「アクセル、来たという話は聞いていたが、来るのが遅いんじゃないか?」
ハワイの政庁の最上階、ゲラートの執務室に影のゲートで俺が姿を現すと、そんな声を掛けられる。
当然の話だが、俺がHLVでハワイに降下していたというのはゲラートには知らされていたらしい。
こう見えて、実は俺は重要人物なので、その辺は当然の結果なのかもしれないが。
「ちょっとガルマに用事があってな」
ちなみに、ここにいるのはあくまでも俺だけで、マツナガの姿はない。
現在、マツナガはガルマやイセリナと話をしている。
何だかんだと、そんな場所に俺はいない方がいいだろうと判断し……その結果として、現在俺はゲラートに会いに来たのだ。
「ガルマ様に? ……そうか。戦後を睨んでの事だな?」
「そうなる」
当然の話だが、ゲラートも既に1年戦争が終わったということは知っていた。
ア・バオア・クーでの戦いが終わってから、それなりに日数が経っているし、それを考えれば当然の話かもしれないが。
「そうなると、ガルマ様はジオン公国に戻るのか?」
「どうだろうな、個人的にはそうしてくれると嬉しいが、今の状況でそんな事を強要も出来ないだろ? ガルマがどう判断するか……それは今頃マツナガと話し合ってる筈だ」
「白狼か」
こちらもまた、特に驚いた様子を見せないゲラート。
俺がハワイに来たという事を知っていたのだから、当然のように俺がマツナガと一緒にやって来たというのも知っていたのだろう。
「ああ。ガルマとマツナガとの間では、色々と話をしておきたいだろうし。……ガルマがこれからどうするか、その辺を悩むにはマツナガと話したりする必要もある」
「……そうか……」
ゲラートは複雑な表情を浮かべる。
今でこそルナ・ジオンに所属しているゲラートではあるが、元々はジオン軍に所属している。
それだけに、ガルマの件とか諸々で色々と思うところがあるのだろう。
実際、1年戦争の最中にはこんな事になるとは思ってもいなかっただろうし。
「まぁ、ガルマの件は置いておくとしてだ。……1年戦争が終わってから、何か変わった事はあったか?」
取りあえず、話題を変えるべくそう告げる。
今はガルマの件は、あまり話さない方がいいだろうと判断した為だ。
ゲラートもそれが分かったのだろう。少しだけ安堵した様子で口を開く。
「そうだな。この辺りは月にも報告してるんだが……ジオン軍の部隊が接触してきてる」
「……だろうな」
それ自体は、そこまでおかしな話ではない。
オーストラリアの件もあるし。
「ただ、ルナ・ジオンに亡命というか降伏というか投降というか、そんな連中もいるんだが……中には素直にそういう選択をするんじゃなくて、ジオンの理念の為に援助しろと言ってくるような奴もいる」
「何だそれは?」
ルナ・ジオンは、ジオンという名前が国名にあっても、ジオン公国とは別物だ。
そもそも、ジオン公国はザビ家がジオン・ズム・ダイクンを暗殺した結果出来上がった国であって、ジオン・ズム・ダイクンの意志を引き継いだルナ・ジオンとジオン公国は大きく違う。
その状況で、ジオンという名前がついているからといって、ルナ・ジオンに援助を求めてくるというのは……少し違うような気がする。
「何だも何も、本気でそんな風に言ってくる部隊がいたんだよ」
「……で、どうしたんだ?」
「勿論そんな連中はルナ・ジオンにとっていい事は何もないからな。すぐにお引き取りして貰ったよ。捕らえて連邦軍に引き渡さなかった事を感謝して欲しいくらいだ」
もしその部隊が何らかの実力行使をしていれば、ハワイにいるルナ・ジオン軍によって撃破されていただろう。
そのような事にならなかったというのは、援助の申し入れを断られた後で、特に暴れたりはせず、大人しく引き下がったのだろう。
現実が見えていないようで、見えているといったところか。
実際、もしハワイで暴れるような真似をしていれば、間違いなくルナ・ジオン軍によって鹵獲か……場合によっては撃破されていたのだろう。
そうならないだけの、最低限の判断能力はあったという事か。
「そういう連中も、ガルマの件がどうにかなれば片付く可能性はあるな」
「……だと、いいんだが。中にはギレン・ザビやキシリア・ザビに個人的な忠誠を誓っている者もいる。いい意味でも、悪い意味でも、あの2人は一種のカリスマ性を持っていたからな」
