ゴウウウウウン。
俺たちを乗っけた飛行機が、風を切り裂き、空を飛び回っている。
「ヒャッフウウウウ!」
「それ、言うの何回目だよ?」
「良いだろ別に。こっからギリシャ!台湾!エジプト!いろんなところを飛び回るんだから!」
「確かに、俺も楽しみではあるが、な」
隣で操縦しているのは、長年共に過ごしてきた相棒。
友であり、ライバルであり…と言ったところか。
俺も普段はこんなこと言わないんだけどな、つい。
「にしてもよく作ったな、こんなもの?」
「お前も手伝ったろ?飛行機を一から作るの」
「ああ、まあそうなんだが」
インドア派な俺とは違い、アウトドアな相棒は飛行機の操縦もなんのその。
構造だけ知ってても、技術じゃあいつには敵いっこない。
ふいに、ジョインっと音がした。
「あ」
「ん?」
「今、なんか音したろ?ジョインって」
…まさか。
「おん」
「バードストライクだわ」
「「………」」
沈黙も数秒で終わる。
隣…ウイングの方から音が聞こえた。
ボカァン、と、派手な音を立てて。
「「ああああああっ!!!!!!」」
ああ…俺の人生、色々あったなぁ……。
彼女のいないクリスマス、彼女のいないアンハッピーニューイヤー、彼女のいない…泣いていいかな。
一方、隣の相棒は立て直し、早くも冷静である。
「しっかり掴まってろよ…!」
操縦菅をしっかり両手で握り、機体をなんとか動かしている。
流れる景色が、少しゆっくりになった。
滑空しながら、どこかに滑走路かないか探している。
これは、俺にできることをやらないと怒られそうだ。
『めーでー!めーでー!近くの空港に継ぐ!バードストライク…』
やれることはやった。
繋がらない通信機と、見つからない空港が、俺たちの未来を写し出している。
すなわち【死】。
水上着陸?そんな技術あったら空港で働いてるよ、こいつ。
あくまで趣味だ。
「なーなー、もうこれ諦め」
「ダメだっ!最後まで探すんだ…!」
「そんなシリアス流したところで、陸地が見つかるわけない…えっ」
「あっ?」
「あった!あったよ陸地が!向かい方向!」
「森じゃねえか。でもまあ、生存確率はあがる…!着陸するぞ!」
森が近づき、ガコォン、と大きな音が響く。
それと同時に、俺の意識も薄れ……………
◇
…ん。いたい。
「っは!?」
急に意識が覚醒し、右足にじくじくと痛みが走る。
見れば、鉄材で足を擦ったらしい。
血が出ている。
「あっ…そうだ、あいつは」
「ここにいるが?」
「うわおうっ!?」
ふいに上から声がかけられる。
そこには、飛行機の残骸の上で仁王立ちする、相棒の姿があった。