「……俺が?」
ミの国の反乱軍と接触して行動を共にする件でトッドがその仕事を任されるといった話をすると、トッドにとってはかなり予想外だったのか、そんな驚きの声が漏れる。
「ああ。まだ正式には決まってないけど、多分後でドレイクから提案があると思う」
「俺にそんな真似をしろってのかよ。何で俺なんだ?」
「バーンはその性格から反乱軍とは上手くやれそうにないし、ガラリアはまだ療養中だ。他にも何人か候補はいるけど、その中ではやっぱりトッドが一番有力なのは間違いないんだよ」
「そうか? 他にもそういうのに向いてるのはいそうだけどな」
そう言うトッドの言葉を、否定はしない。
俺が知らないような奴でも優秀な軍人がいたとしてもおかしくはないのだから。
だが……それでも俺としては今回の件にはトッドが一番向いていると思ったのだ。
とはいえ、俺がトッドを推薦したからといって、トッドが絶対にそれを引き受けなければならない訳ではない。
「俺がやったのは、あくまでもドレイクにトッドを推薦するだけだ。ドレイクから打診があった時、それを受けるかどうかはトッド次第だな」
「俺次第……か」
「ああ。だが、この件を受けて上手く成功させれば、名実ともにトッドがドレイクの下にいる聖戦士の中ではトップの人物と認められることになると思うけどな」
その言葉は、トッドにとってもそれなり大きな衝撃を与えたのだろう。
トッドが俺の方を、本当か? といった視線で見ている。
その視線の中には、期待の色があった。
トッドにしてみれば、俺が持ってきた話の内容が事実であれば、それは非常に興味深いのだろう。
現在でも、トッドはオーラバトラーのパイロットとして、アレンよりも上の存在であると言ってもいい。
だが、それは明確にそうだとされた訳ではなく、何となくそんな風になっているといった感じでしかない。
そうである以上、トッドとしてはこれで名実ともに自分が聖戦士のトップ――あくまでもドレイクの部下限定だが――であると、そう示されるのは興味深いのだろう。
「そうか。……けど、こう言っちゃなんだが、俺はバイストン・ウェルについて、まだ詳しくないぜ?」
「だろうな」
トッドがバイストン・ウェルに来てから、まだ半年も経っていない。
その上、街中を見て回ったりといったような事はせず、基本的には城でオーラバトラーのパイロットとしての訓練を積んでいた。
聖戦士という事で、ドレイクの方でも気を遣って専用のメイドを用意したりもしていた。
部屋も、兵士とかは宿舎なら数人で1部屋使ってるのを、城に自分だけの部屋を用意して貰っている。
ぶっちゃけ、城の中で暮らしている分には食事も出るし、酒も貴族が飲むような上物が用意されている。
女に関しても、メイドはそういう役割もある。
そう考えれば、ここでわざわざ街中に出るといったような事をするつもりもない。
友人と話したい時は、トカマクもいる。
あるいは、俺の家に来て俺やマーベルと一緒に話しながら食事をするといったような事も珍しくない。
そう考えれば、トッドがバイストン・ウェルについて詳しくないというのは、そうおかしな話ではなかった。
ましてや、これから行くのはミの国だ。
アの国の常識が通じるかどうかというのは、また別の話だろう。
国が違えば、当然のように常識も違う。
いや、同じ国であっても、地方によっては常識が違うというのは、おかしくない。
日本においても、東北では茶碗蒸しには銀杏ではなく栗の甘露煮を入れるのが普通なのだが、東京でそのような事を言えば、え? 何それ!? といったようになるように。
まぁ、その件はともかくとして。
「ドレイクもその辺は当然理解しているだろうから、補佐役として誰かつけるだろうな」
「補佐役? なら、そいつが行けば、別に俺が行く必要はないんじゃないか?」
