「へぇ、そんなに活躍してるのか?」
「ああ。もっとも、ピネガン王の正規軍は、正規軍って名前はかなり立派だけど、実際にはそこまで強くないからな。……その分、反乱軍の方も弱いけど」
俺の言葉に、トッドは若干得意げにしながらそう告げる。
ミの国にある、以前反乱軍に接触した酒場。
その酒場で、現在俺はマーベルと共にトッドの話を聞いていた。
今回は特に何か仕事があってきた訳ではなく、今日は特にアの国で仕事らしい仕事もなかったので、マーベルと共にミの国で反乱軍として活動しているトッドの様子を見にきたのだ。
トッドが反乱軍と行動をするようになってから、既に10日程。
その間に、既に正規軍との戦いを数度経験していて、トッドのビランビーはかなりの戦果を挙げたらしい。
ドレイク軍の最新鋭機を、そんなに堂々と見せびらかしていいのか? と思わないでもなかったが、その辺はどうとでもなるらしい。
なら、いっそもっと大々的にドレイク軍を送り込むといったような手段を使ってもいいような気がしないでもないが……まぁ、ドレイクはドレイクで色々と考えがあるという事なんだろう。
実際に、今この状況でそれなりに上手くいってる以上、無理に変える必要はないだろうし。
「フラオン軍の方はどうなってるの? 向こうは、ギブン家もいるから、厄介なんじゃない?」
スープを口に運びながら尋ねるマーベルに、トッドは頷く。
「何度かぶつかったが、それはギブン家であってもゼラーナ隊ではなかったな。まぁ、純粋な戦力だと、オーラバトラーやショウがいるギブン家は一番高いのかもしれないが継戦能力という点では弱いらしい」
「だろうな。向こうにしてみれば、ここはあくまでも自分の国ではなくで外国といった扱いだし」
「それに、アクセルが今まで幾つも機械の館を破壊しているのも、影響してるんじゃない? 本来ならフラオン軍がミの国の機械の館を奪おうとしていたのに、その機械の館がないようだと……ねぇ?」
マーベルの言葉に、それもそうかと納得する。
俺はこれまで幾つもの機械の館を襲撃し、それを破壊したり、機械の館の内部にあったオーラバトラーの部品を作る機械を奪ったりといった真似をしてきた。
……ミの国にこれだけ多数の機械の館が用意されていたのは、正直なところ意外としかいいようがなかったが。それでも結構な数の機械の館が使いものにならなくなっている筈だ。
そして残っている機械の館に関しては、それこそ正規軍と反乱軍がしっかりと守っているのだろう。
ゼラーナ隊の戦力があれば、その程度の戦力はどうとでもなりそうではあるのだが……まぁ、ゼラーナ隊もゼラーナ隊で、色々とやるべき事があるといったところか。
それに機械の館を奪っても、恐獣の素材がなければ意味はないし。
ミの国に来たフラオン軍が、どうやって恐獣の素材を集めるかも問題だろう。
アの国にいた時は、恐獣の素材を売っているリの国と隣接していたので、どうとでもなったのだろうが。
ミの国に来てしまった以上、リの国ともそう簡単に取引は出来ない。
そうなると、最悪自分達で恐獣を倒して素材とするとか?
まぁ、可能性としては、ない訳でもないのか?
