転生とらぶる   作:青竹(移住)

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0059話

 まず最初に口火を切ったのは、トロイエ隊のガーリオン・カスタムからのバースト・レールガンによる一斉砲火だった。

 

「念動フィールド、全開っ! アダマン・ハルパー起動、SPブースト、ナイン・テールモード!」

 

 銃口の殆どがグロウセイヴァーへと向いていたので、念動フィールドを全開に。エースボーナスを使いSPを消費してスライムの能力をブーストしアダマン・ハルパーを九条の鞭へと変化させて少しでも弾丸を防ぐ事に専念する。

 

「エキドナ、ミサイル3種一斉射撃、敵の陣形を崩せ! W1からW3はツイン・ビームカノンとG・レールガンで陣形から崩れた敵機を落としていけ!」

 

 俺の命令と共に、エキドナの乗っているラーズアングリフの背後からファランクス・ミサイルが弧を描くように山なりに、手持ち火器のリニアミサイルランチャーから小型のミサイルが多数、その両肩からマトリクス・ミサイルが2発発射される。

 マトリクス・ミサイルは敵との距離が近づくと中から小型ミサイル4発の合計8発へと分離する。

 

「全機回避に専念しろ」

 

 まだ通信を閉じていない為、モニタ越しにユーリアの命令が聞こえてくる。

 上空からはファランクス・ミサイル、正面からはリニアミサイルランチャーとマトリクス・ミサイルが迫る状況で回避に専念するトロイエ隊の面々だが、その隙を狙いエルアインス3機からツイン・ビームカノンとG・レールガンが狙い撃たれる。

 だがさすがにトロイエ隊と言うべきか。並の兵ならまず間違い無く多数撃墜出来た筈のその攻撃で、実際に撃墜したのは2機のみであった。

 

「ソニック・ブレイカーか。厄介な」

 

 そう、殆どの機体はT-ドットアレイを利用したソニック・ブレイカーを使用し、機体前方へと展開されたエネルギーフィールドでエルアインスからの攻撃を防ぎきったのだ。

 

「だが、甘い!」

 

 SPブーストにより、その能力を増したアダマン・ハルパーをナイン・テールモードのまま敵機へと向かい、思い切り叩きつける。

 9条の鞭と化したアダマン・ハルパーはトロイエ隊のガーリオン・カスタムの中でも比較的こちらに近い位置にいたレオナの機体を斬り裂く。

 運良くコックピット部分を損傷する事は免れたが、四肢を切り裂かれたレオナの機体はそのまま地上へと墜落して動きを止めた。

 

「さすがアクセル。だが、私達もこのままやられっぱなしという訳でもない。全機、オプション薙鎌」

 

 そのユーリアの台詞と同時に、残り7機のガーリオン・カスタムがこちらを中心にして周囲を飛ぶ。その飛行は見事に連携が取れており、ここに到着した時の一糸乱れぬ動きが伊達ではなかった事を証明している。

 

「鳥篭!」

 

 そしてユーリアのその声と同時に、7機全機から一斉に撃ち出されるバースト・レールガン。その狙いは俺……ではなく、W2のエルアインス!?

 

「W2、回避しろ」

 

 エキドナからの命令が出されるが、鳥篭と呼ばれたその一斉射撃は計算され尽くしていたのだろう。回避スペースが殆ど無い。いや、無い事はないのだが、それは本当に極僅かなスペースであり、量産型Wの能力でその攻撃に対処するのは不可能だった。

 結果、エルアインスは四方八方からバーストレールガンの弾丸に貫かれ、その命と共に散っていく。

 もっとも、量産型Wは行動不能になった場合は機密保持の意味も込めてコードATAを使用して自爆する。エルアインスが行動不能になった時点でその死は確定的だっただろう。

 

「ファントムっ」

 

 T-LINKシステムを通してグロウセイヴァーに装備されているファントムのうち、21機を起動させる。

 

「ほう、それがあの映像で敵機を瞬く間に瞬殺した武装か。実際に見るとなるほど、圧倒されるな」

 

 ファントムを見たユーリアがそう言い放つ。口では圧倒されると言っているが、その表情には闘志が満ちている。

 

「なら、俺の牙を存分に味わえ!」

 

 俺の意志に従い、トロイエ隊のガーリオン・カスタム1機につき3機のファントムが襲い掛かる。

 しかし、さすがトロイエ隊と言うべきか。全機が見事な機動でファントムの攻撃を回避し、当たりそうなものはソニック・ブレイカーのエネルギーフィールドで防いでいる。

 だが……

 

「あまり、見くびられても困るな」

 