「結局のところ、差し向ける人物の格という点が大きいんだろうな。このバイストン・ウェルにおいて、聖戦士というのは伝説的な存在だ。その聖戦士が……それも聖戦士筆頭と目されているトッドが送られてくるということは、ドレイクが反乱軍を重視しているという事になる」
「それは……」
トッドは俺の言葉に驚いた様子を見せながらも、やがて納得する。
ドレイク軍にとって、聖戦士というのは非常に大きな意味を持つ。
だからこそ、ドレイクがアの国の国王となった時には自分の権威付けの為にアレン達3人の地上人を召喚したのだ。
……まぁ、そういう意味では、マーベルが始まりの聖戦士と呼ばれているように、最初の聖戦士はマーベルなんだが。
実際には、マーベルよりもショットやゼットが最初に召喚されていたので、あの2人にその気があれば、ショットやゼットが始まりの聖戦士と呼ばれていたのだろうが。
とはいえ、オーラマシンの類がなければ意味がない以上、ショットやゼットが聖戦士となるのは難しいだろうな。
「そんな訳で、お前がどう判断するのは分からないけど、俺としては引き受けた方がいいと思うぞ」
「そうだな。……出来ればそうしたいとは思うから、前向きに考えてみるよ」
この場合の前向きにというのは、本当の意味で前向きにという話だろう。
よくあるような、前向きに善処するよう努力する方向で検討するといったような意味ではない筈だ。
「ちなみに、もしトッドが引き受けない場合は、多分アレン辺りに話がいくと思うから、そのつもりでな」
「何っ!?」
その一言がトッドに与えた影響は大きい。
トッドは、元々自分よりも先にパイロットになったアレンに対して、コンプレックスがある。
それでも今は自分の方が聖戦士として上だという事で、その辺についても気にしなくなってはいたのだが……もしここでトッドの代わりにアレンが今回の件に出るとなれば、ミの国ではアレンが聖戦士の代表という認識になってもおかしくはない。
トッドもそれが分かってるからこそ、俺の言葉に不満を覚えたのだろう。
「当然だろう? トッドが行かないとなると、他に送れる人員は限られてくるし」
「トカマクがいるだろ!? あいつだって、俺と一緒にバイストン・ウェルに来たんだ。今回の件で出向く資格はある筈だ!」
「トカマクは……単純に実力不足だな」
今はドラムロに乗っていて、専用のオーラランチャーの類を作って貰ったりしてカスタム化し、完全に後衛からの援護に特化している形になってはいるが、聖戦士というイメージに合うかどうかというのは大きな問題がある。
また、散々ダンバインを破壊してきたという印象の悪さも影響しているのは間違いないだろう。
あくまでも、トカマクは誰かの援護をするという事で有利に戦える能力の持ち主で、自分だけとなるとどうしても他の聖戦士に比べて実力的に劣ってしまう。
この辺は、もうどうしようもない。
実際、1対1で新しく召喚されたアレン達と戦っても、勝てないのだから。
ただし、後方からの援護射撃に特化しているというだけあって、1対1では勝ち目がないが、2対2での戦いとなると、大抵はトカマクのいる方が勝つのだが。
そういう意味で、あくまでもトカマクは誰かと組んで戦えば強いが、1人では実力不足だと、そう認識されたのだろう。
それに比べると、アレンは聖戦士としてのセンスは高く、それでいて人を指揮するのにもなれている。
その辺の事情を考えると、トッドが駄目ならアレンというのはそこまでおかしな選択肢ではない。
とはいえ、それはあくまでも俺がそうではないかと思ってるだけで、もしかしたらドレイクにはもっと別の選択肢があるという可能性も否定は出来なかったが。
「どうするのかは、その辺を検討した上で考えた方がいいと思うぞ」
「……やる」
アレン名前を出すと、あっさりそう告げるトッド。
これは少し、チョロくないか?
