転生とらぶる   作:青竹(移住)

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2790話

「アクセル!」

 

 ショットとサーバインについての話をしてから機械の館の外に出ると、不意に声を掛けられる。

 声のした方に視線を向ければ、そこにいたのはトッド。

 珍しく興奮した様子を見せながら、こっちに向かって走ってくる。

 そんなトッドの後ろからは、ショウとトカマクの2人がこっちに向かっていた。

 

「どうだった? オーラバトラーを見たんだろ?」

「ああ、ドラムロとかいう奴をな。今夜バーンがあれに乗って何かやるらしいけど、知ってるか?」

「知ってる。まぁ、バーンもそれなりの技量の持ち主ではあるし、その辺はそこまで心配する必要はないだろ」

「それなりって……バーンは自信満々だったぜ? ドレイクの下で手柄を立てれば、カリフォルニアくらいの領地を任せてくれるって話もあったし」

 

 地上人を自分達の戦力として引き入れる気は満々ってところか。

 ただ、バーンの場合はあくまでも自分がトッド達を使ってやるといったような感じだしな。

 それを思えば、もしトッド達が実力を発揮してドレイクの部下として頭角を現すような事になれば、対抗心を剥き出しにするような事にもなりかねないと思うんだがな。

 バイストン・ウェルの人間であるガラリアと、地上人……聖戦士の3人ともなれば、話は違ってくるんだろうが。

 

「ちなみに、ドレイクの部下じゃなくて俺につくって選択肢もお前達にはあるぞ。こっちは俺とマーベルだけで人数が少ないから、戦力が増えるのは大歓迎だ」

 

 一応誘ってみる。

 とはいえ、これは半ば冗談半分だ。

 そもそも、トッド達地上人はドレイクがシルキーの力を使って召喚したのだから、幾ら何でも俺が隣から掻っ攫うといった真似が出来る筈もない。

 それに、戦力としては極めて強力な俺とマーベルだが、人員2人にオーラバトラーが2機と母艦となるナムワンが1機。

 その上、ナムワンは運用するのにドレイクから人を借りないとどうしようもないという代物だ。

 住む場所もドレイクに用意して貰っている有様だし。

 その辺の事情を考えると、勢力としてはかなり貧弱と言ってもいいだろう。

 ゲートでホワイトスターと繋がれば、そういうのは考える必要もないんだが。

 

「異世界ってのは興味深いけど、アクセルとドレイクならなぁ……」

 

 トッドの言葉にショウやトカマクも頷く。

 普通に考えれば、この地に根を張って生きてきたドレイクと、少し前にバイストン・ウェルに迷い込んだだけの俺とでは、所属する身としては違いすぎるといったところか。

 

「ちなみに、本当にちなみにの話だが、俺の部下になるとこういう特典がある」

 

 そう言い、空間倉庫から取り出したのはペルソナ世界では世界的なチェーン店のハンバーガー。

 1個100円ちょっととかなり安いハンバーガーだが、当然ながらバイストン・ウェルにハンバーガーなんて料理はない。

 

「ハンバーガー? 初めて見る店のだが」

 

 トッドが俺の手に持ったハンバーガーを見て、そう呟く。

 ペルソナ世界で流行っているチェーン店だけに、そうなるのは当然だろう。

 もしかしたらこの世界でも同じチェーン店が出て来るという可能性は決して否定出来ないが、その場合はもっと後になってからの事だろう。

 

「これは空間倉庫という俺の能力の1つだが、この中には色々と入っている。例えば……こういうのもな」

 

 ハンバーガーをトッドに渡すと、次に空間倉庫から取り出したのは寿司とピロシキ。

 とはいえ、寿司はスーパーで購入したパック寿司で、ピロシキはパン屋で購入した奴なのだが。

 寿司を受け取ったショウは、微妙な表情を浮かべる。

 ハンバーガーやピロシキと違って、寿司は生魚を使っている。

 ショウが俺を信じる事が出来なければ、生ものの寿司を食べるといったような真似は出来ないだろう。

 いっそ寿司ではなくて天ぷらとかにすればよかったか?

