転生とらぶる   作:青竹(移住)

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2856話

 全ての準備を整えると、俺達はギブン家の本陣……というか、最後の砦のような場所に向かう。

 ギブン家にしてみれば、既にギブン領の大半はドレイク軍によって支配されており、もう拠点として使える場所は多くはない。

 あるいはギブン家の館がまだ無事であれば、そこを拠点とするように出来たのかもしれないが……生憎と、ギブンの館は既にバーンによって燃やされている。

 もしかしたら、最初からこうなる事を見越して館を燃やしたのかもしれないが。

 ともあれ、館もない以上はどこに拠点を作ってるのかと思ったが……

 

「あれは砦……と表現してもいいのか?」

「多分、いいんじゃない? 簡易的な砦という表現の方が相応しいと思うけど」

 

 俺の言葉に、マーベルはそう言ってくる。

 ここにいるのは、俺とマーベルの2人だけだ。

 他の面々は少し離れた場所で待機している。

 何をしに来たのかと言えば、当然だがギブン家の拠点を見つける為のものだったのだが……そうして見つけたのは、マーベルが言うように簡易的な拠点という表現が正しいような場所だった。

 多分、ドレイクとぶつかるという事で前々から準備をしていた場所ではあるのだろうが、それでもきちんとした砦として完成させるには時間も予算も足りなかったといったころか。

 これがルフト家なら、オーラバトラーやオーラシップ、ドロといったオーラマシンを売った金によって、多数の収入がある。

 それらを砦の建設に回すといったような真似も出来たのだろうが……残念ながら、ギブン家にそんな余裕はない。

 フラオンに協力したり、ミの国にオーラバトラーの製造技術を渡したりといったような真似をしたのだから、ある程度の収入はあってもいいと思うんだが……いや、ミの国のピネガンはともかく、フラオンの場合は別にオーラバトラーの製造技術を渡したりはしていなかったみたいだし、そう思えば資金を手に入れるといったような真似は出来なくてもおかしくはない。

 フラオンの性格を考えれば、少し煽てるといいように踊ってくれそうな気もするが。

 ただ、煽てればそれだけ自分には価値があると思い込み、結果として贅沢三昧をするといったような事になると思う。

 そういう意味では、厄介な存在であるのは間違いない。

 

「ともあれ、あれはギブン家にとって文字通りの意味で最後の砦だ。出来ればここで倒しておきたいんだけどな。あるいは、ゼラーナやギブン家は逃がしてもいいから、ショウだけは確保するなり、倒すなりしておきたい。……今回の戦力でそれが出来るかどうかは難しいけど」

「でしょうね。バーンとかも連れてくればよかったんじゃない? いえ、バーンはともかく、ガラリアは一緒に来たそうにしていたわよ」

「だろうな」

 

 バーンはともかく、ガラリアはバストールという新型のオーラバトラーを入手し、それを実戦で試してみたいと思っていた。

 バストールは、高機動型として設計されたビランビーと比べても、更に高機動型の機体だ。

 その分、防御力が心配ではあるのだが……敵の攻撃は防ぐのではなく、回避するというのが前提となっている機体だ。

 ガラリアの性格的に、とても合っている機体だとは思わないのだが。

 まぁ、ガラリアにしてみれば、自分の恋人が開発した機体なので何の文句もないといったところなんだろうけど。

 そんな事を考えながら、砦と呼ぶには少し疑問が残る建物の様子を確認する。

 兵士達がそれなりの数がいるが、どの兵士達も顔色は明るい。

 主力がいない状況だったとはいえ、本陣に奇襲を仕掛け、それが成功したのだから、当然だろう。

 そう思って見ていたのだが……ふと、妙な事に気が付く。

 

「ゼラーナやナムワンに、大量に荷物を運び込んでないか?」

「え? そう? ちょっと私からは見えないけど」

 

 マーベルが戸惑ったように呟く。

 まぁ、砦との間には結構な距離があるので、幾ら聖戦士であっても、結局のところ普通の人間でしかないマーベルにはかなり小さく見えるのだろう。

 聖戦士なら、強いオーラ力で五感が強化されているとかなってもおかしくないと思うんだが。

 だが、残念ながら聖戦士にそういう力はないらしい。

 しかし、マーベルには見えなくても俺の目にはしっかりと見える。

 ギブン家が有しているゼラーナやナムワン。

 それらのオーラシップに対し、次々と荷物を運び入れている。

 最初はそれが補給物資か何かの類なのかとも思ったのだが、こうして見る限りだと、そうとは言い切れない。

 何しろ、ユニコンのような家畜や、家具の類も運び込んでいる者達がいるのだから。

 とてもではないが、それらがゼラーナやナムワンで使う補給物資の類とは思えない。

 だとすれば、考えられる可能性は少なくなった。

 

