転生とらぶる   作:青竹(移住)

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2700話

 当然ではあるが、ペズンから月に向かっていた俺達は特に誰にも邪魔されず、無事に月に到着する。

 これが1年戦争中であれば、また話は別だっただろうが……その1年戦争も終わった今となっては、それこそ俺達を襲撃するような者はいなかった。

 勿論、ジオン軍の残党だったり、連邦軍の中でも強硬派だったり、海賊だったりといったような者達もいるのだが、軍艦1隻だけで移動しているのではなくリリー・マルレーンを中心としてムサイ級が複数の艦隊として動いているのだ。

 このような状況で襲ってくるような相手は存在しない……訳ではないかもしれないが、少なくても俺達は襲撃されるといったような事はなかった為、無事月に到着したのだ。

 当然の話だが、ルナ・ジオン軍に所属しているシーマの艦隊が戻ってきたのだから、特に面倒な手続きの類はない。

 ……寧ろ、面倒な手続きが必要なのはこれからだろう。

 ガルバルディを始めとして、ペズン計画で開発されたMSの解析でディアナは忙しいし、何よりも忙しいのはフィーリウス達に関してだ。

 ザビ家と血筋が近いフィーリウスは、下手をすれば月の中で爆発物の如き存在にもなりかねない。

 下手にペズンに置いておいてジオン軍の残党に利用されたりするよりは、月にいた方がいいのは間違いないだろうが。

 そういう意味でも、下手な騒動を起こさせないという意味ではやはり今回の件は決して悪い話ではなかった……といったところか。

 フィーリウス達にも、セイラを前にして妙な事を考えないようにとアドバイスは送っておいたし。

 

「では、こちらへどうぞ、アルテイシア様の前まで案内します」

 

 そう言ってフィーリウス達の案内を買って出たのは……ハモン。

 いやまぁ、セイラとシャアが子供の時にサイド3から脱出する時に、ハモンは危険な目に遭いながらもそれを手助けしたって話だったし、ラルとの繋がりもある。

 そういう意味では、何気にルナ・ジオンでセイラとの付き合いが一番深い女というのは実はハモンだったりするんだよな。

 ただ、いわゆる縁故採用といったようなものではなく、ハモンの場合はきちんと実力もある。

 それはセイラの下で文官として働いているのを見れば明らかだろう。

 言ってみれば、ハモンはセイラの副官的な存在と言ってもいい。

 そんなハモンが挨拶に来たのが、フィーリウス達の存在の重要性を示していた。

 そうしてフィーリウス達はハモンに連れられて去っていく。

 バネッサは俺の方を見ると小さく頭を下げてから、フィーリウスやガイウスと共に去っていく。

 取りあえず月まではやって来たんだから、この後どうするのかは、本人達の希望と月の思惑次第だろう。

 

「アクセル!」

 

 と、フィーリウス達を見送っていた俺に、声が掛けられる。

 それが誰の声なのかは、考えるまでもなく明らかだ。

 そして声のした方に視線を向けると、やはりそこには俺の予想通りシーマの姿があった。

 周囲に何人もの海兵隊を従えているその様子からは、姐御と呼ばれるのがお似合いの姿でもある。

 とはいえ、海兵隊の面々も、ジオンにいた時はともかくとして、月では横暴な態度を見せる事はない。

 勿論、それは自分から喧嘩を売る事はないという意味であって、相手から喧嘩を売られれば買うだろうが。

 ……ただし、クレイドルは月の首都だ。

 当然のように、コバッタや量産型Wによって治安が守られている。

 少しの喧嘩ならともかく、本格的に喧嘩をしたりといったような真似をすれば、すぐに捕らえられて強制労働という名の農作業に駆り出され事になるだろう。

 コバッタや量産型Wは、シーマの海兵隊だからといって判決に手を加えるといったような真似はしない。

 勿論、何か妙な行動……それこそ、海兵隊を嵌める目的で喧嘩を売って、意図的に大きな騒動にするといったような真似をするなどとなれば、話は別だが。

 

「どうした?」

「用件は2つあるよ。あたし達が持ってきたペズンのMSは、ディアナに運び込むって事でいいんだよね?」

「ああ、それでいい。特にガルバルディは本命中の本命だ。……まぁ、アクトザクとペズンドワッジも、それなりに有力なMSだろうけど」

 

