転生とらぶる   作:青竹(移住)

3042 / 4304
2911話

 ナムワンの映像モニタに表示される、一つの山。

 その山を見ながら、俺はキブツに尋ねる。

 

「あそこにガロウ・ランの山賊がいるのか?」

「はい。情報によるとそのようになっています。ただ、詳細な場所までは残念ながら見つける事が出来ませんでしたが」

「その辺はこれから見つけるんだろ。……あのくらいの山となると、恐獣とかもいそうだから、あまり大規模に動くような真似は出来ないだろうけどな」

「そちらもそちらで、倒すことが出来れば売れますので」

 

 キブツの言葉に頷く。

 俺がナムワンに乗ってこの山までやって来たのは、キブツ率いるキッス家の練度がどれくらいのものになっているのかを確認する為だ。

 こうして俺が乗っているナムワンは、ショットやゼット、それ以外にも技術者の仕事によって、かなり自動化が進んでいる。

 それだけに、普通のナムワンとは操縦性が違う。

 以前からキッス家はそれなりにナムワンを使っていたのだが、その様子を見る為にこうして今日は一緒に行動をしている訳だ。

 キッス家の能力については、心配していない。

 キッス家は元々ギブン家に従って、何度となくドレイク軍に攻撃をしていたりしたし。

 そういう意味では心配していなかったのだが、それでもこのナムワンは普通のナムワンと違う以上、操縦に慣れるのに時間が掛かるのは仕方がない。

 

「自信があるようだな。安心して見られることを期待してるよ」

 

 その言葉にキブツは頭を下げ、他の面々に命令していく。

 こうして見る限りでは、確かに皆がかなり機敏に動いていて、キブツが自信を持っているのも納得出来る。

 マーベルを連れてきてもよかったかもしれないな。

 マーベルは来るかどうか迷っていたのだが、ガラリアや聖戦士の面々と模擬戦をやるという事で、結局はそちらに行く事にしたのだ。

 そんな風に考えていると、ナムワンは山に向かって進んでいく。

 当然の話だが、そんな場所になるとガロウ・ランや恐獣といった相手も空を飛ぶナムワンの存在に気が付く。

 恐獣にしてみれば、空を飛ぶナムワンは恐獣にでも見えるのか、逃げるのか、その場に隠れるのかの行動に分かれる。

 ……あるいは、空を飛べる恐獣でもいれば、ナムワンに向かって攻撃をしてきた可能性もあったのだが、今のところそのような様子はない。

 この山はそれなりに大きいし、山の麓に広がっている森もまた、結構な広さがある。

 その辺の事情を考えれば、空を飛べる恐獣がいてもおかしくはないんだが。

 

「アクセル王、では出撃してガロウ・ランのアジトを探させます」

「分かった。無理はするなよ」

 

 俺の言葉に頷くと、キブツは部下に指示を出す。

 出撃するのは、ダーナ・オシーが6機にドロが3機。

 本来なら、ナムワンが搭載出来るオーラバトラーは6機が限界だ。

 だが、それはあくまでも整備をしたりといったようにしっかりと運用出来るとして考えた場合の話であり、整備とかを考えない短時間の運用であれば、艦首部の装甲板に露天……雨ざらしの状態ではあるが、搭載する事も出来る。