「なるほど。つまり、ギブン家はここで最後まで戦うつもりはない訳だ」

「え? じゃあ……自分の領地を捨てるという事?」

「だと思う」

「でも、兵士の家族とかがいるから、難しいといった話じゃなかったの?」

「だからだろうな。現在ゼラーナやナムワンに家財道具や家畜の類も運び込んでいる。つまり、このままギブン領で戦っていても勝ち目はないから、どこかに避難する事にしたといったところか」

 

 勿論、そのような状況でも全員を運ぶといったような真似は出来ない。

 だとすれば、最後までギブン家と運命を共にするといったことを考えた者達だけがゼラーナやナムワンに乗り込み、それ以外の者はどうにか占領してきたドレイク軍をやりすごすか、もしくはオーラシップには乗らないで別の方法でどこかに避難するといったところか。

 ドレイク軍の本陣を攻撃したのは、こっちの不意を突いて攻撃し、不利になっている自分達の士気を上げるといった目的もあったが、それと同等に……いや、それ以上にギブン領から脱出する為の時間稼ぎという一面があった訳だ。

 実際にバーンは最初反撃をするといったつもりは全くなかった。

 ジェリルが言ったからこそ、そういう事ならといった様子で許容したのだが……

 ジェリルのファインプレーだな。

 勿論、ジェリルはこの辺りについての全てを察していた訳ではないのだろうが。

 これは、あくまでも偶然の一致でしかない。

 

「逃げるとなると……やっぱり、ミの国?」

「だろうな」

 

 マーベルの言葉に俺はそう頷く。

 現在のギブン家が逃げられる場所となると、そう多くはない。

 フラオンがエルフ城でもう少し頑張っていれば、まだ話は違っていただろうが。

 そしてミの国に向かうと、そこにはフラオンがいる訳で……ミの国でまた内乱になりそうな気がするな。

 それはそれで、ドレイクにしては悪くない話ではあると思うんだが。

 

「どうするの? ギブン家が逃げ出そうとしているのなら、見逃すという選択肢もあるんじゃない?」

「その選択肢もあるが、今はギブン家の数を減らす方を優先させたいな」

 

 今まで何度もミの国に行って、その戦力だったり、機械の館なりを攻撃してきたのだ。

 ここでギブン家を完全な状況で逃がすといったような真似をした場合、その戦力は間違いなくミの国にとって大きな利益となる。

 ……まぁ、そこで敢えて深く考えれば、ミの国においてフラオンの自由になる戦力が増えるという事でもあり、そういう意味では一考の余地はあるのだが。

 それでも、ミの国を強化するという意味では、ドレイクにとって大きな負担となるのは間違いなかった。

 あるいは、実は俺達が知らないルートがどこかにあって、ミの国ではなくそちらに向かうといった選択肢も、ない訳ではない。

 とはいえ、やはりミの国が一番可能性が高いのだろうが。

 

「そう? じゃあ、戻りましょうか。……ちょっと予想外の展開になったわね」

「そうだな。まさか、これだけ大規模に逃げようとしているとは、思わなかった。……もっとも、こういう真似をするつもりだったからこそ、こっちの本陣を潰したんだろうが」

 

 そう言い、俺とマーベルは影のゲートでアレン達のいる場所に戻るのだった。

 

 

 

 

 

「へぇ。それはそれは……あたし達にとっちゃ、最高の展開じゃないかい?」

 

 ジェリルが好戦的な笑みを浮かべて、そう告げる。

 その気持ちも、分からないではない。

 何しろ、現在撤退の準備をしているという事は、向こうはゼラーナやナムワンを守る必要があり、本格的に戦うといった真似は出来ないのだ。

 だからこそ、オーラバトラー6機とパイロット6人でも十分な戦果を挙げられそうなのは間違いない。

 ジェリル達は、まだバイストン・ウェルにやってきたばかりだ。

 それだけに、当然だがまだ手柄の類は立てていない。

 もっとも、ジェリル達が召喚されたのは新しくアの国の国王になったドレイクの権威付けというのが理由だ。

 そういう意味では、召喚された時点で一定の役目を果たしたと言ってもいいのかもしれないが。

 だが、当然ジェリル達にしてみれば、自分の手でしっかりと手柄を挙げたいと思うだろう。

 それ以外にも、純粋にオーラバトラーに乗って敵と戦いたいといったような思いを抱いてるのもあるのだろうが。

 

