ロニー・ポッターと賢者の石   作:渦巻き子

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消えたガラス

ダーズリー夫人が戸口の前に寝ていた二人の赤ん坊を見て、甲高い悲鳴をあげてから、10年が経った。ダドリーダーズリーはもう赤ん坊ではない。棚の上に飾られた写真がそれを示していた。

 

あのとき真ん丸な赤い顔に笑顔を浮かべ写っていた赤ん坊の写真はもうなく、代わりにピンクの顔の大豚そっくりの少年がにたっと、写真の向こうからこちらに笑いかけていた。

 

誰がどうやってこの家を探したって、あと二人、子供が住んでいるということには気づきもしないだろう。

しかし、階段下の物置では薄っぺらいバスタオルを互いの方に引っ張り合いながら少年と少女が眠っていた。

 

しかしそう長くは眠ってられないだろう。

 

ダーズリー夫人----ペチュニア叔母さんが目を覚ました。一日の騒音は彼女の目覚めと共に始まる。

コンコンコンコン!!物置の扉を乱暴に叩く音がした。

 

「分かった、いまいくよ。」

 

少年、ハリーポッターは、明るいグリーンの瞳を開けて言った。

 

「ほらロニー、起きて、ペチュニア叔母さんが起きた」

 

ハリーが毎朝起きて一番にすることは双子の姉、ロニーを起こすことだ。何事も要領よくこなす彼女にハリーは度々助けられていたが、朝だけは別だ。記憶にあるかぎりロニーがハリーより先に起きていたことはない。

 

ロニーがうーんと女の子らしさの欠片もない呻き声をあげ、目を擦った。

 

ハリーがまだ眠たそうにしているロニーを掴み、キッチンに行くといくつもの大きな箱が積み上げられていた。いとこのダドリーも珍しく起きてきている。ダドリーが学校があるわけでもないのにこんな時間に起きてくるのは一年中で二日だけだ。

 

クリスマスと、誕生日。

 

忘れられるわけがない。今日はダドリーの誕生日....一年で最悪の日だ。この日になると、ダーズリー一家は動物園や遊園地へ出掛ける。この一家に限って、ハリーやロニーを連れていくなどということは絶対にない。二人はそういうときいつも、近所のキャベツの臭いがするフィッグさんの家に預けられる。

 

ペチュニアおばさんが長い首を捻って馬のような顔をこちらに向けた。

 

「突っ立ってないで、早くベーコンを焼いてちょうだい。焦がしたら承知しないよ。」

 

ロニーは大きくあくびをするとフライパンの方にノロノロと歩いていった。

 

でっぷりとした大きな口ひげのバーノンおじさんは、コーヒーの粉が入った瓶を顎でしゃくり、ハリーをにらんだ。

 

ハリーはロニーにならい、ノロノロと歩いた。

 

ハリーもロニーもこの家族の誰とも似ていない。

ロニーはたっぷりした赤毛にハシバミ色の目。体型も仕草もおよそ女らしくないが、美人だ。髪を伸ばせばいいのにといつも思う。

ハリーは膝小僧の浮き出た足。細面の顔にクシャクシャの真っ黒い髪。額には稲妻型の傷がある。この傷は双子の姉がなんだか特別な感じがしてカッコいいと言ってくれた、自分の顔で唯一気に入っているところだ。

 

最も褒めてくれるのはロニーだけで、ハリーの記憶が正しければペチュニアおばさんに傷のことを聞いたときには

「その傷は、お前の両親が車をぶつけて死んでしまったときにできた傷さ。下らないこと聞くんじゃないよ!」

と甲高い声で怒鳴られた。

 

そう、ハリーとロニーの両親は事故で死んだのだ。その事故があってから....ハリーやロニーにとって、ダーズリー家の物置の外で楽しいことがあったためしはない。学校では、ダドリーにいじめられ、家では召し使いかほこりのように扱われる....。

 

「三十六しかない!」

 

ダドリーがプレゼントの山を指差し、涙目で両親を睨んだ。

 

「あら、ダドリーちゃん、マージおばさんのを数えなかったでしょう?パパとママの大きな包みのしたにあるわ。」

 

「それでも三十七だ。去年よりひとつ少ない。」

 

ダドリーがムチムチの指をテーブルにかけ、ひっくり返しかねない勢いで跳び跳ねた。

 

バーノンおじさんはそんな様子を微笑ましいというように見て朝のニュースに文句をつけるため、リビングに向かった。

 

「わかったわ。今日お出掛けしたら、あと二つ、買ってあげる。これでどう?かわいいダドリー坊や」

 

ペチュニアおばさんが微笑んだ。

 

「そうすると僕....」

 

ダドリーが必死に指を動かし、助けを求めるように母親を見たが、電話がなったのでおばさんはリビングに向かった。

 

「三十九よ、頭のちっちゃなダドリー坊や。」

 

