転生とらぶる   作:青竹(移住)

98 / 4298
0081話

「2人とも、準備はいいな? 今回の目的はハガネの撃墜ではなく少しでもその戦力を削る事だ。無理をしてまで戦う必要はない。自分の命を最優先に考えろ。指揮はエキドナが執る。オウカ、お前の目的は知っているがこの部隊と行動を共にするからにはきちんと指揮に従って貰うぞ」

「言われずとも分かっています」

「隊長、ハガネです」

 

 エキドナからの報告に、モニタを見てみると確かにそこにはハガネの姿がある。……が、その姿にどこか違和感がある。その船体をじっと観察する事数秒、その違和感の正体に気が付いた。艦首にトロニウム・バスターキャノンがない?

 ……そういえば、トロニウム・バスターキャノンはこの時期は改修中なのか。

 

「隊長、まずは量産型ゲシュペンストMk-Ⅱをある程度出して様子見をしたいと思うのですが、どうでしょうか?」

「W16は既に何度もハガネの部隊と戦っているだろう? 何故様子見をする必要がある?」

「私は確かにそうです。しかし隊長と彼女はハガネの部隊と戦った事が無いので、念の為にと思いまして」

 

 エキドナの言う事も一理あるな。実際俺もハガネの部隊とはまだ戦った事が無い。量産型ヒュッケバインMk-Ⅱを鹵獲した時の戦いではATXチームと入れ違いだったしな。

 

「分かった。元々指揮権はW16にあるんだ。その辺は任せる。オウカも構わないな?」

「構いません」

「では、V1からV17まではハガネに向かって攻撃を開始しろ。損害は考えなくていい」

 

 エキドナの言葉に、17機の量産型ゲシュペンストMk-Ⅱがハガネへと向かい突っ込んでいく。そしてそれに対応するかのように、ハガネからも部隊が発進してくる。

 グルンガストにアンジュルグ、量産型ゲシュペンストMk-Ⅱ、ヒュッケバインMk-Ⅱと量産型ヒュッケバインMk-Ⅱ。R-2パワードに……最後に出てきたのはアルトアイゼンか。

 宇宙と地上で戦力を2分していると言っても十分強力な部隊構成は、さすがハガネといった所だな。

 量産型ゲシュペンストMk-Ⅱを見たハガネの部隊は何やら戸惑っていたのだが、それもごく短く、すぐに戦闘態勢へと移った。

 数だけで言えばこちらが圧倒的に有利なのだが、質で言えばその差は逆転する。量産型Wはパイロットとしては1流の腕を持っているが、あくまでも1流止まりなのだ。それに対してハガネの部隊は1流を超えた超1流。ほぼ全員がエース級、あるいはエース級の才能を持っていると言っても過言ではない。

 レモンもその1流と超1流の壁を越えようと努力はしているのだが、なかなかに難しいらしい。

 そして実際、最初は互角に近かったものの時間が経つにつれてこちらの部隊が押し込まれてきている。

 そろそろ、か?

 

「大尉、質問をしてもいいですか?」

「何だ?」

「大尉は何故部下である彼らを死地に向かわせて平気なのですか?」

「……そうか。お前は奴等の事を知らないのか」

「どういう意味でしょう?」

「そうだな、あいつ等はいわゆる人造人間という奴で簡単に言えば人型の機械のようなものだ。……そういう意味では、お前と大して変わらない存在なのかもしれないな」

「私が機械だと仰るのですか?」

 

 言葉は冷静だが、その表情は怒りで赤く染まっている。

 

「少なくても俺にはそう見えるが?」

「……」

「己の意思や記憶を第三者に好きなように弄られ、調整される。そしてその第三者の言う事には絶対服従。そこに機械とどう違いがある?」

「それはっ」

「隊長、先行部隊が全滅した模様です」

 

 どうやら俺とオウカが問答をしている間に決着がついてしまったらしい。

 

「俺達も出るぞ。先に言った事を忘れるなよ。今回の目的はあくまでもハガネの戦力を削る事だ」

「了解です」

「分かっています」

 

 量産型ゲシュペンストMk-Ⅱが5機に、エキドナとオウカの乗るエルアインスが1機ずつ、そして俺の乗るヴァイサーガ。合計8機の部隊がハガネの部隊の前へと姿を現した。

 さて、今度の戦力は質の面でもそれなりだ。先程の量産型ゲシュペンストMk-Ⅱと戦うつもりで挑むのなら痛い目にあってもらうぞ?

