転生とらぶる   作:青竹(移住)

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2769話

 サーバインをショットに預けると、俺はドレイクに会いに向かう。

 まだ日中なので、仕事中なのは間違いないだろう。

 そうして城の中を歩いていると、部下に指示を出しているバーンの姿が見えた。

 そのバーンも、自分に誰かの視線を向けられたと気が付いたのか、周囲を見回し……そして俺の姿を見ると、その表情を驚愕に歪ませた。

 まさか、俺がニーの操縦するダーナ・オシーにやられると思っていたのか?

 サーバインというオーラバトラーの性能を考えれば、そんな事は有り得ないと判断してもおかしくはない筈だが。

 それでもすぐに驚きを押し殺す事に成功したのは、ドレイクの腹心だけはあるといったところか。

 

「これは、アクセル王。今日は改修されたサーバインの調子を見るといったようなことをするのでは?」

「ああ、それはもう終わった」

「……そうですか。それで、どこでそのような作業を?」

「ショットから教えて貰った森だな。バーンがショットに提案したんだろう? 特に問題なく機体の操縦は出来たぞ」

 

 森では何もなかったと、そう装う。

 そんな俺の様子を見たバーンは、一瞬戸惑ったような表情を浮かべたものの、すぐに安堵した様子を見せる。

 恐らく、俺が森でニーのダーナ・オシーと遭遇しなかったと、そう思っているのだろう。

 これは、恐らくバーン本人がニーに……いや、ギブン家に情報を漏らしたのではなく、やはり何らかの手段を使って間接的に情報を漏らしたといったところか。

 だからこそ、ニーが本当に森で俺を待ち受けていたのかどうかが分からなかったといったところか。

 取りあえずこの件は公にしない方がいい。

 もし公にした場合、ダーナ・オシーの一件が知られてしまいかねない。

 ダーナ・オシー……出来れば操縦してみたいが、使われているのは普通のオーラコンバータだろうから、俺は操縦出来ないんだよな。

 そうなると、頼れるのはマーベルだけか。

 幸い、科学技術の類が殆ど発展していないこのバイストン・ウェルにおいては、発信器とかそういうので相手がどこにいるのかを確認したり、もしくは衛星軌道上から調べるといった真似は出来ない。

 であれば、一度どこかラース・ワウから離れた場所でマーベルに乗って貰ってダーナ・オシーの性能を確認して貰うといったことをしてもいいかもしれないな。

 

「アクセル王の乗るサーバインの改修が無事完了したようで、何よりです」

「そう言って貰えると、俺としても助かる。……ちなみに、バーンはオーラバトラーに乗らないのか? ダンバインは聖戦士用だから難しいだろうが、ドラムロなら乗れるんじゃないか?」

「そのような話はありますし、実際に訓練もしています」

 

 バーンの様子を見る限りでは、自信ありといったところか。

 とはいえ、ドラムロは現状では他に類を見ないタイプのオーラバトラーだ。

 ゲド、サーバイン、ダンバイン、ダーナ・オシー……ドラムロ以外のタイプは、どれも機動性を重視した作りになっている。

 その辺の事情を考えると、ドラムロを他のオーラバトラーと同じ感覚で操縦するのは難しいと思うんだが。

 とはいえ、その辺はショットの方でもある程度何とか……ん? 待てよ? もしかして、ショットがサーバインの改修に協力出来ないと言ってきた理由って、それだったりしないよな?

 バーンを始めとして、ドレイクの部下でオーラバトラーの操縦訓練に付き合う為に……いや、それはないか。

 ショットやゼットはあくまでもオーラバトラーを開発する技術者で、操縦訓練とかそっち関係に関わる必要はない筈だ。

 であれば、ショットの件とバーンの件は全く別の事だと考えてもいい……か?

 

「そうか。オーラバトラーの操縦はそれなりに大変かもしれないが、頑張ってくれ」

 

 そう告げ、俺はバーンとすれ違うようにドレイクの執務室に向かう。

 だが……バーンとすれ違った俺は、背後から向けられる苛立ち混じりの視線をしっかりと感じることが出来ていた。

 バイストン・ウェルでは殺気とかそういう概念がないのか?

