転生とらぶる   作:青竹(移住)

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2699話

 パーティの翌日、シーマ艦隊は数隻のムサイ級を護衛としてペズンに残し、月に帰還する事になった。

 当初の予定では、ペズンに残るのは黒い三連星が搭乗しているムサイ級だけだったのだが……ペズンにいるテストパイロットの中でもトップクラスの技量を持つフィーリウス達が、俺達と一緒に月に行く……つまりペズンの防衛から抜けるという事もあり、当初の予定よりもペズンに残る部隊を増やしたのだ。

 

「で、もう防衛用の追加の戦力は月から送られてるんだよな?」

 

 リリー・マルレーンのブリッジで、いつものように虎の皮を敷いたソファに座っているシーマに声を掛ける。

 ちなみに、ザンジバル級の艦長席がソファだったり、虎の皮の敷物だったりするのは非常に珍しい――当然だろうが――らしく、フィーリウス、バネッサ、ガリウスの3人も少し戸惑った様子を見せていた。

 フィーリウス達は一応客人という扱いなので、その搭乗艦は当然のように、このリリー・マルレーンだ。

 

「そうだね。昨日、パーティが終わってから月に連絡を入れておいたよ。早ければ昨日のうちに……どんなに遅くても、今日中には出撃すると思うよ」

「え?」

 

 シーマの言葉に、バネッサが驚きの声を上げる。

 まぁ、その気持ちは分からないでもない。

 ペズンのある場所から月までとなると、結構な距離がある。

 勿論、それで通信が届かないという訳ではないだろうが……それはあくまでも普通の場合だ。

 1年戦争終戦――まだ終戦協定は結ばれていないが――直後の今は、当然の話だが地球の周辺には大量のミノフスキー粒子が散布されてる。

 とはいえ、ミノフスキー粒子というのは時間が経過すると霧散してしまうので、条件にもよるがある程度の時間が経過すれば、長距離の通信も使えるようになるのだが。

 だが……ルナ・ジオンの場合は、少し事情が違う。

 普通の時であれば、このUC世界においても一般的な普通の通信を使ったりといったような事をしているのだが、もしそれらの通信が使えなかった場合……そうなれば、シャドウミラーが貸している通信機を使う事が出来る。

 シャドウミラーで使っている通信機は、フォールド通信を応用してゲートを使って行われている通信である以上、物理的な距離というのは意味をなさない。

 ミノフスキー粒子があろうが、Nジャマーが存在しようが、そんなのは全く気にした様子もなく通信を行う事が出来るのだ。

 とはいえ、バネッサ達にその辺の事情を説明するのはまだ早いと思うが。

 バネッサ達は今は取りあえず月に行くという事になっているが、別に心の底からルナ・ジオンという勢力に所属したいと思ってる訳ではないだろうし。

 

「なら、取りあえず俺達はゆっくり月に向かえばいいのか。……寧ろ、防衛戦力がやって来るまでペズンに待機していてもよかったと思うけどな」

「それは難しいね。月の方でも色々とやる事があるし」

 

 シーマのその言葉に、フィーリウスが少しだけ不思議そうな表情を浮かべる。

 シーマが何を言ってるのか、理解出来なかったのだろう。

 ペズンでずっとMSの開発に協力していれば、その辺はちょっと分かりにくいのか?

 シーマはセイラとはまた違った意味で月の代表といった一面がある。

 それだけに、月で何らかの動きがあった場合は、そこにシーマの姿があるのは絶対に確実……という訳ではないが、あった方がいいのは間違いない。

 ましてや、これから連邦とジオンの終戦協議を行う訳だから、余計にシーマの存在は重要になってくるだろう。

 そういう意味ではシーマの言ってる事も理解出来た。

 

「月は月で忙しいな」

「随分と他人事だね。……アクセルは、月に戻ったらどうするんだい? やっぱりディアナに?」

「それも気になる。……ガルバルディはゲルググとギャンの双方のいい場所を融合したMSだが、ディアナの方で開発しているエース用のギャンの後継機も気になる」

 

 そう俺が言うと、フィーリウスがこちらに視線を向けてくる。

 自分がガルバルディに乗ってるだけに、俺の言葉には色々と気になるところがあったのだろう。

 

「興味あるか?」

「……ある」

 