いやまぁ、それだけトッドにとってアレンは思うところのある相手なんだろうけど。
「そうか。トッドがそう言うのなら、俺からは特に何もない。頑張れよ。……ただ、反乱軍に協力するという事は、当然だが他の勢力と戦うだろう。ピネガンの正規軍はダーナ・オシーしか戦力がないし、パイロットの能力も低いから問題はないが、フラオンの所にはギブン家がいる」
「ゼラーナ隊……いや、ショウか」
苦々しい表情でトッドが呟く。
トッドにしてみれば、ショウはアレンとは別の意味で自分の前に立ち塞がる壁といったところだろう。
何だかんだと、結局トッドはショウに勝つ事が出来ていないのだから。
それでも何度かは引き分けといった感じになった辺り、トッドは褒められてしかるべきだろう。
「ああ。ショウのダンバインと戦うとなると……こう言ってはなんだが、トッドだけでは勝ち目がないだろ?」
「ふん」
自分だけではショウに勝ち目がないと言われ、面白くなさそうな表情を浮かべるトッド。
それでも現状では自分よりもショウの方が腕は上だと認められる辺り、成長しているという事なのだろう。
「当然だが、反乱軍の連中は戦力として数えるのは無理だ。そもそも、ピネガンの正規軍を相手にしても、不利だろうし」
「だろうな。それに、数も違うんだろ?」
「ああ」
現在判明している限り、純粋にオーラバトラーの数という点で一番多いのは正規軍。
それに反乱軍、フラオン軍といった具合に続く。
本来ならフラオン軍はもっと数が多くてもおかしくはなかったのだが、ギブン家が逃げ出す直前に俺達が襲撃して、それで結構な数を撃破されたしな。
これで戦場がギブン領であれば、ギブン領にある機械の館からダーナ・オシーを補充する事も出来たのだろうが、ミの国にいる今の状況では当然そんな真似は出来ない。
いやまぁ、もしかしたら機械の館を襲って確保しているといった可能性もあるが。
それでも正規軍には劣ってしまうだろう。
反乱軍の方は、まだミの国が地元だから色々な手段を使ってダーナ・オシーを確保するような真似も出来る。
特に大きいのは、反乱軍の主要メンバーが商人達だという事だろう。
この商人達は、以前ラウの国と取引をしていた商人達なのだが、ピネガンがフォイゾンの娘と駆け落ちをしたということで国交断絶となり、それによって被害を受けた者達だ。
当然の話だが、バイストン・ウェルにおいて他国と商取引を出来るというのは、その辺の商人に出来る事ではない。
つまり、ミの国の中でも一定以上の商売をやっている者達だ。
そのような者達だけに、裏で手を回してミの国の内部で製造されているダーナ・オシーを入手するというのは、そう難しい話ではない。
あるいは、機械の館で働いている者を買収してダーナ・オシーを入手してくるといった可能性も否定は出来ない。
ともあれ、正規軍は反乱軍よりも所有しているオーラバトラーの数が多い。
そしてフラオン軍は、ショウやゼラーナ隊がいるので、所有しているオーラバトラーの数は3勢力で最も少ないが、ショウという聖戦士がいる。
そう考えると、反乱軍は数でも質でも中途半端なんだよな。
質という点ではトッドが入るので多少は上昇するだろうが、それでもドレイク軍と戦いを続けてきたギブン家と比べると、どうしても一歩劣る。
その辺りについての事情を説明すると、トッドは微妙な表情を浮かべる。
トッドにしてみれば、反乱軍の状況が決してよくないと、そう思えるのだろう。
それは間違いなく事実である以上、俺としても特に何かを言うような真似は出来ない。
「で、俺が反乱軍に協力するのはいいけど、まさか俺とビランビーだけでって訳じゃないだろ?」
「それについては、ドレイクが考えてるだろ。ただ、トッドを……というか、ビランビーを出すとなると、アの国が反乱軍に協力するというのを、明確にする事になると思う」
ビランビーは、ダンバインの後継機で最新鋭のオーラバトラーだ。
そんな機体だけに、まだ使っているところは本当に少数となる。
それこそ、俺の知ってる限りではドレイク軍とクの国くらいしかない。
もしかしたら、どこかがビランビーを購入している可能性もあるが。
ビランビーは間違いなく現在最高性能のオーラバトラーの1つだ。
そうである以上、ドレイクと取引をしている相手がいれば、ビランビーを欲していてもおかしくはない。
……もっとも、ビランビーは最新鋭オーラバトラーだけに非常に高額になるだろう。
であれば、購入出来る者は限られてしまうだろうが。
バストールは、正直どうだろうな。
ガラリアの一件があったから、そのままで売るといった事はないと思うが。
もし売ってしまったら、場合によってはバイストン・ウェル中で地上に転移する者が続出する事態になるかも?
いや、ないな。
結局ガラリアが地上に転移出来たのは、ショウという強力なオーラ力を持った聖戦士がいたからこそだ。
そういう意味では、バストールを売っても問題はないのか?
まぁ、それでももし売るとすれば、ゼットが独自に開発したオーラ増幅器ではなく、ビランビーで使われているオーラ増幅器を搭載した機体になるだろうが。
そう言えば、ゼットからバストールのオーラ増幅器を用意して貰って実験するって話があったな。
あれもそろそろの筈だが……さて、どうなる事やら。
アクセル・アルマー
LV:43
PP:1550
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1678