転生とらぶる   作:青竹(移住)

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2704話

 ゲラートとの話を終え、ギニアスの研究所に顔を出す。

 影のゲートで転移したので、すぐだったが。

 そうして研究所の受付に声を掛けると、ギニアスとの面会は5分と待たされずに行われる事になった。

 ギニアスにしてみれば俺はスポンサー的な存在だし、何よりもUC世界では治療が不可能だった自分の身体を治療してくれたのだ。

 丁重に遇されるというのは、分からないでもない。

 ……実際にギニアスの身体を治療したのは、俺じゃなくてレモンなんだが。

 それでもギニアスにとってレモンはシャドウミラーの所属である以上、そのシャドウミラーを率いている俺に感謝するのはそうおかしな事ではなかったのだろう。

 

「悪いな、時間を取らせて」

「いえ。アクセル代表が来たのですから、私が接するのは当然かと」

 

 これがお世辞で言ってるのならともかく、本気で言ってるんだよな。

 それだけギニアスは俺に感謝しているのだろう。

 身体の治療だけではなく、研究所の件とか、資材の件とか、諸々の事を考えると、ギニアスにしてみれば感謝するのは当然か。

 それだけではなく、サハリン家をディアナでは名家として復活させたというのも、この場合は大きいのだろう。

 

「それで、アプサラスⅣの方はどうなっている?」

「正直、苦戦しています」

 

 そう告げるギニアスだが、その様子には苦々しさはない。

 寧ろ、この状況から一体どうやって難題をクリアしようかという、そんな思いすら伝わってくる。

 

「具体的にはどんなところだ?」

「そうですね。まず、ルナ・チタニウム製の装甲にするというのはアプサラスⅢと変わっていません。また、ビームに対処する為のIフィールドも搭載予定です。……まだどんな技術なのかが分からないので、設計を始められないというのもありますが」

「あー……まぁ、そうだろうな」

 

 ビグ・ザムに搭載されているIフィールドについての情報は、その機体がまだ空間倉庫に収納されているだけに、解析出来ない。

 いや、サイド3にある技術の引き渡しという点が終戦協定の条件にあったから、もしかしたらそちら経由で情報が入ってきている可能性は否定出来ないか?

 とはいえ、ジオン公国にしてもIフィールドというのはとっておきの技術の筈だ。

 連邦軍との終戦協定の仲介という役目を頼んだからといって、すぐにIフィールドの技術を全面的に渡す……といったような真似をするかは不明だが。

 ともあれ、Iフィールドの技術をアプサラスⅣに搭載するとなると、その技術の全容を知る必要があり、その点から進むことが出来ないといったところか。

 

「アプサラスⅢの欠点として巨大だったというのがあったのですが、アプサラスⅣではその欠点を克服して、ある程度小型化したいと思っています。そうなると……Iフィールドを採用するのが厳しくなりますが」

「だろうな。けど、小型化というのは俺も賛成だ」

 

 機体が大きければ、当然の話だが攻撃をする方にとっても的が大きいという事になる。

 ルナ・チタニウム製の装甲やIフィールドによって強力な防御力を得る事になれば、大きくても攻撃は効かなくなるが。

 それでも、機動性や運動性といった件を考えると、やはり大きすぎるというのは欠点ともなる。

 開発する際に、それだけ多くの資材を必要とするし。

 とはいえ、大きいのが全て駄目だという訳ではない。

 巨大な存在というのは、見ている者にしてみれば本能的な恐怖や畏怖を抱くというのは珍しい話ではない。

 それはビグ・ザムの件を見れば明らかだし、オデッサ作戦におけるアプサラスⅢの成果を見ても理解出来るだろう。

 この辺はまさにケースバイケースといったところか。

 ただ、個人的にはやはりMAであっても機動性や運動性が高い方が好みだし、ルナ・ジオンの技術力を見せつけるという意味でも小型になって欲しいとは思う。

 例え同じ性能を持っていても、より小型化されている方が高い技術を持っているという事の証にもなる。

 とはいえ、別に俺が操縦するわけでもないので、巨大であっても敵に与える心理的効果を考えると、そう悪い訳ではないのだが。

 

「では、可能な限り小型化に努めます」

「ああ。……とはいえ、個人的にはⅢは巨大すぎるけど、Ⅱくらいの大きさでも十分だと思うが」

 

 アプサラスⅡは、当然のようにMSに比べれば巨大ではあるが、アプサラスⅢと比べるとかなり小型だ。

 アプサラスⅡを大福と表現したのは一体誰だったか。

 