ミの国は小国ではあるが、恐獣が相応に棲息している。
ナムワンとかに多少なりともオーラバトラーを製造する為の機械とかは積み込んでいるだろうし。
「それで、アの国の方ではどんな具合だ?」
トッドのその言葉に、最近のアの国の様子を思い浮かべる。
「地固めの方もそろそろ終わりに近いし、ミの国に侵攻する為の準備もかなり整ってきてる。恐らくは、そう遠くないうちに正式にミの国に攻め込むだろうな。……そうなった時、ピネガンとフラオンがそれぞれどう反応するかだな」
現状では内乱が起こっており、フラオンとピネガンは双方共に敵だと認識している。
しかし、ドレイク率いるアの国が攻めてくるといったような事になれば、敵の敵は味方といった事で、再びフラオンとピネガンが手を組むといったような事になってもおかしくはない。
まぁ、今まで戦っていた者達同士で戦って、それで上手い具合に連携が出来るかどうかというのは、微妙なところだが。
「反乱軍の方でも、その辺りで動いてみるよ。もっとも、俺が出来るのはあくまでも反乱軍に対する協力で、反乱軍がどう動くのかを決めるのは上の連中だけどな」
そう言うトッドだったが、実際にはトッドの存在感というのは大きい。
ドレイクという、隣国の国王の命を受けてやって来たというのもあるが、やはりビランビーという、ダーナ・オシーとは比べものにならないくらいに高性能なオーラバトラーを操縦し、しかもそれを使いこなしているのだ。
そして正規軍やフラオン軍を相手に圧倒的な実力を見せつけているとなれば、現場で戦っている兵士達からも、多くの信頼を寄せられるのはおかしな話ではない。
まぁ、そうやって目立てば当然のようにフラオン軍からは、トッドに対抗出来るだけの実力の持ち主……具体的にはゼラーナ隊やショウといった連中が出て来る事になるのだろうが。
そうなればそうなったで、トッドに対処するのは難しくなる。
いや、ゼラーナ隊だけであればどうとでもなるだろうが、そこにショウが入ってくると、トッドでも対処するのは難しいだろう。
「フラオン軍のゼラーナ隊とは戦闘になってないのか?」
「ああ、今のところはな。……幸いって言い方もどうかと思うが、聞いた話だとゼラーナ隊は戦場に出て来ていないらしい」
「は? 何でだ?」
フラオン軍にとって、ゼラーナ隊というのは切り札と呼ぶに相応しい。
だというのに、何故そのゼラーナ隊を戦いに出さない?
「さぁ? その辺の事情は俺にも分からねえな。だが、少なくても反乱軍との戦いでゼラーナ隊が出て来ていないってのは事実らしい」
「正規軍の方は?」
「さあな。そこまでの情報はこっちにも入ってきてねえよ。もしかしたら、反乱軍は放っておいて、先に正規軍の方をどうにかしようとしているのかもしれねし」
若干面白くなさそうな様子のトッド。
自分が相手にされていないというように考えれば、そんな風に思ってもおかしくはないか。
「正規軍の方を先にか。まぁ、量はともかく質ではショウやトッドがいない分、正規軍が一番劣るしな」
総力戦という事になれば、ショウやトッドがいても敵の全員分を対処するのは難しいだろう。
だが、遭遇戦のような小規模での戦いとなれば、聖戦士を有しているフラオン軍の方が正規軍よりも有利なのは間違いない。
とはいえ、今はそのゼラーナ隊が出撃していないというのだから、こんな事は考えても意味はないのだが。
「それなら……」
そうして話を続けようとしたが、俺はそれを途中で止める。
え? と、一体何があったのかといった様子でマーベルとトッドがこちらに視線を向けてくるが、2人が口を開くよりも前に俺が口を開く。
「どうやら、脱出か迎撃の準備をした方がよさそうだな」
その一言で、マーベルとトッドは俺が何を言いたいのか理解したのだろう。
視線を窓から外に向け……やがて、マーベルが口を開く。
「どっちが来たか分かる?」
「さて、そこまではどうとも言えないな。ただ、多分フラオン軍じゃないかとは思うけど」
そう言いながら、俺達3人は立ち上がり、建物の外に向かう。
そして外に出ると……そこでは、少し離れた場所からこちらに向かってくる3機のダーナ・オシーの姿があった。
俺がどこの勢力が村にやって来たのだと断言出来なかった最大の理由が、これだ。
反乱軍、正規軍、フラオン軍という、この内乱に参加している全ての勢力で主力として使われているオーラバトラーが、ダーナ・オシーなのだ。
これがドラムロやビランビー、バストールといったようなオーラバトラーであれば、オーラコンバータの音などから機種を特定出来たりもするのだが。
それでもフラオン軍の可能性が高いと判断したのは、単純な消去法でしかない。
まず反乱軍は、この村が反乱軍にとっても拠点の1つであるという事を知っている以上、わざわざダーナ・オシーに乗って村にやって来るといったような真似はしないだろう。
そうなると、残るのは正規軍かフラオン軍のどちらかな訳だが……正規軍にしてみれば、この村は特に何の特徴もない普通の村でしかない。
少なくても、わざわざダーナ・オシーで来る必要はないだろう。
それも3機も。
まぁ、フラオン軍もそういう意味では同じなのだが、フラオン軍と正規軍では決定的に違う場所がある。
それが、補給をどうするかという事だ。
当然の話だが、食料の類はどんな者でも必要となる。
正規軍はこの国の王であるピネガンが率いているだけに、補給に関しても心配はない。
反乱軍もまた、ミの国の商人達で結成しただけに、食料の類を買ったり出来る。
だが、フラオン軍はどうか。
この国の人間ではないだけに、フラオン軍が食料を集めるとなると、自分達でどうにかする必要がある。
フラオンの性格を考えれば、今も贅沢な暮らしをしている可能性が高いだろうし。
つまり、フラオン軍が食料を始めとした生活物資を入手するとなると、当然だがどこからか入手する必要がある。
ギブン家の面々はドレイクの持つ悪しきオーラ力を危険視していたって話だから、フラオンがそんな事をしようとしていれば、止めてもおかしくはないと思うんだが。
まさか、ギブン家が略奪に協力していたりしないよな?
