何だか、更新がすごく不定期で、すみません......。
「やあ、お二人さん。お前たちを探すのにゃ苦労したぞ?ハリーに、ロニー。」
大男はロニーとハリーに向かって大きな手を振った。小屋の隅で縮こまるダーズリー一家がロニーをきっとにらんだ。ロニーには、全く見覚えのない男だ。ハリーのほうを見ると、自分と同じようにぽかんとして大男を見つめている。
「おっと、自己紹介をせにゃならんな、俺の名前はルビウス・ハグリッド。ハグリッドと呼んでくれ。」
ハグリッドはそういって、ハリーとロニーに大きな手を差し出した。
「ベロニカ・ポッター。ロニーって呼んで。」
「ハリー・ポッター、よろしく。」
ハリーは親指と人差し指を、ロニーは残りの指を、両手で握って握手した。
「さて、まずはおたんじょびおめでとうだ。尻に敷いちまって、ちょっとつぶれてるかもしれんが…味は変わらんだろ。」
ハグリッドはそう言って大きなオーバーコートの内ポケットを大きな手でごそごそやりだした。途中、丸い大きな綿のような生き物やツンとした匂いの草が出てきた。やっと、くちゃくちゃのケーキを取り出すとハグリッドは言った。
「二人とも、もちろんホグワーツは知っとるな。」
あの、分厚い黄色みがかった封筒をハリーとロニーに差し出したハグリッドはモジャモジャの顔をゆがめて笑った。
「ホグワーツ?」
ハリーがオウム返しに聞いた。
「それ、この封筒の?私たちに?」
ロニーが顔をしかめてハグリッドを見た。
「二人とも、ホグワーツを知らんのか⁉」
そう言って、ハグリッドはダーズリー一家をきっとにらんだ。ダーズリー一家は小屋の隅でごにょごにょといっと言っている。
「じゃあ、二人とも、君の両親がどこであんなことやこんなことを学んだと思っているんだ?」
部屋の隅で縮こまっているバーノンとペチュニアの青筋がぴくぴくしたのをロニーは見逃さなかった。
「あんなことやこんなことって?」
ハリーが聞いた。
「まったく!ハリーポッターともあろう人が、何も知らんというのか!魔法界人の人間がお前さんの名前を知っているというのに!」
ハグリッドが小屋の屋根が吹き飛ぶような大声を出した。
何も知らないというのは大げさじゃないか、とハリーが不服そうな顔をした。実際、ハリーは学校の成績は3人の中で一番いい。もちろん、ロニーが僅差で二番目だ。
「魔法?」
ロニーが聞いた。しかし、不思議に腑に落ちた。今まであった、奇妙な出来事は全部、あんなことやこんなことだったのだ。
「僕は…ただのハリーだよ。そんな風に言われるような人間じゃ…」
「じゃあな、ただのハリー、今まで、お前さんの周りで、奇妙なことは起こらなかったか?」
ハリーはしばらく宙を見つめて考え込んでいたが、納得したようにハグリッドのコガネムシのような眼を見つめ返した。
「でも、何でそんなに、ハリーは…有名、なの?」
ロニーが聞いた。
「お前さんの両親が、何で死んじまったのか、それもこいつらから聞いちょらんのか?」
ハリーとロニーはあいまいにうなずいた。
「ダーズリー!!!!!」
今度はほんとに屋根が吹き飛んだのかもしれない。地響きがしたし、ロニーは、間違いなく空気がキュッと冷えるのを感じた。
「ダンブルドアの手紙に書いてあったろう!全部!時が来れば二人に話すようにと!」
「いかれた学校で、行かれた小僧と出会って、最後は勝手にふっとんじまった妹のことなんて知らないわよ!」
ペチュニアおばさんが金ぎり声をあげた。
「ふっとんだ?自動車事故で死んだって言ったじゃない!」
ハリーがさけんだ。
「自動車事故?そんなもんでリリーやジェームズが死ぬわけないだろう!あのリリーやジェームズが!」
今度はハグリッドだ。
「でもじゃあ、全部知ってたの?色んな事、全部知ってたの?」
ロニーが皆に負けないくらい大きな声で叫んだ。
「知っていたわよ!休暇で家に帰ってくりゃ、ポケットはカエルの卵でいっぱい!夕食のお皿は浮かせる!でも両親は我が家に魔女がいることが自慢だった。何をするにもリリーリリー、私のことなんて見てもくれなかった!魔法だなんだって、くだらない!!」
ペチュニアは吐き捨てるように言った。
