転生とらぶる   作:青竹(移住)

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2695話

 ペズンでの交渉は、かなり上手く進んでいるらしい。

 俺とシーマ、マッシュの3人が、ペズンの中でもトップクラスの技量を持つMSパイロットと模擬戦をやって圧勝したというのがこの場合は大きいのだろう。

 もっともシーマ達が交渉している間、俺はマッシュと共にペズン計画で開発されたMSのうち模擬戦に出て来なかったMSについて説明を受けていたのだが。

 

「とはいえ、あまり役には立たなさそうなMSだったけどな」

「おや、そうなのかい?」

 

 ペズンの中の一室、今日俺達が泊まる為にと用意された部屋の中で、シーマはペズン計画のMSについて説明されると少し驚いた様子を見せる。

 

「ああ。だよな?」

「アクセルの言う通りだと俺も思う。それなりに使えそうなのもあったが、敢えて使う必要があるのかと言われれば、首を横に振るしかないな」

 

 マッシュが俺の言葉に同意する。

 ちなみに、現在この部屋にいるのは俺、シーマ、ガイア、オルテガ、マッシュの5人。

 今回ペズンを接収する為にやって来たシーマ艦隊の中でも、異名持ちだけが揃っている形だ。

 

「そんなにかよ? けど、模擬戦で見た感じだと、結構使えそうだっただろ?」

 

 オルテガがそう告げるが、ガイアは即座にそれを否定する。

 

「今の話題は、あの模擬戦に出て来たMSじゃなくて、それ以外だろ? ……本当に使い物にならないのか?」

 

 念を押すように尋ねてくるガイアだったが、俺とマッシュは顔を見合わせ、やがて俺が口を開く。

 

「マッシュも言ったが、全く使い物にならない……って訳じゃない。例えばガッシャは遠距離からの制圧射撃をするって意味だとそれなりに使えるし、要塞内部のような場所でならタイヤを持つギガンも使い道はある。ただ……それを無理して使うかと言われると、正直微妙なんだよな」

 

 制圧射撃なら、単純に使い捨てのミサイルを大量に用意すればいいだけだし、遠距離からの射撃による援護ならヅダのSP型がいる。

 要塞内部を守るMSのギガンは、それこそ無人機のバッタやメギロートで十分な性能を発揮出来る。

 スキウレにいたっては、現在ディアナで製造され始めたバストライナーと比べると下位互換的な存在でしかない。

 いやまぁ、これに関してはバストライナーの方が宇宙でも地上でも海上でも使えるという意味で、圧倒的に高い性能を持っているから……というのが大きいのだろうが。

 もっとも機能を限定してる分、スキウレの方がコスト的な問題ではバストライナーに勝っているというのは有利なところだが。

 

「ふーん。そうなると、ペズンで使えそうなのはガルバルディ、アクトザク、ペズンドワッジといったところかね」

 

 俺とマッシュの話を聞いたシーマに頷きを返す。

 スキウレは、宇宙だけで使うと考えれば使い道は十分にあるが。

 何しろ、強力なメガ粒子砲を発射出来て、その大きさはMSとそう大差はない。

 少なくても、サラミスやマゼラン、ムサイ、ザンジバル、チベ……といったような、軍艦並の威力のメガ粒子砲を使えて、その大きさが軍艦とは比べものにならないくらいに小さいというのは、後方からの援護射撃やデブリ帯に隠れての奇襲攻撃、それ以外にも様々な使用用途がある。

 それでいて、メガ粒子砲を撃つのはあくまでもスキウレなので、それこそヅダ……いや、旧ザクであっても問題なく使える。

 うん、地上で使うのならバストライナーだが、月や宇宙で使うのならスキウレで十分だな。

 最初と全く意見が変わってしまっているが、それはそれでよしとしておこう。

 

「取りあえず、スキウレだけは月で生産してもいいかもしれないな」

「そうだね。聞いた話だと、それはそれでありかもしれないね。……さて、とにかく次は模擬戦に出て来た3機のMSだけど……どう思う?」

 

 シーマの視線が向けられたのは、俺とマッシュ。

 シーマを含めて模擬戦に参加した2人だ。

 

「そうだな。アクトザクはビームライフルを使えて機動性や運動性も高いという意味で、決して使いにくいMSじゃない。けど、ヅダを主戦力としているルナ・ジオン軍としては、アクトザクを使うのは色々と問題があるんじゃないか?」

「別にそこまで気にしてはいないよ。けど、売りのビームライフルに関しては、1年戦争の時なら凄い! と言ってもよかったけど、今となってはね」

 

