイ的な奴だな?」

「はい、そうなります。実際、性能そのものは決して悪くはないと思うんですが……ただ、色々と問題もあって」

「問題?」

 

 MSを運搬するというのは、地上でもそうだが、宇宙ではその役割は更に大きなものとなる。

 地上の場合は、MSの推進剤を全て消費してしまっても、それで死ぬという事はない。……もっとも、敵陣のど真ん中でそんな事になったりすれば、攻撃が集中して死ぬといったような事になったりもするが。

 だが、宇宙の場合は推進剤が切れるのは、死ぬという事と半ばイコールに近い。

 運がよければ友軍に見つけて貰えるが、場合によっては敵軍が情報を聞き出す目的で捕虜にするという事も考えられるが、それよりはそのまま死ぬ可能性が高い。

 そうである以上、推進剤を節約出来る手段は必要だと思うんだが。

 視線をメカニックに向けると、微妙に言いにくそうにしながら、口を開く。

 

「その、資材的な問題で……」

 

 あー……うん。そう言われれば、俺も納得するしかなかった。

 オデッサから結構な量の資源が打ち上げられた筈だし、連邦よりもレートは高いがジオン軍とも取引は続けている。

 そう考えれば、資材が足りなくなるということは、そこまで気にしなくてもいいと思うんだが。




アクセル・アルマー
LV:43
PP:1290
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.11
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1637

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