エルフ城……いや、ドレイクがこれからはドレイク城に名前を変える事にしたというから、ドレイク城と言うべきか。そのドレイク城での一連の出来事が終わると、俺はマーベルと共に今日は休む事になった。
本来ならミの国にフラオンの件を知らせたり、今はまだ派手に動くなといったような忠告をしに行こうかとも思ったのだが、ミの国に行ったからといってすぐに反乱軍と接触出来る訳ではない。
また、何よりも反乱軍の方でもピネガンを追い出した後でどのようにするのかといったような事が決まっていない以上、今は向こうに時間を与える方が先だと判断した。
そもそもの話、今日1日だけでミの国での騒動は多数起きすぎた。
その辺の情報をピネガンに整理させて、自分達がどんな状況なのかを自覚させる為にも、今は時間を与えた方がいい。
元々俺がミの国にちょっかいを掛けたのは、アの国の内乱にミの国が出て来ないようにする為だったんだが……まさか、エルフ城が1日で落ちるとはな。
ただし、エルフ城は落ちたがギブン領の方はまだ粘っているらしい。
フラオンを見捨ててもギブン領を守るといった判断をしただけの事はある。
とはいえ、フラオンという錦の御旗を失ったのは、ギブン家にしてみれば致命的だろう。
ギブン家の面々であれば、そのくらいは分かってもいいと思うんだが。
となると、ギブン家の面々もギブン領を見捨ててミの国に亡命したりするか?
だが、ギブン領にはギブン家にとっても多くの財産がある。
それは別に金銀宝石といったような物ではなく、ギブン領の各地に隠されている機械の館とか、そういうのだ。
ドレイクが俺への報酬の為に建造している、オーラバトルシップ。
これは普通のオーラシップとかと違って、機械の館がそのまま移植されるような感じだ。
だが、それはオーラバトルシップだからこそ可能な事であり、ギブン家の旗艦のゼラーナに機械の館を乗せるといった真似は、広さ的に難しいだろう。
であれば、ギブン家としてはギブン領に……いや、そうでもないか?
ギブン家の協力によって、ミの国は取りあえずダーナ・オシーを製造出来るだけの技術力は手に入れた。
そして俺が幾つか潰したが、機械の館はまだそれなりにあるだろう。
であれば、別にギブン家はギブン領に固執する必要はない。
だとすれば、ギブン家はそのままミの国に向かっても構わない訳か。
ただし、問題なのはそれだけではない。
ギブン家という風に評しているが、その戦力はギブン家だけではなくギブン領にいる兵士達が多数いる。
マーベルを確保出来なかった為か、それともバイストン・ウェルの人間でも操縦出来るダーナ・オシーというオーラバトラーを開発した為か、ギブン家は質より量といった感じになっていた。
ただし、質としてもショウがギブン家に亡命したので、それを思えば質もそれなりにあるという事になるのだが。
ともあれ、ギブン家の現在の戦力は兵士が乗るダーナ・オシー。
当然兵士には家族や恋人、友人といったような存在がいる訳で、ギブン家がギブン領を捨てるという事になれば、間違いなく脱落者が出るだろう。
「アクセル、いい?」
ドレイク城に用意された部屋にあるベッドで寝転がりながらそんな事を考えていると、ノックと共にそんな声が聞こえてくる。
それが誰の声なのかというのは、考えるまでもなく明らかだ。
「構わないぞ」
そう返事をすると、扉が開いてマーベルが部屋に入ってきた。
「どうしたんだ? 今日は忙しかったし、疲れてるんだから早く寝た方がいいんじゃないか?」
「少しアクセルと話をしたくて」
「話? 別にいいけど。……どうしたんだ?」
この部屋はドレイク城の中でもかなりランクの高い部屋だ。
実際には最高級の賓客が泊まる時に使う客室を使ってもいいと言われたのだが、見てみたところ、それはちょっと使うのを躊躇するような部屋で、使おうとは思えなかった。
具体的に言えば、フラオンの趣味が全開で発揮されたような……そんな部屋。
俺としては、そんな悪趣味な部屋に泊まりたいとは思わない。
別に長期間住む訳でもないのだから、取りあえず普通に寝起き出来るだけの設備があれば問題はなく、そんな訳でこの部屋を使っていたのだ。
そういう訳で、部屋の中にはベッド以外にも机や椅子といった物が用意されており、マーベルはその椅子に座る。
どこか憂鬱そうな表情をしているのを見て、何となく話の内容は理解出来た。
「新たな地上人の召喚の件か?」
謁見の間で、ドレイクが宣言した内容。
バーンやガラリア、ショット、ゼットといった腹心の部下達がいない場所であるにも関わらずそのような事を口にしたのは、謁見の間に残っていた連中に対して自分がそれだけの力を持っていると示したかったのだろう。
