転生とらぶる   作:青竹(移住)

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2830話

「これで2つ、と」

 

 地上にある機械の館に、予備弾倉が残り少ないオーラショットの全弾を発射して破壊する。

 予想していた通り、ミの国にある機械の館は思ったよりも少なかった。

 その上、機械の館として建造はされているが、誰も使っていないような場所もある。……俺達が今破壊した場所のように。

 ミの国はやはりオーラマシンの技術はそこまで高くなく、その技術を持っている者も少ないといったところか。

 

『アクセル、これからどうするの? もう少し探していく?』

「いや、一旦戻ろう。予想外に機械の館を見つけるのは難しいし、オーラショットも弾切れだ。補給しておきたい。それに……ミの国の中で俺達の情報が広まるにしても、ある程度の時間が必要だろうし」

 

 バイストン・ウェルはファンタジー世界である以上、情報の伝達も遅い。

 いやまぁ、オーラマシンで素早く移動出来る以上、以前までと比べると間違いなく情報の伝達速度は早くなってはいるんだろうが。

 そんな訳で、今日ミの国で暴れた俺達の情報が伝わるには少し時間が掛かる筈だった。

 であれば、その時間をここで無意味にすごす訳にもいかない。

 一度ルフト領に戻って、オーラショットの弾倉を補給しておきたいと思うのは当然だった。

 

『そう? まぁ、そうした方がいいのかもしれないわね。このままだと無意味に時間がすぎていくだけになるでしょうし』

 

 マーベルも俺の意見には賛成なのか、素直に同意してくる。

 今の状況を思えば、少しでも多くの機械の館を潰しておいた方がいいのだが、その機械の館が見つからない以上はどうしようもない。

 そんな訳で、俺とマーベルは影のゲートを使って一度ルフト領に戻るのだった。

 

 

 

 

 

「これは、また……随分とさっぱりしたな」

 

 ラース・ワウに存在する、機械の館。

 そこに戻ってきたのだが、今朝とは違って機械の館の中身は随分さっぱりとしていた。

 何故このような事になったのかというのは、考えるまでもなく明らかだ。

 現在ドレイク軍は、ギブン領とエルフ城の双方に攻撃を行っているからだろう。

 勿論、ギブン領はともかくとして、エルフ城までは結構な距離がある。

 だからこそ、順番は違うが戦いは同時進行しているといったところか。

 

「アクセル? どうしたんだ、随分と戻ってくるのが早かったが」

 

 と、そんな声を掛けられる。

 声を発したのが誰なのかは、考えるまでもない。

 今まで何度も聞いてきた声なのだから。

 声のした方に視線を向けると、やはりと言うべきか、そこにいたのは俺が予想した通りの人物だった

 

「ゼット、ちょっとオーラショットの予備弾倉の補給にな」

「予備弾倉の? そんなに激しい戦闘になってるのか?」

 

 ゼットも、当然ながら俺とマーベルがミの国の中で陽動として暴れているのを知っている。

 だからこそ、こうして尋ねてきたのだろうが……

 

「いや、戦いそのものはまだあまり起きてないな。ただ、ミの国にある機械の館を破壊するとなると、どうしてもオーラショットを何発も使う必要があってな。ドラムロのフレアボムなら、燃える分だけ機械の館を破壊するのもいいんだろうが」

「……なるほどな。戦いはともかく、施設を破壊するという意味では、オーラショットはあまり向かないかもしれないな。分かった、すぐに予備弾倉を用意させる」

 

 そう言うと、ゼットは機械の館にいた技術者に素早く指示を出す。

 それから、ミの国での機械の館について聞いてくる。

 ゼットも技術者だけあって、やはり他国の機械の館がどういう風になってるのか気になるのだろう。

 その気持ちは俺にも分かったが……

 ミの国の機械の館は、少なくても俺とマーベルが破壊した機械の館はルフト領の機械の館とは違い、ろくに稼働している様子はなかった。

 

「新兵の訓練と、人もいない場所か。……一体、どうなってるんだ? ギブン家からオーラマシンについての情報が伝わってるのなら、もっと大々的に動いていてもおかしくはないと思うが」

「実際、あれだけ多くのダーナ・オシーを用意してきたんだ。それを考えれば、しっかりと動いているところはあると思うんだが。ドレイク軍の方ではその辺の情報は持ってないのか」

 

