乃木さん家の園子さんに構われたすぎて夜しか眠れない   作:みそぎんちゃく

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夜しか眠れないとは言っていない。


乃木さん家の園子さんに構われすぎて夜しか眠れない

 

 とある建物内の、形代が壁、床、天井の至る所に貼られた不気味な部屋。

 

 その部屋の中央には背後に心電図や点滴が設置されている病院に置かれるような大きなベッドがひとつ置かれている。

 

 部屋の様子に対してあまりにも現実感のあるベッド周りは、ある意味異様な雰囲気を醸し出していた。

 

 

 

 

 

「はいみーちゃん、あ〜んだよ〜?」

 

 

 

 

 

 そんな形容しがたい部屋に、場違いなほど可愛らしいのんびりとした声が響く。

 

 

 声の発信源は、ベッドの脇に置かれたパイプ椅子に座った、薄い金髪の少女。

 少女は、その手に持ったフォークを、ベッドの上の人物の口元へと届ける。

 

 ベッドの主は、黒く長い髪の毛を伸ばしっぱなしにし、形代によく似た服に身を包まれた少女だ。

 明らかに体のサイズに対して丈の長いその服は足先を隠し、かろうじて開いた袖口から手が見える程度。覗いている手は包帯でぐるぐる巻きにされており、顔もまた同じように片目を出すようにして包帯を巻かれている。

 

「ほ〜ら〜、この数の子の食感、凄くいいよ?」

 

「いや、べつにいい……」

 

「じゃあこのクラゲは〜?これもコリコリしてて美味しいんだよ〜」

 

「だから、食べ物は……」

 

「も〜!散華で食べなくても良くなったとは言ってもものを食べるのは人にとって大切なことなんだよ?」

 

「………………わかった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 どうしてこうなった……」

 

 

 これは、寝たきりの少女、郡 美影のほんの少しの日常の話。

 

 

 ┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

 

 

 寝たきりの生活、手も足も動かなく、内臓もほとんどが存在せず、もはや人と言えるのかわからないほどだが、なんとか生きている。

 

 これは俺が転生という体験をしてから12年してからの出来事だ。

 

 転生、ネット小説でよく見かけ、最近はアニメというジャンルでも見かけるようになったこの現象に巻き込まれる前までは普通の大学生をしていた俺は、決して自分は体験することがないであろうと思っていた電車の人身事故というものに巻き込まれたのだ。

 

 携帯片手に電車を待っていた時、電車がホームを通り過ぎようとすると同時に、酔っ払いが横から絡んできたのだ。

 

 あっという間に体をひき肉へと変えられたと思ったら、痛みも何も感じず、瞬きをするかのように一瞬にして赤ん坊の姿になっていた。

 

 よく聞く神様転生のようになにか神様にも神様のようなものにも、ましてや悪魔にも出会わなかった。

 

 赤ん坊というのは本当に暇で何もすることがなかったために、いきなり起こった転生や、前世での死に対する心のけじめはきちんと付けることが出来た。

 

 それからは、来る日も来る日も小さい子供として違和感ないよう過ごし、成長していったのだが、首が座り、視界もはっきりしてきた頃に気がついたソレにはかなり愕然とさせられたものだ。

 

 前世で男子大学生だった俺が、今世では女の子になっていたのだ。

 

 これに気がついた時は、今世の清楚で大人しめな母親が爆笑するような、間抜けな表情をしていたらしい。

 

 

 まぁ、閑話休題。

 

 

 何やかんやで小学生になったのだが、学校での勉強が始まり、今世の異様さに気がついた。

 いや、異様さについてはもっと前から気がついていたのだが、原因がわかったと言った方が正しいかもしれない。

 

 この世界にはもう四国の外は謎のウィルスで壊滅しており、海の沖にある巨大な壁で守られているらしい。

 この壁は神樹と呼ばれる神の力で出来たものらしく、壁の内側を今も守り続けていたようだ。

 

 

 

 そしてある時、そんな神樹を崇め奉っている実質この四国を治めている組織、大赦から4人の少女が呼び出された。

 

 

 

 一人目は乃木園子

 

 二人目は鷲尾須美

 

 三人目は三ノ輪銀

 

 そして最後の一人が俺、郡美影。

 

 

 

 呼び出された俺たちは神樹や、バーテックスと呼ばれる神樹を狙う敵のことを聞かされ、そして資格を持ったという理由から『勇者』として、神樹様を守る事を命じられた。

 実際にはお願いという形手間はあるのだが、受ける以外の選択肢を用意していない時点で命令と同じだろう。

 

 

 それからは、園子や須美、銀たちと共に戦い、時には遊び、怖くはあったけども充実した日々を過ごしていた。

 

 

 だけど、ずっとは続かなかった。

 

 

 遠足の帰り、もう慣れてきたあの時間の止まる瞬間を経て世界が極彩色に呑まれた先に見えたのは三体ものバーテックス。

 

 連携を学び、経験を得た俺達だったが、園子と須美がやられて気絶してしまったのを安全な場所に連れていくと、俺と銀の二人でバーテックスを追い返すために戦った。

 

 戦ったのだ。

 

 追い返すことは出来たが、俺はかなりの傷を負って気絶、気絶する間際、手を伸ばした先に見えたのは光に貫かれる銀の姿だった。

 

 

 目が覚め、銀が亡くなったことを聞く。

 

 

 

 何となく、そんな気はしていた。

 

 

 

 心の準備が出来ていたからか、思いの外あっさりとその事実を受け入れることが出来ていた。

 

 ただ、園子と須美があまりにも心配そうな顔をしていたから、なんとか大丈夫だよと、声をひねり出したが、今にして思えば受け答えとしてあれは全然大丈夫じゃ無かったな。

 

 その後、勇者システムのアップデートを経て、次のバーテックス襲来を迎えた。

 銀の葬儀の最中の事だった。

 

 新システムのバリアはとても優秀で、あらゆる攻撃を防いでくれた。

 そして満開を使ったタイミングで、ふと、嫌な予感がしたのだ。

 

 

 

 

 

 こんなに強力な力を代償無しで使えるのか?