 アクトザクはビームライフルを撃てるようになり、ジオン軍で一般的に使われている流体パルスシステムではなく、連邦軍MSのフィールドモーターを採用し、マグネットコーティングを使っているという意味で、ある意味ディアナが目的としている連邦系とジオン系の技術の融合に成功しているMSだ。

 そういう意味でも、アクトザクはかなり興味深いし……ペズンドワッジも他の2機に比べると数段落ちるが、リックドムⅡよりも性能は上という意味で興味深いMSではある。

 それ以外の、模擬戦で使われなかったガッシャやギガン、スキウレといったのも、ディアナの技術者にしてみれば非常に興味深い筈だった。

 ……残念だったのは、アルテミスに運ぶようなニュータイプ用のMSがなかったことか。

 もっとも、アルテミスはエルメスのビットの解析やニュータイプ用ザク、ジオングといった機体の解析で忙しいだろうから、ここでそういうのを持っていかれてもそちらに取りかかるのは暫く先になるだろうが。

 元々大量の技術者がいるディアナと比べて、ニュータイプ研究所のアルテミスにいる科学者はどうしても少ない。

 当然だろう。現在アルテミスにいる科学者達は、フラナガン機関の中でも子供達を虐待していなかったか、もしくは虐待していても軽度だった者達なのだから。

 それを考えれば、これから人数を多くするのは大変だろう。

 とはいえ、そうも言ってられないので、現在アルテミスには科学者の卵を結構な数放り込んでいて、他の科学者達に鍛えられているらしいが。

 その科学者の卵が上手く孵り、成長すれば……アルテミスの科学者は増える事になるだろう。

 

「分かった。じゃあ、そうしておくよ。……そしてもう1つ。マツナガがアクセルに会いたがっているらしいよ」

「マツナガが? いや、そう言えばそうだな」

 

 ガルマに会わせると言っておいて、結局まだ月にいたのか。

 1年戦争が終わった翌日には、ペズンに向かったし。

 その間、マツナガとしてはずっと俺を待っていたのだろう。

 

「分かった。ちょうどこの後は用事もないし、早速マツナガに会いに行くよ」

 

 これで、俺がルナ・ジオン軍の所属なら、報告書とかそういうのを書く必要もあるんだろうが……俺の立場なら、そういうのは必要ない。

 ガンダム7号機の整備とかは、月に戻ってくるまでの間にリリー・マルレーンのメカニック達にやって貰っているし。

 ディアナの技術者がペズンに残ったので、整備にはそれなりに時間が掛かったが。

 

「そうしてやっておくれ」

「……へぇ。まさかシーマの口からそんな言葉が出るとは、予想外だったな」

 

 少しだけからかうように告げると、シーマは不満そうな視線をこちらに向けてくる。

 だが、何かを言おうとしたところで、リリー・マルレーンのメカニックがシーマの名前を呼び……こちらを不満そうな様子で一瞥すると、再び口を開く。

 

「じゃあ、マツナガが呼んでいるという話はしたからね。後で聞いてないとは言わせないよ」

 

 そう告げ、メカニック達の方に向かう。

 メカニックが一体何の用件で呼んだのやら。

 ともあれ、俺はマツナガと会うべくその場から移動するのだった。

 

 

 

 

 

「俺に会いたいって話だったが、用件は? ……いやまぁ、ガルマの件だとは思うんだが」

 

 マツナガに宛がわれている部屋で、俺は来客用の椅子に座ってそう尋ねる。

 来客用の椅子があるのを見れば分かる通り、ここは独房ではなく客室だ。

 本来なら、今のマツナガの立場は捕虜という扱いになっている以上、独房にいてもおかしくはない。

 だが、立場は捕虜でも実質的には客人に近い扱いであり、何よりも案内役兼護衛兼見張りのコバッタがマツナガと一緒にいる以上、こういう普通の部屋で全く問題はない。

 

「そうだ。戦争が終わったと思ったら、アクセルはすぐにいなくなっただろう。……どこに行っていたんだ?」

「ん? 聞いてないのか。ペズンだ」

 

 ジオン軍の中でも、秘密の場所たるペズン。

 そうである以上、普通の兵士ならペズンという名前を知らなくてもおかしくはないんだが……それがマツナガとなれば、話は違う。

 マツナガは白狼の異名持ちのエースパイロットであると同時に、ドズルの腹心の部下だ。

 また、マツナガ家はジオンでも結構な名家であり……そんなマツナガがペズンについて知らないとは思わなかったが、実際に俺の口からペズンという言葉を聞くと、一瞬動きが止まった。