その気持ちは分かるし、俺としては納得も出来る。
それに、新たな地上人ということは最低でも聖戦士と名乗れるだけの実力を持っているのは間違いない。
であれば、上手くいけばこっちの味方に引き入れる事も出来るかもしれないのだ。
なら、俺としてはそれに反対するつもりはないが、マーベルは違う。
元々が優しい性格をしているだけに、地上人を召喚するということに賛成出来ないのだろう。
トッド達を召喚した時も、気が進まない様子ではあった。
だがそれでも、当時はマーベルという聖戦士は俺の仲間となっており、ショットやゼットが聖戦士用のダンバインを開発したものの、それを使える者はいなかった。
いやまぁ、ショットやゼットも地上人である以上、ダンバインに乗ろうと思えば乗れるんだろうけど。
ともあれ、前回の召喚はそうする必要性があった。
だが、今回のドレイクの召喚は特に意味はない。
いやまぁ、全く意味がないのかと言えばそんな事はないのだが。
まず第一に、召喚した地上人のうちショウがギブン領に亡命してしまった事。
召喚された3人のうち、ショウは聖戦士として一番高い能力を持っていた。
そんな人物が敵に亡命したのだから、当然の事だろう。
残りの2人のうち、トカマクはバイストン・ウェルに召喚されたのだから、潜在能力はあるのだろうが、今のところろくに活躍はしていない。
トッドはそれなりに活躍しているが、それでもやはりショウには劣る。
そう考えると、ドレイクが新たな地上人を呼ぶというのは納得は出来るのだ。
また、ドレイクがアの国を治める事になった件の象徴という意味でも、新たな地上人を召喚するというのは間違いないだろう。
「ええ。……正直なところ、わざわざここで新たに地上人を召喚する必要がある?」
「ドレイクにしてみれば、あるんだろうな」
マーベルが憂鬱そうなのは、バイストン・ウェルに召喚される時は有無を言わさず強制的に召喚されるからだろう。
これが例えば、召喚される前にそれに応じるかどうかといった事を選択出来るのなら、自分から望んで召喚されたのだからと、ここまでマーベルが忌避感を抱くような事はないのだろうが。
「それでも、召喚するというのは言ってみれば誘拐よ?」
「その表現はどうなんだ? いやまぁ、間違ってはいないけど」
実際、マーベルの言葉は決して間違ってはいないのだ。
相手の承諾もなしに強引に召喚するのだから、行為だけを見れば誘拐なのは間違いない。
実際にマーベルなんかはそんな感じだし。
トッドやトカマクなんかは、こっちで活躍すれば相応の報酬……カリフォルニアくらいの土地を貰えるという事で、寧ろ乗り気ではあったが。
ショウもどちらかと言えば自分は無理矢理こっちに連れてこられたといったような認識か。
「やっぱりマーベルもバイストン・ウェルに来た事に思うところはあるんだな」
「それはそうよ。地上界にいれば、人を殺すなんて事を知らなくてもよかったんだし。……でもまぁ、アクセルと出会えたのはそんなに悪い話じゃなかったかもしれないわね」
笑みと共にそう告げるマーベルを見ながら、取りあえず安堵はする。
今の状況を考えれば、それこそ最悪ドレイクに協力するのが許容出来ず、俺の下を離れてギブン家やクの国、ミの国に行くといったような事を言われるかもしれないと思ったからだ。
それは個人的にあまり面白くない。
純粋な戦力という点でもそうだが、それ以上にマーベルという女には、俺の側にいて欲しいのだ。
「ともあれ、今の俺達はドレイクに助言は出来るが、命令の類は出来ない。それは分かるだろう?」
「そうね。同盟者ですものね」
残念そうに言うマーベル。
とはいえ、実際には本当に強く俺が言えば、ドレイクはその言葉を聞き入れる可能性が高いのだが。
ドレイクが俺を同格の同盟者として扱っているのは、気配遮断や影のゲート、更にはオーラバトラーを使わず生身でも恐獣やオーラバトラーと戦えるだけの力を持っているからというのが大きい。
つまり、どうしても俺の要望を聞き入れないのなら、ドレイクとの同盟はここまでにすると言えば、ドレイクはその言葉に従うしかなかった。
そこで無理に自分の意思を通すような真似をした場合、俺は同盟を破棄して他の勢力に向かうといった選択肢を取る可能性が高いのだから。
とはいえ、他の勢力とはいっても、これまでの経験からギブン家やミの国は難しい。
最有力候補はクの国といったところか。
もしくは、ミの国と国交断絶しているラウの国とか?