「ギレンはともかく、キシリアに忠誠心を抱いている奴ならルナ・ジオンに来るとは思わないけどな」
ギレンはキシリアに暗殺されたが、キシリアはア・バオア・クーから脱出して、どこかに隠れている。
そうである以上、もし地球に残ったジオン軍の中でキシリアに忠誠を抱いている奴がいても、ルナ・ジオンに協力を求めてきたりはしないだろう。
とはいえ、今の状況でどうやってキシリアのいる宇宙に上がるかといった問題もある。
最悪、MSを捨てて民間人に変装して、それによって連邦の領土から宇宙に上がるといった真似をしても、おかしくはない。
というか、それは別に最悪って訳じゃないな。
普通に考えて、地球で使っているMSは基本的に地球用のMSだ。
勿論中にはザクの中でもF型のように地球でも宇宙でも使えるMSというのはあるが、ぶっちゃけそういうのは1年戦争後には必要としなくなるだろう。
MSは1年戦争の間に、とんでもないくらい進化した。
そうである以上、宇宙でF型のザクは最前線で使うといったような真似は出来ないだろう。
もっとも、キシリアの拠点にMSの製造工場があればその辺はもう少しどうにかなる可能性はあるが……正直、どうだろうな。
「MSについて、聞いてるか?」
「ヅダの後継機か? ……出来れば次期主力機は宇宙用MSではなく、地上でも使えるMSにして欲しいな」
若干不満そうな様子のゲラート。
一応ヅダは地球上でも使う事は出来る。
だが、それでも基本的には宇宙用に開発されたMSだけあってか、地球上で最大の性能を発揮するような真似は出来ない。
だからこそ、ゲラートとしては地球上でも十分に性能を発揮出来るMSを期待しているのだろう。
正直なところ、俺の予想としてはガルバルディかアクトザク……可能性としては、やはりガルバルディの方が高い。
正確には、ガルバルディをベースに開発したMSという形になるのだろうが。
ギャン高機動型をベースにしたMSは、恐らくエース級が乗る機体になるだろうし。
「ゲラートの気持ちも分かるけど、ハワイで使うとなると……やっぱり汎用型のMSよりも、水中用か水陸両用型の方がいいと思うけどな。それと、グラブロとか」
水中用MAグラブロ。
ビグロをベースに開発されたMAだが、現在の地球においてはかなりの性能を発揮するだろう。
それこそ水中の敵を相手にした場合、連邦軍にとってグラブロは恐怖の象徴といった扱いになってもおかしくはない。
問題なのはコストだけだが、そちらもルナ・ジオンなら問題ないし。
「グラブロも含めて、水中用MSや水陸両用MSはハワイだと使いやすいのは事実だ。それと、水上を移動出来るホバー系の推進システムを持つドム系もそうだな」
ドム系……ドム系か。敵が実弾しか持っていないのなら、ドム系のMSもかなりの性能を発揮出来るんだが……戦後は間違いなくビーム兵器が主力となっていくだろうしな。
勿論、ビグ・ザムのようなIフィールドを装備している相手の事を考えると、直撃の精神コマンドを持つ俺はともかく、Iフィールド対処用に実弾兵器を持つのは悪い話じゃない。
そういう意味ではビーム兵器が主体になる可能性が高いが、実弾兵器が使われなくなるといった事はないだろう。
また、実弾兵器にはビーム兵器では使えない、山なりの攻撃がある。
分かりやすく言えば、ペズン計画で開発されたガッシャの通称山越えハンマーといったような感じで。
……それ以外では、ガンキャノンやガンタンクといったMSの武器がその手の攻撃をしやすいと思う。
そういう意味では、ハワイでドム系のMSを独自に運用していくといったことは、そう悪い話ではない。
「ドム系については、ディアナに丸投げしてみたらどうだ? もしくは、ハワイにはギニアス達がいるんだから、そっちに頼むとか」
ギニアス達の研究所があり、アプサラスⅢのような高性能MSを開発した以上、その技術力は非常に高い。
問題なのは、アプサラス計画を進めてきたギニアスだけに、MAを開発するノウハウはあっても、MSを開発するノウハウがあるかという事だろう。
いっそ、グラブロの改修をしてもっと使いやすいようにして貰うとか、そっち関係に進んだ方がいいと思うが。
「ギニアス・サハリンか。頼りになる人物ではあるが、色々と相容れないところもある相手だ」
現場に出る者と、技術屋の違いといったところか?
