夜、ドレイクの城から離れた場所に用意された園遊会の会場ではフェラリオが空を舞い、綺麗に着飾った女が踊っていた。
「園遊会」
そんな光景を見ながら、そう呟く。
ちなみに俺の座っている席は、ドレイクの隣だ。
だからこそ、ドレイクは俺の言葉が聞こえたのだろう。
こちらに視線を向けてくる。
「どうかな、アクセル王。園遊会は」
「あー……うん。そうだな。ちょっと俺が思っていた園遊会とは違ったが、悪くはないんじゃないか?」
俺が思っていた園遊会というのは、庭で皆が料理を食べたりするようなものだ。
だが、現在俺がいるのは闘技場的な場所。
バーンがドラムロで戦うって話を聞いていたので、もしかしたらとは思っていたんだが、やはりバイストン・ウェルの園遊会というのは俺の予想していたものとは違ったらしい。
ちなみに俺の右隣にはドレス姿のマーベルがいて、左隣にはドレイク、そして俺を挟んで反対側にはルーザがいて、そのルーザの隣にはショットがいた。
当然ながら、俺を嫌っているルーザはドレイクに前もって言われているのか嫌みの類は言ってこなかったが、視線を向ける様子もない。
完全に俺をいないものとしているような感じだ。
ちなみにリムルはこの園遊会には参加していない。
ミュージィ辺りが連れてくるのかと思っていたんだが、どうやら外れだったらしい。
リムルにしてみれば、ドレイクに協力するという時点で悪しきオーラ力の持ち主という事になるらしいし、そんな人物が3人もお披露目する場にはいないといったところか。
ドレイクはリムルの事を可愛がっているだけに、余計に悲惨だな。
ちなみにその紹介される地上人の3人は、俺達よりも一段下の場所に座って、食事をしたり酒を飲んだりしていた。
フェラリオが珍しいのか、上を見ていたりもしていたが。
召喚された直後にフェラリオは見た筈なんだが、その時は召喚されたばかりで混乱しており、フェラリオの姿をしっかりと見るような真似は出来なかったのだろう、
だが、今は数十……人? 匹? どっちで数えればいいのか分からないが、それだけのフェラリオが空を飛んでいた。
バイストン・ウェルはファンタジー世界だが、それでもファンタジー世界らしい要素は多くない。
そんな中で、妖精のように見えるフェラリオという存在はファンタジー世界らしい要素と言ってもいいだろう。
オーラバトラーとかもファンタジー世界らしい存在ではあるんだが。
「この後、バーンがドラムロでガッターと戦うらしいな」
「アクセル王も既に知っていたか」
「ああ。……というか、何でバーンだったんだ? 純粋な技量なら、バーンよりもガラリアの方が上だろうに」
「バーンは儂の筆頭騎士である以上、このような場はバーンの出番となるのは当然では?」
この言い分からすると、どうやらドレイクもバーンよりもガラリアの方が技量は上だと理解しているのだろう。
もっとも、ドレイクにしてみればそれでもバーンを使ったという事は、それだけバーンを信頼している証なのだろうが。
「なるほど。だが、筆頭騎士だからという理由だけでガラリアを軽く扱っていると、いつかガラリアはお前の下から去るかもしれないぞ?」
そう言ってはみるが、ガラリアの性格からするとドレイクの下を出奔するといったような事はまずないだろうけど。
元々ガラリアが騎士をやっているのは、父親の一件が強い。
敵前逃亡した父親に続き、逃げ出したその娘となれば、ニャムヒー家は2代続けて不名誉な真似をした事になる。
ニャムヒー家の名誉を回復する為にここまで頑張ってきたガラリアが、そんな真似をするとは思えない。
また、ニャムヒー家云々を別にして、ゼットとの件もあるしな。
「ふむ。マーベルはどう思ってるのかな? ガラリアと親しいと聞いているが」
ドレイクの視線は俺ではなくマーベルに向けられる。
ガラリアと親しいというのは、それなりに知られている事なので、その件が知られても特に驚くような事はない。
「バーンよりも技量が上なのに、バーンだけを引き立てるような事をすれば、ガラリアは面白くないでしょうね」
ガラリアと親しいマーベルだけに、そちらを庇うのは当然の事だろう。
「ふむ、なるほど」
「ニャムヒー家は信用出来ないでしょう」
納得したがドレイクと裏腹に、ルーザがそんな風に話に割って入ってきた。