 そう尋ねるが、返ってきたのは首を横にふるという仕草だけだ。

 とはいえ、それも無理はない。

 そもそも、ドレイクはミの国がアの国やギブン家と協力関係にあるというのは、昨日まで知らなかったのだから。

 そうである以上、やはり俺がミの国にある機械の館のある場所を探す必要があるだろう。

 

「そうか。だとすれば、俺の方も色々と動く必要があるな。……ダーナ・オシーのある場所だけでも分かれば、そこに侵入してダーナ・オシーを確保したり出来るんだが」

 

 とはいえ、昨日の戦いでミの国が所有しているダーナ・オシーはかなり数が減った筈だ。

 であれば、ミの国としても機械の館に確保しておいたダーナ・オシーを、それぞれ出す必要があるだろう。

 

「そうなったら、こっちにダーナ・オシーを流してくれ。使い道はそこまでないんだが、それでも練習機としてはそれなりに使える」

「練習機か。けど、ドラムロとダーナ・オシーだと操縦感覚とか違うだろ?」

 

 ドラムロは重装甲の機体で、ダーナ・オシーは高機動型の機体だ。

 それを考えれば、もしダーナ・オシーでオーラバトラーの操縦を習っても、ドラムロを操縦したら意味はない。

 

「分かっている。だが、俺とショットが開発している機体は高機動型だからな。それが採用されるかどうかは分からないが、それでも練習機はあるに越したことはない」

「クの国のアルダムを買ったんじゃなかったの?」

 

 俺とゼットの会話を聞いていたマーベルが、そんな風に尋ねる。

 俺はビショットとの約束で特に金を払ったりもせず、アルダムを貰った。

 だが、ドレイクは他国が開発したオーラバトラーという事で、それがドレイク軍のオーラバトラーとどんな風に違うのかを研究すべく、ビショットから購入していた筈だ。

 高機動型のオーラバトラーの訓練機として使うのなら、それこそ性能がより高いアルダムの方がいいと判断するのは当然だろう。

 ダーナ・オシーは、ドラムロよりも性能の低いオーラバトラーだ。

 そうである以上、ダーナ・オシーを練習機として使い、その後でゼットやショットが開発している高機動型のオーラバトラーに乗った場合、性能が違いすぎて使いこなすのは難しいだろう。

 

「買ったが、アルダムは練習機とするには高価すぎる。ルフト領にも、金が余ってるって訳じゃないからな。ましてや、今の状況を考えると、壊してもいいような練習機というのは、何気に貴重だ」

 

 なるほど。考えてみれば、アルダムはクの国が初めて開発したオーラバトラーであると同時に、最新鋭機でもある。

 当然、ドレイクがアルダムを購入しようとしても相応の値段になるだろう。

 あるいは、ドラムロと交換といったような形で話を進める可能性もあるが、その辺は微妙なところだろう。

 ともあれ、高機動型オーラバトラーの練習機とするには、アルダムはあまりに高価すぎるのだ。

 それを思えば、性能が低くても一応分類的には高機動型のオーラバトラーで、何よりも敵から奪ってきた機体である以上、壊しても何の問題もないようなオーラバトラーというのは、ゼットにとって……いや、ドレイク軍にとってもありがたいのだろう。

 

「分かった。ただ、こっちも手間を掛けるんだ。大量にダーナ・オシーを確保したとしても、それを無料で渡すって訳にはいかないぞ?」

 

 機械の館を破壊するだけなら、それこそ上空からオーラショットを撃ち込むといったような真似をすれば、それでいい。

 だが、機械の館にあるダーナ・オシーを確保してくるとなると、機械の館を破壊する前に潜入して、ダーナ・オシーを盗んでから、機械の館を破壊するといった真似をしなければならない。

 

「その辺は、後でショットに頼む。ショットも練習機の重要性に関しては理解していたから、その辺でケチるといった真似はしないだろう。……ああ、そうそう、これはついでだが、アクセルの為のオーラバトルシップは、機械の館をそのまま移植するといったような形になるんだろう?」

「は? ああ、まぁ、そんな感じになるって話だけど」

 