 

 

 

 

 それは満開を解除したタイミングで嫌な予感が的中したのを悟った。

 片腕が動かなくなったのだ。

 

 だが、壁の外からは今まで以上にたくさんのバーテックス達。

 

 須美は二度の満開を通して戦闘不能、園子が三度目の満開を使ったところで覚悟を決める。

 

 もう一度満開を使った俺は、目の前で友達を失いたくない一心で、園子を神樹の方へと吹き飛ばし、距離を取らせ

 

 

 

 

 

 

 

 

 計22回の満開を行ったのだった。

 

 

 ┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

 

 

 口の中の果物の食感を感じながら今までの事を思い出していると、園子がまた話し始める。

 

「……わっしーはね、今勇者部っていう所でまたお友達と楽しく過ごせているみたいだよ」

 

「…………そう」

 

「前に一度近くまで行ってみたけど、やっぱり記憶は戻っていないみたい……」

 

「…………そう」

 

「も〜!聞いてる〜?」

 

「聞いてはいるけど……」

 

 そんなに悲しそうな話を聞かされても……。

 

「あー、園子さんの小説は最近は書かれているのですか?」

 

「え?ん〜暇な時に、というか、暇な時間はいくらでもあるからね〜この間も新作を書いたのです!」

 

 こちらの話題を変えたいという意思を感じとってくれたのか、こちらの質問に明るく答えてくれる。

 

 うん、園子は笑っていてくれた方が良い。

 

「それよりも〜、みーちゃんはもっと砕けた話し方をしよう?」

 

「……いえ、その……これが素なので」

 

「そっか〜、戦ってた時の勇ましいみーちゃんも好きだったんだけどな〜」

 

 素、というのは嘘だ。

 

 園子が言っている戦っていた時は、余裕がなく、思わず男口調が出てしまった時のことで、そっちが素なのだが、女の子になってしまった以上、そちらに合わせたいため、このように喋っている。

 

 それより……

 

「園子さん、その、毎日こんなに私なんかの相手をしなくても良いのよ?まだ学生なのだから、学校の友達と遊んだりとか……」

 

「友達と遊んでるよ〜?いま!」

 

 そう言ってドヤ顔をしている園子に、嬉しくなると同時に、悲しくもなる。

 

「……でも、私はこんなんだし、テレビも見ていないからあんまり話もできないし……イネスみたいなショッピングモールとか回りたいんじゃないの?」

 

「んーん、私はみーちゃんと一緒にいると楽しいよ?」

 

 そう言って四肢の中で唯一感覚の残っている人差し指に手を添えてくる。

 

 感じることが出来る温かさに、思わず温かい気持ちに溺れそうになるが、なんとか押し込めて、否定の言葉を送る。

 

「わ、私は別に……た……楽しくなんて無いから構わないでいいのよ」

 

 ここまでハッキリと言えば十分だろう。

 罪悪感を感じつつも完璧に演技できたと思い、園子を見ればニマニマとした表情を浮かべながら、椅子からたつとベッドへと乗ってくる。

 

「な、なに?」

 

「みーちゃんは本当に可愛いな〜!!!」

 

「なぁっ」

 

 園子の思いの外豊満に育った胸で顔を抱かれてしまう。

 

「みーちゃんってば顔にすっごく出てるよ〜?指を触った時なんてトロトロになっていたし、楽しくないって言った時なんて死にそうな顔してたよ〜?」

 

 ば、馬鹿な……!

 きちんと無表情に務めることが出来ていたはずなのに!?

 

「やっぱりみーちゃんはわかりやすいし可愛いなぁ〜」

 

 

 

 くっころ!

 

 

 ┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

 

 

 先程までとはうって変わり、疲れたのか寝てしまったみーちゃんを見る。

 

 顔に出やすい、と言ったのは嘘だ。

 

 彼女の表情は、ほぼずっと無表情だった。

 

 何年も一緒にいた私でも、最近ようやく雰囲気から喜怒哀楽を察せるようになっただけで、彼女のポーカーフェイスは健在だ。

 

 それでも、指を触った時、顔を抱きしめた時、たぶん体温を感じることが出来た時には、本当に少しだけ目元が下がるのだ。

 

 そんな、彼女の変化を見付けるのが楽しく、いつも構ってしまう。

 

 

 

 好物はうどん。

 

 最近の好物は数の子。

 

 髪を撫でると視線が下がって恥ずかしがるし、ほっぺたを触ると目を彷徨わせる。

 

 体を拭こうとすると必死になって口で抵抗してくるけど、決して嫌がらない。

 

 あーんをしてあげると目を逸らしつつも人差し指をベッドにすりすりと擦り付けるetc……

 

 

 

 そんな一つ一つの感情の現れる動作を見つける度、彼女が可愛らしく見えて仕方がない。

 

 

 

 

 

 

 そして何より、そんな彼女を独り占めできるこの時間は堪らなく、嬉しいのだ。

 




名前でわかるかもしれないけど、ぐんちゃんの子孫だったり、満開の内容だったり、武器だったり、モチーフの花だったり、出てない設定が沢山あるけど続くかは未定(真顔)

もしゆゆゆい時空に行くと高確率ででっかい園子に甘やかされたり、でっかい東郷さんに甘やかされたり、ぐんちゃんとたかしーに甘やかされたり、銀を甘やかしたりする。




あと貧乳です。
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