遊郭の件をあまねや輝利哉達に知らせてから数日……今日もまた、俺は鬼滅世界にやって来ていた。
ただし、今日はいつものように何となくやって来たといった訳ではなく、しっかりと用件があってやって来ている。
俺以外にも、セシルが一緒に来ているし。
……うん。本当なら最初はロイドが俺と一緒に来る筈だったんだが、ロイドはオーラバトラーの技術に結構な興味を持っていて、その解析に集中したいので魔法球から出たくなかった。
セシルはセシルで、鬼滅世界にロイドを連れていけば間違いなく問題になるという事で、ロイドの代わりに自分が行くと言った。
その結果として、ロイドの代わりにセシルが来る事になった訳だ。
一緒に行動する俺としても、これから鬼殺隊に貸し出す物……オーラマシンのドロの説明に関しては、個性的で受け入れられにくいロイドよりも人当たりのいいセシルの方がいいと思っていたので、この結果で構わなかったが。
ドロの引き渡しというかレンタルについては、正直なところ耀哉がいる時に行いたいと思っていたのだが、鬼殺隊にしてみれば空を飛ぶ移動手段は是非欲しいというのが強かったらしい。
実際、汽車に乗って移動したり、街中を歩いたりといったような真似をした場合、日輪刀を持っている件で警察に追い掛けられたり、そこまでしなくてもどうしても目立ってしまう。
だが、ドロでの移動となれば空を飛んでの移動なので一般人に日輪刀を見られたりといったような心配はいらない。移動速度も普通に移動するより圧倒的に速いし。
唯一にして最大の問題は、ドロそのものが見られると非常に目立つ事だろう。
だからこそ移動をする際には人に見つからないようにする必要があるし、あるいは夜に移動する必要が出て来る。
そういう面倒を考えても、鬼殺隊にしてみればドロはありがたいのだろう。
光学迷彩の類を使えれば、日中でももっと移動しやすくなるのかもしれないが。
「すいません、アクセルさん。ロイドさんのせいで……」
「気にするな。それにドロの説明をするのはロイドよりもセシルの方が向いてるだろ。下手にロイドを連れて来た場合、それこそ鬼殺隊の面々を挑発するような事になったかもしれないし」
「それは……ロイドさんなら普通にやりそうですね……」
セシルとしては、本来ならロイドを庇いたかったのだろう。
だが、ロイドの性格を考えればそれを否定するような真似も出来なかったらしい。
ロイドという人物を深く知ってるからこそ、セシルはこのような返答しか出来なかったのだろう。
そんな風に話しながら、俺とセシルは目的の場所……ドロの説明や実際に飛ばす場所に向かうのだった。
「これは、また……柱合会議でもないのに、柱が全員揃うとは思ってなかったな」
そこに集まっていた面々を見て、俺の口からそんな声が漏れる。
その言葉通り、そこには柱が全員集まっていた。
勿論集まっているのは柱だけではなく、鬼殺隊の剣士や隠といった者達もいる。
炭治郎と善逸の姿もあるが、伊之助の姿はない。
善逸から伊之助は神鳴流の剣士達と一緒に行動してるって話だったけど、その辺はどうなったんだろうな。
俺の予想では間違いなく騒動が起きていると思うんだが。
「アクセル殿、お久しぶりです!」
俺の姿を発見した行冥が、真っ直ぐこちらに向かって来てそう声を掛ける。
その目からは涙が流れているけど、今回は一体何が理由で感激してるんだ?
「久しぶりだな、行冥。義眼の方は問題ないか?」
「ええ、おかげでこれまで以上に鬼を殺す事が出来ています。南無阿弥陀仏」
行冥の目が見えるようになった事で、あるいは戦闘力が落ちるんじゃないかという心配もしたのだが、この様子だとその辺の心配はいらないらしいな。
そんな行冥と会話をしていて……ふと思い出す。
あれ? 獪岳の件って一体どうなってるんだ?
獪岳が一時なりとも許されたのは、獪岳が強くなって十二鬼月や鬼舞辻無惨を殺すという事になっているからだ。
だが、汽車の一件で下弦の壱は杏寿郎達に殺されてしまっている。
これって何気に獪岳のピンチなのでは?