 ドロに乗って出撃した面々は、そちらからの行動だった。

 ラウの国に向かって侵攻する時ならともかく、ガロウ・ランを相手にする場合はそれでも問題ないと判断したのだろう。

 実際、ガロウ・ランの場合は基本的に地上を移動するだけで、空を飛ぶ相手を攻撃するには弓矢の類を使うくらいしか攻撃方法はない。

 しかし、当然の話だが矢の一本や二本が命中したくらいでオーラバトラーは勿論、ドロも撃破出来る筈がなかった。

 ……ああ、でも矢を真っ直ぐではなく山なりに放って、それによってドロの上に乗って指示を出している相手を殺すといった手段は出来るかもしれないな。

 ドロは内部に乗って操縦する事が出来るのと同時に、その上の部分に乗って見晴らしのいい場所から指示を出したりといったような真似も出来る。

 だが、上の部分は特に屋根の類もある訳ではなく、手摺りが設けられている程度だ。

 山なりに弓を放たれるといったような真似をすれば、それを防ぐのは本人がやらなければならない。

 そういう意味では、それなりに実力のある者でなければ危険なんだが……キッス家の場合、その辺の心配はあまりいらない。

 何しろ、キッス家はギブン家に従ってドレイク軍に対して何度となく奇襲攻撃を行ってきたのだから。

 ドレイク軍とガロウ・ラン……どちらの方が強敵かと考えてみた場合、それは明らかにドレイク軍だろう。

 だからといって、油断をしても大丈夫といったような相手ではないのだが。

 何かあったら手を貸すか。

 そんな風に思いつつも、恐らく手を貸す必要がないというのは間違いなかった。

 キブツ達にしてみれば、自分達の技量を俺に見せる絶好の機会だ。

 そんなキブツだけに、ここで自分達の動きをミスしたりといったような真似は、まずしないだろう。

 ……ああ、でもやる気を見せすぎて失敗するといった可能性は否定出来ないな。

 そんな風に思いつつ、俺は出撃していくドロやダーナ・オシーの姿を見送る。

 

「ダーナ・オシーはともかく、ドロの扱いにも結構慣れてるな」

 

 それが少し意外だった。

 フラオン軍においては、ドレイクの開発したオーラマシンを使いたくなかったのか、もしくはドロを集めるような余裕がなかったのか……はたまた、フラオン軍というか、ギブン家の軍の運用にドロは必要なかったのか。

 その辺りの理由は俺にも分からなかったが、ともあれドロを使うといったような事はなかった。

 つまり、ダーナ・オシーはともかく、ドロに関しては俺に降伏した後で使うようになった筈だ。

 にも関わらず、こうしてスムーズに発進出来て問題なく運用しているというのは、キッス家の面々が有能であるという事を意味していた。

 この場合は才能の有無だけではなく、きちんと訓練をしているというのも含まれる。

 幾ら才能があったとしても、訓練をしないような奴はいざという時に信用出来ないしな。

 

「はい。問題なく運用出来るように、しっかり訓練しましたので」

「……今更だけど、俺が渡したのはダーナ・オシーだけだったよな? ドロはどこから手に入れた?」

「ゼット・ライトから貰いました」

「あー……なるほど」

 

 ゼットが渡したというのであれば、その理由も納得出来た。

 これがショットなら、何か裏があるのではないかと、そんな風に思ってしまうのだが。

 ゼットの場合は、ガラリアに関する感謝の気持ちが大きいのだろう。

 あの2人の関係が、現在具体的にどのようなものなのかは分からない。

 だが、それでもお互いに好意を抱いているのは間違いない。

 そんなガラリアが、俺の教えた魔法のおかげで地上からバイストン・ウェルまで無事に帰ってくる事が出来たのだ。

 それと、バストールも当初ゼットが想定でしたよりも高い防御力が発揮出来たのは、俺やマーベルの獲ってきた恐獣の素材だったり、ゲドやダンバインにマーベルが乗って得られたデータだったりが重要だったらしいし。

 ともあれ、そんな訳でゼットは俺に対して感謝の気持ちを抱いているのは間違いなかった。

 だが、本人の性格的に俺に直接礼を言うのは照れ臭かったのか、それでキッス達にドロを渡したのだろう。

 ドレイク軍ではオーラバトラーが量産されて主力兵器となっているが、ドロの出番もなくなった訳ではない。

 オーラ増幅器が開発されて、大抵のバイストン・ウェルの人間であってもオーラバトラーに乗れるようになった。

 しかし、それでも全員という訳ではない。

 オーラ力が少なく、オーラ増幅器を使ってもオーラバトラーに乗れない者は一定数いる。

 そのような者達の選べる道は4つある。

 1つめが、オーラマシンに乗るのを諦めて補給部隊や騎兵、歩兵……といったような道に進む者。

 2つめが、そもそもドレイク軍で働くのを諦め、軍を辞める者。

3つめが、オーラシップの運用に関わる者。

 ただし、オーラシップの運用に関わる者は相応の専門知識が必要とされるので、採用されるのは難しいが。

 そして最後の4つめが、自分1人のオーラ力で足りないのなら、複数人のオーラ力を使って動かせばいいという考えから、そのような機構のあるドロに乗る者。

 ドレイクとしては、戦力は幾らあってもいいので、特にドロに乗るのを推薦していた。

 オーラバトラーであれば、ドロは雑魚と言ってもいい相手だ。

 だが、ガロウ・ランを始めとして空を飛べないような相手にしてみれば、空を飛んで追り、上空からフレイボムを次々と放ってくるといったような存在は、天敵でしかない。

 また、オーラバトラーに対しても、フレイボムを当てる事が出来ればだが、撃破する事も可能だ。

 また、オーラバトラーよりも小さいというのもあってか、偵察用の機体として考えても悪い物ではなかった。

 オーラバトラーよりは弱いが、使い道は色々と多い機体。

 そういう意味では、ドロって何気に便利な機体なのは間違いないんだよな。

 

「後でゼットには礼を言っておくよ」

 

 取りあえずキブツにはそう言っておく。

 うーん、そうなるとヨルムンガンドを使うとなると、もう少しドロとかは増やしておいた方がいいのか?