 普通なら見逃してもおかしくはないような、そんな一瞬ではあったが、幸いにして俺の五感を騙す事は出来ない。

 

「知ってるみたいだな」

 

 確信を込めてそう告げると、マツナガは数秒の沈黙の後で、これ以上は黙っている事は出来ないと思ったのか、頷きを返す。

 

「知っている。ペズン計画が行われていた場所だろう」

「ああ。それで、そのペズンはルナ・ジオンが接収した。ペズンにいた者も、希望者はサイド3に送り届けるが、ルナ・ジオンに所属したいという者はそのままルナ・ジオンの所属となる」

「……そうか」

 

 苦々しさを感じる呟き。

 マツナガにしてみれば、ペズンは出来ればジオンの物にしておきたかったのだろう。

 もしガルマがジオンを率いる立場になったとしても、ジオンという国を維持するには当然のように戦力が必要となる。

 そして必要な戦力というのは、これもまた当然の事ながらMSだ。

 そんな状況で、ペズンで開発中だったMSというのは、是非入手しておきたかったのだろう。

 ……もっとも、俺達がペズンに接触しなくても、デラーズ率いるジオン軍の残党がペズンに向かっていたし、その後には連邦軍がペズンを接収する為にやって来た。

 その辺の事情を考えると、やはり俺達がペズンを入手したのが最善の結果だった……と、そう思う。

 とはいえ、それでもまだペズンを狙っている面々……特にキシリア率いる突撃機動軍がいる以上、防衛戦力は必要だし、可能な限り早く本格的に接収する必要があるのだろうが。

 

「まぁ、ペズンの件はおいておくとしてだ。……ガルマの件だが、いつ出発する?」

「こちらはいつでも構わん。それこそ、アクセルがその気なら、今からでもな」

 

 少しでも……それこそ、1時間、10分、1秒でも早く、ガルマに会いたいと思っているのが、マツナガの表情からは分かる。

 綺麗に整えられた髭を生やしてはいるが、それで表情を隠せる筈もない。

 別に表情を隠そうと髭を生やしている訳ではないのだろうが。

 

「分かった。なら、最速で地球に……ハワイに降下するHLVに乗れるように手配しよう」

 

 ハワイに向けてHLVを降下させるというのは、かなり頻繁に行われている。

 何しろ、ハワイはルナ・ジオン唯一の地球の領土だ。

 ただし、ハワイは当然のように小さな島の集まりである以上、食料その他諸々をハワイで作る事は出来ない。

 今が戦後でなければ、連邦から輸入という方法もあるのだろうが……今は、そのような食料があれば連邦に所属する者達の食料とするのが当然だった。

 だからこそ、ルナ・ジオンとしては頻繁に食料の類をハワイに送る必要があった。

 

「本当か!?」

 

 俺の言葉に、マツナガが何故か驚きの声を上げる。

 ……もしかして、ガルマに会わせるという俺の言葉を信じていなかったのか?

 ソロモンで捕虜になってから、何だかんだと結構な日数が経っているのを思えば、それも仕方ないのだろうが。

 

「ああ、ちょっと待ってろ」

 

 そう言い、通信機を使って政庁に連絡を取る。

 ……とはいえ、当然の話だが地球にHLVを降下させるのがいつなのかというのを、セイラに聞く訳にもいかず……結局、適当な人物に尋ねる。

 普通ならそんな事はきちんとした担当の部署に連絡をしろと言われるのかもしれないが、幸いにして、通信相手は俺の事を知っていたのか、すぐに調べて教えてくれた。くれたのだが……

 

「30分後か。……タイミングがいいのか悪いのか、正直微妙なところだな」

 

 マツナガにしてみれば、これ程早く地球に行けるのだから、それは喜ばしい事だろう。

 まぁ、ニーズヘッグを使えばシステムXNで転移出来るんだが、転移能力に関しては今のところ秘密にしておきたい。……とはいえ、俺の場合は影のゲートを使って転移出来るという情報がそれなりに知られているので、実は生身だけではなくニーズエッグのシステムXNにも転移機能がありましたと言っても、素直に納得してくれそうな気はするが。

 

「アクセル!」

 

 期待の込められた視線が俺に向けられる。

 マツナガが何を言いたいのかは理解出来るので、頷きを返し……色々な場所に連絡をして、ハワイに向かうように準備を整えるのだった。




アクセル・アルマー
LV:43
PP:1290
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.11
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1637

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