「そうですか? まぁ、取りあえずの目安として考えれば、そのくらいでもいいのかもしれませんが。それにIフィールドの技術を組み込むとなると……その選択は間違ってないように思います」

 

 納得した様子を見せるギニアス。

 その後、他にも色々と話を……そんな中で、やはりギニアスが興味を持ったのはビグ・ラングのようなMAに関してだった。

 ギニアスの嗜好にもよるが、基本的にはMSよりもMAを好むのだろう。

 

「そう言えば、ガトーやノリス、アイナはどうした? もうこっちに戻ってる筈だろ?」

 

 ガトーとノリスは、ア・バオア・クーでの戦いに最後まで参加したが、俺がペズンに行ってる間に、ハワイに戻っている筈だった。

 そう思って尋ねると、ギニアスは頷く。

 

「はい。ガトーの件は色々と助かりました。アクセル代表の行動があってこそ、アイナと結婚するのに相応しい箔を得る事が出来ました。現在は、その件で色々と動いていて、研究所にはいません」

「そうか。……まぁ、ガトーならその辺りも問題なくこなすだろうけどな」

 

 軍人としてのガトーは、まさに満点に近い。

 それが名家として通用するかどうかは分からないが、ガトーを前にして不平不満を口にするような事が出来る者が、一体どれだけいるのやら。

 勿論、人間の中には目の前にいる相手と比べて、無条件で自分の方が偉いと考えてしまうような、どうしようもないのもいるが……ジオンでサハリン家が没落した後でも、ギニアスやアイナを見捨てるような真似はせず、一緒になって頑張ってきた連中だ。

 そう考えれば、そのような愚者は存在しない可能性が高い。

 ……あ、でもアイナは何気にかなり人気が高いから、アイナを好きだからこそ、そのアイナを射止めたガトーが許せないって奴もいる可能性はあるか。

 実際、俺の目から見てもアイナはいい女だと思う。

 貴族として育ってきた為か、礼儀作法とかもしっかりしているし、ギニアスを支えてきたのを見れば分かるように献身的な性格もしている。

 また、アプサラスⅡやⅢに乗っていたのを見れば分かるが、MAの操縦技術も高いし、ガトーから聞いた話によると、MSの操縦技術もMA程ではないが、ベテランと同じくらいには操縦出来るらしい。

 また、その外見は整っており、美人と言っても間違ってはいない。

 これに関しては、それこそオデッサでアイナに一目惚れしたシローを思い出せば、分かりやすいだろう。……結局その後のいざこざによって、シローはキキに捕食されてそっちとくっついてしまったが。

 そう言えば、シローとキキは1年戦争が終わった後、どうするんだろうな。

 個人的には、軍人としてのシローは小隊長として有能だという事もあって、是非欲しいんだが……キキの事を考えると、戦後も東南アジアの基地にいるか、もしくは軍人を辞めてキキの村で一緒に暮らすといったような事になるのだろう。

 シローとキキの件は取りあえず置いておくとして、アイナはサハリン家で非常に大事にされているのは間違いなく、それを横から掻っ攫っていったガトーを面白くないと思っている者がいても、おかしくはない。

 ……もっとも、ギニアスとアイナの育ての親のノリスがガトーとアイナの結婚を認めている、というのはかなり大きいだろうが。

 

「ともあれ、無事にガトー達が問題ないのなら、それはそれで問題はない。……高機動型ギャンの方は見てみたか?」

 

 ガトーとノリスが宇宙での戦いで使った、高機動型ギャン。

 これらは、データとかが全て回収された後で、そのままガトーやノリスの乗機としてハワイに運ばれている。

 ギャンは基本的に汎用MS――近接戦闘に重きを置きすぎているが――であり、宇宙と同様に地球上でも普通に使える。

 だからこそ、ハワイを拠点としているガトーやノリスにそのまま持たせる事になったのだろう。

 ……もっとも、大小様々な島が集まっているハワイという地区で、高機動型ギャンがどのくらい使い物になるのかは、正直なところ不明だが。

 

「ああ、あのMSですか。色々と解析してみましたが、結構な性能ですね。ただ、ハワイで使うようなら、空を飛べるグフ・フライトタイプの方が便利そうだと思いましたが」

「まぁ、それはな」

 

