今は緊急を要するという事で、俺はズムスティからグローブのあるコロニーまで1人でやって来た。
ジオン公国の事を考えれば、それこそジオン軍の者達を連れてくるのが一番だったのだろうが……ぶっちゃけ、すぐに人数を集める事が出来ない以上、俺としてはそれを待つというのは無意味な時間でしかない。
そんな訳で、コロニーがある場所を教えて貰うと、そのまま影のゲートでズムシティの外に出て、全速力でそのコロニーのある方に向かった。
ジオン軍からも後々部隊を送ると言っていたが、ここは出来ればガルマとダルシアに恩を売る為にも、可能な限り俺だけでどうにかしたい。
……ただ、可能な限り生け捕りにして欲しいと、そう言われてるんだよな。
俺にしてみれば殺す方が圧倒的に楽なんだが……まぁ、この状況では生き残った方が最悪の未来となるのだろうし、そう思えばここで生け捕りにしないという選択肢はない。
それに、これはあくまでも可能な限り生け捕りにしろという事であって、絶対に生け捕りにしろという訳ではない。
何らかのミスで手が滑ったりした場合、それで相手が死んでも特にペナルティの類はなかった。
とはいえ、ここで生け捕りにした兵士達はジオンが連邦と終戦協定を行う上で、大きな意味を持つ。
……それは同時に、ジオンが月に対しても借りを作るという事を意味していたが。
「刈り取る者」
足下の影を踏み、刈り取る者を呼び出す。
連邦軍の連中がグローブの住人を襲うのに夢中で、こっちには全く気が付いた様子がないのは……どうなんだろうな。
「この街にいる連邦軍の連中を倒せ。ただし、怪我をさせるのはいいが決して殺すな」
そう告げると、刈り取る者は俺の言葉を理解したのか、その場から移動する。
それを見送ると、俺はその場で再び呪文を詠唱する。
『我と盟約を結びし者よ、契約に従いその姿を現せ!』
その言葉と共に、空間の裂け目から姿を現したのは……グリフィンドラゴンのグリ。 本来なら、今回のような一件にはあまり相応しくないのだが……グローブを襲っている連邦軍を驚かせ、とてもではないが欲望のままに動き回るといったことをさせず、ここから逃げたいと思わせるにはグリの存在は非常に有効なのは間違いなかった。
「行け、グリ。お前の存在をグローブにいる連中に知らしめて、この場から逃げるように仕向けろ」
「ガアアアアアアアアアアアアアァッ!」
俺の言葉に頷き、グリは翼を羽ばたかせながらグローブの上を飛び回る。
……グリの大きさは、それこそ戦闘機並み……いや、MS並と言ってもいい。
そんな存在が上空を飛びながら雄叫びを上げているのを聞けば、当然のようにグローブという街で金を奪い、女を犯し、男を殺し……といったような事をしている者達も、そちらに視線を奪われる。
その隙を突くかのように、刈り取る者が行動を開始する。
……とはいえ、刈り取る者が使えるような魔法を使えば、それこそ連邦軍の軍人を生け捕りにするというのは不可能だ。
結果として、刈り取る者が行う攻撃は持っている拳銃を使ってのものとなる。
そんな刈り取る者の発する銃声が聞こえてくるが……それから少しすると、今度はそれ以外の銃声も次々と聞こえ始めた。
連邦軍が刈り取る者に……もしくは、空を飛んでいるグリに攻撃をしているのだろう。
だが、連邦軍にMSの類はない。
もし本当にグローブの住人が暴動を起こしていたのなら、それに対処する為にMS……それこそジム程度でもいいから持ってきてもおかしくはない。
しかし、連邦軍の連中がここに来たのは、征服欲を満たす為だ。
……中世の、それこそ本当に騎士とかがいた時代の戦いでは、兵士達が戦いに参加するのは略奪目当てだったりするという話を何かで聞いたことがあったし、今はもう門が消滅してしまったが、門世界の兵士なんかまさにそんな感じだったんだよな。
ともあれ、武器の類は持っているだろうが、その武器は決して強力なものではない。
それこそ、生身の……それも無防備なグローブの住人を脅せるだけの武器しか持ってきていないのだから、そんな相手に刈り取る者やグリがどうなるとは全く思わない。
そう考えつつ、グローブの街中に入っていくと……真っ先に目についたのは、女の服を破き、強姦しようとしていた連邦軍の兵士。