 元々は、ドレイクのオーラバトルシップとして、幾つかのタイプが考えられていたらしい。

 そんな中で、最終的にドレイクが選んだのは総合能力に秀でているタイプ。

 そしてドレイクに却下された中には、防御力を重視した、それこそ機動要塞といったようなタイプもあった。

 ショットが俺に提案してきたのは、その防御力重視のオーラバトルシップの中に、そのまま機械の館を移植しないかという事だった。

 勿論、ナムワンを始めとしたオーラシップや、それの上位機種たるオーラバトルシップでも、格納庫では普通にオーラバトラーの修理をしたりといったような事は出来る。

 だが、機械の館をそのまま移植するとなると、当然だが修理の効率は上がるし、何より新しくオーラバトラーを製造するといったような真似も可能になるのだ。

 そういう意味では、本当の意味で機動要塞になるといったような感じか。

 

「なら、ミの国にあるオーラバトラーの生産ラインを奪ってくれば、その分だけアクセルのオーラバトルシップに用意される機械の館は充実するんじゃないか?」

「それは……けど、ミの国の機械の館の生産ラインは使えるのか?」

 

 正直なところ、ミの国にある機械の館はダーナ・オシーの製造に特化しているといったような感じがある。

 そんな中で、もしミの国のオーラバトラーの製造ラインを入手してきても、意味があるのかどうかといった感じがある。

 言うまでもなく、現在のドレイク軍の主力MSはドラムロだ。

 そんな中でダーナ・オシーの生産ラインを入手しても、それをそのまま使えるかどうか。

 いやまぁ、生産ラインである以上はダーナ・オシー専用の物であっても多少改良すればドラムロとかに流用出来る可能性はあるが……ただ、その生産ラインの精度がどういう物なのかというのがある。

 ルフト領の機械の館にある生産ラインの類は、地上人のゼットやショットがしっかり規格を合わせるようにといった感じで作っているので、信用出来る。

 クの国も、ドレイクとの取引でオーラバトラーの技術を入手し、あるいはルフト領の技術者を派遣して貰ったりして、しっかりと基礎を築いている。

 それに比べると、ギブン家は……一応ショットやゼットの下で働いていた技術者が亡命してるので、その辺の知識が全くない訳ではないのだろうが。

 ましてや、ミの国はそんなギブン家からの技術供与であると考えると……そこで使われている設備が使い物になるのかどうかは、疑問だろう。

 そう思ったが、どうせならダーナ・オシー専用の生産ラインを1つ用意しておくのも、そんなに悪い話じゃないのか?

 

「使えるかどうかは、分からん。だから、その辺を調べる意味でも1度生産ラインを奪ってきたらいいと思うんだがな」

「それはそうだろうけど、ダーナ・オシーとかならともかく生産ラインを奪ってくるといった真似は簡単じゃないぞ?」

 

 ダーナ・オシーの類なら、それこそ装甲に触れて空間倉庫に収納してしまえば、何とでもなる。

 だが、生産ラインとなると、一度機械の館から取り外して、それから空間倉庫に収納する必要が出て来るのだ。

 出来るか出来ないかとなると、勿論出来る。

 出来るんだが、かなり面倒なのは間違いのない事実だ。

 

「その辺はアクセルがどうにかしてくれ。まぁ、それに生産ラインの件はあくまでも可能ならだ。別になければないで、当初の予定通りにオーラバトルシップは建造されるだろうから、無理をする必要はないだろうが」

 

 そう告げるゼットの言葉に、取りあえず次の機械の館を見つけたら試してみてもいいかと思い直す。

 人がいれば面倒な事になるだろうが、ルフト領に戻ってくる前に破壊した機械の館のように、まだ建設したばかりで無人の機械の館に遭遇することがある可能性も否定は出来ない。

 というか、そうなるとあの機械の館を破壊してしまったのは失敗だったかもしれないな。今更の話だけど。

 

「ふーん。じゃあ、取りあえず次に機械の館に行ったら試してみる? アクセルなら手間かもしれないけど、不可能でもないんでしょう?」

 

 マーベルのその言葉に、俺は少し考えてから頷く。

 ゼットが言うには、なければないで問題なくオーラバトルシップは建造出来るらしいが、どうせならダーナ・オシーも生産出来るようにしておいて、機械の館の能力をより完全にしておいた方がいいだろうし。

 本当にダーナ・オシーを製造するのなら、恐獣の素材とかもダーナ・オシー用の物を揃える必要があるのだが。

 ドラムロの素材とかなら結構あるけど、ダーナ・オシーはギブン家の物だ。

 そうなると……その辺もミの国の機械の館から奪った方がいいかもしれないな。




アクセル・アルマー
LV:43
PP:1525
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.11
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1673

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