 シーマの言葉も理解は出来る。

 何しろ、連邦軍はジムで、ジオン軍もゲルググでビームライフルを標準装備としたのだ。……ジムの方は正確にはビームライフルの簡易版とも言うべきビームスプレーガンだったり、ビームガンだったりもするが。

 ともあれ、そういう訳で今更ビームライフルというのは、売りにはならないというシーマの言葉は正しい。

 今後、ビームライフルは売りどころか標準装備となっていくのは、ほぼ間違いないのだから。

 

「そうなると、ペズンドワッジはどうする? こっちは言ってみればリックドム……もしくはリックドムⅡの純粋な発展系といった感じだったけど。機動力は高いが、運動性が低いという欠点もあるし、ビーム兵器も持っていない」

「ちょっと待ってくれ」

 

 マッシュの言葉に、そう口を挟んだのは……オルテガ? 珍しいな。

 

「俺が日中にペズンの連中から聞いた話によると、ペズンドワッジも一応ビーム兵器を持っているぞ」

「……その割には、俺との模擬戦では使ってこなかったが?」

「ああ、そりゃそうだろ。ペズンドワッジが使うビーム兵器のビームキャノンは、ビームライフルといった物じゃなくて、動力炉の出力不足から2機1組で使うらしいからな」

「それは、また……」

 

 正直なところ、オルテガの言葉はフォローになってるようでなっていない。

 2機1組での運用となると、多少威力がビームライフルより強くても非常に使い勝手が悪い。

 それこそ、ビームキャノンではなくスキウレでも使った方がいい。

 コスト的にはビームキャノンの方が安いのかもしれないが、スキウレの場合はどんなMSでも使えるし。

 

「2機1組というのはちょっと不便だな。それ以外のペズンドワッジの特徴となると、ドム系に共通している厚い装甲か?」

「……実弾を使うならともかく、ビーム兵器全盛の時代となれば、装甲が厚いのはマイナスにしかならないと思うんだが」

 

 マッシュの言葉にそう突っ込む。

 実際、現在のUC世界において最大の硬度を持つルナ・チタニウムであっても、ビーム兵器の前には何の意味もなさない。

 そうなると、重装甲……つまり装甲を厚くする事によって、運動性や機動性を落とすというのは何の意味も持たない。

 それどころか、ビーム兵器が標準装備になった場合は可能な限り装甲を薄くして、運動性や機動性を高めるといったような方向に進化していくと思う。

 どれだけ重装備であっても、ビームに当たればそれを防ぐ事が出来ない以上、敵の攻撃を回避する方向に進むのは当然だろう。

 

「そうなると、ペズンドワッジは脱落か。残るはガルバルディだが……アクセル、直接戦ってみた本人としては、どう思うんだい?」

「直接戦ったと言われてもな。戦いそのものは結構すぐに終わってしまったからな」

 

 シーマとマッシュの戦いも、そんなに時間を掛けずに戦いは終わった。

 だが、俺の場合はそんなシーマやマッシュと比べても一際早く戦いが終わってしまったのだ。

 

「ただ、そうだな。あの時に聞いた話だとゲルググとギャンの双方の利点を融合させたようなMSだって話だったし、それを考えればペズンで開発されたMSの中で一番有望なのはガルバルディだろうな」

 

 ビームライフルだけなら、アクトザクも装備している。

 だが、ガルバルディは……データを見る限りでは、ビームライフルだけではなく、ビームサーベルも装備しているらしい。

 そういう意味では、ガルバルディが高性能なのは間違いない。

 実際、ペズンの中でも最も腕利きだと言われているフィーリウスが乗っていたのだから。

 ヅダの後継機そのものはまだ考えられていなかった筈だ。

 いや、正確にはギャン高機動型をベースにしたMSを開発するという話はあったが、そっちはあくまでもエースパイロット用の機体となっている。

 一般的な兵士が乗るヅダの後継機となれば、ガルバルディをベースに開発した方がいいと思う。

 そう告げると、シーマ達は納得したような表情を浮かべる。

 どうやら、俺と似たような事を考えていたらしい。

 