だが、そんな兵士にとっても、目の前にいる女よりも空を飛ぶグリの存在に意識を奪われているのか、そちらに対して完全に意識が向けられていた。
それどころか、服を破かれて下着だけになっている女もまた、空を飛ぶグリに目を奪われ、逃げ出すような真似をしていない。
普通に考えれば、とてもではないが信じられない事なのだが……それだけ、グリという存在は見ている者に対して強い衝撃を与えるのだろう。
取りあえず、上空に目を奪われている兵士の近くまで行くと、その胴体を殴って気絶させる。
肋骨が何本か折れた感触があったが、取りあえず死んでいないのでOKだろう。
「無事か?」
「え? ……あ、はい」
その言葉でようやく我に返ったのか、女は肌を隠そうとする。
そんな女に空間倉庫から取り出したバスタオルを渡すと、周囲の様子を眺めながら、口を開く。
「一応……本当に一応ということで聞くんだが、グローブで反連邦の暴動があったとか、そういう話は知ってるか?」
「……は?」
俺の問いに、間の抜けた声を上げる女。
そんな女の様子を見ただけで、事情は何となく理解出来てしまった。
万が一……億が一の可能性で、もしかしたら本当にグローブで暴動があったという可能性を考えての疑問だったのだが、女の様子を見ればそんな事実がなかったというのは一目瞭然だ。
つまりズムシティにあるホテルで事情を知っていた政治家達から白状させたように、本気でこのグローブの一件は連邦軍の憂さ晴らしの為に行われたという事だろう。
これで、ダルシアやその仲間達が新たなジオンを率いていくのは、まず不可能になった。
ガルマ達がいない状況であれば、そのような真似をしても、何だかんだと最終的にはダルシア達でどうにかなった可能性もあるが……それはあくまでもしもの話でしかない。
「ここから避難しろ。……もしくは、連邦軍がグローブを囲んでいる可能性もあるから、どこかに隠れていた方がいいかもしれないな。ともあれ、悪いがその辺の判断は自分達でしてくれ」
「分かりました」
そう女は言い、バスタオルで肌を隠しながら俺の前から走り去る。
どこに隠れる事にしたのか、もしくはグローブから一旦離れようと考えたのか。
その辺は俺にも分からなかったが、折角助けたんだから、出来ればこの事態が終わるまで無事でいて欲しいものだ。
ともあれ、女がいなくなったので次……と思うと、やがて悲鳴が聞こえてくる。
一瞬、また女が襲われてるのか? と思ったが、聞こえてくる悲鳴は男の声で、その上更に銃声も同時に聞こえてくるとなれば、その悲鳴を上げたのが誰なのかは容易に予想出来る。
連邦軍の兵士、か。
勿論、少し前まで戦時中だったと考えれば、グローブの住人がいざという時……具体的には、連邦軍の兵士が攻めて来た時に反撃する為に、銃火器の類を持っていてもおかしくはない。
おかしくはないが……それでも、現在の状況を考えた場合、やはり可能性が高いのは連邦軍だろう。
幸いにして、そんな俺の予想は次の瞬間には当たった。
少し離れた建物の中から、2人の連邦軍の兵士が姿を現したのだ。
何故その建物の中から姿を現したのか、というのは考えるまでもないだろう。
建物の中で金目の物でも漁っていたのか、暴力を振るっていたのか、それとも女を犯そうとしていたのか。
その理由はともあれ、逃げてくるその兵士の必死の形相……それも、これ以上ない恐怖の表情を顔に浮かべているのを見れば、あの建物の中で何に遭遇したのかというのは考えるまでもなく明らかだ。
空を飛んでいるグリではなく、人型の刈り取る者に遭遇したのだろう。
……まぁ、刈り取る者は何も知らない奴が見れば、悲鳴を上げてもおかしくはないし。
ペルソナ世界で俺が初めて会った時も凶悪な姿をしていたが、俺の召喚獣になるということで、俺の血を飲んだ結果、刈り取る者の姿は以前と比べても明らかに凶悪なものとなっている。
だからこそ、連邦軍の兵士がこうして逃げてくるのは理解出来るし……
「どけぇっ! ぶっ殺すぞ!」
兵士が逃げている先に俺が立っているのを見て、そんな風に叫ぶのも理解出来た。
「だからって、大人しく通すとは限らないけどな」
呟くと同時に瞬動を使って男達との間合いを詰めると、素早く足を刈る。
……この時、注意しないと本当に文字通りの意味で狩る、つまり足首を切断してしまいかねないので、出来る限り手加減をする必要があった。
「ぐおっ」