本当にガラリアを信じることが出来ないと思っているのか、それとも単純に俺やマーベルがガラリアを庇ったのが気にくわなくて口を挟んだのか。
どちらか……もしくはまた別の理由からなのかは分からないが、ルーザは嘲笑を浮かべながらこちらに視線を向けていた。
先程までは完全に俺の存在をいないものとして無視していたのだが。
俺を攻撃出来る理由が出来たので、無視するのは止めたといったところか。
「ガラリアは今まで結構な成果を挙げている筈だが? クの国への商取引でもしっかりと護衛を果たしたしな。父親の件はともかく、ガラリアは間違いなくドレイクの為に頑張っている。にも関わらず、それを認めないというのは……ドレイクの部下は悲惨だな」
「ルーザ」
「あら、失礼」
俺の言葉にドレイクはルーザを叱るように名前を呼び、そして名前を呼ばれたルーザは全く気にした様子もなくこちらから視線を逸らして闘技場で行われている踊りに視線を向ける。
ドレイクはそんなルーザの様子に溜息を吐き、こちらに視線を向けてくる。
「すまんな、アクセル王。ルーザが失礼をした」
「気にするな……とは言えないな。ドレイク本人はともかく、その妻がこの有様だとドレイクの下で働いている騎士達が哀れだとは思うが」
そう言うと、俺を無視していた様子のルーザの頬がヒクリと動く。
こうもあからさまに自分が貶されるとは思わなかったのだろう。
俺としても、正直ドレイクとの関係を悪くしようとは思わないが、ルーザは最初から俺を敵対視している。
そんな相手と友好的に付き合おうとは、正直思わない。
であれば、こちらとしてもルーザを排除した方がいいのは間違いなかった。
「……ふん」
それでも結局俺に何かを言い返してこなかったのは、ドレイクの前でこれ以上あからさまに俺と言い争いはしない方がいいと判断したからだろう。
実際、もしそのような真似をしていれば、ドレイクは再びルーザを叱責する事になっていただろうし。
と、そんなやり取りをしていると、ルーザの隣に座っているショットがこちらに視線を向けてくる。
その視線が何を言いたいのかは、ショットの様子から考えれば明からだった。
つまり、その辺にしておけと。
自分の仕えているドレイクの妻と俺の関係が悪くなるのは面白くないというのもあるだろうが、それ以上に現在ルーザの隣に座っている自分に被害がこないようにして欲しいという、そちらの思いの方が強いのだろう。
そういう点でも、ルーザは下の者に決して慕われてはいないのだろう。
「きゃあああっ!」
と、不意に聞こえてきた悲鳴。
何だ? と、そちらに視線を向ける。
そちらに視線を向けたのは俺だけではない。マーベルやショット、それに一段下で食事を楽しんでいた地上人3人もが、悲鳴の聞こえてきた方に視線を向けている。
そして悲鳴のした場所には扉があり、現在その扉は開かれており……やがて、その扉から1匹の恐獣が姿を現す。
その恐獣は、俺にとっては見慣れた……いや見飽きたと言ってもいいガッターだ。
大きさはかなり小さい。
まぁ、俺やマーベルの力を借りず、ドレイクの部下達だけで捕らえたからというのもあるんだろうが。
それに生け捕りにするというのは、普通に捕らえるよりも難しい。
ましてや、ラース・ワウ周辺に棲息していたガッターの多くは、俺とマーベルによって大量に倒されている。
勿論、ガッターは空いている縄張りがあれば、すぐにでもそこを自分の縄張りにしようとする。
そういう意味では、倒してもすぐにまた新しいガッターがやって来るのだが、それでもガッターも無限に棲息している訳ではない。
結果として、倒したガッターの数が多くなるに従って、新しく姿を現すガッターはそこまで大きくはない、そんなガッターになる事が多かった。
勿論それも絶対という訳ではなく、たまにどこから姿を現したのか、かなり巨大なガッターが姿を現したりもしたのだが。
ともあれ、そんな訳でドレイクの部下がガッターを確保しようとしても、そう大きなガッターを確保出来る訳ではない。
それ以外にも、闘技場の中に入ってくる扉の大きさを考えると、そこまで大きなガッターは必要なかったというのもあるのかもしれないが。
そんなガッターは、踊っていた女達が逃げるのを見て、興奮した様子を見せる。
獰猛な性格をしているガッターだけに、目の前にいる女は自分の餌だとでも思っているのだろう。
フェラリオはその全てが空に逃げている。
ガッターは空を飛ぶといった真似は出来ない。