 フィーリウスは、俺の質問を聞いた数秒後に渋々といった形でそう答える。

 この件に関しては特に隠しておくような事でもなく、それこそルナ・ジオン軍について少し詳しければ知っていてもおかしくはない事だ。

 それで知ることが出来るのはあくまでもそういうMSを開発中だという事だけであって、具体的にどんな性能のMSなのかといったような事は知りようがないのだが。

 

「現在ルナ・ジオン軍では、ヅダが量産機として使われている。それは模擬戦でも見たし、分かるな? ヅダはヅダでも、コンペで負けた時そのままという訳ではなく、様々な場所が改修されてるが」

 

 それこそ、ヅダという名前は同じであっても、実際には別物のMSと言ってもいい、それだけ大きな違いがある。

 それでもヅダⅡとか、もしくは全く別の名前をとならなかったのは、ヅダの開発チームとして月にやって来たツィマッド社の面々がそれだけヅダという名前に愛着を持っていた証だろう。

 

「あのヅダの性能を考えれば、それこそゲルググには及ばなくてもパイロットの技量次第では対処出来る……といったところだろうね」

 

 そうシーマが言ったのは、自分でヅダを使っているからこそか。

 まぁ、シーマの乗っているヅダは強襲型のA型……というか、それをベースに改修した、ほぼ別物に近い感じになってるんだが。

 そう考えると、ヅダは色々な意味で特殊なMSという事になるな。

 まぁ、その辺を俺がああだこうだ言っても、全く意味はないんだろうが。

 

「ともあれ、ヅダはかなり性能のいいMSだ。シーマが言ったみたいに、パイロットの技量によってはより高性能のゲルググとも互角以上に戦える程に。だが……それはあくまでも、パイロットの技量ありきの話だ。ぶっちゃけ、シーマを始めとした異名持ちクラスの……いや、そこまでいかなくてもエース級のパイロットなんてのは、当然のように数はそんなに多くはない。戦場で実際に戦うのは、基本的にそこまで技量が高くない連中だけだしな」

 

 これは言葉に出さなかったが、ルナ・ジオン軍の場合は特に新米の割合が多い。

 ジオン軍出身の者もいるが、やはりシーマやセイラの件で自分達こそが軍人になって月を守る必要があると、そう判断した者が多かった為だ。

 勿論、新米パイロットであってもレコアのように才能を発揮する奴もいる。

 実際、レコアはそれなりに操縦センスがあるので、超一流……とまではいかなくても、一流半といったくらいにはなれるだろうし。

 ともあれ、ヅダでは新人にとっては、ゲルググのようなMSを相手にする場合、非常に不利だ。

 ……あくまでもMSの性能の話であって、複数のパイロットで1機のゲルググを相手にするとかそういう戦い方をすれば、ゲルググに勝利する事は不可能ではないのだが。

 

「ともあれ、ゲルググに負けないような性能のMS……それも量産型MSを開発するという事になった訳だ。最初はゲルググとコンペをしたギャンをベースにといった話もあったんだが、ギャンは高性能ではあっても使いこなすにはパイロットの操縦技術が必要だ」

 

 取りあえず試験的にという事で開発された、高機動型ギャン。

 ソロモンでの戦いぶりからソロモンの悪夢という異名を付けられたガトーと、そのガトーに勝るとも劣らぬ実力の持ち主のノリス。

 そんな2人だからこそ、高機動型ギャンを使いこなせたのだ。

 高性能なMSではあるが、パイロットに技量がないと使いこなすのは難しい。

 ギャンというのは、そういう……言わば、グフに近い性能を持ったMSだ。

 だからこそ、新米パイロットであっても一定の戦果を挙げられるような性能を持つMS……ジオン軍のMSで言えば、ドムやリックドム、もしくはリックドムⅡのような、そんなMSが必要となる。

 とはいえビームライフルが一般的になる以上、ドム系のような重装甲のMSというのは役に立たないだろうが。

 そういう意味で、ガルバルディは決して悪いMSではない。

 ゲルググとギャン、双方の長所を融合させたような性能を持っており、ビームライフルを使えるという点も大きい。

 ただし、ルナ・ジオン軍でガルバルディを量産する場合は、今のビームライフルではなくEパック方式のビームライフルが採用されるだろうが。

 

「なるほど。それでガルバルディを……」

 

 俺の説明に嬉しそうな笑みを浮かべるフィーリウス。

 自分がテストパイロットをしたMSが量産されるかもしれないというのは、やはり嬉しいのだろう。

 この辺はテストパイロットだからこその喜びか。

 