「そうだね。その辺については興味深い点もあるから、今回の一件が終わった後で、あたしの方から上層部とディアナに話を通しておくよ」

「悪いな」

「いいさね。そもそも、この問題はあくまでもルナ・ジオン軍の問題なんだ。そういう意味では、アクセルがそこまで心配する必要はないって事だろう?」

「そういうものか? まぁ、俺としてはディアナで優秀な新型MSが開発されるのなら、全く何の問題もないけど。……取りあえず、MSについてはこんなところだな。そう言えば、ペズンをルナ・ジオンが接収しても、月から離れている場所にあると色々と問題が起きるんじゃないか? 具体的には、連邦軍とか、海賊とか、連邦軍とか」

「……連邦軍が2回入ってるのは、意図的な物か?」

 

 ガイアの呆れの視線がこちらに向けられるが、俺はそれに特に気にした様子を見せずに頷きを返す。

 

「いわゆる、大事なので2回言いましたって奴だな」

 

 実際、連邦軍は巨大な組織の為に、結構好き勝手に動く奴もいる。

 レビルがいれば、まだ抑えてくれたのだろうが……そのレビルも、今はいない。

 そうなると、こちらとして頼りになるのはゴップだけだが、そのゴップは基本的に後方で補給を行う人物だけに、前線で戦っている兵士達にはどうしても人気がない。

 実際には補給がなければ戦闘すら出来ないのだが。

 MSを使った戦闘ともなると、それこそ予備部品やら何やら、色々と必須の物は多い。

 にも関わらず、兵士の中には補給を担当する者を貶めるような奴も珍しくはなかった。

 勿論、連邦軍の軍人の全てがそのように思っている訳ではないだろう。

 ある程度の地位にいる者であれば、補給の重要さは当然のように理解しているだろうし。

 寧ろ、補給の大事さを全く理解していない軍人は……うん、強硬派なんかの事を考えると、いないとも限らないのが連邦軍の怖いところだ。

 大所帯であるが故に、中には能力がないのに出世したといったような奴がいてもおかしくないのだから。

 

「ともあれ、ペズンがここにあるからそういう問題が起きる訳で……軍艦用のスラスターを使って移動させるとか、そういう手段はどうだ?」

 

 その手の技術は、当然の話だが連邦やジオンにはある筈だ。

 何しろ、ア・バオア・クー、ソロモン、ルナツー……そもそも、このペズンにしたところで、小惑星をここまで移動してきて、基地として運用しているのだから。

 であれば、ペズンを移動させる方法はある筈だった。

 

「多分、その辺は相応の技術はあると思うけど……ペズンを持っていくにしても、具体的にどこに持っていくんだい?」

「俺としては地球の側がいいと思う。ハワイとの連携も取りやすくなるし」

 

 そう言い、俺が以前から考えていた説明をする。

 ルナツーに対抗するという意味でも、今回の一件は大きな意味を持つ。

 

「そうだね。……本来なら月の周辺に持ってきたいところなんだけど……月の周辺には、もうシャドウミラーから借りてる機動要塞が複数あるし。そういう意味では、アクセルの提案は決して間違ってる訳じゃないし、いいんじゃないかい?」

 

 シーマがそう告げると、ガイア達も特に反対はしない。

 もっとも、シーマのように軍の上層部……どころか、ルナ・ジオン全体の上層部にも強い影響を持っているのに比べると、ガイア達はあくまでも黒い三連星という名の、少数精鋭の部隊だ。

 それを考えると、お互いに立場の違い的なものも存在するのだろう。

 勿論、これはどちらが上だとか、そういう訳じゃない。

 あくまでも、立場の違いでしかないのだから。

 

「黒い三連星の面々も反対はないようだし、後でその辺を上に提案させて貰うよ」

「そうしてくれると、こっちとしても助かる。ちなみに名前はどうなるんだ? ペズンのままなのか、ルナツーならぬ、ルナスリーなのか」

「そこはペズンでいいんじゃないか?」

 

 若干呆れつつ、ガイアがそう告げる。

 俺としては最初にペズンという名前を聞いたから、そっちの印象が強いし、ルナスリーという名前がしっくり来ない。

 そういう意味では、ペズンのままにしてくれると嬉しいんだが。

 

「名前を変えると言えば……知ってるか? 連邦軍は、ソロモンをコンペイ島という名前に変えるらしいぞ」

「……金平糖?」

「違う。コンペイ島だ」

 

 マッシュが俺の言葉を訂正する。

 にしても、コンペイ島ねぇ。

 最初にソロモンで認識した為か、今更名前を変えると言われてもな。

 公にはともかく、多分俺はソロモンと言い続ける事になると思うが。

 そんな風に考えつつ、俺はシーマ達と話を続けるのだった。




アクセル・アルマー
LV:43
PP:1290
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.11
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1637

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