「二人は行かせんぞ!わしらは二人を預かったとき、決めたんだ!二人の中からいかかれたなんやらかんやらを絶対に叩きだしてやると!」
バーノンおじさんはようやく勇気を取り戻したのか、赤ら顔を震わせて言った。
「お前みたいなマグルに何ができるんだ!」
ハグリッドが嘲った。
「マグル?」
ハリーが小さな声でつぶやいた。
「あいつらみたいに魔法族でないもんのことだ。」
ハグリッドも小声で答えた。
「ハリーと、ロニーは魔法使いと魔女だ!ホグワーツで学ぶ資格がある!生まれた時から入学名簿に名前がのっちょる。訓練すりゃ、そんじょそこらの魔法使いより、よっぽど優秀になれる。ジェームズとリリーの子供である二人がホグワーツで学べないなんて馬鹿なことあるか!」
ハグリッドが再び声を張り上げた。
「知らんぞ!そんな…」
「二人はホグワーツに行き、しかるべき教育を受ける!歴代で最も偉大な校長、アルバスダンブルドアの下でな!」
「いかれた間抜けジジイがこいつらにインチキトンチキ教えるのに、わしは金なんか払わんぞ!」
おじさんが叫んだ。
「俺の前で、アルバスダンブルドアを、侮辱するな!!!」
ハグリッドがそう叫び、部屋の隅に縮こまったままのダドリーに杖を向けた。
閃光が走り、ダドリーの大きなお尻にくるんと丸まったしっぽが生えていた。
ダドリーは、ギャアギャアと悲鳴を上げ、大きな尻にムチムチとした手を当てた。
「ホントは丸々豚にしようと思ったんだが…あまり変えるところがなくてな。」
ハグリッドはいたずらっぽく笑ってハリーとロニーに向き直った。
「それで…父さんと母さんが吹っ飛んだってどういうこと?何で、二人を知ってるの?同級生には見えないけど…。」
ロニーは気になっていることを真っ先に聞いた。
「二人が吹っ飛んだってのはだな…、つまり…。話せば長い。まずは…そう、昔、一人の魔法使いが悪の道に走った。名前は…。うむ。言うのはあんまり恐ろしい。」
「紙に書けないの?」
「綴りがわからん。言うぞ、それっ、ヴォルデモート。」
「ヴォルデモート?」
ハリーとロニーが声をそろえていった。なんて奇妙な名前なのだろう。
「その名を口にせんでくれ、皆、例のあの人とかって呼んどる。その人に、必死にあらがったもんたちがいててな、二人ともものすごく勇敢で力のある魔女と魔法使いだったから…当然お前たちのかあさんと父さんもそのうちの一人だ。」
「十年前のハロウィーンの夜、お前らの家が襲われた。二人はそれで…。死の呪いだ。ひとたまりもない。それを受けて生き残ったもんは…。ハリー、お前さんしかいない。」
そう言って、ハグリッドは、ハリーをまっすぐに見つめた。
「額の傷は、その時受けた傷だ。とにかく、『あの人』は、ハリー、お前さんを殺し損ねた。それどころか、呪いは跳ね返って、『あの人』は消えちまった。」
「死んだの?」
ロニーは聞いた。多分、当然の報いだ。きっと、『あの人』は、父や母のような人を、たくさん殺している。もし、『あの人』最初に杖を向けたのがハリーでなくて、私だったら......もしかすると......私もその一人だったのかも。
「そう言うやつもおる。俺に言わせりゃくそくらえだ。ダンブルドアはやつは必ず生きておると言っちょる。」
じゃあ、どうすればいいんだろうか。考えたところでどうしようもないのだけど。
「さあ、今日は早く寝んとな。明日は忙しくなるぞい。」
沈黙を破ってハグリッドが言った。
ロニーとハリーは床に寝転がり、一緒にハグリッドのオーバーコートにくるまって眠りについた。
腹の奥にある気持ちの悪いようないいような違和感が何であるか、ロニーには分からなかった。オーバーコートのなかにはまだ他に、生き物がすんでいるのだろうか。それとも、やっぱり、両親や自分達についての話のせい?それとも......生まれてはじめてもらった誕生日プレゼントとケーキ?
夢じゃないのかな......。そう不安になるくらい、静かだった。ぶたのしっぽのせいでキャーキャーと叫んでいたダーズリー一家の声も聞こえない。
夢かどうかは......明日になれば、分かる
なんとなく、ハリーが原作よりも優しいというか、気が弱いというか......そうなってる気がします。
さいごまでお付き合いいただき、ありがとうございました!