 いや、オーラ力とか、そういうので感じているのかもしれないが。

 ともあれ、今の一連の流れでバーンが間違いなく黒であるというのは判明した。

 さて、次は一体どういう風に仕掛けてくるだろうな。

 バーンにしてみれば、まさかオーラバトラーで俺に決闘を挑むといったような真似は、まずないだろう。

 お互いの間にある実力差は感じている筈だし。

 そうなると、今回のように何らかの策謀を巡らせてといったところか。

 そんな風に思いながら廊下を進み、やがて俺はドレイクの執務室の前に到着する。

 護衛の兵士に頼むと、すぐに中に入る許可が出た。

 この辺は同盟相手だからか?

 

「おお、アクセル王。よく来てくれた」

 

 執務室で何らかの書類を見ていたドレイクが、部屋の中に入ってきた俺の姿を見て嬉しそうに言う。

 それは本当に心の底からそう思っているのか、それとも表向きなのか。

 それは俺にも分からなかったが、取りあえず表向きには受け取っておく。

 

「時間を取らせて悪いな。実は少し頼みがあってきた」

「ほう、頼み? それは一体何かな? 儂で出来る事ならいいのだが」

「ドレイクで出来る事というか、ドレイクにしか出来ない事だな」

 

 そう言うと、ドレイクは興味深そうな視線をこちらに向けてくる。

 

「儂にしか、か。……具体的には、一体どのような事かな?」

「実は、ショットにサーバインの件で新しく改修を頼みたいと思ってな。だが、それをショットに言ったら、今は忙しいからドレイクの許可を貰えないと無理だと、そう言われた」

「……なるほど」

 

 俺の言葉に納得したように頷くドレイク。

 

「で? どうだ? 今は忙しいのか?」

「ふむ。それは間違いない。……実は少し大きな取引が行われる予定でな。ショットにはそちらに手を打って貰っている」

「大きな取引?」

 

 普通に考えれば、オーラバトラーの売買についての話だろう。

 であれば、ショットが忙しいというのも理解出来ない訳ではない。

 もっとも、そこまで大規模な取引となると……領主ではなく、別の国の国王辺りとの取引か?

 そんな俺の疑問には、ドレイクがすぐに答えを口にする。

 

「うむ。クの国の国王……ビショット王との取引だ」

「クの国か」

 

 あくまでも人から聞いた話で自分で確かめた訳ではないのだが、クの国というのはかなり発展しているらしい。

 まだかなり若い国王らしいが、有能だとか。

 取りあえず、この国の国王たるフラオンとは比べものにならないくらいに有能なのは間違いないらしい。

 にしても、ビショットか。ショットがいて、ショットクローという武器があって、ビショットという国王がいる。

 何だか妙に似たような名前が多いな。

 まぁ、偶然の一致だろうが。

 あ、でもショットが開発したオーラバトラーでショットクローとなると……もしかしてゼットが開発したらゼットクローになっていた可能性もあるのか?

 

「うむ。以前からそうだったが、今回はオーラシップの購入も検討しているらしい」

「オーラシップ? それは、名前から考えると……船か?」

「ショットやゼットから聞いた話では、空飛ぶ戦艦といった表現が相応しいらしい」

「なるほど」

 

 つまり、ホワイトベースやアークエンジェルといった感じの軍艦か?

 

「そういうのも開発されてたんだな」

「勿論だ。オーラバトラーは強力な兵器だが、それだけでは運用に難がある。であれば、それを補助する戦力も必要となる」

「……何故、そこまで事情を話す? 幾ら同盟相手だからとはいえ、それは少し情報を話しすぎじゃないか?」

 

 ドレイクにしてみれば、俺は同盟相手だ。

 だが、同盟相手というのは色々と違いがある。

 本当の意味で友好的な関係というのもあるだろう。

 しかし、俺とドレイクの場合はそういう関係ではない。

 そうである以上、重要な機密を俺に教えるといったことは少し信じられなかった。

 少なくても、こうした事情を喋るような関係ではない筈だ。

 

「うむ。勿論、この件についてはアクセル王に頼みたい事があっての話だ」

「それは?」

「アクセル王にはクの国に行って貰いたい」

「何の為に?」

 

 ドレイクがクの国と商売をしているのは理解している。

 だが、俺はその商売に関係はない。

 であれば、わざわざ俺がクの国まで行く必要はない筈だ。

 にも関わらず、何故?