 敵機のうち、ユーリアから一番遠くで攻撃を回避している機体へと目をつけ、攻撃をしているファントムへと意識を集中させる。

 3機のファントムは1機が真上からのレーザーブレードを用いた貫通攻撃を行い、それを回避したガーリオン・カスタムにその隙を突くように右からレーザーを撃ち込む。そのレーザーはエネルギーフィールドによって防がれるが、殆ど同時にレーザーが撃ち込まれた場所と同一ヶ所へと最後のファントムがレーザーブレードを突き立てる。

 一瞬レーザーブレードを防ぐ事には成功するが、防ぐ事が出来たのはあくまでも一瞬だった。次の瞬間にはエネルギーフィールドを貫通したファントムがガーリオン・カスタムの胴体を貫通する。

 

「いくらT-ドットアレイを利用したエネルギーフィールドとは言え、限界はある。なら限界以上の威力で攻撃すればいいだけだ」

 

 グロウセイヴァーで使う事の出来る念動フィールドにしても、限界以上のダメージを受けると攻撃を通してしまうのだ。それが防御専用に用意された訳でもないガーリオン・カスタムのエネルギーフィールドの限界など推して知るべしだろう。

 

「これで6機。大分数が減ってきたがそろそろ降参するか?」

「まさか。それにそちらとて残り4機だ。まだまだこちらが有利だよ」

 

 数秒の間ユーリアと言葉を交わし、戦闘が再開される。

 

「W16、見ていた通り敵のエネルギーフィールドは同一ヶ所へと複数回攻撃すれば貫通が可能だし、ラーズアングリフのFソリッドカノンのように強力な武器なら一発で抜けるだろう。それを念頭にいれて攻撃しろ」

「了解しました。W1、W3。今の話を聞いていたな? G・レールガンの攻撃を同一ヶ所へと集中させろ」

 

 指示を出しながら、Fソリッドカノンの砲身を展開するエキドナ。

 エルアインスの方もツイン・ビームカノンはG・レールガンに比べて狙いがつけにくいのでツイン・ビームカノンはあくまでも牽制にとどめ、G・レールガンによる攻撃をメインにしている。

 そして俺もクロノスのラックからハルバート・ランチャーを取り出し、ファントムの攻撃を回避し続けている敵へと狙いを定める。

 

「全機、エネルギーフィールドを過信しすぎず、なるべく回避に専念しろ。また敵は回避の隙を突いて攻撃しようとしているので注意しろ」

 

 ちぃっ、アドバイスのタイミングがいいな。後10秒程後なら2~3機は撃墜出来ていただろうに。

 だが、相手にとっては不幸な事に、こちらにとっては幸運な事に、俺にはユーリアの知らない精神コマンドという奥の手がある。しかもバリア関係を無視出来る取っておきが。

 

「直撃」

 

 小さく呟き、精神コマンドの直撃を使用。集中の時と同じく感覚的な何かが鋭くなっていく。本来なら努力も使いたい所だが、エースボーナスのスライムに対するSPブーストで残りSPがどのくらいあるのかを確認している暇がないので我慢する。

 

「そこだっ!」

 

 1機のガーリオン・カスタムがエネルギーフィールドを解除するのを先読みし、その機体めがけてハルバート・ランチャーのトリガーを引く。

 ハルバート・ランチャーの銃口から放たれた複数の光線がエネルギーフィールドを解除した瞬間、ガーリオン・カスタムへと襲いかかりその機体を爆散させた。

 

「何っ、偶然か?」

 

 ユーリアの驚愕の声が聞こえてくるが、その瞬間を狙っていたかのようにエキドナのラーズアングリフがFソリッドカノンを発射、エネルギーフィールドを貫通してまた1機撃墜する。

 続けて2機連続で撃墜されたのが余程意外だったのか、1機のガーリオン・カスタムが空中でバランスを崩す。

 

「W1、W3、狙え」

 

 そこに鋭くエキドナからの命令が下り、G・レールガン2つが空中でバランスを崩した機体を狙う。先程のファントムの時と同じく、1発の弾丸はエネルギーフィールドで受け止めたが、同一ヶ所へと着弾した2発目の弾丸がエネルギーフィールドを貫通し、機体の下半身を砕く。

 

「甘いっ」

 

 だが、その隙を狙っていたかのようにユーリアがW1の乗るエルアインスに急接近。アサルトブレードで上から真っ二つに断ち割る。幸い爆発は起きなかったが、完全にスクラップ状態になってしまった。

 

「あまりやられっぱなしというのも面白くないのでな」

 

 ユーリアの顔にはしてやったり、といった感じの笑みが浮かんでいる。

 

「これで3機ずつ、か。だがそちらもまだ甘いぞ!」

 

 クロノスの右から伸びているビームガトリング砲の砲身を伸ばし、1機のガーリオンカスタムへと狙いをさだめる。

 

「集中」

 