それに十二鬼月の中でも上弦の参の猗窩座は、俺が味方に引き込もうとしているし。
俺がこの世界に出て来た時に下弦の鬼を1匹殺しているので、そうなると十二鬼月は最大でも残り9匹という事になる。
獪岳……いやまぁ、うん。多分大丈夫だろ。
「アクセル殿」
俺と行冥が話しているところに次にそう声を掛けてきたのは、杏寿郎。
隣には義勇の姿もある。
……杏寿郎と義勇って、また妙な組み合わせだな。
いやまぁ、柱同士と考えれば一緒にいてもそうおかしな話ではないのかもしれないが。
「杏寿郎と義勇か。杏寿郎は……最近家の方が大変だって話だが、大丈夫か?」
「はっはっは。家が賑やかになるのは大歓迎だ!」
炭治郎と禰豆子が煉獄家に入り浸ってるのは、あまり問題にはなっていないらしい。
「そうか。で義勇は……」
「問題ない」
「そうか」
この場合の問題ないというのは、特に大きな騒動に巻き込まれたりするような事もなく、柱としてしっかりと行動出来ている……といったところか?
いやまぁ、半ば以上俺の予想だが。
ただ、義勇の様子を見る限りはそんなに間違ってはいないと思う。
そうして少し話をしていると、やがて輝利哉とあまねの2人が姿を現す。
「あれ? お館様は……?」
事情を知らない剣士の何人かがそんな風に言ってる声が聞こえてくるが、耀哉の件は知ってる者が少ない方がいいんだろうし、これはこれで問題ないと思う。
「皆、よく集まってくれた。今日は鬼殺隊に協力しているシャドウミラーからとある乗り物を借りる事になったので、その説明の為に集まって貰った」
輝利哉はそれなりに緊張している様子だったが、耀哉の代理として意外に上手く話が出来ている。
となりに母親のあまねがいるのも、この場合は影響してるのかもしれないが。
「では、早速だが……アクセル王、お願いします」
輝利哉に促され、俺はいつのまにかしのぶと話をしていたセシルと共に皆の前に出る。
ここで俺が何かを言ったりする必要もないので、特に何も言わずに空間倉庫からドロを取り出す。
すると次の瞬間、何もない場所からいきなりドロが姿を現す。
『おおおおおおおおお』
俺の空間倉庫については何も知らない者もおり、そのような者達の口から驚愕の声が漏れた。
一体何がどうなってこうなったのか、全く理解出来ていないのだろう。
そんな風に驚いている者達、あるいは空間倉庫を知っているので特に驚いていないような者達の前でセシルが口を開く。
「初めまして、鬼殺隊の皆さん。私はセシル・クルーミー。シャドウミラーの技術班に所属する者です。今日は、このオーラマシン……ドロについて説明する為にこの世界に来ました」
ドロの出現に驚いていた者達が、そんな台詞に我に返ってセシルに視線を向ける。
ドロについて知ってる者もいない者も、これからのセシルの説明を聞き逃せないと考えたのだろう。
しのぶはダーナ・オシーを操縦した事があるので、ドロも上手い具合に操縦出来るかもしれないが、それでもセシルの台詞を聞き逃すつもりはないらしい。
「このドロはオーラ力……いえ、皆さんの認識では呼吸ですね。その呼吸の力を動力源として動きます。この世界では石炭を使って汽車が動いていると聞いていますが、その石炭が呼吸で、汽車がこのドロだと思って貰えば分かりやすいかと」
既に何人かはドロについての説明は知っているものの、全く何も知らない者もそれなりに多い。
そうである以上、まずはドロの説明から始めたのは正解だろう。
実際、呼吸で動く機械と聞かされた者達は、理解出来ないといった様子の者も多い。
当然だろう。鬼殺隊の剣士にとって、呼吸というのは敵と戦う為の武器であって、石炭のような燃料ではないのだから。
「そしてこのドロで何が出来るか。……それは、空を飛ぶという事が可能です」
ざわり、と。
セシルが空を飛ぶと言った瞬間、多くの者がざわめく。
この時代の人間にとって、空を飛ぶというのは……普通なら一生経験出来ない事なのだから当然だろう。
「今まで鬼殺隊の剣士達は、基本的に移動は走ってと聞いています。あるいは遠くに移動する時は汽車に乗るようなこともあるそうですが、どちらにしろ日輪刀を持っている以上は、周囲の視線を気にする必要がありました。ですが、ドロがあればそんな心配はいりません」
この辺、政府非公認の組織というのが影響してるよな。
鬼というのは国としての驚異なのだ。
そうである以上、政府と協力して……とはいえ、それはそれで難しいのも事実か。