あるいは、ギブン家には知られないようにしているとか?
いや、だがフラオンは宰相1人だけを伴ってアの国を出て行ったんだから、戦力は当然ながらギブン家の者になると思うんだが。
とはいえ、脱出した時のことを思えば、ギブン家もかなり急いで脱出の準備をしていた。
そんな中には、当然だがギブン家に本当の意味で忠誠を誓っているといったような者もそれなりにいるだろう。
それでも、今のフラオンに擦り寄る必要があるとは思えないが。
もしくは単純にフラオンの命令ということにしておけば略奪が出来るからとか、そういう理由か?
フラオンについて考えていると、やがてダーナ・オシーは村の中央に強引に着地する。
『フラオン王からの命令だ! この村にある食料と金目の物は全て差し出せ!』
居丈高に命令するその様子は、この手の仕事に慣れているように思える。
多分、今までにも同じような事をやってきたんだろうな。
「で、どうするんだ?」
いきなり村の中にダーナ・オシーが現れて動揺している村人達を眺めつつ、俺はトッドにそう尋ねる。
あのダーナ・オシー3機を倒すことは、そう難しくはない。
だが、それでも反乱軍に協力しているのは、あくまでもトッドであって俺ではない。
そうである以上、ここで俺が手を出すといったような真似は、出来ればしない方がよかった。
勿論、トッドに頼まれれば話は別だが。
しかし、トッドは既に以前俺に借りを作っている。
そうである以上、ここで更に借りを作るというのは躊躇してしまうだろう。
「どうするって言われてもな……」
俺の言葉に、トッドは乱暴に頭を掻く。
ここで自分がどういう行動に出ればいいのか、迷っているのだろう。
とはいえ、反乱軍に協力しているとはいえ、今はこの村がトッドの住んでいる場所だ。
また、村の住人は全員とまではいかないが、多くの者が反乱軍に協力している。
そうである以上、トッドにしてみれば簡単に見逃すといったような真似は出来ないだろう。
そうなると、やはり今回の一件ではトッドが俺から更に借りを作って、それでダーナ・オシーを倒して貰うというのが、最善の手段なのは間違いない。
後は、本人がそれを許容出来るかどうかだな。
「あ……」
トッドが迷っている間にも事態が進み、マーベルの口から小さな声が漏れる。
マーベルが見ている方に視線を向けると、そこでは村の代表者……いわゆる、村長がダーナ・オシーの前に出て来たところだった。
「不味いな」
村長の表情には、死を覚悟した色がある。
この状況でそのような表情を浮かべているという事は、それが何を意味しているのか、予想するのは難しくない。
つまり、村長はフラオンの指示を受けて……もしくは、フラオンの名前を使って勝手に略奪しているだけなのかもしれないが、ともあれ、あの連中の要求を受け入れるつもりはないのだろう。
あそこまで堂々とあのような要求をしてくる連中だ。
そんな相手の要求を断れば、どうなるか。
それは考えるまでもなく、明らかだろう。
「っ!? 爺さん、何をしてるんだよ!」
そんな村長の姿を見たトッドが、驚愕の声で叫ぶ。
トッドにしてみれば、まさかここで村長が出て来るとは思わなかったのだろう。
いや、それ以前に今の様子から考えると、村長はトッドの知り合いらしい。
「アクセル、頼む! 村長を助けてくれ!」
その言葉に頷き、空間倉庫からゲイ・ボルクを取り出し……そして、投擲する。
空中を斬り裂きながら真っ直ぐ飛んでいった深紅の槍は、ダーナ・オシー1機のコックピットを貫くのだった。
アクセル・アルマー
LV:43
PP:1550
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1678