 精神コマンドの集中を利用し、トリガーを引く。

 砲身が自分に向けられている事が分かったのか、何とか回避しようとするガーリオン・カスタムだが、集中の効果を得ている今の俺にとっては狙いを付け続けるのはそう難しくはない。1発のビーム弾は小さくても、その量は圧倒的なビームガトリング砲だ。すぐに限界を超えたダメージを叩き出し、エネルギーフィールドを突破して機体を爆散させる。

 そして殆ど同時に、ユーリア以外の最後のガーリオン・カスタムも再度放たれたラーズアングリフのFソリッドカノンの弾丸により撃墜された。

 

「さすがにトロイエ隊、手強かったがこれで勝負は付いたな」

 

 最後の1機になったユーリアへと声を掛ける。

 

「確かにそうかもしれないな。だが、まだ私という戦力が残っている以上、部下達の為にもここで引く事は出来ん」

 

 アサルトブレードを持ち、こちらへと刃先を向けてくる。

 

「さぁ、アクセル。最後の勝負と行こうか」

「W16、俺がやる。手を出すなよ」

「しかし、私はレモン様に隊長の身を守れと命令されています」

「ふん、この程度でやられるようなら特殊処理班の隊長には就いていないさ」

 

 俺の言葉に不承不承納得し、小さく頷くエキドナ。

 

「アダマン・ハルパー、起動。行くぞユーリア!」

 

 アダマン・ハルパーを起動状態の大鎌のまま、SPブーストを使用し可能な限りのSPを込め、クロノスのブースターを全開にしてユーリアのガーリオン・カスタムへと斬り掛かる。

 

「来い、アクセル!」

 

 ユーリアもソニック・ブレイカーによるエネルギーフィールドを展開しながらアサルトブレードを上段に大きく構えてこちらに突撃してくる。

 ユーリアの考えとしては、ソニック・ブレイカーで俺を弾き飛ばしてからアサルトブレードで斬り下ろすといった所だろう。それは普通なら十分有用な戦法である。俺がエースボーナスであるSPブーストを使っていない状態であるのなら。

 

「うおおおおぉぉぉっっっっっ」

「はああぁぁぁぁぁぁぁっっっ」

 

 俺とユーリアの声が戦場へと響き渡る。猛烈な加速でガーリオン・カスタムに弾き飛ばされる直前、俺はアダマン・ハルパーで斬り下ろす。……ガーリオン・カスタムではなく、エネルギーフィールドを狙って。

 ユーリアの読みとしては、アダマン・ハルパーの攻撃を弾き飛ばすか、最悪でも威力を弱めるつもりだったのだろう。だが、俺のSPを貪欲に吸収したスライムの能力はユーリアの読みを凌駕してエネルギーフィールドを何の抵抗もなく斬り裂き、そのまま弧を描くように大鎌を動かし、ガーリオン・カスタムの左手、左足、右脚も纏めて切断した。

 アサルトブレードが左手と一緒にどこかへと飛んでいき、空中でバランスを崩した機体は地上へと激突してその勢いのまま数十メートル程地面を削りようやく止まる。

 

「ユーリア、無事だな?」

「ああ。身体中怪我だらけだが、命に別状はないようだ」

 

 ユーリアへと通信を送ると、多少苦しそうではあるが意識ははっきりとしているようだ。

 

「ユーリア、最後に1度だけ聞く。……俺と共に、来るか?」

 

 その言葉がどのくらいの衝撃をユーリアに与えたのかは分からない。だが、次にユーリアが言葉を発したのは、1分程の沈黙の後だった。

 

「悪いが、共には行けない。私にはトロイエ隊指揮官としての立場もあるし、こんな私に最後まで付き合ってくれた馬鹿な部下達もいる。……すまない」

「いや、そう言うと思っていたよ」

 

 ユーリアは良くも悪くも真面目で一本気な性格なのだ。誘っても応じない事は予想出来ていた。だが、それでもユーリアという友が側に居て欲しいと思ってしまったのだ。

 

「もし、私が責任ある立場でなかったら……いや、よそう。そんなのは未練以外のなにものでもない」

「じゃあ俺達は行く。この戦闘も連邦軍がいずれ察知して救助が来るだろう。それまでは我慢していてくれ」

「ああ。この戦いが終わったらいずれまた会おう」

 

 その言葉にすぐに返事を返す事は出来なかった。この戦いが終わった後に俺達が会う事はもうないのだから。だが、それでもその約束でユーリアの心の負担が小さくなるというなら。

 

「ああ。また、な」




名前:アクセル・アルマー
LV:23
PP:65
格闘:198
射撃:216
技量:208
防御:205
回避:233
命中:255
SP:326
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:B
宇:A
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP20
   ???
   ???

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.7
    アタッカー
    ガンファイト LV.8
    ???
    ???
    ???
    ???
    ???
    ???
    ???

撃墜数:78

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