 一応スーパーで購入した天丼とか、そういうのも入ってるんだが、やっぱり日本人といったら寿司だろう。

 

「それらを食うかどうかは、お前達に任せる。取りあえず、悪くなっていたりはしてないけどな」

 

 そう言うも、それこそ俺を信じられないと俺が渡したのを食べたりはしないだろう。

 トッドがハンバーガーを食べるのを見て、ショウやトカマクも食べ始める。

 もっとも、片手で持って食べることが出来るハンバーガーやピロシキに比べて、寿司はパック寿司だ。

 パックの蓋に醤油を入れて、マグロから食べていく。

 うん、全員がしっかりと食べてくれたようで何よりだ。

 

「俺の部下になれば、そういう料理を食べる事が出来るぞ」

 

 そう言うと、ハンバーガーを食べ終わったトッドは、興味深そうに視線を向けてくる。

 

「そう言ってもよ、どれくらいハンバーガーがあるんだ?」

「無限……とは言わないけど、結構な量があるのは間違いない。それにハンバーガー以外のチーズバーガーとかもあるしな。後はテリヤキバーガーとか」

「テリヤキバーガー?」

 

 うん? トッドはテリヤキバーガーを知らないのか?

 アメリカでも一般的なハンバーガーだと思ってたんだけど、もしかして今の地上界ではまだ開発されてないのか?

 そう思ったが、俺が口を開くよりも前にショウが口を開く。

 

「へぇ、テリヤキバーガーか。美味いんだよな、あれ」

 

 どうやらショウは知ってるらしい。

 テリヤキバーガーは、日本で生まれた食べ物だ。

 いや、ハンバーガーという食べ物はあったのだから、アレンジメニューか?

 ともあれ、日本で生み出されたテリヤキバーガーは、美味いと評判になってアメリカに伝わる。

 恐らく、今はちょうど伝わっている最中なのだろう。

 もしくは単純にトッドが寄っているファーストフード店では、テリヤキバーガーを認めてないとか。

 

「まぁ、そんな感じでお前達にとっては未来の料理もそれなりにあるぞ」

 

 具体的にどの料理がトッド達の食べたことがない料理なのかは、俺には分からない。

 分からないが、それでも間違いなく空間倉庫の中にはそういう料理が多数ある筈だ。

 問題なのは、どうやってそういう料理なのかを見分けることが出来るのかは分からないが。

 取りあえず適当に料理を出して、向こうに知らない料理を選んで貰う必要があるだろう。

 

「それはかなり魅力的だけど、これだけでそういう風に決めろってのはなぁ。ドレイクに従えば、カリフォルニアくらいの土地を貰えるんだぜ?」

 

 トッドの言葉にトカマクが同意するように頷く。

 唯一、ショウだけは俺の方に興味深い視線を向けていた。

 ショウは食べ物にはうるさい日本人だ。

 それこそ日本という国は大抵の料理は受け入れて、それを魔改造する。

 ラーメンなんてその典型だろう。

 日本のラーメンというのは、当然元々は中華料理として入ってきたのだが、今となっては中華料理のラーメンではなく、ラーメンという料理で1つのジャンルを生み出すまでになっている。

 まぁ、残念ながら俺の空間倉庫の中にはラーメンの類はないが。

 いや、カップラーメンとかならあるけど。

 ちなみに日本のお菓子……特にチョコの類はあの値段で売られているのが不思議な程の完成度を持っていると言われているが、それと同じくらい値段以上に美味いと言われているものの1つが、カップラーメンだ。

 海外によっては、それこそ下手なレストランで食べるよりも日本のカップラーメンの方が美味いということは普通にあるらしい。

 もっとも、日本のカップラーメンも100円代のが普通だったのに、気が付けば300円とか400円とか、そういう高級カップラーメンも増えているのだが。

 ぶっちゃけ、カップラーメンに400円とか使うなら、普通にコンビニで適当に料理を買ったり、もしくは牛丼屋とかで食べた方がいいような気もするが。

 ああ、でもそういう高級なカップラーメンが出たのは、2000年に入ってからか。

 そうなると、今のこの世界の日本ではカップラーメンはやっぱり低価格路線なのか?

 後でショウにカップラーメンでも差し入れして、こっちに引き寄せれられるようにしておくか。

 

「そうだな。今は食べ物とかだけだけど、ゲートという俺の世界とこの世界に繋がる装置を設置することが出来ればホワイトスター……世界の狭間にある本拠地と繋がって、そこから戦力を自由に呼び寄せる事も可能になるけどな」

「それ、本当か?」

 

 食べ物に興味を抱いたショウとは違い、トッドは戦力という言葉に反応した。

 この辺り、現役の軍人といっただけはあるな。

 元軍人のトカマクの方は、戦力というのにはあまり興味を抱いてはいないようだったが。

 

「本当だ。ちなみに、シャドウミラーは建国してからまだ短い。つまり実力主義で、実力があれば新人でも幹部になるのは難しくないな」

 

