木星にあるコロニー。
てっきりそこに行けば、また何か問題が起きるのではないかと思っていたのだが……予想外な事にシーマ艦隊は何の問題もなく宇宙港に入る事が出来た。
油断させておいて後から……という可能性もない訳ではないが、今のところは特にそんな様子はない。
そんな訳で、特に問題もないだろうと判断したシーマやハモン、シャリアと共に木星のコロニーの代表と会う事になった。
シーマ達にしてみれば、一種の護衛という意味もあったかもしれないが。
何しろ、生身での戦いとなれば俺を相手にどうにか出来る奴がこの世界にいるとは思えない。
いやまぁ、もしかしたらここは木星という事もあって、地球の側には存在しない、何かがある可能性があり、その何かは俺を生身でどうこう出来る可能性も、ない訳ではないだろうが。
そんな風に考えつつ、俺は部屋の中を見回す。
「こうしてみると、ここが木星だとは思えないな。普通の部屋で、木星っぽさはないし」
「木星っぽさって……一体どんなのだい?」
「それを俺に聞かれてもな。……そうだな。木星の模様をあしらったような壁紙にするとか? もしくは部屋を全天周囲モニタの要領で映像が見えるようにして、ここからでも木星を見る事が出来るとか」
その言葉に、部屋の中にいた面々が周囲の様子を見る。
とはいえ、今のところはこの部屋の中は特に何も特殊な装置の類があるようには見えない。
「そういうのは、ないらしいわね」
ハモンが周囲の様子を眺めつつ、そう呟く。
シャリアもまた、以前自分が来た時には特にそういうのはなかったと告げ……それで、特にやるべき事はなくなってしまった。
MSについてだったり、1年戦争終了後についてだったり、色々と話のネタはあるのだが……今の状況でそのような話をする訳にもいかないしな。
ここは、あくまでも木星のコロニーの中なのだ。
それこそ、盗聴器や監視カメラの類が仕掛けられていても驚かない。
スライムで部屋の中を調べてみてもいいんだが、そうなればそうなったで、色々と面倒な事になりそうだしな。
この部屋に何か仕掛けがあるという可能性は、他の連中も理解しているのだろう。
俺が特に何も言わなくても、特に聞かれても問題がないような、そんな話が行われていた。
「そう言えば……シーマとアクセルの関係はどうなってるの?」
「なっ!?」
不意にハモンが言ってきたその言葉に、シーマが息を呑む。
俺もまた、いきなり何を言ってるんだ? といった視線をハモンに向けた。
……シャリアは、何故か納得したような様子を見せていたが。
「私が見たところ、2人の相性は悪くないように思えるんだけど? アクセルもシーマも、お互いにそれなりに好意を抱いているのは間違いないし」
「そっ! それは……けど、何だって急にそんな事を言うのさ」
「何でと言われても、純粋に気になったからだけど?」
「だから……」
ハモンに向けてシーマが何か言おうとした時、部屋の扉がノックされる。
「どうやらようやくお出ましらしい。俺とシーマの進展具合については、取りあえず置いておくとして……」
「ちょっ、アクセル!? あんたも一体……」
慌てるシーマというのも、少し珍しいな。
何だかんだと、シーマは今まで自分や……そして海兵隊が生き残る為に必死だった為か、浮いた話はない。
あるいは、俺が知らないというか、他人に知られないようにしているだけで、実はそういう相手がいたという可能性もあるが……少なくても、今のシーマにそういう相手はいないし、シーマ自身決して男女関係を得意としている訳ではない。
……ぶっちゃけ、シーマくらいの美貌と男好きのする身体を持っている事を考えれば、アサクラ辺りに手を出されていてもおかしくはないと思ったんだが、そういう事も特になかったらしい。
そう言えば、アサクラ。
ア・バオア・クーの戦いでデギンとレビルの2人を纏めて殺したというか、消滅させたあの巨大なビーム。
あれはコロニーを……それもシーマの故郷たるマハルを使った巨大なレーザー砲だったらしい。
名前はソーラレイ。
