核の落っこちた世界で生き抜く(仮)   作:翠晶 秋

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二日目

「お、無事だったか!いや、良かった」

「当たりまえだ。逆に、この程度で俺が死ぬと?」

「たしかに」

 

陽の後光を浴びながら、イーサンは飛行機から降りる。

ささっと俺の隣までくると肩を貸してくれた。

 

「痛いって言ってたろ。とりあえず、瓦礫の少ないところまで行くぞ」

「いや…お前も血が…」

「俺の痛みは打撲とちっちゃな擦り傷だ。けど、お前はどっか鉄で擦ってるだろ」

「わお。敵わないな」

 

比較的瓦礫の少ないウイングの下を仮の拠点と決め、小さな瓦礫をどかして座り込む。

救急キットは潰れていたが、包帯だけは少しなら使えそうだ。

傷口に唾液を垂らして包帯で巻く。

なるべく最小限に。

 

「お前それ余計に菌が入るぞー」

「げえ、マジか」

 

飛行機のパーツを調べてなにか無いか探していたイーサンから声がかけられる。

そんなこと言ったって、もうやっちゃったもんはしょうがない。ここは俺の免疫力を信じて瓦礫をいじる。

お、よさげな木の枝を発見。衝突の衝撃で辺りに散らばっている。

これを組み立てて…

 

「ダメだ。通信機器は全部潰れた。マッチとかなら数本…って、なにしてんのお前」

「枝がたくさんあったろう?それでキャンプファイアーもどきを」

「お、おう…」

「これ、太いやつは半日くらい石で削ってれば鋭くなるよな。あとなんかの骨組みとかにも使えるし」

「生活力ゥ…」

 

あとは、大きな葉っぱとかを見つければ簡易ベッド……に、なったら良いなって妄想。

とにかく、枝は脆いのも丈夫なのも集めておいたほうがいい。

 

太陽も傾き始めている。日が暮れてしまう。

今はイーサンお得意のアグレッシブ行動は控え、猛獣なんかを警戒しながら内職じみた事をするしかない。

そんな旨をイーサンに伝えた結果。

 

「飛行機落っこちてんならでっけえ音で逃げてんじゃないの?動物」

 

なんて言ってきた。

殴った。

 

「何すんだよ」

「すまん、つい」

 

文句を垂れるイーサンに枝と倒された木の樹皮を渡す。

 

「?」

「マッチは節約した方がいいだろう?だったら、ここは先人の知恵を借りよう」

「擦れってか。原始人みたく擦って火を起こせってか」

「その通りだ」

「くそう」

 

夕焼けの中、イーサンが火を起こし始める。

枯れ木を潰していると、イーサンが「ダン」と喋りかけてきた。

 

「暇ならなんか作ってくれよ。そういうの、得意だろ?」

「もうすぐ夜だぞ?それに素手じゃ限界があるだろ」

「……ほらよ」

 

イーサンが何かを投げ渡してくる。

 

「なんこれ?」

「鉄の破片みたいなやつ。木は削れるだろ」

「これで道具を作れと?」

「その通りだ」

「くそう」

 

渡されたのは刃物とも言い難い鉄の塊。

微妙に切れ味ありそうな部分があるが、もともとそれように作ってあるわけがないのでもちろん切れ味は悪い。

なんやねんおんどれ。もっと飛行機の中探しんかい。

 

「あ、燃えた」

 

しかも火、起こせるのかよ。

によによとこちらに視線を送ってくるイーサン目掛けて燃料の裂いたツルのようなものを投げつけ、手元に集中。

荒削りの鉛筆のように削ってみたはいいものの、これで何を作るか。

罠?槍?無事な物資が明らかじゃない今、何を作るかはこちらがしっかり考えなければいけない。

 

「…………」

「あちっ、あちち」

「…………」

 

先程日の中に投げ込まれた哀しきツル。

耐久性があまりないため、弓なんて作れないだろう……バリスタ級のでっかいものでもない限り。

だったら……。

 

「槍かなぁ……」

 

手頃な長さの棒を持ってきて先端に先程削った矢のようなものを合わせてみる。

槍だとしたら先端を尖らせて作るのが一番楽だと思う。けど、それだとなんか工夫が足りなくないか?

槍が折れたら獲物がなくなってしまう。だったら、先端の取り替えが効く……打撃系の武器?

テープや接着剤があったらお茶の子さいさいなのになぁ……あ。

 

「包帯あるじゃん」

「え、いいのか?」

「雑菌が入るのは嫌だから、な」

 

適当な冗談いいつつ足の包帯を解いて網状に引っ張り、棒の先端にくっつけた重めの石を袋のように包む。余った分をツルでぐるぐる巻き、片結びにして……メイスの完成か。

で、工夫はこれから。

数本の「矢のようなもの」を、メイスの先端の周りにあてがっていく。

幼い頃、短い色鉛筆を集めて巻いて虹色鉛筆にしたことを思い出すなぁ……。

 

で、それを同じくツルで巻いて固定すれば……。

 

「なんか武器っぽいものできた」

「おぉ。なにこれ?」

「命名、『武器っぽいもの』」

「…………そっか」

 

近くにあった木に向かって武器のようなものを突いてみる。

非力な俺ではとんっといった軽い音しかしなかったが……木には、何本か矢のようなものが刺さっていた。

 

「お、ダメージは入りそうな感じだな」

「矢っぽいもの作るの大変じゃねぇ?」

「まぁそうだけど。無事なやつは回収して使えばなんとか? じゃ。これ使って猪の一つや二つ狩ってきてくれ」

「無茶言うなぁ……ま、とりあえず寝ようぜ」

「頼んだぞブラザー」

「ブラザーちゃうわ」

 

助け、くるだろうか。




(次話投稿は)無いです。
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