 奴等にはアインストやインスペクターに勝利して貰わないと困るのだから、いくら戦力を2分しているとは言えこの規模の戦闘で苦戦して貰っては困る。

 ビアン・ゾルダークやマイヤー・V・ブランシュタインと同じ事をやっているという認識はあるが、俺としてはハガネやヒリュウ改の部隊にはより強く育って貰わないと困るのだから。

 

「隊長、仕掛けますがよろしいですね?」

「ああ。先に言った通り、指揮は任せる。俺はヴァイサーガの慣らしを兼ねて好きに暴れさせてもらう。撤退時には連絡を寄こせ」

「了解しました」

 

 こちら、というよりもエルアインスを見て動揺しているのか動きが鈍いな。まぁ、ある筈のない機体が現実に存在しているのだからそれも無理はないが。

 

「……ラト、聞こえているなら返事をなさい」

 

 オウカ? 通常周波数で何を? ……いや、そう言えばそんなイベントもあったな。

 

「オウカ姉様!」

 

 ラトゥーニが乗っていると思われる量産型ヒュッケバインMk-Ⅱから通信が聞こえてくる。

 

「久しぶりね、ラト。あなたが生きていてくれて嬉しいわ」

「ね、姉様」

「アラドの事は知っているわ。でも、私はあなたを責めはしない」

「え?」

「あなたは自分の意思で戦っているつもりなのでしょうけど、それは違うの」

「姉様、何を?」

「今のあなたは本当のあなたじゃない。あなたは連邦軍に再教育されてしまっているのよ。彼らがあなたを自分達の兵器として利用……利用? 何故わざわざラトを再教育してまで?」

 

 自分で話した言葉に動揺するオウカ。本来なら連邦軍がラトゥーニを利用していると言い切るのだろうが、俺との会話が頭の中に残っていたのだろう。その矛盾に気が付き混乱している、といった所か。

 

「姉様?」

 

 だが、いくら衝撃的な事であっても、ほんの僅かしかオウカと話す時間は取れなかった。その僅かな時間でアギラの洗脳を破れる筈もない。

 

「とにかく、あなたは連邦軍に騙されているのよ。だから、あなたはゼオラと戦い…… アラドを殺してしまった」

「違う、あれは事故だ! それにアラドは死んじゃいない!」

 

 唐突に通信に割り込んできた声はブリットか。ヒュッケバインMk-Ⅱに乗っているのがブリットだろう。

 

「戯れ言を。弟が生きているという証拠はあるのですか?」

「そ、それは……」

 

 アラド本人がいるのならともかく、現在エクセレン等と共に宇宙へと行っているのでは証拠も出しようがない。あるいは、アラドがハガネにいる時に映像か何かを撮っていれば話は違ったのかもしれないが。……いや、どのみちアギラに洗脳されているオウカならその映像を本物だとは認めないか。

 ブリットが反論してこないのを見て再度ラトゥーニへと声を掛けるオウカ。

 

「思い出して、ラト。スクールで私やアラド、ゼオラと過ごした日々の事を。本当の自分を思い出して。そして私と一緒に帰るのよ。母様とゼオラがあなたを待っているわ」

「嫌……私は……帰らない。騙されているのは、姉様達の方……」

「何故あなたまで大尉と同じような事を言うの?」

「大尉?」

「あなたは母様やメイガスに育ててもらった恩を忘れたの? 私達と一緒に過ごした日々を忘れてしまったの?」

「……みんなの事は忘れていない……」

「なら、何故?」

「……私はスクールで本当の自分を失ってしまった。そして、それをジャーダやガーネット、リュウセイ、シャイン王女、ハガネやヒリュウ改のみんなのおかげで取り戻せたの。だから、姉様……私はあなた達の所へ帰らない。そして、私が姉様達に掛けられた呪縛を解く」

「ラト、あなたまで大尉と同じような事を。……そう、そこまで再教育されてしまっているのね。私の言う事が聞けないなら、力ずくでもあなたを連れて帰る。そして私と母様の手で本当の自分を思い出させてあげるわ」