いつの間にか目が覚めたのかロニーがペチュニアおばさんの口真似をして、ハリーにニヤリと笑ってから洗いかけのフライパンに反吐をはく真似をした。

 

ハリーはクスリと笑い、ダドリーはピンクの顔を赤カブ色に変えた。しかしその時、ペチュニアおばさんがわざとらしい困り顔を浮かべてキッチンに入ってきた。

 

「フィッグさんたら、足を骨折して二人を預かれないんですって」

 

このハリーにとっては嬉しい....つまりダドリーにとっては悲しい知らせを聞いたダドリーは口をあんぐり開けて呆然とした。

 

「や、やだよう。いつだって、こ、こいつらが台無しにするんだ!」

 

ダドリーが泣き真似をした。そうすれば母親が自分の望み通りになるのを知っているのだ。

 

「あら、ちっちゃいのは頭だけじゃないのかしらね」

 

ロニーがハリーにささやいた。

 

ピーンポーン、ペチュニアおばさんとバーノンおじさんがハリーとロニーをどうするか、結論を出さないうちにダーズリー家のインターホンがなった。ダドリーの腹心の子分、ピアーズだ。一緒に動物園に行く約束をしている。

 

ダドリーは目を潤ませる程度も出ていない涙を引っ込め、結局、ハリーとロニーは一緒に動物園に行くことになった。

 

何て幸運。今日だけは問題を起こさないようにしなくては....。ハリーは心に誓ったがにやっと笑ったロニーを見逃さなかった。

 

 

 

生まれて初めてみた動物園は素晴らしかった。

 

ゴリラの檻の前ではダドリーとどっちが賢いかな、とロニーと笑ってるところを見つかりバーノンおじさんに殴られたがそれを抜きにすれば一番小さいサイズとはいえ、ひんやりしたジェラートまで買ってもらい、最高の午前だった。お昼になるまでに夢じゃないかと十回はほっぺたをつねった。

 

昼過ぎになってそろそろ暑い屋外にいるのも限界になってきたので、は虫類館に行くことにした。

 

 

は虫類館はひんやりして気持ちがよかった。

 

“ブラジル産ボア・コンストリクター 大ニシキヘビ”

 

「いつもこうさ」

 

ハリーとロニーがなんとなく大きな蛇を見ていると、眠っていたはずの蛇が鎌首をあげてハリーの目を見つめてかたりかけてきた。

 

「分かるよ、檻のなかで人間に見られて暮らすなんて....退屈で、落ち着かないだろうね。」

 

ハリーは蛇に言葉がわかるとは思えなかったが、小さく呟いた。

 

蛇は鎌首を上下に振ってはげしくうなずいた。

 

ハリーは驚いてとっさに横にある掲示を見て質問をした。

 

「ところでブラジルはいいところ?」

 

すると蛇は掲示をつついてよく見るようにとでも言うようにハリーを見た。

 

“動物園生まれ”

 

「じゃあ、ブラジルを知らないんだ」

 

蛇がうなずこうと鎌首をあげた瞬間、後ろでピアーズの大声がした。

 

「見て!蛇が!」

 

後ろからダドリーが勢いよく突進してきた。ハリーは床にひっくり返り、そのすぐ横を檻のなかにいたはずの蛇がすり抜けていった。

 

「ありがとよ、アミーゴ」

 

ハリーは目をあげ、息をのんだ。それはロニーも同じだったようで、横から小さな悲鳴が聞こえた。檻のガラスが消えている!

 

次の瞬間、バーノンおじさんの怒声が響き、ロニーはひゅっと立ち上がった。するとガラスがもとに戻り、何事もなかったのよう、檻はもとに戻った。

 

蛇は....消えていた。

 

帰りしな、おじさんの機嫌は最悪だった。息子の目の前で蛇がいきなり消え、次の瞬間横を通り抜けた。。これこそが、バーノン・ダーズリーがこの世で一番毛嫌いする常識はずれなバカだ。

 

「ハリーとロニーが蛇と話してた。そうだろ?。」

 

ピアーズが止めを刺した。

 

 

 

「行け、物置、食事抜き」

 

家に着くとバーノンおじさんは怒りのあまり、声を絞り出してハリーとロニーに向かって怒鳴った。

 

やってしまった。あれほど誓ったのに。ガラスを消したのはハリーだ。姉はむしろ....きっとガラスをもとに戻したのだ。

 

何だかんだでロニーは要領がいい。自分の立場が危うくなることや本当に危険だと思うこと....例えば大蛇を檻から出す何てことはたぶんしないだろう。

 

そういえば、昔からこういうことがよくあった。ハリーやロニーの周りでは度々摩訶不思議なことが起こる。

自分達の意図しないところで....。




ありがとうございました‼️
ロニーはハリーの逆....ですね。
見た目はリリーにそっくりだけど、中身はどちらかというとジェームズかなあ。
でも、ジェームズがどういう人だったかは想像に頼らなくては行けないところが結構あると思うので....。
人によって印象が違うかもしれません。


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