そのソーラレイの建造を主導していたのが、アサクラだったらしい。
何と言うか、シーマにとってつくづく祟る相手だよな。
しかも、戦いのドサクサに紛れて逃げ出したらしいし。
ちなみにソーラレイは、現在連邦軍が確保している。
とはいえ、連邦軍の中には強硬派もいる。
特に今はジオン軍に勝ったということで、強硬派がどのくらい増えても不思議ではない。
もしそんな強硬派が月に向かってソーラレイを撃つといったような事をしない為に、ソーラレイは連邦軍が確保しているが、ルナ・ジオン軍からもコバッタや量産型Wが派遣されており、どちらも好き勝手に動かせないようになっているらしい。
というか、アサクラか誰かは分からないが、逃げる時にソーラレイのシステムをロックしていったらしいしな。
ルナ・ジオンならシャドウミラーに頼んでそのロックをどうにかするといった事も出来るんだが……連邦軍の方は今はまだ手こずってるらしい。
こちらとしては、ソーラレイはまだ動かせないようにして貰った方がいいので、特に何も手を出すような真似はしていないが。
ともあれ、アサクラは結局行方不明。
シーマにしてみれば、自分達を捨て駒同様に酷使し、故郷をソーラレイに改造した男だ。
自分に手を出す云々というのは関係なく、自分の手で殺したいと思っているだろう。
とはいえ、今のアサクラに逃げるべき場所はそう多くはない。
キシリアの突撃機動軍か、デラーズ達ジオン軍の残党。
アサクラ本人はキシリアではなくギレンの手の者だったらしいが、それでも突撃機動軍に所属していたというのは変わらない。
もしくは、同じギレンの下にいたということでデラーズか。
そんな風に考えていると、扉が開いて兵士が1人姿を現す。
「失礼します。ドゥガチ様との面会の用意が出来ましたので、案内します」
このドゥガチという人物が、木星コロニーの親玉らしい。
さて、問題なのは向こうが一体何を考えているかだな。
取りあえずこっちと友好的に接するか、それともいきなり技術を奪おうと襲い掛かってくるか……まぁ、普通に考えれば後者はないか。
「さて、じゃあ行くか。……ここからの主役はハモンだ。頼むぞ」
「ええ、任せてちょうだい。今回の一件は月にとっても大きな意味を持つのよ。そうである以上、ここで手を抜くような真似はしないわ。……ただ、そうね。今回の交渉が上手く纏まったら、何かご褒美を貰える?」
「……ご褒美? いやまぁ、それはいいけど」
「そう。じゃあ、楽しみにしてるわね」
そう言い、ハモンは立ち上がりながらシーマの方を見る。
そんなハモンの様子に何かあったのか、シーマは不機嫌そうにしながらも立ち上がる。
にしても、ご褒美か。
いっそのこと、ラルを縛ってプレゼントは私ならぬ、プレゼントは俺とでもして差し出してやるか?
それはそれで面白いような気もするけど、そんな事をやればハモンは喜ぶかもしれないが、ラルが間違いなく怒髪天を突くといった感じで襲ってきそうだ。
「では、ご案内します」
そう言い、兵士は俺達を引き連れてコロニーの中を進む。
……今更だが、兵士じゃなくて秘書とかそういう連中が呼びに来てもよかったんじゃないか? あ、でもこっちの護衛を兼ねていると考えれば、そんなに不思議な事でもないか。
そう思いつつ、俺はドゥガチという人物がどんな相手なのかを楽しみにするのだった。
「初めまして、私は木星コロニーの代表を務めているクラックス・ドゥガチです」
部屋の中に入ってきた俺達を見て、そう挨拶をしてきたのは、20代くらいの男だ。
特に目を引くのは、長い金髪だろう。
……なるほど。木星のコロニーは地球圏にあるサイドと違って数は少ないが、それでもあくまでもそれなりの数はある。
にも関わらず、そのコロニーをこの若さで束ねるということは、相当の実力……だけではなく、一種のカリスマ性も必要になる。
ぶっちゃけ、このコロニー1基でシャドウミラーの人員――量産型Wを除く――よりも多いんだから、そういう意味では目の前の男は十分そのカリスマ性を持っていた。
木星、カリスマ……ニュータイプか?