 もっとも、実力主義なのは間違いない事実だが、同時にちょっとやそっとの実力で上に上がるといった事は不可能なのだが。

 操縦技術といったところでも、実働班はほぼ全てが伝説のエース級と評してもいいだけの実力を持っている。

 そもそもメギロートとかと違った主戦力であるシャドウを操る量産型Wからして、今ではもう超一流のパイロットと呼ぶべき実力を持っているのだから。

 また、実働班の予備隊とも呼ぶべき精霊の卵にしたところで、現在は量産型Wには劣るが、それでも他の世界に行けば十分エース級と呼ぶべき技量にはなっている。

 そんな中で実力を発揮して実働班の幹部になるというのは、正直なところかなり難しいだろう。

 まぁ、それでもシャドウミラーに所属すれば厳しいところもあるが、それ以上に充実した日々をすごせるのは間違いない。

 何よりも大きいのは、やはりシャドウミラーだけに他の世界に対しても自由に行き来出来るという事だろう。

 これだけは、他の勢力に所属していても出来る事ではない。

 

「へぇ……」

 

 興味深そうな様子を見せるトッド。

 先程までもそれなりに興味深そうにしていたのだが、今の話を聞いてそれ以上に興味深い様子を見せてきた。

 向上心が強いというか、出世欲が高いというか。

 正直、微妙なところだろう。

 それは悪い事ではないんだが。

 ただし、その出世欲が暴走するような事になったりしたら、味方の足を引っ張るといったような事になりかねない。

 そうならない為には、注意する必要があるだろう。

 最善なのは、ドレイクの下で行動してその辺が問題なくなったところで俺の下に来るといった感じだが、幾ら何でもそう都合よくはいかないだろう。

 

「ともあれ、お前達3人がそれぞれ俺の下に来るというのなら歓迎するが、しっかりと考えた上で行動すればいい。幸い、今夜はドレイクがお前達の為に園遊会を開くんだから、そこでドレイクがどれだけの力を持っているのかを見る事が出来るだろう」

 

 園遊会という名前はあるが、それは言葉程に優雅なものではない。

 まさに、ドレイクが自分はこれだけの力を持っていると地上人達に見せつけるような時間だ。

 

「アクセル王、サーバインの準備出来ました!」

 

 技術者の一人が、俺にそう声を掛けてくる。

 どうやらショットクローを試す準備が出来たらしい。

 

「そんな訳で、俺はちょっと自分のやるべき事をやってくる。お前達は今夜の園遊会まで大人しくしてろよ」

 

 そう言い、サーバインのある方に向かう。

 3人は俺がオーラバトラーを動かすのだと判断したのだろう。

 興味深そうにしていたが、ドレイクの部下の兵士達が馬車に行くように促す。

 俺の言葉を聞いた為か、3人も特に逆らうような真似はせずに大人しく兵士の言葉に従っていた。

 マーベルだけは機械の館に残されたが、それはマーベルがドレイクの部下ではなく、俺の部下という扱いだからだろう。

 マーベルはマーベルで、ダンバインの調整とか、そういうのがあるんだろうし。

 そんな風に考えながら、サーバインのある場所に行ってコックピットに入る。

 相変わらず魔力を吸い取られるような感覚があり、サーバインが起動した。

 何だか気持ち……本当に気持ちだけだが、吸収される魔力が多くなってるような気がするな。

 これってもしかして、ショットクローを改修したのが関係してるのか?

 そんな風に思いつつ、機械の館に用意された訓練場に出る。

 標的として用意されたのは……ああ、ゲドか。

 正確にはゲドではなく、ゲドの出来損ない。

 オーラバトラーの素材は、恐獣の素材に手を加えて出来上がる。

 これは当然ながら、素材の加工に失敗した場合は使い物にならなくなる物も多い。

 流用出来る物は流用するが、どうしようもなくなった素材を適当にゲドっぽく組み合わせたのが、サーバインの正面に存在するゲドもどきだった。

 それでも、これを用意してくれたのは助かる。

 

「さて、やるか」

 

 そう呟いたものの、やるべき事はそう多くはない。

 手首のショットクローで狙いをつけて発射し、そのショットクローがゲドもどきの身体に絡みついたところで、新たに用意されたスイッチを押す。

 瞬間、ショットクローを通じて放たれた電撃は、ゲドもどきの身体に流れるのだった。




アクセル・アルマー
LV:43
PP:1410
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.11
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1650

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