「その辺は上手くやっていけとしか言えないな。……ギニアスは技術屋……いや、技術将校だ。そうである以上、資源と人材を与えておけば、こっちが思いも寄らない物を開発してくれる」
もっともそれをやりすぎると、結果としてシャドウミラーの技術班のようになるのだが。
「いや、違う。……正確にはその件もあるが、ギニアス・サハリンはルナ・ジオンであってルナ・ジオンではない。そうだろう?」
「ああ、なるほど。そっちの件か」
ゲラートの言葉の意味は、俺にも理解出来た。
実際、それは決して間違っていない。
何しろギニアスのアプサラス計画は最初ジオン公国で却下され、その後で月にいる俺に持ってきたのだ。
そして俺がそのアプサラス計画に興味を持ち、その結果としてアプサラス当初の予想を超えた性能を持つようになった。
また、ギニアスが使っている研究所に関しては、俺が……というかシャドウミラーで資材を用意し、労働力に関してもメギロートやバッタ、コバッタといった無人機や量産型Wによって建設されている。
ゲラートにしてみれば、ギニアスはルナ・ジオン軍の人間でもあるが半分はシャドウミラー……というか、俺の子飼いといったような認識を持っているのだろう。
実際、それは決して間違っている訳じゃない。
アプサラスⅢに関しても俺の要望がかなり採用されているし。
ビグ・ザムのおかげでIフィールドの技術が手に入れば、アプサラスⅣではそれが採用されるだろう。
「ギニアスには俺の方から一応言っておくよ」
「そうしてくれると助かる。……それで、アクセルはこれからどうするんだ?」
「どうすると言われてもな。取りあえずゲラートとの話が終わったら、ガルマの家に戻る予定だ。それなりに時間が経ったし、ガルマとマツナガの話も一段落してるだろうし」
ガルマやマツナガにしてみれば、話をしてもいいと言われればもっと長時間話をしたいだろう。
だが、こちらとしてもいつまでも時間をやる訳にいかないのは事実だ。
「そうか。……ハワイは、今のままでいいんだな?」
「ああ。1年戦争が終わって、多少は人数も少なくなっただろ」
「多少、な」
「……え? 本当に多少なのか?」
多少と言ったのは、謙遜……というのは若干違うが、過小に言ったつもりだった。
だが、そこでまさか本当に多少程度しか人数が少なくなっていないというのは、俺にとってもかなり予想外の出来事だ。
「何でだ?」
「戦後だからだ。戦争が終わったのは嬉しい。だが、元々ハワイに来ていたのは、戦火から逃れる為……つまり、自分の故郷が戦場になった者達が多い。そして戦場になった以上、当然家の類が残ってるのかどうかは……」
「微妙なところ、か」
勿論、全員が全員そんな訳ではないだろう。
近くまで戦火が広がってきたので、一応念の為にハワイに来たといった者もいるだろう。
そのような者の場合は、故郷が戦場になっていなければ、すぐにでも故郷に戻っている筈だ。
だが……故郷で家が焼かれてしまったような者にしてみれば、ハワイで生活出来ているのだから、ここで燃えて何もなくなっている故郷に戻るといったような事は、とてもではないが考えたくない。
人口密集地的な意味でかなり厳しいものがあったのは間違いないが、それに関しても故郷が戦場にならなかったような者達がハワイを出れば、多少は解決する。
……もっとも、これだけ人がいてもコバッタや量産型Wのおかげでハワイの治安は驚く程によく、それこそ夜に女が1人で出歩いていても全く何の問題もなかったりする。
これ、日本とかでは普通の事なんだが、実はそのような事が出来る場所というのは、世界的に見てもかなり少数だったりする。
まぁ、世界によってその辺の認識は微妙に違ってくるので、何とも言えないが。
「ともあれ、事情は分かった。……ただ、人数が多いままだと仕事の方の問題はどうなるんだ?」
そう尋ねると、ゲラートは少しだけ難しそうな表情を浮かべる。
ハワイに集まっている人数に対して、仕事は不足しているという事なのだろう。
とはいえ、まさか食料を配給するような真似は……いや、マブラヴ世界の合成食でも配布するか?
月でもそうだったが、合成食を食わなければならないのなら、それが嫌な奴はしっかりと仕事をするだろうし。
そう思いながら、ゲラートに提案するのだった。
アクセル・アルマー
LV:43
PP:1290
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1637