「ジェリルは参加、と。アレンとフェイはどうだ?」

「勿論参加するに決まっているだろう」

 

 そう言ったのは、フェイ……ではなく、アレン。

 

「随分とやる気になったな」

「向こうが撤退の用意をしているのなら、それを守る必要が出て来る。なら、向こうの戦力は全力を出すような真似は出来ない筈だ。そういう意味では、今が絶好のチャンスなのは間違いない」

 

 そう告げるアレンは、言葉通りやる気に満ちていた。

 けど、分かってるのか? もしギブン家がゼラーナやナムワンといったオーラシップを守るとなると、向こうが迎撃に出してくる戦力は精鋭……恐らくショウやニーといった連中になるんだという事を。

 ましてや、ゼラーナやナムワンを守る為には様子見なんて事は一切せず、最初から全力で攻撃してくる筈だ。

 そういう意味では、ギブン家はピンチだが窮鼠猫を噛むといった感じで、全力のショウを相手にする訳だが。

 とはいえ、俺が守る以上はアレンが死ぬといったようなことはまずないだろうが。

 

「アレンも賛成、と。フェイは?」

「勿論参加するに決まってるだろ。マーベルにいいところを見せる必要もあるしな」

 

 そう言い、笑みを浮かべるフェイ。

 もしかして、マーベルを口説こうとしてるのか?

 そんなフェイに対し、微妙に面白くないものを感じる。

 ただ、その件に関しては俺が何かを言うような事ではないだろうし、何よりもマーベル本人がフェイに対しては特にこれといった感情を抱いていないのは間違いない。

 

「そう、頑張ってね。私もフェイが死なないように注意はするから」

 

 フェイに対してそう言うマーベル。

 自分が思っていた言葉と違ったからだろう。フェイは露骨に落ち込んだ様子を見せる。

 

「さて、そうなると出撃準備を始めるか。本来なら、今回の出撃はアレン達に実戦を経験して貰うというのと、可能ならショウと戦ってみるといったのがあるが……前者はともかく、ショウと戦う際には気をつけろよ。今の状況を考えると、かなり強いと思う」

 

 ゼラーナかナムワンには、多分リムルも乗ってるんだろうが……その辺は運だな。

 ドレイクとしては、当然取り戻して欲しいんだろうが。

 ただ、今の状況でリムルを連れていっても、またドレイクの下で騒ぐだけになりそうだし。

 ドレイク本人は、かなりリムルを可愛がってはいるんだけどな。

 

「ショウ・ザマか。……そいつを倒せば、ドレイクからは褒美を貰えるんだろう?」

 

 先程までとは完全に気分を切り替えたのだろう。

 アレンのその言葉に、俺は頷く。

 

「ああ、間違いなく褒美を貰えると思うぞ。具体的にそれがどんな褒美かは分からないが……相応の褒美を期待してもいい筈だ」

 

 ドレイクにとって、ショウという存在は一種の汚点に等しい。

 自分が戦力を求めて召喚し、実際に聖戦士としても高い実力を持つ人物。

 ドレイクにしてみれば、トッドやトカマクと比べても明らかにショウに対して期待していただろう。

 だが……そのショウは、リムルを連れてルフト領を出奔した。

 ドレイクにしてみれば、期待していただけに裏切られたといったようなものだし、ましてやリムルを奪われもしている。

 個人的には、ショウがリムルを連れていったのではなく、リムルがショウを連れていったという状況の方が正しいと思うんだが。

 ただ、それはあくまでも俺の認識であって、ドレイクにしてみれば違うのだろう。

 ドレイクはともかく、ルーザがリムルについて何を思っているのかは分からないが。

 ……そう言えば、噂だとリムルの家庭教師をしていたミュージィも立場が弱くなってるらしいな。

 リムルがああいう性格になったのは、家庭教師のミュージィが悪いからだという理屈で。

 ただ、ミュージィがリムルの家庭教師になったのは、ここ数年だという話だ。

 小さい頃から家庭教師をしていたのなら、その言葉にも納得出来たんだが……この状況でミュージィにせいにするとなると、それは誰かに責任を押し付けているようにしか思えないな。

 そんな風に考えながら、俺はサーバインに乗り込むのだった。




アクセル・アルマー
LV:43
PP:1540
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.11
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1676

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