「月に行ったら、ディアナ……ルナ・ジオンの兵器メーカーだが、そこで働くか? 腕の立つテストパイロットは、歓迎されるぞ」

 

 クリスも1年戦争が終わったら、テストパイロットになると以前聞いたような気がする。

 MSの操縦技術があったし、その上で結構な腕利きだった影響もあってか、俺やシーマと小隊を組んで実戦に出たが……だからといって、戦後もルナ・ジオン軍に残る必要はない。

 MS開発についても高い知識と技術を持つクリスは、やはりテストパイロットというのが最善の選択だと思う。

 そして面倒見のいいクリスなら、フィーリウスがいれば放っておくような事はしないだろう。

 もっとも、バネッサとガリウスの2人がいるのを考えると、クリスが世話を焼く必要もないのかもしれないが。

 ちなみに、このバネッサとガリウス……フィーリウスを若とか、フィーリウス様とか呼んでいたように、どうやら単純にフィーリウスの部下という訳ではなく、家の関係とかがあるらしい。

 何しろフィーリウスの母親はザビ家に近いらしいし、そう考えればおかしな話でもない。

 まぁ、その辺は俺が突っ込むような事じゃないか。

 

「実戦部隊に参加したい」

 

 フィーリウスは、俺の言葉にそう返してくる。

 バネッサは何か言いたそうにしていたが、結局何も言う様子はない。

 ガリウスの方は、特に何かを言う様子はない。

 いや、寧ろフィーリウスの言葉に納得している様子すらある。

 

「本気か? 今の状況で実戦となると、恐らく……いや、ほぼ間違いなくジオン軍の残党とかとも戦いになるぞ?」

「それが必要なら」

 

 俺の言葉に、あっさりとそう返すフィーリウス。

 これは、本気で言ってるんだろうな。

 この状況で俺が駄目だと言っても、フィーリウスは恐らく納得しないだろう。

 であれば、ここはやはり大人しく引き受けた方がいいのか?

 そうして、ジオン軍……正確にはジオン軍の残党以外の敵との戦いに回せばいいか?

 具体的には宇宙海賊とか。

 ……ただ、宇宙海賊も基本的にはジオン軍の残党だったり、終戦前にジオン軍を脱走したような連中がやってる事がおおいんだよな。

 

「そうか。……まぁ、その辺は最終的に俺が決める事じゃないからな。月に到着してから、ルナ・ジオン軍の上層部に言った方がいい」

 

 テストパイロットでもいいと思ったんだが、本人が強さを求めて月に来たとなれば、その辺はどうなるか分からないのか。

 ……あるいは、本当にあるいはの話だが、もし俺……いや、正確にはセイラが進めている計画通り、ガルマがジオンを率いる事になった場合、フィーリウスはジオンに戻る事になる可能性は十分にあるのか。

 その辺を考えると、ルナ・ジオンの重要な部分に関わらせる訳にもいかないのは間違いない。

 セイラなら、もしフィーリウスが何か妙な事を考えても、あっさりと見抜くだろうが。

 

「そう言えば、一応注意しておくか。このまま月に行けば、間違いなくお前達はセイラに会う。だが、セイラは強力なニュータイプで、相手が何か妙な事を考えていた場合、それを見抜く。……ここまで言えば、何を言いたいのか分かるな?」

 

 もし何らかの思惑があって月に向かおうとしているのなら、間違いなくそれは見抜かれる。

 いや、その思惑が月に被害を与えようとか、誰かの暗殺を考えているとか、月の情報を流そうとか、そういうのじゃなければ問題はないだろうが。

 例えば、バネッサがやガリウスの場合は、フィーリウスを守るといったような思惑があるだろうが、セイラにしてみれば、そういうのは特に問題ないと考える筈だ。

 まだ、フィーリウスの強くなりたいというのも、セイラにしてみれば特におかしな事はないだろう。……もっとも、フィーリウスのような子供がMSを操縦して人を殺すという事に、色々と思うところがあるかもしれないが。

 

「分かった。気をつける」

「気をつけてどうなるような事でもないんだけどな。まぁ、おかしな事を考えなければそれでいい」

 

 セイラはかなり人気が高いので、もしセイラに何か妙な事をしようものなら、それこそラルやアンリといった面々が一体どう反応するのやら。

 そんな風に思いながら、俺はブリッジで話を続けるのだった。




アクセル・アルマー
LV:43
PP:1290
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.11
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1637

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