今日も恙(つつが)なく学校が終わり放課後になる。さて帰って何をするかと帰り支度しながら思案していると
「おーい、一緒に帰ろう!」
俺の幼馴染兼恋人がやってきた。付き合い始めたのは少し前からだが、小学校低学年の頃からの腐れ縁である。
「いつも一緒に帰ってるだろ」
「まあまあ、細かいことはいいじゃない♪」
「まあ、いいけどよ……」
クラスの友達に別れを告げ、俺たちは学校を後にした。
「今日は何か用事があるの?」
「いや、真っ直ぐ帰る予定だけど」
「えーー、もったいないよ! せっかくの放課後デートなのにー」
「誰もデートなんて言ってないんだが……」
「一緒に帰るってことはそれだけでデートになるものなのだよ♪」
「そんなもんかねぇ」
それこそ毎日一緒に帰っている気がするんだが……
「まあ、たまには寄り道も悪くないかな」
「そうそう、そうこなくっちゃ」
そういって俺の腕に絡みついた
「……おい、歩きにくいから離れろ」
「やーだ」
「まったく……」
彼女に腕を組まれながら街を歩いた。正直少し恥ずかしい……
しばらく歩くと公園が見えてきた。子供の頃から放課後によく遊びに来たものだ。まだ子供たちの遊び声が聞こえてくる。
「ここは不思議と変わらないね」
「そうだな。不変のものなど、この世には存在しないというのに。この場所だけは変わらないよな」
「私たちも変わったよね」
「ああ……」
今でも思い出せる。毎日と言っていいほど、くたくたになるまで遊びまわった思い出が。今、隣にいる少女と一緒に。
「ねえ」
「ん?」
「私、少しはあなたにふさわしい女の子になれたかな?」
そういいながら顔を覗き込んできた。
「少しは、な」
「……そっか」
「むしろ、俺の方が不釣り合いなんじゃないかと思うんだよ」
「そんなことないよ」
そういって彼女は俺の前に回ってきた。
「私はちゃんと知ってるんだよ。あなたは誠実で優しくて、とても頼りがいのある人だってね」
「……」
「そんなあなたを、私はいつの間にか目で追いかけてたんだよ」
うれしいことを言ってくれるな。
「だから、思い切って告白したの」
「……」
「最初は断られると思ってた。でもあなたは受け入れてくれた。それがたまらなくうれしかったんだ」
彼女の顔は少し赤みを帯びていた。おそらく夕陽のせいだけではないだろう。
「幼馴染同士が恋仲になるって、結構ベタな展開だけど、いいよね」
「ああ、もちろん」
俺がそういうと彼女は微笑んだ。
「俺も、いつからかはわからないけど、お前のことを可愛いって思うようになってたんだ」
「え……」
「そんな可愛いお前と俺が釣り合うのか、正直不安だったんだ」
「……」
「けど、いらん心配だったんだな。お前が俺を好きだと言ってくれた。それだけで十分だったんだな」
そういうと、俺は彼女を抱きしめた。
「俺は今、すごく幸せな気分だ」
「うん、私も。あなたに可愛いと言ってもらえて、すごく幸せ」
背中に手が回った。好きな人の体温はなぜこうも安心するのか、不思議だ。
「これからもよろしくな」
「うん❤」
そうして、俺たちは手を繋ぎながら家路についた。
END