いやまぁ、別にニュータイプだからってカリスマ性があるとは限らないんだが。
ただ、どうしてもニュータイプとなると、俺の場合はセイラを思い出してしまう。
そしてセイラは、強いカリスマ性の持ち主だ。
ジオン・ズム・ダイクンの血を引いているというのもあるのだろうが、それ以外にも本人の素質的なものもある。
「ルナ・ジオン……いえ、月の外交部のクラウレ・ハモンです。今回の交渉については、全権を任されています」
そう言い、ハモンとドゥガチは握手を交わす。
続いてシーマとシャリアも握手を交わす。
ちなみに、ドゥガチとシャリアは知り合いではあったらしく、握手だけではなく言葉も交わしていた。
そして最後に俺の番となり、ドゥガチは当然のように俺に手を差し出してくる。
「アクセル・アルマーだ。……ただ、握手をする前に、1ついいか?」
「はい? 何でしょう?」
まさか握手をする前に何かを言われるとは思わなかったのか、ドゥガチは不思議そうな様子で俺の方を見てくる。
……ドゥガチの護衛らしい兵士は、握手をする前に何か言い出した俺を見て、不機嫌そうな様子を見せていたが。
とはいえ、もしドゥガチが俺の予想通りニュータイプであったとすれば、俺と握手をした場合は何が起きるのかは想像するのも難しくはない。
何しろ、今まで他のニュータイプが俺に触れた時……場合によっては触れなくても、色々と特殊な経験をする事になったのだから。
これが、クスコのように軽い衝撃であれば、まだいい。
だが……セイラと接した事により見た未来の映像や、それどころかアムロの時のように相手に強烈なトラウマを与えないとも限らない。
この辺は、ぶっちゃけ何が基準でそのような事になっているのか、俺も分からない。
それだけに、ドゥガチが妙な事にならないよう、前もって説明しておく必要があった。
「ある種の特殊能力者……具体的にはニュータイプ能力者と呼ばれる者が俺と接触すると、その者に特殊な体験をさせる。その体験をした者は、大なり小なりニュータイプ能力が強化されるが、その際の体験は場合によってトラウマを抱えるようなものにもなりかねない。それでも握手するか?」
そんな俺の言葉に、ドゥガチは真剣な様子で俺を見て……やがて頷く。
「構いません。私はそのようなことを気にはしませんから」
「……そう言うのなら」
正直なところ、別に無理に俺と握手をする必要はないと思うんだが。
それでも握手を希望するのなら、それはそれで構わない。
そう思い、ドゥガチの手を握り……一瞬だけ、頭の中に映像が流れる。
地球に向かって、ウイングゼロの翼を思い起こさせるような翼を持っているMS……MAか? ともかく、そんな存在が降下していくという、そんな映像。
「これはっ!?」
ドゥガチの驚きの声が漏れる。
この様子から考えると、恐らくドゥガチも俺と同じ映像を見たのだろう。
そして、これでドゥガチがニュータイプだというのも決まり、か。
「ドゥガチ様!?」
護衛の兵士の何人かが、慌ててドゥガチに近付こうとするが……ドゥガチは手を出す事で、それを止める。
「何でもない」
そう呟くドゥガチの言葉に、兵士達が足を止める。
この様子を見る限り、どうやらドゥガチは特に問題がないらしい。
「貴方は一体……」
そうして顔を上げたドゥガチの、俺を見る目は先程までと明らかに変わっていた。
先程までも、別に俺を格下といったように見ていた訳ではない。
だが、ドゥガチが俺を見ている今の視線は、驚きの他にどこか畏怖のようなものも感じられる。
「アクセル・アルマー。さっきも名乗っただろ?」
「いえ、そういう事ではなく……一体何をしたのです?」
「それもさっき言ったと思うんだけどな。ニュータイプが俺に触れると、妙な事になると」
「それは……」
一度言った事を繰り返してくるドゥガチだったが、それだけドゥガチが経験した体験は予想外だったのだろう。
少なくても、俺から見た場合はそのように思える。
「もう少し詳しく知りたいのなら……そうだな。ルナ・ジオンの後ろ盾といったところか」
「後ろ盾? そもそも、ルナ・ジオンというのは、ジオン・ズム・ダイクンの娘が建国したのでは?」
なるほど。ルナ・ジオンについて大まかな事情は知ってる訳か。
それは、木星のコロニーにシーマ艦隊が近付いてきた時に、シーマかハモン、もしくは顔つなぎ役としてやってきたシャリア辺りに聞いたのだろう。
「例え、ジオン・ズム・ダイクンの娘だとしても、そのネームバリューだけで建国出来ると思うか?」
そう尋ねるが、実はジオン・ズム・ダイクンの名前なら、出来そうな気もするんだよな。
そんな風に思いつつ、俺はドゥガチの返事を待つのだった。
アクセル・アルマー
LV:43
PP:1290
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1637