 そんな疑問を抱くのは当然だろう。

 

「儂から見て、ビショット王は有能な人物だ。だが、それはあくまでも儂から見た場合の話。アクセル王から見た場合はどうなのか、気になってな」

「何の為に?」

 

 俺の口から出た言葉は、数秒前と全く同じ言葉だ。

 ドレイクの言いたい事は分かる。

 分かるのだが、何故俺がそのような真似をしなくてはならないのか。

 

「クの国は大国だ。その国がオーラバトラーを買っているという事は、当然ながらそれをベースにして自国で独自のオーラバトラーの研究をしていると思ってもいい。であれば、アクセル王にも興味はあるのではないか?」

「……なるほど」

 

 オーラバトラーを開発しているとなると、興味深いのは事実だ。

 だが……ギブン家が開発したダーナ・オシーを鹵獲したこのタイミングでこの話題を出すのか? そうなると、もしかして今回の森での一件をドレイクも知っていた? ……いや、だが、ドレイクがわざわざ俺と敵対するような真似をするとは思えない。

 だとすれば、本当に偶然なのか。

 

「どうかな? オーラシップ……ナムワンにも興味があるようだったし」

「そうだな。取りあえず報酬次第と言っておくか。俺にわざわざ行かせるのだから、その辺は期待してもいいんだよな?」

「……望みは?」

 

 さて、この場合どこまで望むか。

 取りあえず、ある程度量産されたゲドとドラムロは1機……いや、念の為に2機ずつ貰うとして、ダンバインも是非欲しい。

 そう考え、ふと気が付く。

 もしドレイクが本当に俺と手を切りたくないのかどうか……森の一件がドレイクの意向が反映されていたのかどうなのかを確認する為には、もう少し大きな報酬を要望してみるのもいいかもしれないな。

 

「ゲドとドラムロを2機ずつ。そしてダンバインを1機」

「ふむ、よかろう。ダンバインは今すぐに用意するという訳にはいかないが、クの国から戻ってきたら引き渡そう」

「そうか。俺としては嬉しいよ。ただ……俺が希望する報酬はまだある。ナムワンだったか。オーラシップ。それを1隻貰いたい」

「それは……」

 

 ドレイクが言葉に詰まる。

 実際、ドレイクにしてみれば、同じ商品であってもオーラバトラーとオーラシップでは、その単価が大きく違う筈だ。

 言ってみれば、最新鋭の戦闘機を報酬として渡すという交渉をしていたところで、最新鋭の空母も寄越せと、そう言われたも同然なのだから。

 戦闘機も当然のように高価だが、それを運用する為の空母はそれ以上に高価だ。

 報酬として寄越せと言われて、はいそうですかと頷く訳にはいかないだろう。

 とはいえ、俺との同盟を崩す気がないのなら、俺からの提案を問答無用で断るといったような事は出来ない筈。

 そうなると、考えられる可能性としては……

 

「幾ら何でも、ナムワンをそう簡単に渡す訳にはいかん。だが……アクセル王には色々と助けて貰っているのも間違いはない。であれば、これはどうだろう? 今回の一件の他に、二度、こちらの依頼を受けて貰うということにしたい。勿論、その場合はナムワンを前もって譲渡しても構わん。どうだろう?」

 

 なるほど、考えたな。

 前もって報酬を貰っておけば、こちらとしても余程の事でない限り、その依頼を受けないという訳にはいかない。

 

「そうだな。その依頼がどういう依頼かにもよるな。例えば……民間人を虐殺しろとか、そういう依頼なら引き受けるつもりはないぞ?」

「構わんよ。あくまでもアクセル王が受けても問題がないという依頼を、2つ。それを引き受けて貰えるのなら、ナムワンと……それを動かす為の人員もこちらで用意しよう」

 

 この場合、その人員は当然のように俺やマーベルについての監視的な役割を持ってるんだろう。

 ただし、このバイストン・ウェルにおいて俺の知り合いはそう多くはない。

 ましてや、オーラシップという、今まで存在しなかった軍艦を動かすとなれば、それを動かせる者を自前で用意するのはまず無理だ。

 つまり、ドレイクのこの提案は受けないという選択肢がない。

 いやまぁ、ナムワンを貰っても俺は運用せずに、空間倉庫の中に入れておいて技術班の土産として渡すといった選択肢もあるが……個人的に、オーラシップという未知の技術で作られた軍艦というのは見てみたい。

 であれば、それを使うという意味でドレイクの言葉に頷かないという選択肢はなかった。

 

「分かった、それでいい。なら契約成立だな。……ちなみに、クの国には、俺だけじゃなくてマーベルも一緒に行くと思うが、それでも構わないか?」

 

 マーベルが行くかどうかは分からないが、実際にその辺の話は聞いておく必要がある。

 そうして尋ねた俺の言葉に、ドレイクは頷くのだった。




アクセル・アルマー
LV:43
PP:1400
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.11
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1648

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