転生とらぶる   作:青竹(移住)

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2706話

 ルナ・ジオンの首都たる、クレイドル。

 そのクレイドルから少し離れた場所には、ビグ・ラングの姿があった。

 ディアナの方で、大型MAであっても解析する為に急いで用意した施設。

 ……数日で用意されただけに、かなり突貫作業で作った物だというのは見れば分かる。

 だが、それでもビグ・ラングの調査は問題なく終わったというのだから、しっかりとその役割は果たしているのだろう。

 とはいえ、ビグ・ラングで解析をするのは基本的にはビグロの部分ではなく、オッゴの補給とかをやるAdユニットの方だったが。

 ともあれ、現在はそのAdユニットも解析が終了され……何より、今日俺がビグ・ザムを持ってくるという事を知っているので、既にビグ・ラングはどこにもないが。

 

「じゃあ、俺はこれからビグ・ザムを出す。ガルマとマツナガはパイロットスーツを着てやってきてくれ」

 

 イセリナは、ここまで来たがビグ・ザムには近寄らず、ここから見守るという選択をしたらしい。

 まぁ、何だかんだとイセリナは人の死体なんて見た事がない……いや、1年戦争でニューヤークにいたのを思えば、死体くらいは見た事があるのか?

 でも、聞いた話だとイセリナの父親はかなり過保護だったらしいし、それを思えばイセリナに死体を見せるといったような真似をするとは思えない。

 ……とはいえ、ビグ・ザムのコックピットはビーム兵器によって攻撃されている以上、死体らしい死体は残っているとは限らないのだが。

 また、こっちで入手した情報によると、ビグ・ザムは複数人で乗るMAだ。

 もし何らかの肉片の類があっても、それがドズルのものであるとは限らないのだが。

 勿論、DNAとかを調べれば、ある程度はその辺が分かるだろうけど。

 

「分かった。……頼む」

 

 そう告げるガルマに頷き、俺は影のゲートを使って転移し、月面に出る。

 そうして解析用の設備の前に移動すると、既にそこにはディアナの面々が集まっていた。

 それだけ、Iフィールドを持つビグ・ザムについては興味を持っているのだろう。

 とはいえ、終戦協定の仲介をするという事で、ジオンから各種技術の情報とかを貰うといった事にはなっている。

 正直なところ、それを待つという手段もあるのだろうが……いや、そちらではもしかしたら情報に何らかの手が加えられている可能性も否定は出来ないのか。

 であれば、やはりビグ・ザムの実物がある以上、そちらを自分達の目で調べてみたいと、そう思ってもおかしくはない。

 俺はパイロットスーツを着ていないので、ディアナの連中がどう騒いでいるのかは分からないが。

 それでもディアナの技術者の様子を見れば、一体何をどう考えているのかという事は、予想出来る。

 なので、その期待に応える為にも空間倉庫からビグ・ザムを取り出す。

 次の瞬間、ビグ・ザムを見た研究者達がパイロットスーツを着たまま、激しい動きを見せた。

 ちなみに、本来ならパイロットスーツというのは、その名前通りパイロットが着るものだ。

 普通の宇宙服の類もあるのだが、そちらはパイロットスーツと比べるとかなり重くなっている。

 ……それでも、パイロットスーツが標準にならないのは、それだけパイロットスーツはコストが高いからだろう。

 だが、月の場合はその辺のコストをとくに気にする必要もないので、研究者達も普通のパイロットスーツを着ていた。

 とはいえ、それでもすぐにビグ・ザムを調べ始めるような真似はしない。

 この辺は前もって言っておいた為だ。

 ビグ・ザムに乗っていたパイロットの親族が、遺髪か何かを欲しいと。

 勿論、それがガルマだとは言ってないが。

 だからこそ、現在パイロットスーツを着てこっちに向かってくるガルマとマツナガは、変装したままの姿だったりする。

 そうして俺の近くまでやって来たガルマとマツナガに頷くと、俺はそのまま2人を引き連れてビグ・ザムのコックピットがある場所に向かう。

 月は地球よりも遙かに小さいが、重力がある。

 なので、無重力のようにどこまでも跳躍するといったような真似は出来ない。

 パイロットスーツには宇宙空間で自由に行動出来るようにランドムーバー……いわゆるMSのスラスターに近いようなものがあるので、それを使って移動出来ない訳でもないのだが……取りあえずそれだと面倒だということもあるので、俺が2人を引っ張っていく。