いや、けど結局のところミの国の王妃はラウの国の国王の娘となると、こちらもまたこれまでの関係から難しいかもしれないが。
他には、アの国とは全く関係がないが、ナの国という大国もある。
ナの国は正真正銘の大国なので、オーラバトラーとかを持ち込めば歓迎されそうだな。
まぁ、今のところそんな予定はないので、将来的にそんな感じになったら考えておくという事で。
……出来れば一度、ラウの国とナの国には接触しておきたいんだけどな。
「同盟者だからこそ、ドレイクのやる事に強制は出来ない。勿論、それがどうしても許容出来ないような事だったりすれば、話は別だが」
「今回の地上人召喚は、アクセルにしてみれば問題はないと?」
「そうだな。率直に言えばそうなる。マーベルにとってはあまり許容出来ない事かもしないが、俺にとってはそこまでおかしな話ではない」
「……そう」
「それに、トッドやトカマクを見れば分かる通り、召喚された連中は別に不当に扱われている訳ではない。それどころか、聖戦士といったような扱いを受けている」
ショウのように最初に暴れるといったような真似をした場合は、若干扱いが悪くなるのはそうおかしな話ではないが。
「でも、それは前回召喚された人達がそんな2人だったからでしょう? もし今度召喚されてくる地上人が戦いを好まないような人達ならどうするの?」
召喚されるだけの才能はあるが、戦いを好まないか。
そういう者がいる可能性は否定出来ないんだよな。
実際、本人の才能と性格は必ずしも同じ方向を向いている訳ではない。
非常に好戦的であっても、戦いの才能が全くない奴……すぐに思いつくのは、ギアス世界で黒の騎士団の幹部にいた奴か? 自称ゼロの親友とかいう。
そういう奴もいるし、マーベルが言ってるように戦いに対して非常に高い才能を持っていても、本人の性格が優しすぎて戦いに向いてない奴もいるだろう。
こちらは、SEED世界でMSに乗ったばかりのキラか。
「そうだな。そういう奴がいても、実戦には出ないでオーラバトラーの運用試験をするとか、そういうのは出来ると思うから、ドレイクとしては無理に戦場に立たせるような真似はしないと思う。それでも、もしドレイクが無理強いをするようなら、俺が引き取る事にする。それでどうだ?」
正直なところ、俺の陣営もホワイトスターと繋がっている訳ではない以上、そこまで無理は出来ない。
しかし、バイストン・ウェルに召喚されるだけの能力を持つ地上人である以上、将来的には何らかの役割を果たせる可能性は十分にある。
キラだって、最終的にはSEED世界で屈指のパイロットになったのだから。
「そう、ね。……分かったわ。色々と思うところがない訳ではないけど、今はそれで納得しておくわね」
俺の説明で取りあえず納得したのか、マーベルはそう頷く。
そうしてどこかしんみりしたような、微妙な雰囲気になったのだが、それを嫌って口を開く。
「そう言えば、ギブン領の方はどうなってるのかしらね?」
「向こうか。正直なところ、エルフ城よりも向こうの方が厳しいだろうな」
エルフ城側の戦力は、昨日の戦いで半ば壊滅していた。
ましてや、昨日の今日でナムワンを使って移動速度を短縮しての奇襲という事もあり、フラオンが他の領主から戦力を集めるといったような事も出来ず、結果としてドレイク側が圧倒的に有利な戦だったのだ。
だからこそ、最終的にフラオンが降伏するといった感じになり、あっさりとエルフ城を占領出来た。
だが……ギブン領にはゼラーナ隊やショウがいる。
それを思えば、エルフ城よりもギブン領の方が厄介なのは間違いない。
だからこそ、ドレイクも主力とも呼ぶべき戦力はギブン領に向かわせたのだろうし。
そんな風に思いながら、俺はマーベルと会話を続けるのだった。
アクセル・アルマー
LV:43
PP:1525
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1673