そうである以上、フェラリオにしてみればガッターという存在は近付かれれば怖いが、少し距離を取れば全く問題のない相手だという認識なのだろう。
「アクセル!」
そんな光景を見ていたマーベルが、鋭く俺の名前を呼ぶ。
正義感の強いマーベルとしては、このような状況で闘技場の中にいる女達を放っておくといった真似は出来ないのだろう。
それこそ、放っておけばマーベルが自分で助けにいくかもしれない。
「落ち着け。もっと闘技場の中を見てみろ」
その言葉に、マーベルは改めて闘技場に視線を向ける。
そこでは、既に女達の姿は消えており、残っているのはガッターだけとなっていた。
ガッターを女達が踊っている場所に乱入させるというのは、当初からの予定通りだったという事だろう。
女達の様子を見る限りでは、ガッターが乱入するというのは知らされていなかったのだろう。
いやまぁ、それを知らされていれば、当然だが女達が踊ったりといった真似は出来なかったし、そもそも人数が集まらなかった可能性が高いが。
俺の常識ではやりすぎだろうし、マーベルの様子を見る限りでは地上界の常識で見てもやりすぎではあるのだろうが、ここはバイストン・ウェルというファンタジーの世界だ。
とはいえ、その辺りの事情を予想出来たのは、俺とマーベルがバイストン・ウェルに来てからそれなりに時間が経っている為で……つまり、昨日このバイストン・ウェルに来たばかりの地上人3人は違う。
怪獣だ何だとショウが言って驚いているところで、この園遊会の主役たるドラムロが空中から姿を現す。
空を飛ぶという能力が一般的なだけに、その様子は強い印象を与える。
そしてガッターとドラムロの戦いが始まった。
バーンが乗っているだけあって、ドラムロの動きはなかなかに鋭い。
飛んでいる状況で急反転をする技量に関しては、ガラリアよりもバーンが勝っているところだろう。
バーンは俺やマーベルとの模擬戦を行わないので、部下と模擬戦をしたり、それ以外だと1人でオーラバトラーを操縦する練習をしているのだが、その結果が出たといったところか。
そうしてバーンがガッターと戦っているが、その戦いは一方的だった。
ガラリアよりもバーンの方が弱いのは事実だが、だからといってバーンはガッターよりも弱い訳ではない。
いや、寧ろバーンは自分がガラリアよりも弱いというのを理解している以上、より訓練に励んでいる。
それで俺やマーベルに協力を頼まない辺り、どうかとは思うんだが。
恐らく……本当に恐らくだが、この世界の原作でのバーンよりも、今のバーンの方が強くなっている筈だ。
とはいえ、それでもガラリアの方が強いのだが。
マーベルとガラリアは、未だに俺から魔法の授業を受けている。
ただし、『火よ灯れ』の魔法が発動した事は、まだ一度もないのだが。
これでガラリアが魔法を使えるようになれば、もしかしたらバーンとガラリアの地位が逆転するかもしれない。
もっとも、それが具体的にいつになるのかは分からないか。
これでエヴァがここにいれば、もっと分かりやすく魔法を教えたり……いや、エヴァの性格を考えると、親切に魔法を教えるといったような事をするとは思えない。
寧ろネギ辺りを連れて来る事が出来ればな。
そんな風に思っていると、トッドがここから逃げた方がいいといったような事を言っており、それにショットが同じアメリカ人の自分が作ったドラムロを信じて欲しいと言っている。
そう言えば、何気に召喚された地上人ってアメリカ人が多いよな。
マーベル、ショット、トッド。
まぁ、アメリカの国土の広さを考えれば、そうおかしな話ではないのだろうが。
そういう意味では、日本という国土の狭い国からよくショウが選ばれたと、そんな風に思わないでもない。
いやまぁ、主人公の可能性が高いんだから、当然なのかもしれないが。
そんな風に考えている間にもドラムロとガッターの戦いは続き……そして、最後はガッターの首をオーラソードが切断して、勝負が決まる。
そして、ドラムロのコックピットから出たバーンは、腰の鞘から長剣を引き抜くとそれを天に捧げ……
「この力、全てドレイク・ルフト様の為に!」
と、そう宣言するのだった。
アクセル・アルマー
LV:43
PP:1410
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1650