 そうしてビグ・ザムのコックピット……正確にはコックピットのあった場所に到着すると、ガルマとマツナガの手を離す。

 瞬間、2人は一切の躊躇なくビグ・ザムのコックピットがあった場所に入っていく。

 ビームによって溶解している部分もかなり多いのだが、それでも必死になってパイロットの……恐らくはドズルの死体の一部でもないかと探している様子を見ながら、俺も周辺の様子を見る。

 あくまでも人間のガルマやマツナガと違い、俺は混沌精霊だ。

 視力という点では明らかに上である以上、もしかしたら何かが見つかるのではないかと、そう思った為だ。

 そして……溶解しているコックピットの一部に、髪の毛が数本挟まっているのを見つけ、ガルマとマツナガの肩を叩いてそちらを指さす。

 2人は俺の指の先を見て……ゆっくり、ゆっくりとそちらに近付いていく。

 勿論、ビグ・ザムのパイロットの数を考えると、あの髪の毛が本当にドズルの物であるとは限らないのだが。

 その後も色々と見て回ったが、俺の攻撃で溶解しているコックピットの中に残っているのは、その髪の毛だけだった。

 寧ろ、ビームでコックピットが溶解したのに、よく髪の毛が残っていたよな。

 普通なら焼けて消滅してしまっても、おかしくはないと思うんだが。

 ともあれ、30分程探してもそれ以上何も見つからなかったという事もあり、ガルマとマツナガもそれ以上は諦め、イセリナが待っている場所に向かう。

 その際、ディアナの技術者に調査を開始してもいいと手で示すと、待っていましたと言わんばかりに技術者達がビグ・ザムに群がっていく。

 それこそ、まるで餌に群がる小魚のような……そんな印象。

 そうして、俺達はその場から離れ……イセリナのいる、空気のある場所に戻る。

 

「それで、どうする? 一応DNAとかで鑑定すれば、それがドズルの髪の毛かどうかがはっきりすると思うけど」

 

 そう尋ねると、ガルマ達は難しい表情を浮かべる。

 今の時点だと、ガルマが大事に持っている数本の髪の毛は、ドズルの物であるかもしれないし、ないかもしれない。

 いわば、50%ドズルの髪といった感じだ。……こういうのも、シュレディンガーの猫っていうんだったか?

 あ、でもビグ・ザムのパイロットは全部で3人だから、33%ドズルの髪か?

 ともあれ、今のこの状況ではドズルの髪かどうかは分からない。分からないが故に、ドズルの髪という可能性は十分すぎる程に可能性はある。

 だが、しっかりと鑑定してしまえば、その髪が誰の髪なのかはっきりしてしまう。

 それを考えると、鑑定するかどうかは正直なところ難しい代物だろう。

 しかし……鑑定するかという俺の言葉に、ガルマは数秒躊躇したものの、頷く。

 

「頼む。しっかりと鑑定をして欲しい」

「分かった。なら、その辺は俺の方で手を回しておく、……それで、これからどうする? 部屋に戻るか?」

 

 セイラからの厚意により、ガルマ達にはホテルの部屋が用意された。

 とはいえ、あまりに立派なホテルの部屋だと、ガルマ達の正体が知られる可能性もあるということで、そこそこのホテルだが。

 だが、マツナガは軍人としてもっと過酷な環境で寝起きもしていたらしいし、ガルマとイセリナがハワイで住んでいた家は、そこまで広いという訳でもない。

 そういう意味で、そこそこのホテルでも十分だった。

 

「いや、もう少しこのルナ・ジオンという場所を見て回りたい。……イセリナ、構わないかい?」

「ええ」

「マツナガは……」

「私も構いません」

 

 こうしてみると、マツナガはガルマやイセリナの後見人的な立場になりそうだな。

 ギニアスやアイナの後ろ盾となったノリスのような。

 

「そうか。なら、コバッタを案内役兼護衛として連れていけ」

 

 コバッタの役目は見張りという一面もあるのだが、ガルマ達の場合はその辺を心配する必要はないように思える。

 

「すまない」

 

 そう言い、ガルマはイセリナとマツナガを連れて俺の前から去っていくのだった。

 

 

 

 

 

「さて、取りあえずこれでいいな」

 

 DNA鑑定をするように頼むと、俺のやるべき事はなくなった。

 ……いや、実際にはまだ他にも色々とやるべき事はあるのだが……

 

「アクセル!」

 

 暇潰しにと街中を歩いていると、不意にそんな声が聞こえてきた。

 声のした方に視線を向けると……

 

「妙な組み合わせだな」

 