 ラウの国との戦いで、その辺りを報酬として要求してみるのもありかもしれないな。

 

「キブツ様、ガロウ・ランのアジトを発見したとの事です!」

「でかした!」

 

 ドロからの通信を聞いたのだろう男が、そう言って褒める。

 そして、すぐに指示を出す。

 

「出撃している者達はガロウ・ランのアジトに向かえ。ナムワンも、そちらに向かう。……構いませんか?」

「ああ、基本的に俺は見ているだけだからな。この件に関してはお前達が判断して指示をしろ」

 

 俺の言葉に、キブツは一礼すると再び指示を繰り返していく。

 その様子を見ると、今までに何度もこの手の作業をやってきたのだろう事は容易に想像出来る。

 だとすれば、やっぱりナムワンの……いや、もっと具体的にはヨルムンガンドの艦長を任せるつもりで降伏を受け入れたのは、間違ってなかったらしい。

 どのみち、いつまでもドレイクの部下を借りるなんて真似は出来ないんだから、そう考えると俺にとってはかなり好都合だったのかもしれないな。

 考えている間にも、ナムワンは目的の場所に向かって進む。

 当然だが、ガロウ・ラン達にしてみれば自分達のいる場所にナムワンのような存在が近付いてくるのだから、狙いは自分達だと判断したのだろう。

 ナムワンの映像モニタには、何人かに固まって逃げ出しているガロウ・ラン達の姿が確認出来る。

 空を完全に押さえられている以上、向こうは少しでも見つかりにくいようにと、木々の隙間を縫うように移動していた。

 木の枝が自分達の姿を隠してくれると、そう思っての行動なのだろう。

 それは、決して間違っている選択肢ではない。

 現在のガロウ・ラン達にしてみれば、最善の選択と言ってもいいだろう。

 だが……本当の意味で最善だったのは、盗賊にならない事だったのだろうが。

 とはいえ、今更それを言ったところで意味はない。

 ドロのフレイボムや、ゼットやショットから借りてきたのかオーラランチャーでミサイルを地上に撃ち込むダーナ・オシー。

 あのオーラランチャーはビランビー用に開発された物だった筈だが、携行用である以上、普通にダーナ・オシーでも使用出来る。

 そうして地上で爆発するフレイボムとオーラランチャーのミサイル。

 当然だが、山の麓にある森の中で使った場合、火事が広まる。

 しかし、キッス家の面々はその辺を全く気にした様子はない。

 まぁ、周囲には特に村や街といった場所がないので、燃えても構わないと思っているのだろう。

 バイストン・ウェルにおいて植物の類はかなり成長が早いらしいし。

 勿論、この森が燃えた場合は、この森に住む動物や恐獣がどういった行動に出るのかは分からないが。

 後々の危険はあれど、火事を気にせずに敵を次々と焼き殺していくというのは有効な手段だった。

 気が付けば、既に地上で動いているガロウ・ランの姿はない。

 ナムワンの映像モニタで確認しているだけなので、もしかしたら映像モニタに映っていない場所で生き延びているガロウ・ランはいるのかもしれないが。

 

「降伏勧告をしないで、最初から攻撃をしたけどよかったのか? 捕らえれば捕らえたで、色々と使い道があると思うが」

 

 ドレイク辺りなら、ガロウ・ランをそれなりの値段で買い取ってくれそうだな。

 身体能力の高いガロウ・ランは、色々と使い道があるし。

 上手くいけば、そのガロウ・ランを雇うといった真似も出来るかもしれない。

 どうしても従わない場合は、何らかの肉体労働でもさせておけばいいだろう。

 身体能力だけは高いので、色々と便利に使えそうではある。

 ……鵬法璽を使えば、こっちに絶対服従のガロウ・ランというのも出来上がるが、鵬法璽は出来るだけ使いたくないんだよな。

 

「はい。ガロウ・ランは平気で嘘を吐く種族です。勿論、中には真面目な者もいますが……基本的にはあてにしない方がいいかと」

 

 キブツはそう告げ、それならばという事で俺もそれ以上は何も言わずに殲滅するのを待つ。

 その後、ガロウ・ランの拠点を探すと結構なお宝があり、収入としては十分に満足出来る金額だった。




アクセル・アルマー
LV:43
PP:1560
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.11
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1680

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。