 空を飛べるMSが有利なのは、当然の話だ。

 特にこのハワイのような場所では、尚更だろう。

 基本性能という点では、当然高機動型ギャンの方が、グフ・フライトタイプよりもかなり上だ。

 だが、性能が上であっても実際に戦えなければ、その意味はない。

 

「高機動型ギャンが空を飛べるといいんだけどな」

「それは……もしそのような真似をするのなら、それこそ設計から見直す必要があるかと」

「だろうな。別にそこまで期待はしていないよ」

 

 そんな風に話つつ、1時間程が経過し……そろそろ帰る事にする。

 

「じゃあ、俺はそろそろ行くよ」

「そうですか? では、名残惜しいですが、この辺で」

 

 一礼するギニアスに頷き、影のゲートを使ってその場から転移する。

 そうして姿を現したのは、ハワイの街中。

 このまま真っ直ぐにガルマの家に行ってもよかったのだが、折角だし何らかの土産でも持っていこうかと、そう思って適当な店に入ったのだが……

 

「アクセル代表!?」

 

 と、不意にそんな声を掛けられる。

 声を放った相手も、半ば咄嗟に出た声だったのだろうが、その名前を大声で言わないだけの分別はあったらしく、咄嗟に口を押さえ込む。

 一体誰だ?

 そう思って声のした方に視線を向けると、そこには2人の男女がいた。

 1人は、精悍な男。

 右目を黒い眼帯で覆っているのが特徴だ。

 この男もまた、異名持ちの男だ。

 荒野の迅雷、ヴィッシュ・ドナヒュー。

 俺がまだ連邦軍として動いていた頃、オーストラリアから接触してきたジオン軍の中心的な人物。

 そして、ヴィッシュの隣にいる……というか、腕を組んでいる黒髪の女にも見覚えがあった。

 オーストラリアの基地で物資の采配をしていた、マヤ・コイズミ。

 

「あ」

 

 腕を組んでいるのを俺が見ているのに気が付いたのだろう。

 マヤは、咄嗟にヴィッシュと組んでいた腕を離す。

 ふーん、この2人ってそういう関係だったのか。

 

「ヴィッシュか。久しぶりだな」

「はい。……でも、何故ハワイに?」

「ちょっと色々と用事があってな。……それより、デートの邪魔をしたか?」

「いえ、そんな事は……」

 

 少しだけ照れた様子を見せるヴィッシュとは裏腹に、マヤの方は顔を真っ赤に染めていた。

 そんなに腕を組んでいるのを見られたのがショックだったのか?

 まぁ、その辺は俺がどうこう言う必要はないか。

 

「ハワイでは、どうだ? 上手くやってるか? ……まぁ、その様子を見る限りでは、上手くやってるんだろうが」

「そうですね。皆によくして貰っています。中には馬鹿な真似をする者もいましたが」

 

 少しだけ苦々しげな表情で呟くヴィッシュ。

 何かがあったんだろうが、それは聞かない方がよさげだな。

 何があったにしろ、もし罪を犯したとなればコバッタや量産型Wに捕まって月に連れて行かれ、強制労働をする事になっている筈だ。

 勿論、マブラヴ世界から直輸入している合成食と。

 あの合成食、何気にマブラヴ世界ではもう残り少なくなってるんだよな。

 それなりに保存の利く食料ではあるが、それだって10年、20年といった具合に保存出来る訳ではない。

 今のところは、保存の期限が短くなっている合成食を優先的に輸入しているが……マブラヴ世界では、もう基本的に以前の合成食は食べていない。

 他の世界の技術で改良されて、十分に美味いと表現出来るような合成食が一般的に出回っているし、少し金持ちなら異世界間貿易で他の世界から輸入した本物の食材を使った料理を食べる事も出来る。

 そういう意味で、マブラヴ世界の合成食は段々と少なくなっているのは間違いない。

 いっそ、BETAの死体ももう殆ど残っていないんだし、BETAとの戦いで破壊された村、街、都市といった場所の瓦礫とかも結構少なくなってきてるだろう事を考えると、輸出する為に合成食……それも昔の合成食を作り続けて貰った方がいいかもしれないな。

 犯罪者達を労働させる為には、やはり自分達が働かないと不味い合成食を食べるしかないと、そう思わせるのは一番なのだから。

 

「合成食……か」

「え? 今、何と?」

「ああ、いや。何でもない」

 

 ヴィッシュの言葉にそう返事をし、少しの間俺はヴィッシュ達と会話をするのだった。




アクセル・アルマー
LV:43
PP:1290
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.11
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1637

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