 そう呟いた俺の視線の先には、喫茶店がある。

 通路にテーブルや椅子が置かれている、いわゆるオープン喫茶といったような感じの店。

 その店の前にあるテーブルに、3人の人物がいたのだが……その3人の関係性が、少し分からない。

 何故なら、そこにいたのはクリス、モニク、オリヴァーの3人だった為だ。

 モニクとオリヴァーなら、ジオン軍時代は一緒の部隊にいたのだから、こうして一緒にお茶をしていてもおかしくはない。

 だが、そこにクリスがいるとなれば、途端に訳がわからなくなる。

 そんな3人に近付いて行くと、クリスは笑みを浮かべて手を振り、モニクは不満そうに視線を逸らし、オリヴァーは俺に向かって頭を下げてくる。

 三者三様の反応をしているのを見ながら、口を開く。

 

「これ、どういう集まりなんだ?」

「あ、はい。僕とクリスさんはディアナで一緒だったので……」

「ああ、そういう関係か。……そう言えば、結局クリスはディアナで働く事にしたんだな」

 

 そう告げつつも、納得する。

 クリスはアレックスの開発にも関わるだけの技術者であると同時に、アレックスのテストパイロットを務める事が出来る実力の持ち主でもある。

 パイロットだけ、技術者だけという事であれば、それなりにいる。

 だが、その双方を持つ人物となれば、その数は決して多くはない。

 

「ええ。そこでオリヴァーと会ったのよ。その流れでモニクとも、ね」

「それは分かったけど……なら、何でここにいるんだ? ディアナの技術者は、今ビグ・ザムの解析をしてるけど」

「……抽選で漏れたんですよね」

 

 クリスの代わりに、オリヴァーがそう告げる。

 なるほど、抽選でビグ・ザムの解析をする奴を選んだのか。

 ディアナの技術者なら、それこそ多くの者がIフィールドといったような新技術の解析に関わりたいと思うだろう。

 それ以外にも、ペズンから持ってきたMSもある。

 それらを考えると、ビグ・ザムの解析だけに集中する訳でもなく、抽選を行うというのは理解出来た。

 

「……そう言えば、モニクは何をしてるんだ?」

「私は、ルナ・ジオンの政府の方で働いているわ。やり甲斐のある仕事なのは間違いないわね」

 

 モニクにしては珍しい事に、嬉しそうな笑みを浮かべる。

 とはいえ、それは納得出来る事だ。

 ルナ・ジオンは、その規模とは違って政府で働いてる人数は決して多くはない。

 そんな中で、有能な人材であればやり甲斐があるのは間違いないだろう。

 勿論、それはあくまでもモニクが優秀ならの話だが、こっちに入っている情報によるとモニクが優秀なのは間違いないらしいし。

 

「やり甲斐があるなら、それで何よりだよ。……そう言えば、モニクには弟がいた筈だけど、そっちは?」

 

 元々、モニクがルナ・ジオンに降伏するという選択をしたのは、自分の件もあるが、何よりもオッゴに乗っている弟の件が大きかった筈だ。

 その弟はどうしたのかと思って尋ねると、モニクは小さく溜息を吐く。

 

「現在、ルナ・ジオン軍に入隊する為に頑張ってるわ」

「それは、また……」

 

 モニクとしては、出来れば弟には戦場に行って欲しくないのだろう。

 いや、それは姉としては当然の事か。

 

「ただ、それでも今ならまだよかったんじゃないか? これからルナ・ジオン軍に入るという事は、しっかりと訓練が出来る訳だし……何より、もう1年戦争は終わったんだ。これからも戦いは起きると思うが、あそこまで大規模な戦いは……絶対に起きないとは言わないが、可能性は少ないだろ?」

 

 そう言うも、俺はセイラと接触した時にシャアが地球に小惑星を落とそうとしている光景を見ているしな。

 最低でも、1度はそんな大規模な戦いが起こるのは確実だった。

 それ以外でも、キシリアの突撃機動軍やデラーズ達のようなジオンの残党とかいるし。

 

「それは、そうだけど……」

「それに新型MSとかも開発されるだろうから、それを考えれば1年戦争よりはマシだろ。……そう言えば、モニクの他にもゲルググに乗っていたパイロットがいたよな? あいつはどうしたんだ?」

「もう1人? ああ、ワシヤ中尉ね。彼もルナ・ジオン軍に入隊したらしいわ。もっとも、MSの操縦は十分出来たから、弟みたいに訓練からということではないけど」

 

 モニクはワシヤという人物には特に興味がないのか、そう告げる。

 そうして、俺は暫くクリス達と話して時間を潰すのだった。




アクセル・アルマー
LV:43
PP:1290
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.11
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1637

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