「うわぁっ!」
悲鳴を上げて、その場に倒れる2人。
全速力で走っていた以上は当然の話だが、転べばその勢いのままで地面を転がる事になる。
とはいえ、それでも仮にも連邦軍の兵士だけあってか、素早く立ち上がると半ば反射的にこちらに向けて拳銃を撃ってくる。
撃ってくるが……放たれた銃弾は、俺を貫いてあらぬ方向に飛んでいく。
そして、2人の兵士達が浮かべるのは、驚愕。
当然だろう。俺が銃弾に貫かれた場所は、炎で覆われているのだから。
焚き火の炎に銃弾を撃てば、どうなるか。
当然その焚き火の炎を銃弾は貫くが、だからといってその炎が消えたり、砕けたりといったような事にはならない。
炎を銃弾で撃っても、次の瞬間には再びその場所は周囲の炎に埋められる。
連邦軍の兵士が見たのは、そんな光景だ。
向こうにしてみれば、自分達が一体何を見たのかすら理解出来ていないだろう。
それでいながら、俺は何の痛みも感じた様子がなく兵士達に近付いていくのだから、向こうにしてみればとてもではないが信じられない光景だろう。
「どうした? もう終わりか? これでお前達の自由はなくなるんだ。もっと足掻いても構わないぞ?」
グローブを襲った兵士達が、どうなるのかというのは俺にも正確には分からない。
だがそれでも、何のお咎めもないという可能性は皆無だ。
もしこの事件が当初の予想通り、グローブの暴動を阻止したという形で収められていれば、兵士達もお咎めがない……どころか、暴動の阻止に向かった英雄といった形で祭り上げられた可能性もあったが……俺が関わり、真相が判明してしまった以上、この連中が一体どうなるのかは考えるまでもない。
幾らジオンの人間を憎んでいるとはいえ、一般市民を連邦軍の軍隊が組織だって襲ったのだ。
間違いなく、この件に関わっている責任者……具体的にどのくらいの階級の奴なのかは分からないが、その首が飛ぶのは間違いない。
場合によって、比喩ではなく銃殺刑という意味で物理的に首が飛ぶ可能性すらあった。……いや、銃殺なんだから首は飛ばないだろうが。
ともあれ、俺の前にいる2人の連邦軍の兵士は、その辺りの事情は全く理解しておらず……
「取りあえず、寝てろ」
銃弾が俺に全く効果がないというのを見て、呆然としているところを影槍で兵士達の鳩尾を殴って気絶させる。
正直なところ、影槍の先端を尖らせるのではなく棍棒のような形にしたのは、若干の不満があったが……まぁ、連邦軍の兵士は出来るだけ生け捕りにするようにと言われている以上は仕方がない。
そうして気絶した兵士は、適当にその辺に放っておく。
肋骨が折れているので、下手に動けばそれこそ肺に骨が刺さったりといったような事になるだろうし、もしかしたらグローブの住人に見つかって、殺されるかもしれない。
だが、それはそれで自分達の運命だと思って諦めて貰う。
それから、俺はグローブの中を歩き回っては、金目の物を奪おうとしていたり、暴力を振るっていたり、女を強姦しようとしていたりする連中を見つけては、肋骨を折って気絶させていく。
当然のように、そんな行動をしているのは俺だけではなく……空を飛びながら、地上でグローブの住人を追っている連邦軍の兵士を殺さないように殴ったり、呆然とグリを見ている連邦軍の軍人の集団に対し、手加減に手加減を重ねたカマイタチブレスを使って纏めて倒したり……といった真似をしている。
刈り取る者の方も、グリに負けず劣らず連邦軍の兵士の手足を撃って動けないようにしてその辺に転がすといったような真似をして、連邦軍の兵士達を捕らえていた。
グリとの違いは、刈り取る者の外見が外見なので、グローブの住人にしてみれば、連邦軍の兵士よりも刈り取る者の方に恐怖した者が多かったことか。
ともあれ、結構な手間ではあったが、グリの存在で連邦軍が混乱し、組織だった反撃が行われるような事もないまま、戦いとも呼べない戦いは無事に終了し、連邦軍の兵士は全員捕らえられる。
あ、でも兵士の中には家族を殺されたり、強姦されたりした者達の手によってなぶり殺しにされた者もいたので、全員を無事に捕らえるといった事は出来なかったが。
アクセル・アルマー
LV:43
PP:1290
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1637