「冗談じゃない! それじゃ、スクールの時と同じじゃないか!!」

「お黙りなさい。部外者であるあなたに何が分かると言うのです? 私とラトの絆を知らぬあなたに口を挟まれるのは心外です。そしてラトを利用し、アラドを殺させたあなた達連邦軍を許す訳にはいきません。弟の仇はこの私、スクールの長姉たるオウカ・ナギサが討ちます」

 

 ブリットの弾劾するような声が響くが、アギラによって洗脳されているオウカにとっては逆鱗にしかならなかったらしい。

 

「W16、オウカの説得も失敗に終わったようだ。戦闘が開始される前にW17と連絡は取っておけよ」

「はっ」

「……エキドナ、攻撃を開始しましょう。ラトの相手は私が致します」

 

 そこに丁度都合良く、オウカからの通信が入ってくる。

 

「オウカ、ラトゥーニと戦うのはいいが、その言葉の意味をよく考えてみるんだな」

「……」

 

 俺の言葉に無言のオウカ。だが、恐らく心の中ではどこかおかしいと考えているのだろう。その証拠に、これまでのようにその目から敵意は感じられない。

 

「W16、行くぞっ!」

「了解。W18からW21までは私に続け。まずは敵を分散させる」

 

 量産型ゲシュペンストMk-Ⅱを引き連れてハガネ部隊へと突っ込んでいくW16。

 なら俺は誰を攻撃するか、と思いハガネの部隊を見回す。そして恐らくブリットの乗っていると思われる黒いヒュッケバインMk-Ⅱがモニタに映った瞬間、またもや念動力の共振が起きる。それは相手も同じだったのか、こちらを見たと同時に突っ込んで来るヒュッケバインMk-Ⅱ。

 

「あなたは一体!?」

 

 突然通常周波数で呼びかけてくるブリットだが、俺はそれを無視してヴァイサーガに装備されたクナイ、烈火刃を投げつける。

 

「くっ!」

 

 ヒュッケバインMk-Ⅱの頭部に装備されたバルカンで烈火刃を迎撃するが、俺はそのまま五大剣を引き抜き、刀身を地面に叩きつけエネルギーを溜め、それを剣で撃ち払う。

 

「地斬疾空刀!」

 

 地面に溜められたエネルギーはその状態のままヒュッケバインMk-Ⅱへと向かっていくが、ブリットはフォトン・ライフルで迎撃、相殺する。

 

「ちょっと話を聞いて下さい!」

 

 ……このまま無視をして攻撃してもいいのだが、念動力による共振がある以上これから俺が戦場に出て来ればすぐに分かってしまうだろう。その度に同じような問答をするよりはここでやっておいた方がいい、か。

 

「……何だ?」

 

 念の為、音声のみの通信だがそれでもブリットはほっとしたように一息つく。

 

「あなたは、誰ですか?」

「俺か? 俺はお前達の敵だ。それ以外の何者でもない」

「そうじゃなくて、ええっと、俺とどこかで会った事がないか聞いているんです」

「何故そう思う?」

「分かりません。でもモニタ越しにあなたの機体を見た時、何かこう、すごく懐かしいものを感じたんです」

 

 ……念動力の共振がこれ程厄介なものだとはな。俺が今まで吸収したのはリョウト、アヤ、ブリットの3人だが、これからその3人と戦場で会う度に同じような問答を繰り返すのだろうか。

 リョウトとは生身で会ってるだけに、このやり取りがさらに面倒な事になりそうな気がする。

 

「そうだな、俺に勝てたならお前の質問に何でも答えてやろう」

「……どうしてもやらなきゃいけないんですか? 今は異星人に対抗する為に地球人が1つに纏まらなきゃいけないというのに」

「言っただろう? 俺に勝てたら教えてやると」

「……分かりました。俺は、ブルックリン・ラックフィールドといいます。あなたの名前は?」

「くどいっ! 質問は俺に勝ってからにしてもらおう!」

 

 ヒュッケバインMk-Ⅱへと再度烈火刃を投げつけ、戦闘を再開する。




名前:アクセル・アルマー
LV:25
PP:25
格闘:206
射撃:224
技量:216
防御:213
回避:241
命中:263
SP:342
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:B
宇:A
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP20
   覚醒 消費SP32
   ???

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.4
    ???
    ???
    ???
    ???
    ???
    ???

撃墜数:100

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。