日輪刀を帯刀しても問題なくなり、政府からのバックアップで資金的にも余裕が出るのは間違いないが、同時に政府からの要求にも応える必要が出て来る。
軍人に呼吸を取得させようと考える者は確実に出て来るだろうし、場合によっては鬼を何とか捕獲して研究し、自分達の戦力として使おうと考えてもおかしくはない。
また、政府の要人の中にはしのぶや蜜璃のように鬼殺隊の中にいる美人を手込めにしようと考えるような者がいてもおかしくはなかった。
更には政府がバックアップしてるからという理由で、鬼殺隊の作戦とかにも口を出してきて……それによって鬼を逃がすといったような事になってもおかしくはない。
うん、そう考えると鬼殺隊が今まで政府のバックアップを受けていなかったのは納得出来るな。
「また、このドロはただの移動手段というだけではなく、フレイボムといった……一種の大砲に近い攻撃手段もあります。勿論、鬼は日輪刀や太陽の力がないと死なないというのは知っていますが、それでも鬼に傷を与える事は出来て、その再生に時間が必要なのも事実。鬼を倒す決定的な戦力にはなりませんが、補助的な武器としては十分に使える筈です」
その言葉に、再び多くの者達がざわめく。
鬼との戦いにおいて、殺す事は出来なくてもある程度の時間稼ぎが出来る兵器というのは、鬼殺隊の剣士達にとってもそれなりに大きな意味を持つのだろう。
「さて、ドロについての説明はこれが最後になります。最初にこのドロは呼吸の力によって動くと言いましたが、別にドロに乗っている間ずっと呼吸を使っている訳ではありません。ドロに乗っていれば、自動的に機体の方で呼吸の力を吸い取ってくれます。操縦に関しても、最初は少し戸惑うかもしれませんが、慣れれば簡単です」
セシルのこの言葉は、決して間違いではない。
実際にドロの操縦はそんなに複雑ではないのだから。
複数人で操縦する以上、オーラバトラーみたいに考えただけで動かすといったような真似は出来ないが……あ、でも1人でドロを操縦すればその辺は対処出来ないでもないのか?
「そんな訳で、まずは実際に乗ってみましょう。安心して下さい。操縦は私がしますので、乗る人は本当にただ乗っていればそれで構いません。……誰が乗りますか?」
「こんな派手なのに、俺が乗らねえなんて事は、ありえねえ! 派手に乗るぜ!」
音柱の天元が、真っ先にそう叫ぶ。
天元はその言葉通り派手好きで、目立つという行為が好きだ。
ある意味では獪岳と同じくように承認欲求が高いのかもしれないが、天元の場合は十分な実力を持っているし、承認欲求が高くても仲間と協力したりといったような事が出来るのが大きく違う。
「あら、先を越されてしまいましたね。では、私も乗りましょう」
天元に続いて立候補したのは、しのぶ。
しのぶの場合は以前ダーナ・オシーに乗った経験もあるので、オーラマシンに対する警戒度は高くないのだろう。
「……」
次に無言で前に進み出たのは、義勇。
義勇は……一体何を考えているのか、正直なところちょっと分かりにくいんだよな。
とはいえ、こうして前に出た以上は自分もドロに乗ると主張してるのは間違いないだろう。
「はっはっは! このような面妖な物が空を飛ぶとは……面白い!」
杏寿郎もまた、ドロに興味を示していた。
「取りあえずこのくらいの人数で試してみましょうか。これで成功したら、また次の人を乗せますね」
セシルの指示に従い、天元を始めとした面々がドロに乗り込む。
最後にセシルも乗り込み……そして少しすると、天元たちはドロの上の部分に姿を現した。
そしてタイミングを合わせたかのように、ドロが浮かび上がる。
『おお!』
ドロが空を飛ぶというのは聞いていたのだろうが、こうして実際に自分達の目の前で空を飛ぶという光景を見れば、色々と思うところがあるのだろう。
俺の目から見ても、鬼殺隊の面々はかなり興奮している者が多い。
この調子でドロを大量に貸し出したり、買い取って貰ったりした場合……もしかして、本当にもしかしての話だが、日本がUFOで有名になって、それによって多くの者が観光客としてやって来る……なんて事にはならないよな?
ふとそんな風に思いながら、俺は空を飛ぶドロを眺めるのだった。
アクセル・アルマー
LV:44
PP:1810
格闘:309
射撃:329
技量:319
防御:319
回避:349
命中:369
SP:1995
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1730